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2012-04-24 01:44:38

叫び

テーマ:詩、小説

声を張り上げて叫んでみる


「誰か助けて」


なんて、言っても誰もここには来やしない


エスオーエスなんて言ってみても


結局は無駄なんだって知ってる


「だって誰も心の奥はのぞけないから」


つながることはできても


深く、深くその奥まではいけないよ。


夜に紛れて体を重ねたとしても


「決して、私の心は開かない」


だって、そうじゃない?


相手は結局他人だもの。


なんて、そんなことを思いながらやっぱり叫んでみる。


「誰か、私の傍にいてよ」


泣きそうになる、私の傍にいてよ。


できれば、それは私が恋するあなたでありますように。


なんて思いながらも。


「誰でもいいから、傍にいてよ」


なんて、口にしてみる。


だって、そうじゃない?


結局、あなたも他人だもの。


信用はしてるけど、信じきれて無い結果。


なんだか、笑っちゃうね。


そうして、また私は何か叫びだす。


誰かに助けを求めよう。


そんなことを思って始めた結果。


いつか、何かを得られる?


わからないけど、やってみる。


「おーい、誰かー」


そんな風に、誰かに声をかけてみる。


今日も、昨日も、明日も。

2012-04-19 16:29:03

テーマ:詩、小説

いい風が、吹いてるね。


そうね。とても、いい風が吹いてるわ


懐かしくて、


それでいて新しくて


暖かくて、


でもどこか冷たくて


祝福されているようで、


どこか淋しげで


なんだかとても、


なんだかとても、


幸せで、


切なくて


とても、いい風が、


とても、いい風が


吹いてるね、


そうね、吹いてるわ


どこまで行くんだろう、


どこから来たのだろう


わからない、


わからない


でも、今はここにある、


そう、今はここにある


新しくて、


懐かしくて


冷たくて、


暖かくて


淋しげで、


それでいて、祝福されていて


とても、幸せな風が、


とても、幸せな風が


吹いてるね、


そうね、吹いている


どこから来たんだろう、


どこまで行くのだろう


僕にはわからない、


私にもわからない


けれど、いつか、


けれど、いつか


また巡り合える


また、巡り合える


この素敵な風に、


この優しい風に

2012-04-09 23:43:31

語り手シリーズ「バベルの図書館」

テーマ:詩、小説

私は、吟遊詩人じゃないから、歌は歌わないんだ。
私は、語り手。
だから文章を、物語を、語るんだ。
悲しいお話も、楽しいお話も。
理不尽なお話も、不思議なお話も。
そのすべてを私は語ろう。
物語は、作り手がいて、語り手がいて、聞き手がいるから、存在するんだ。
だから、私は語り手。
沢山の物語を語るんだ。

だから、今日も、私は物語を語る。
今日のお話は「バベルの図書館」

とてもとても、広大な図書館の一人の司書のお話。

それじゃ、開幕、ね。





一冊の本があった。
物語はそこから始まった。
その本は、まだ何もかかれていなかった。
だから、彼、はそこに文字を書き入れていった。
少しの単語がやがて、文になり、本を形成していった。
本は、世界を作った。
数多の物語を作る、世界となった。
数多の歌を歌う、世界になった。
やがて、世界は数多の本で埋め尽くされた。
とてつもなく広い世界に、本、本、本。
彼、はそこに一人の司書を作る。
働き者の、自身の役割を理解した人だった。
彼女は、多くの本を並べる。
同時に、不要な本を削除する。
そういった仕事をしていた。


長い、とても長い年月が過ぎる。
彼 はいつしか多くの本に埋もれて消えてしまう。
同時に「世界の始まりの本」も
世界はいつしか本で埋まっていて、彼女は別の空間へと世界をつなげた。
バベルの図書館。
そういわれる場所だった。
彼女は自らを、バベルの司書、と名乗る。
それは与えられた役割ではなかったけれど、彼女はやるべきことを見つけた。
始まりの本、を探す。
あまりにも多くの本が、ありすぎた。
あまりにも多くの物語が、ありすぎた。
バベルの図書館は無限に広がっている。
もう彼女にも世界の始まりはわからない。
いつか、そこにたどり着ける人を求めて、彼女は世界を開いた。
広大な。
あまりにも広大なバベルの図書館。
「すべての物語が集う場所」
そう、呼ばれる場所だった。
彼女は、今も「始まりの本」を探している。


けれど、見つかることはない。
それは、物語が定めているかのように。
それを、物語が定めているかのように。
とても広大な図書館。
とても広大な世界。
今はその最奥にたどり着くことはできない。
まるで、そう、誰かの心の中のような。
触れること、繋がること、知ること。
でも、最奥には達することなんてできないんだ。
彼女、バベルの司書はそれを知っている。
だからこそ、誰かを招く。
その誰かが彼であることを信じて。
その誰かが「始まりの本」を見つけてくれることを信じて。


バベルの図書館は今日も人を飲み込む。
決して戻れない深い闇に。
少しずつ、歯車は狂っていく。
バベルの司書はやがて少しずつ狂う。
自分が書かれている本を探し始める。
それが「始まりの本」だと信じて。
バベルの司書は今日も本を探す。
時折来る人々を案内しながら。
物語は、まだ終わらない。
物語は終わることを知らない。



物語が終わるのは、きっと彼女がバベルの司書じゃなくなったとき。
それはいつ?
それはどこ?
それは……。


矛盾してる。
でも、それがこの物語。
悲しいことじゃないよ。
苦しいことじゃないよ。
嘆くことじゃないよ。
彼女はきっと幸せなんだ。
自分のすべきことがあるから。
自分のなすべきことがはっきりとしているから。
同じことをぐるぐる回る。
同じときをぐるぐる回る。
繰り返し、繰り返し。
彼女は書架の中を探し回る。
迷い続けながら、それを終わらせることを願いながら。




バベルの図書館のお話は、これでおしまい。
終わることのない世界で、終わることを知らない彼女の、少しだけ悲しい物語。
でも、彼女にはきっとそれはわからない。
だって、それは…ね。



それでは、また、いつかどこかで物語を語る、その日まで。

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