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私は彼の呼びかけに返事をすることなく、ゆっくりと音がするほうへ歩いていきます。

「だめです。危険です!」

頭ではわかっています。ですが、体がいう事をききません。


まるで、暗闇が――

この部屋が――

地下施設すべてが生き物と化し、私を飲みこもうとしているかのように、そこに吸いつけられるのです。


私は、いつのまにか怪物の口内にいたのです。
地下に足を踏み入れたときから舌先で弄ばれ、徐々に心神を溶かされていたのでしょう。

嫌悪感はなくなりつつありました。代わりに意識が白く染められ、思考がクリアになっていきます。
憑かれるとはこういうことなのかもしれない、とひどく冷静に現状を推察している自分がいました。

机を挟んだ通路の行き詰まりは左右にわかれていて、右側はごみで埋まっていました。
灯りを左へむけると錆びた小さな鉄檻がありました。


かたりかたり。それが動きました。


ひっ、という短い息を吸いこんで立ち止まり、目を閉じました。
さきほど吸った息が喉に詰まっているのかうまく呼吸できません。
背筋は凍りつき、悪寒がせわしなく走っています。

このままなにも見ないで帰ろうか、と考えましたが恐怖より求知心が勝ったようです。
私はゆるやかに瞼を開けました。


檻の中はからっぽです。そのむこう側に隠れるようして縮こまっている犬がいました。


中型犬、それもかなり年老いているようです。
茶色い毛並みから察するに柴犬かそれに近い雑種ではないでしょうか。
犬を目視した刹那、私は落胆と安堵が入り混じった複雑な気持ちを抱きました。

あれほど大騒ぎしていたのになんのことはない、
おそらく換気ダクトから落ちて地下施設から出られなくなった野良犬なのでしょう。
詰まっていた息を吐き出し、皆を呼びます。

「大丈夫みたい。ただの犬だよ」
「えっ、じゃあ、お化けとかじゃないんですか」晃の気抜けした声がしました。
しかし、他の三人はなぜか黙ったまま視線だけを私にむけているようでした。

梓が「なんでこんなところに犬がいるの」
「たぶん換気ダクトからここに落ちてきたのよ。枯れ葉も――」



「小夜、本気で言ってるの? 入り口は施錠されてたし、ダクトを通れるほど犬は小さくない……。
変よ。絶対におかしい!」

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