2008-11-14 00:00:01

『社長島耕作 1』 弘兼 憲史

テーマ:島耕作シリーズ
社長島耕作 1 (1) (モーニングKC)/弘兼 憲史
¥560
Amazon.co.jp

弘兼 憲史
講談社
発売日 2008年10月23日

和書(マンガ)


満足度 ★★★☆☆


「予言的中!?」
本当にパナソニックが三洋を買収した!


この本は
「MBO、TOBについて知りたい人」
「新興国のマーケティング・ブランディングを知りたい人」
「企業の国際競争の現状を理解したい人」

におすすめします。




すぐに役立つビジネス本を読むぐらいなら、
漫画『島耕作』シリーズを読むほうがよほど勉強になると本気で思う。
世界のビジネス市場の動向がわかるので、商談のときにも役立つだろう。


『本は10冊同時に読め!』 成毛眞 より





今回の書評のテーマ


ビジネス界きっての読書量を誇る、「読書狂」成毛眞氏が推薦する、
『島耕作』シリーズは本当にビジネスの勉強になるのか?





社長となった島耕作の最初の大きな仕事は二つ。


①「初芝五洋ホールディングス」の子会社「初芝電子部品」の「MBO」対策


ニュースや新聞ではわからない、「MBO」の裏にある人間ドラマを描いたストーリー。

初芝電子部品の楠本社長が謀反行為とも言える、「MBO」を決心し、
昔の初芝時代のアルバムの写真を焼き捨てるところは、グっとくるものがあります。


このストーリーでは
「MBO」とは何なのか?
「MBO」のメリットとデメリット。
を簡単に学ぶことできます。


②韓国のライバル企業「ソムサン電子」との勝負


いかにして「ソムサン」(SAMSUNGがモデル)は世界のトップに駆け上がったのか。


取締役会で島耕作が、

日本のメーカーが、「ソムサン」に大きく負けている事実を発表すると、
会議室がざわめくシーンが描かれていますが、まさに今の日本の状態がコレでしょう。


日本人は「SAMSUNG」のパワーをあまりにも知らなさ過ぎなんじゃない?
という作者、弘兼氏のメッセージが伝わってきます。




以下、島耕作の発表のまとめ


日本のメーカーは国内市場だけで利益を出してやっていけました。

日本のメーカーが国内市場のぬるま湯に浸かっている間に韓国企業は世界へどんどん勢力を伸ばしていきました。


日本は80年代後半には半導体市場で世界で圧倒的なシェアを持っていた。
このため変な余裕と慢心があったと言ってもいいでしょう。(P.133)


90年代に入り、日本は不況に突入し生産調整を始めた。
ソムサンはここぞとばかりに大規模資本を投資し半導体、液晶パネル、携帯のシェアを一気に拡大し、価格主導権を握りました。

日本がリストラで四苦八苦している時に、あっというまに日本企業を突き放したのです。(P.134)


もはやこれからの国内企業のライバルは韓国のソムサンです。(P.137)



このストーリーでは
「世界の大企業「SAMSUNG」の戦略」
「世界市場における、日本メーカーの現状」
をわかりやすく理解できます。



結論
普段、世界のビジネス市場の動向に興味が無い人には
『島耕作』はとてもわかり易い入門書として使える一冊です。






この本から学ぶ教訓
「SAMSUNG」は強い!
弘兼氏はパナソニックと三洋の経営統合をばっちりと当てた!





この本に出てくるキーワード


・「MBO」

マネジメント・バイアウト(Management Buyout、経営陣買収)


MBOとは、企業の合併・買収(M&A Merger and Acquisition)の手法のひとつ。
その内容は、経営陣(あるいは従業員)が所属している企業や事業部門を買収して独立することを指します。
(経営陣ではなく従業員の場合、EBO(Employee Buyout)と呼ぶこともあります)。


例えば、オーナーでない経営者が、事業の継続を前提として、オーナーや親会社から株式を買い取り、経営権を取得するということです。
このようなケースでは、買収する側(経営陣)が買収に十分な資金を持っていない場合が多く、その資金を金融機関や投資ファンドを通じて調達することになります。


このようなMBOは、買収先を担保にして資金を調達するという意味においては、LBO(leveraged Byout)の特質も備えているわけです。


■MBOとTOBの違い

大きな違いとしては、TOBは「現在の経営陣ではない株主」が買収する側になり、
MBOは「現在の経営陣」が買収する側になる、ということが違いとして挙げられます。

TOBは、外部者が買収をおこなうため敵対的買収(中には友好的買収もありますが)という側面が強いのですが、MBOは、内部者(経営陣など)が買収をおこなうため、友好的買収という側面が強いため、一般的には、「MBO=のれん分け」と理解する向きもあります。


