部屋の明かりを消す
窓を開ける
もうエアコンは要らない
静かだ…
隣家の屋根が
穏やかに映し出されている
月の光が中まで差し込む
身体を解放して目を閉じる…
静寂が果てしなく奥行きをもち
耳の奥でシーンという音ばかりが
頭の中に広がると思いきや…
小刻みに羽を振るわせては、休み
休んではまた繰り返す、複数の虫の声
ボーッと霞む彼方から
度々話しかけるウシガエル
時に、足早に去りゆく遠くのサイレンは
一刻の猶予も惜しむが、
此処ではその一瞬の断片でしかない…
風もなく、熱気とは無縁の
月明かり降る夜更けは
夏の終わりの音で
溢れていた…