2009年11月30日
境界例の女 9
テーマ:境界例の女『大丈夫だから!騒がないで!』
ああ、なんてことだ!
血まみれのパジャマを着た女
ああ、なんてことだ!
むせかえるような血のにおい
ああ、なんてことだ!
床に転がっている血のついた包丁
血、血、血、血!
この現実離れした状況!
僕はさっきまでテレビを観て笑っていたのに!
僕は混乱した頭を必死にリセットして
この状況で二人きりはまずい、と判断しました
とにかく、誰か・・・・
あ、救急車を呼べばいいんだ
それと、警察
これはどう見ても事件だ
「救急車呼ぶ」
『や!め!て!』
『やめて!大丈夫だから』
R子はうつろな目でフラフラと立ち上がり
タンスの引き出しから
手術用?の針と糸を取り出しました
なぜそんなものが家にあるのか聞くと
『勤め先の歯科医院からくすねてきた』
は?何のために?
あらためて見ると
下腹部の傷は内臓までは達していませんでしたが
縦に5センチくらいの傷口はパックリと開き
中から黄色い脂肪がめくれ上がっていました
その奥から湧き水のようにドクドクと溢れ出る血
どう考えても病院直行レベルなのですが
R子は病院に行くのを頑なに拒み
鼻歌を歌いながら自分で縫合しはじめました
ザクザク
・・・・
「誰に刺されたの?」
『は?あははははは』
「おかしいこと言ってる?」
『自分で刺した・・・・だってMが・・・』
Mは数時間前までこの部屋にいて
R子がトイレに入っている間に例の元カノにメールをしたらしい
それを知って激昂したR子はMに暴力をふるった
あてつけのように自分の腕を包丁で刺しながら・・・
怖くなって逃げるMをマンションのエントランスまで追いかけて
手当たりしだいに物をぶつけたらしい
(後から知ったことだが、この時Mはケガをしていた)
最後はお約束の
『死んでやる!』
それでもMは自分の身に危険を感じ
怨念の叫びを背に逃げ帰ったのであろう
Mは何らかの方法で僕の携帯番号を知っていた
最後の叫びが気になったMは僕に電話をしてきた
そんなところだろう
この後Mと話をしましたが
R子が僕の存在と携帯番号を
Mに教えた方法を聞いて愕然としました






