終りの音の鳴るまえに
テーマ:■ 大人の事情
ヤンマガに載った長男の写真を、Jリーガー志望の大学生のせがれを持つ会社の先輩に見せたことがあった。
この先輩は以前、喫煙所でよくいっしょになった人で、YSAでプロ選手を目指すという長男に興味を持ってくれ、3年ほど前からよく声をかけてくれる。
「なんだよ、ただのヤンキーじゃねえか。がっかりだな」
笑ってくれるのかと思って見せたのに、何も言えなくなってしまった。
その先輩の話では、小中高校生時代に「力がある」などとチヤホヤされた子が、サッカー推薦などで大学へ進み、チームに入った途端、不思議と華が無くなり、周囲と同じか、それ以下のレベルになるという現象がかなりあるとのこと。
これは「慢心」によるもので、目標を持ってコツコツ努力している連中が、追い越してしまうのだという。長男の場合もそのパターンのような気がする。
昨夜、ジムに行った長男が、いつもは23時過ぎに帰ってくるのに、21時前に頭をかきながら帰ってきた。
「スパーリング中にまた肩やっちゃって・・・」
夕飯をすぐさま食べながら、バラエティー番組で大笑いしてる長男の姿を見て、ああ、こいつはもう駄目かもなと思った。
子どもが社会に出た時に、食べていけるようにするのは親の役目だ。
1年後には就職だけど、どうしたいのかと訊いてみる。すると「何も考えてないんだよね」だって。そろそろ焦り始めてもいいころかなと思って、踏み込んで話してみることにした。
「高卒で家族を養える仕事ってなにがあるかな?」
「うーん。鳶とか? ビルの窓ガラス清掃とか?」
「安く使える外国人がますます増えるし、その手の職業はどんどん賃金下がると思うよ」
「なるほど・・・」
「ココイチのバイトを一所懸命やって、社員になって、がんばれば店長くらいになれるかもね」と言ったら、「店長は毎朝5時から閉店まで働きづめで、トレーニングの時間が取れないんだよ・・・」だって。
(長男はバイト先のココイチで結構気に入られているらしく、エリア長さん?から内勤の仕事や、比較的安全な昼間のデリバリーなどの仕事を勧めたいという旨、わざわざ電話をいただきました。ちょっと意外です)
長男はプロ格闘家になりたい、リングで食っていきたいという夢を持っているのに、バイトで3回も交通事故に遭って、まだ同じバイトを続けようとしている。肩の故障も、バイク事故によるものだ。
口では悔しいと言いつつも、「怪我の間は休暇です」みたいな意識で、「じゃあ今できることを・・・例えば脚を強化しよう。ひたすらスクワットしてみよう」とか、そういうアタマもなく、怪我を理由にジムを休んで、遊びに行くだけ。土曜日もジムを休んで、友達のライブに行ったって言ってた。帰ってきてから走る、という約束も忘れてた。
そんな長男が、あるとき「このままではまずい」と思ったのか、仲のいい接骨医の先生に相談したという。そこで先生に「君には転機が必要かもしれないね」と言われたとか。
それで「タイに行ったら変われるかも」などと言われたというが、長男の場合、行ったところで言い訳が一つ増えるだけだと思う。
肩は手術を受ければ完治するといわれたというのだが、3ヶ月間の固定が必要(トレーニングに復帰できるのが半年後)で、その間「バイクに乗れなくなるから、それが嫌でお父ちゃんに黙っていた」という。
こんな考え方では、プロ選手として成功するのは到底無理。
そもそも、組み合ってすぐ外れるような肩じゃ、総合格闘技は無理だし。
プロの格闘家で食べていけるのは、いまやボクシングの世界チャンピオンくらいか?
総合格闘技は一時気の華やかさが嘘のように消えた。今年の暮れも地上波放送は皆無だったね。
ボクシングなり、K-1なりに転向したら? と言ったら、考えてみる・・・だそうだ。
「でも、これでも僕、ジムの先輩たちに期待されてるんだよね」
どの口が言ってるかと、あきれてしまう。
そんな「期待されている」という自覚があるなら、バイクには乗るべきじゃないだろう。乗ったとしても、危険には配慮をするだろう。免許取りたての友達の後ろに乗って、他人のバイクを追いかけまわさせて転倒させたとか(以下略)
・・・ってか、本人の言う「大好きで大好きでたまらない」バイクも今、任意保険のお金使い込みのせいで、乗れないわけなのだが、それに対して早くバイト復帰をしようとか、肩が痛くてもできるバイトをして金をつくろうとか、そういうアタマは皆無。ただ、所有してればいいわけだ。KRAZY BEEのブランドに所属してる自分に満足しているのと同じように。
もし僕がここで、強権発動して、バイクに乗るなとか、ジムをやめろとか、坊主頭にしろとか、チャラチャラした服着るなとか、言ったところでどうにもならん気がする。
まあ、チャンピオンにならないなら答えを急ぐ必要もないし、趣味でやるなら悪くもないし、高校出ればふらふらもしてられないだろうし、人生逆転のチャンスも皆無ではないだろうし(厳しいと思うけど)、もうしばらく見てみようかなと思ってます。
人間って、なかなか変わらないからね。
僕は長男に対して・・・というか、自分の人生に対しても、淡白な気がする。長男が自分の家族を持ち、食べさせていくためになら、敵国人になってくれてもかまわないとさえ思う。
「親が死ねば転機になるかもね」なんて言ってみたりした。
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