■昨今のMBO事情
 
日本においてMBOが普及したきっかけは、事業再編の一環でした。
しかしながら、最近のMBO実施の理由は少々これまでとは異なっています。


1) ここ数年、日本においても市場で株式を買い付ける「敵対的買収」が活発化してきたことで、買収リスクをなくすために、「企業防衛策」としてMBOを実施する

2) 経営の自由度・機動性を高めるために、MBOを実施する

上記2つの視点から、「自社を上場廃止(株式非公開)にすることを目的」としてMBOを実施する上場企業が出始めているのです。
企業の経営者が自社を上場廃止にすることは、一見不可解なようですが、上場を廃止することで、


1) 市場を通じて、敵対的買収に晒されリスクがなくなる

2) 経営陣自身が大株主(オーナー)になれば、自由な意思・機動性を持って経営が出来るということが可能になる

というメリットが得られます。


また、上記以外のケースとして、会社自体が「資金力が豊富で知名度が高い」場合には、上場を継続するメリット(資金調達の手段・知名度を高める)がないとして、上場を廃止する例も最近出ています。


 
■ MBOのメリットとデメリット
 

MBOのメリット

・MBOによって上場を廃止することで、短期的な市場の声に惑わされることなく、中長期的な経営戦略が保てる(=経営の自由度が高まる)
・上場を廃止することで、市場で買収を仕掛けられるリスクをなくす(=企業防衛策)
・上場をしていない企業は、IRや情報開示をする必要性がないため、他社に企業戦略が知られることなく機動的な経営が可能となり、競争上優位になる

・現存の経営陣が大株主になることで、これまでの経営方針や雇用も継続される
・後継者難の企業の創業者が、MBOを通じて、会社幹部に事業を譲渡することも出来る(=のれん分け)
・事業を整理したい親企業にとって、売却資金で本業の建て直しが図ることができる
 
MBOのデメリット

・上場されないことで、経営に対するチェック機能が低下する可能性がある
・一般株主が多い場合には、株主の利害調整が必要になり、様々な障害が起こる可能性がある
・買収する側がその経営陣ということから、株式の公開買い付け価格が意図的に安く抑えられる可能性もあり、上場企業の場合には、株主に不利益が発生する可能性もある
・中長期的視野に立った場合に、上場を廃止することで資金調達の手段が限られてくる

 
■ MBOのまとめ
 
MBOは、さまざまなメリット・デメリットが混在する手法であり、買収する側にとっても、重要な判断が求められます。

仮にMBO実施が成功して独立できたとしても、実際には、資金を提供した金融機関や投資ファンドの意向を経営に反映させなければいけないケースも予想され、かならずしも「MBO=独立性」が100%保証されているわけでもありません。

加えて、MBOは、先に述べたように、LBO(レバレッジド・バイ・アウト)、つまり、「買収先の資産などを担保に資金を借り入れてその資金で企業買収を行なう」手法の一つでもあり、当然リスクも大きくなります。


つまり、その企業の業績が大幅に悪化した場合には、「企業価値を担保にお金を借りる」手法のため、債務返済が非常に厳しくなるという側面もあり、企業にとっては、MBO実施後も更なる試練が待っている、と言えます。



・「TOB」

テイクオーバー・ビッド(take-over bid、株式公開買付)
 
TOBとは「株式公開買付」のことです。

すなわち、ある企業の株式を大量に取得したい場合に、新聞広告などを使って一定の価格で一定の期間に一定の株数を買い取ることを表明し、不特定多数の株主から一挙に株式を取得る方法のことです。


利点として、市場で大量に株を買うと価格が上昇してしまいますが、TOBは公表した買付価格で買うため、資金計画が容易になります。

又、期限までに買付予定数の株式が集まらなかった場合は、株券を返却してキャンセルすることができますので、買付に失敗した時のリスクを抱えません。

 
■ TOB の目的とは?
 
米国では、企業を買収する際の手段として広く利用されていますが、日本では今まで企業が自社株を購入するときに多く使われてきました。
なぜなら、株式買い付けの期間や条件を事前に公表することで、インサイダー取引規制に触れることを回避できるからです。最近では、企業が上場しているグループ会社を完全子会社化するためや、グループ外の企業を傘下に収めるためなどの例が増えています。

 
■ TOB の手続きと流れとは?
 
