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「お願い、だれかいるのなら答えてよ。しゃべれないのなら何か合図を送って……。
近くにあるものを床に打ちつけるだけでいいから。そうすれば居場所がわかるし、
あなたのところまでたどり着けるの。怪我をしているなら応急処置もできるわ。だから……だから!」


やはり、返ってくる言葉はありません。


「どうしてなにも言ってくれないのよ!? そこにいるんでしょ。ふざけてるの?
みんな、私がこうして苦しんでいるのを見て笑ってるの!? だから黙っているんでしょ……。

ねぇ、

ねぇ、

ねぇ!」


声を出す気力は枯れ、私はなにをするでもなくただその場に佇んでいました。
少し休んで症状が治まったらもう一度ドアを開けようとするしかない、それはわかっていました。
ですが、本当に私だけの力で開くのでしょうか。なにをしても開かなかったら――。


は、はは、ははは、と息が漏れるような笑みがこぼれてきました。


一年ほど前の私は、だれとふれあうこともなく、ただ天井のシミや畳の節を数えて一日を終えていました。
生気のない死んでいるのと変わりない世界にいたのです。
だから、いつ死んでも殺されたとしてもかまわない、悔いもなにもないと考えていました。

そんな私が、今は懸命に生きようとしているのです。
他人との繋がりがわずらわしくてひきこもっていた私が、命をつなぐためにだれかの力を求めているのです。

因果応報とでもいうのでしょうか。これほど皮肉めいたことはありません。
それでも、どんなに汚いと感じようとも、生きていきたいと思えるのです。



息を吸って吐くという単純作業をどれだけ繰り返したのでしょう。
不意に部屋のまんなかあたりから湧き出るようにぼそりとした声が発せられました。

「もう、黙っているのはやめないか」

それが耳に届いたと同時に、世界にぱっと明かりが灯ったような気がしました。
激しい頭痛と動悸はしずまり、もうろうとしていた意識が一瞬でクリアになったのです。
聞きまちがうわけはありません。彼の声です。

「晃!」

私はすぐさま彼にかけよろうとしました。
しかし、体が思うように動かず、立ち上がることだけで精一杯でした。

「晃、立てる? 怪我してない?」
「……ああ」



「そう。動けるんならこっちに来て顔を見せ――」私の言葉をさえぎるように「近づくのはやめなさい!」

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