このマンガ、釈由美子主演の名(迷?)ゼリフ「お逝きなさい」で、有名な?数年前にドラマ化、映画化された「スカイハイ」をはじめ、
鈴蘭の、我が道を行く-images.jpg

「士道」、「地雷震」を描いてる、高橋ツトムの代表作のひとつで、講談社の月刊アフタヌーン2002年12月号から2013年1月号迄連載され、単行本全18巻完結した。
この、爆音列島がなかったら、オレ、この作者のマンガを読む事なかったろうなあ。
数年前、スカイハイのドラマを見て、原作を読んでみたいと思って、古本屋で、サラっと立ち読みした事はあったんだけど、確かに画力、構成、ストーリーの流れといい、凄く上手いんだけど、画がオレの好みじゃなかったんだよね。
これは、趣味というか趣向の問題だから、あくまで、好みの話ね。
みなさんにも、あるでしょう?マンガだけでなく、小説や映画、音楽で、どんなヒット作、ヒット曲、話題作や話題曲でも、自分的に読む気になれない、聴く気になれない作者や監督、歌手って。
なので、今でも、爆音列島以外の、高橋ツトム作品は、立ち読みする事はあっても(苦笑)、買う気にはならない。

そんなオレが、この「爆音列島」にハマったきっかけは、何かは忘れちゃったけど、好きなマンガの中綴じの総集編が出て、それの
抱き合わせというか出版社側の都合なんだろうけど、オマケみたいな感じで、単行本1巻の半分くらいが載ってて、オレ、本でも雑誌でも、買ったら、飛ばして読むという事ができないタチで(←ようするにケチなんだね(笑))、で、読んでみて驚いたのが、その、リアルさ。
マンガや小説って、基本的に創り事の世界だから、その世界観って、作者の気持ちひとつで、いくらでも広げられるし、狭くする事もできるんだけど、その意味では、このマンガの世界観は、メチャメチャ狭い。
けど、その狭さが、逆にリアリティを与えてくれた。ストーリーは、昭和55年、中3の主人公、加勢高志(カセタカシ)が転校したところから始まって、当時の不良少年のお約束、暴走族に憧れて、で、地元の族に入り、やがて、中枢のひとりになって、引退する迄になってるんだけど、今迄も、実録ものも含めて、数多く、このテのマンガが世に出てきたけど、大概は、派手なエピソードに重きを置いて、綺麗な表面だけを出しているのに対して、このマンガは、あえて、汚い部分、陰部をも前面に出しているところが、オレに、リアルな感じを与えた。
マンガとして、フィクションとなっているから、ストーリーの構成上、当然、現実にはなかった集会の話なんかもあるが(笑)、逆に、実際にあった抗争や集会の話なんかもある。
それ以外にも、当時の、暴走族を引退後のエリートコース?ヤクザになってるOBに頼まれて、というか、言われて、事務所で電話番したり、族の抗争が、双方のケツ持ちについてるヤクザ同士の話し合いで、カタがついたり、チームのステッカーの売値の相場とかもね(笑)
その辺を、意図的にないまぜにしてるからこそ、より、リアリティがある。
チーム名なんかは、変えてはあるが、当時の悪ガキ達が見たら、一目でわかるだろうしね。その、チームの本部がある駅も、当時の雰囲気出してるし、溜まり場なんかもね。
家裁の風景とか、呼ばれて行った時の心象風景を、よく出してるし、警察の取り調べ方なんかもね。
読んでる間、なんで、こんなに内情や当時の事に詳しいんだろう、と思ってて、そしたら、最終巻の「あとがき」を読んだら納得、高橋ツトムの自伝とある。
当事者なら、知ってるよなあ(笑)

このマンガのおもしろいところは、もうひとつ。
普通だと、年齢的に、だんだん成長していき、最後は、後輩に譲り渡して、カッコよく引退!なんてのがパターンなんだけど、このマンガでは、それを、敢えて、してない。暴走族を、仕事にできたら…なんて、常識外れな考えを持ち、友達の死を、自分の中で美徳化する為に、自分達は、「死人が出る程の、最凶最悪の族」と置き換え、暴走にのめり込んでいく。
鈴蘭の、我が道を行く-t02200158_0640045910554015920.jpg

その中で、両親の離婚や、中学時代のツレや、族のメンバーの路線変更があっても、自分は、暴走族を、ひたすら、やりきろうとする。
やがて、ひとつのカタチをやりきるが、
鈴蘭の、我が道を行く-130203_134405.jpg

その帰り道、突然の終焉を迎える。
鑑別所を出て来ると、そこには、見慣れないメンバーが、何人もいて、それでも、まだ、現役を続けようとするが、かつて、可愛がっていた後輩が、ある事を、きっかけに変わり、チームの中心となり、かつての自分と同じく、最強の族を目指し、台頭する姿があった。
この時、族の引退は、譲り渡すというより、自分が、押し出されるという事を、実感する。
かねてからの、仲間達との、族に対する考え方の温度差にも、自分で呆れる。
自分にとって、命を懸ける場であっても、彼らにとっては、遊び場のひとつに過ぎなかったのだ。
それを、知った時、彼は、引退を決意する。
「全開で別れてやる!」と。
ここまでの、心の葛藤や未練がましいところとか、全編に漂う十代の青臭さが、オレにたいして、やるせなさとか切なさ、また、見えない何かに対する怒りを思い出させてくれる。
で、全てをふっきったラストシーン。
鈴蘭の、我が道を行く-8e9468e5d85e8c43bf9118c5edca1f3d.jpg

このマンガ、かなり、完成度が高いので、興味を持った方は、一度、読んでみてね。
AD