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母からしばらく一緒に暮らしたいと言われたのですが、甘えてしまうのが嫌だからと言って断りました。
そればかりか、なるべく早く彼らを実家に帰してしまいたかったのです。

次の日の朝、玄関で両親を見送った私は畳の上に体を丸めて寝そべっていました。
かぶと虫の幼虫みたいだと、たわいないことを考えました。
虫が嫌いなはずなのに、変なところで親近感を覚えてしまったのが、どこかおかしくて小さな笑みをこぼしました。


もしかしたらこのおかしさは、哀れな私自身をさげすむ笑いだったのかもしれません。


春になり、窓から見える景色に淡いピンク色が混じりはじめたころ。
私は窓際で日向ぼっこをしながら携帯電話を手に持ち、意味のない開閉を繰り返していました。
折りたたんだ瞬間に鳴る、かちゃりという音が心地よかったのです。

両親から電話がかかってくるので電源は入れてありました。それだけが、外界との繋がりでした。
稀に友人からメールが送られてくることもあり、そこには決まって私を心配する言葉が書かれていました。

しかし、返信することはありませんでした。人との関わりがうっとおしかったからです。
こうして家からでられなくなったのは、発作をおこしたのは、すべて他人のせいなのでしょう。
心配しているかのような連絡をしてくるのは、対面を保つための行為であり、
私のことを親身になって思ってくれている人なんていません。


いるはずがないし、いても迷惑なだけです。


不意に電話が鳴りました。両親からだと思い、画面の表示も見ずに着信ボタンを押しました。

「はい、もしもし」
「あの、中谷小夜さんのケータイですか」

聞き覚えのない男の人の声でした。
電話を耳からはなして画面を確認すると、090からはじまる11桁の数字が表示されています。
もともと友達は少ないほうでしたし、男性で仲の良い人はいませんでした。

しかし、彼は私の名前を答えていたので間違い電話ではないようです。
私は上半身をおこして耳に神経を集中させました。

「だれですか」
「えっ、ごめん。ちょっと聞こえにくい」
「ど、どなたですか」
「……っ」

がさごそと受話器から音が漏れてきました。
大声をだしたつもりでしたが、彼には聞こえづらかったのでしょうか。
声を張り上げるなんて久しぶりのことでした。

「もしもし。受話音量上げたから大丈夫だと思います」
「は、はい」
「篠塚晃と言います。N大学の心霊研究会に入った一年です」



よく通る声で、彼はそう言いました。

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