堕落
凡(およ)そ人間が唯物的享楽的に堕落して来ると、必然、精神的には敬虔を失い、破廉恥になり、あらゆる神聖なるものの意義を疑い、人生の厳粛なる事実に軽薄厭うべき批評、否嘲笑を放つものである。
三上の読書
つまらぬ小説や愚論に類するものはなるべく読まぬようにすると共に、心が浄化されるような立派な書を読むべきである。
特に朝、それも一時間とは言わぬ、三十分でよい。
昔の人も枕上(ちんじょう)・馬上・厠上(しじょう)の三上の読書ということを言っておるが、私は長年必ず厠(かわや)で読むことにしておる。
厠で読むだけの時間であるから、何枚も読めるものではないが、十年、二十年と経つと、自分でも驚くほどの量となる。
しかもこれは数量の問題ではない。その時に受けるインスピレーションというものは、到底書斎の中で何々の研究などをやっておって得られるものではない。
況(いわん)やこれから安眠熟睡しようという枕のほとりにおいておやである。寝る前に週刊誌等を読むのは最も愚劣なものである。