=============================================
書籍名: 「陸犯焉識」
著者名: 厳歌苓
出版社: 作家出版社
出版年:  2011年10月 第1版
       2011年10月 第1次印刷  
自己評価: ★★★★
文字数: 365千字/計5,401千字
=============================================


勉強仲間(同学)から紹介してもらった小説です。厳歌苓はこれで4冊目。祖父の個人史を明らかにしたい、自分の出自である家族史を明らかにしたいとの厳歌苓の思いから書かれた小説で、「金陵十三钗」などと比べると物凄く気合を入れて書かれているのが解ります。

どこまで小説の主人公である陸焉識と厳歌苓の祖父が置かれた環境や性格などの点で類似しているのかは解りません。ただ、小説の主人公である陸焉識がたどった歴史は物凄いです。

戦前欧米に留学し博士号を取得、六か国語ができるので帰国後大学で教授に。解放後は抽象的な理由で政治犯として捕らわれ、20年間一人で労働改造農場で生活。四人組打倒後は、上海にいる妻や子供の下に戻ってくるも長年の不在が崇り、時代の流れに押し流される。

小説は三分の二は、労働改造農場での話と解放前の話が入れ違いに挿入されています。最後の三分の一は、祖父が家族の下へ帰ってきた後の話で、孫娘(厳歌苓?)の視点から書かれています。

長編小説としては結構面白い小説です。ただ、気になるのは、題名である「陸犯焉識」の意味が解らないまま読了してしまったこと。(^-^;) どうして姓と名の間に「犯」が入るのでしょうか。意味を含めてどなたかご存知の方は教えていただければ幸いです。