仕事と人生 その8
仕事はいわゆる ジリ貧 の状態でした。
とはいえ、フリーのコンサルタントという仕事は 飛び込み営業できるものではありません。
そう、私のことを知らなければ、そして信頼されていなければ、仕事など得られるものではないのです。
考えてみれば、今後もフリーでやっていくとしたら、著作のひとつやふたつなければ、新たな仕事先など現れる訳はないのです。
本を書く事にしました。
ただ、お金もありませんから、自費出版という道はありません。それに出版社に認められるようなものでなければ、書く意味もないと考えました。
とにかく 書く事にしたのです。書いてから出版社に売り込むことにしました。
しかし、始めてみると 思った以上に大変でした。私は人前で話をしたりすることには慣れていましたし、好きだったのですが、「書く」ということが もともと苦手なのです。
そこで、以前に行なった講演のレジュメを見ながら、話すイメージで文章を考えるのですが、なかなかうまくいきません。
一日中悩み のたうち回っって一行か二行しか書けない日もあります。
そしてもうひとつ 自分で決心して書き始めただけですから、「締切」 というものがありません。
期限がない というのは楽そうでいて、これほど厳しいものはないのです。
途中で投げ出しても 誰にもなにもいわれることは ありませんし、誰も困らないのです。
そして 書き上げたとしても、出版されるかどうかも わかりません。
さらに出版されたからといって、すぐに事態が好転するかどうかも 全くわからないのです。
とにかく 「これを書き上げれば、自分を取り巻く世界が変わる」 と自分に言い聞かせ、やり抜くしかないのです。
そしてもうひとつ、自分の性格を考えて、執筆活動を続けるためにやったのは どんなに書けない日でも 一行は書く事にしたのです。
結局、3箇月ほどで 原稿はできました。
そして企画書を作り、目次と第一章を添えて、出版社に送付することにしたのです。
仕事のノウハウ本ですから そうした書籍を扱っている出版社をリストアップして 順次送っていきました。
30社も 送れば なんとかなるだろうと考えていましたが、はじめの数社から 何の反応もないと だんだん焦ってくるものです。
そして11社目でした。
初めて 反応がありました。編集長から電話が入り、「原稿を全部読ませて欲しい」 というのです。
嬉しかったですね。それから話はトントン拍子に進んで、出版されることになりました。
しかし、勉強になったのは 出版が決まった瞬間から それは出版社の「商品」になるということですね。
原稿の追加を求められたり、タイトルは出版社で決めるということになったり、・・・でも 中身はすべて私の文章ですから ま、いいか という感じでした。
そして2006年10月に 発売されました。
すぐに本屋に行きました。
自分の本が 本屋さんに並んでいるというのは 初めての経験でしたから、嬉しかったなあ
結果的に あまり売れませんでしたが、印税収入を期待していたわけではないので、私の目的は果たせました。
本が出てから しばらくして 私の考えていたとおり、私を取り巻く状況は変わり始めました。
仕事が徐々に増え始めたのです。
さらに 2009年に 2作目を出版しました。
この時は 一作目を出版してくれた出版社に 初めから話をしていたので、スムーズでした。
その後、仕事は増え、今は新たな仕事はお断りせざるを得ない状況になっています。
それでも話がくると、何とか対応したいと思うのです。
もっと 稼ぎたいということではありません。
仕事がない という時期を経験し、自分を必要としてくれる人たちがいるというのは とても幸せなことだとういうのがよく分かったからなのです。
自分には「役割」がある というのは人間にとって この上なく 幸せなことなのです。
さて、大雑把ですが、これが今に至る私の 仕事を中心とした 人生の流れです。
次回からは 息子の病気を契機として 変化した 私の内面の考え方について 書いていきたいと思います。





