- 資本主義と自由 (NIKKEI BP CLASSICS)/ミルトン・フリードマン
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ミルトン・フリードマン 『資本主義と自由』
本書を読むとフリードマンがアメリカの保守文化を肯定しているように強く感じる。
強者や富裕層は政府の規制から自由でなければならない。という価値観が前面に押し出されているようだ。貧困者は個人的な慈善によって救われなければならないという箇所があったような気がする。政府の役目は小さければ小さいほど望ましいと考えているようだ。
貧困層を助けるために負の所得税(所得が少ない個人への所得保障)を提案している。この負の所得税によって政府の社会保障に関係する部門をスリム化できるとしているが、どうかな。橘木俊詔は負の所得税は導入コストが高くつくというように『セーフティネットの経済学』で述べていたようだが・・・
新しく面白い箇所と今の時代ではどうやっても受け入れがたい主張が共存している。
フリードマンは医師免許も廃止したらどうかという見解を詳細に論じているが、今の時代のアメリカで医師免許の廃止などに賛同する人間は、ごく少数だろう。
学校制度についても論じているが(1950年代の)アメリカでは公立の大学がかなり多く学生の半数以上が学費の安い公立のカレッジや総合大学に通っていたようだ。日本とはかなり事情が違いますね。日本では学生が国公立ではなく私大に通う比率がそもそものはじめから今にいたるまでアメリカよりも高い。こんな国は先進国の中では異例ですね。高校の段階では日本は私立に通う生徒の数はさほど多くないのだが。いや、それでも諸外国に比べると私立高校の生徒の割合は多いといえるかな・・・
フリードマンはアメリカには公立の大学が多いという前提で、教育の自由化を唱えている。そういう日本との事情の違いに無自覚に教育の自由化に賛同するとしたら間違いだ。
日本よりもアメリカに公立の大学が多いというのはお国柄というか文化の違いですかね。個人が一人前になるためにはどうしても大学教育を獲得させなければいけないという感覚は、過去の日本には希薄だったと思う。
色々考えたがすべて記事に書けない。『資本主義と自由』を読んだついでに、全く違う立場のジョン・ローマー の本を読み返したりした。記事には何も反映させられませんでしたが。