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私の中のあなた

キャメロン・ディアスの最新作、試写会ご招待!《先着50組》 ブログネタ:キャメロン・ディアスの最新作、試写会ご招待!《先着50組》 参加中

映画『私の中のあなた』


監督: ニック・カサヴェテス
出演: キャメロン・ディアス、アビゲイル・ブレスリン、アレック・ボールドウィン
製作年度: 2009年

白血病の姉ケイトを救うべく、遺伝子操作で生まれた妹アナが、11才になった時に姉への
臓器提供を拒み、両親を訴える。
アナを愛しつつも、ケイトの命を救うために、多少の犠牲は仕方がない。もちろんアナも
そう思っているはず。と思っていた両親はショックを受けるが、その訴訟には深い理由があった・・。
という作品。

う~ん・・・。難しい。
終わったあと、ものすごくもやもやしたものを感じました。

作品が悪いというのではなく、誰にも心から共感できる立場ではなかったから、消化不良になった感じ。

母(キャメロン)の気持ちもわかるし、姉の気持ちもわかる。妹の気持ちも、父の気持ちも、
兄の気持ちも。みんなの気持ちが少しずつ、同じくらいずつ(逆に言うと、それくらいずつしか
理解できない)から、心が分散してしまって、作品を丸ごと受け入れるしか消化する方法が
なかったというか。

みんなお互いがお互いを愛し合ってるんですよね。
なぜ心から姉を愛する妹が、両親を訴えなきゃいけなかったのか。

「生きるとは何か。人生とは何か。」

を問われる作品だったような気がします。

見終わった後にプロローグを思い出すと、ある感情の伏線に使われていたプロローグが、
また別の意味も持つのではないかと。

吸い込まれるように一気に物語の中に入り込み、涙がポロポロこぼれる作品だったと思います。



ただ・・・。

これは私見ですが、現実はそう甘くはないんじゃないかなとも思いました。

若くして、不治の病にかかった人を身近に知らない私でさえ、これはできすぎた話で
ないかと思ったんです。
美しくまとまりすぎというか、本当は家族ももっといびつでバランスが崩れたものに
なるのではないかと。

家族の1人が不治の病に冒される。
それが年老いたものであっても心が痛いのに、人生これからの子供だとしたら。
母の愛情が、家族の関心が全てその子に行くのは当たり前であり、仕方のないこと
なのかもしれません。

いびつと一言で片付けるのは残酷すぎる現実ですが、もし、それが現実にあったとしたら
(あるんでしょうけんどね・・・悲しいことに)「同じ母の子」である他の子供達はどう思うんだろう。

病気の子さえいなければと、憎む気持ちと、本当はその子をとても愛する気持ちとの間に
挟まれてもっと葛藤し、もがき苦しむだけでなく、自分も母と父の愛情を受けたいと思うんじゃないか。

子供であれば誰しもが持つ「愛されたい」という気持ちに罪悪感を抱いたまま、
満たされないまま大きくなるんじゃないか。
そうなった時、本当にこの家族のようにお互いがお互いを愛し、思いやる信頼関係で
繋がった家族になるんだろうか。

途中「本当はちょっとの振動で壊れてしまう、脆い絆だ」みたいなナレーションが入っていましたが、
「いやいや、十分愛し合ってるでしょう、心から」みたいに思えたんです。

そういう意味で、”美しく”まとめられた作品だな~。と若干の違和感も感じたり。

恐らく私自身が、愛情とか信頼関係とか、すごく深く考え込んでいるから
そう感じたんだろうと思うけど。

一緒に見に行った友達もまた、同じような感想を持っていました。
彼女も、愛情とか信頼関係とか、私と同じくらい考える子だからそうだったのかも。

ということで、とてもよかったですが、「もやもや」っとした何かが残る気がする作品でした。