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私は彼に寄り添ってそっと手をつなぎ、顔を見上げます。
晃はひきつった表情をしていたのですが、無理をして笑いかけてくれました。
それがおかしくて私も笑顔を返します。

突然。ごわっ、という音と共に生ぬるい風が駆け抜け、壁の薄皮が小さな音をたてて揺れました。
驚いた晃が私の手を強く握りしめます。

「あっ、すいません。痛くありませんでした?」
私は少し首をふって、気にしないでと答えました。

「……怖いもの見たさって言うんですかね。ホラー映画や小説は好きなんですけど、
やっぱりこういうところは苦手です」
「晃は他にどんなものが苦手なの」

彼は少し考えたあとで「犬がだめです。昔、隣の家で飼われてた大型犬に噛まれたのが
トラウマになってて。小さいやつを触るくらいはできるんですけど」

「他には?」
「そうですね……。あとは思いつかないですかね」
「それって少ないほうだよ。私はもっといっぱいあったから」
「今もですか?」

「今もあるよ。人ごみとか交差点とか電車とか色々。
でも、晃と一緒にでかけるようになってからは少なくなった」
「……でも、なんというか。怖がってばかりで頼りないっていうか」

私は彼に微笑みかけながら
「お化けが怖いってだけで嫌いになったりしないよ。晃のいいところ、いっぱい知ってるから」

晃は顔を赤くして私から目を背けてしまいました。照れているのでしょうか。

「晃、ありがとね」
「えっ? なんですか急に」

「ホントは、病気のことを考えたらこんな場所に来るべきじゃないって思う。
ゆっくりと日常を取り戻していけばいいんだって。でも、今みたいにずっと甘えていたくないの。
早く治して晃のことを支えてあげられるようになりたいから」


静かな沈黙が流れていました。
しかし、不安や恐れはありませんでした。


暗闇に溶けこんでいたあの頃とは違い、今はてのひらにたしかな存在があります。
だれかとふれあい繋がっていられる、それがとても大切に思えるようになったのは晃のおかげなのです。





『――ねぇ、ちょっと』

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