一般的にTOBをかける企業が代理人となる証券会社を決定し、以下の様に進めていきます。

取締役会で決議、発表

翌日に
●日刊の新聞2紙以上にTOB開始の公告を掲載
●届出書を財務局に提出
●説明書などを株主に配布

TOB開始

買付期間は20日から60日以内(この期間内に売りたい投資家が申し込みをする)

TOB締め切り

翌日に結果を公表
・TOB成功 買付目標株数に達した→株券を売ってくれた株主に代金を支払う
・TOB失敗 買付目標株数に達しなかった→株主に株券を返却

 
■ 友好的TOBと敵対的TOB
 
同じ買収目的のTOBでも友好的TOBと敵対的TOBでは大きな違いがあります。

友好的なTOBとは買収される企業が買収に協力的なケースで、合併や、同じグループ企業を子会社化する際に利用されます。


逆に敵対的TOBとは、買収される側(の経営陣)が株の買い集めに同意していないにもかかわらず、一方的に買収を宣言する場合です。

 
■ 敵対的TOBに対する防衛策
 
M&A先進国のアメリカでは以下のような敵対的TOB対抗策が講じられました。

● ポイズンピル
敵対的買収が成功した場合、被買収企業が既存株主に対し、時価を大幅に下回る価格で株式を引き受ける権利を既存株主に与え、それにより株式価

値の希薄化を図ること。

● ホワイトナイト 
友好的な買収企業(白馬の騎士)に株式を購入してもらい、敵対的買収者に対抗すること。 

● ゴールデンパラシュート 
被買収企業の価値を大きく下げるという意味では、ポイズンピルと同じ。敵対的買収によって退任する役員に多額の退職慰労金を支払うことをあら

かじめ規定。

● パックマン・ディフェンス (Pac-man defense)
買収のターゲットになった企業が、逆に買収を仕掛けた企業を買収しようと株を買い始める防衛策のこと。ゲームのパックマンで敵に飲み込まれるイメージに因む呼称。

● クラウンジュエル (Crown Jewels)
敵対的買収が発生したとき、買収の動機を希薄にさせるため、クラウン・ジュエル(企業の優良資産、ドル箱事業)を処分してしまうこと。


・「SAMSUNG」

サムスン電子は韓国の最大手総合家電・電子部品・電子製品メーカーで、サムスングループの中核企業であり、世界各地に56生産法人・124販売法人を展開する多国籍企業である。


半導体(DRAM、フラッシュメモリ)、ディスプレイデジタルメディア機器の分野で、

世界的に大きなシェアを誇る。


2006年、液晶・半導体など16の分野で世界シェアナンバーワンを達成。



韓国株式市場全体に占める株の割合は約10%。


2003年、製造業で100億ドルを突破した企業はトヨタに次いで2番目となる、年間純利益が100億ドルを突破。

世界で9番目の100億ドル企業になった。

純利益は2007年決算ではキヤノン、パナソニック、東芝を合計した額に近い。


韓国内でのライバル企業は主にLG電子とハイニックス半導体が挙げられる。



■世界的評価

2008年の世界の時価総額ランキング(Financial Times Global 500)で58位
(参考:トヨタ22位、松下電器産業(現・パナソニック)145位、ホンダ147位、ソニー210位)


2008年の世界の売上高ランキング(Fortune Global 500)で38位。
(参考:トヨタ5位、ホンダ40位、松下電器産業(現・パナソニック)72位、ソニー75位)


2008年のBEST GLOBAL BRANDSで21位。(参考:トヨタ6位、ホンダ20位、ソニー25位、パナソニック78位。)









著者

弘兼 憲史(ひろかね けんし)1947年9月9日生まれ

山口県岩国市出身の漫画家。
松下電器産業勤務を経て、1974年『ビッグコミック』にてデビュー。
サラリーマンとしての経歴を生かし、現代社会に生きる様々な大人達の生活や、葛藤をテーマとした作品を描いている。
社会経験がある漫画家は当時はまだ少なく、その先駆けとなった人物でもあった。
妻は、元アシスタントで漫画家の柴門ふみ。

代表作
『課長島耕作』シリーズ
『人間交差点』
『黄昏流星群』など。


コメント

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1 ■物凄く解りやすく詳しい内容で

面白かったです。

ちなみに本の書評や関連情報をまとめられているコツってありますか?

2 ■ありがとうございます

ashitanokatachiさん>

コメントありがとうございます

「筋が通っている」「わかりやすい構成」
という2点が重要だと考えています。

具体的には

書きたいポイントを一つか二つ、
どれだけ多くても三つまでに絞り込む。

結論を書く。
難しい表現は避ける。

といった感じですね。

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