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2017.08.11

羽生結弦が語った五輪への戦略。

『自分でいられるプログラム』を選ぶ

折山淑美●取材・文 text by Oriyama Toshimi
能登直●撮影 photo by Noto Sunao


拠点としているトロントで練習を公開した羽生結弦


















 8月8日にカナダ・トロントのクリケットクラブで、
羽生結弦の平昌五輪シーズンへ向けた
公開練習が行なわれた。





午後2時半からの最初の練習で、羽生は
ウインドブレイカーを着たままでリンクに上がると、






いきなり軸がきれいな4回転トーループを
何気ない雰囲気から跳び、成功した。







今年もフィジカル面では特に
特別なことはしていないですけど、
通しの練習や質のいい練習を何回もやっています。







ケガが一番の敵なので、とにかく質のいい練習をして、
質のいいケアをして・・・。







質のいいジャンプを跳び続けていれば 
必然的にケガも少なくなってくると思うので、
そういう意味でもかなり気をつけて
練習をしています。




 




羽生自身がこう話すように、
この日最初の1時間の練習と
午後5時からの1時間の練習を見ていても、

転倒やパンクはあったとはいえ、
回転軸が曲がっていたり、
ズレているジャンプはなかった。






それも”質のいいジャンプを跳ぶという
意識の表れだろう。

その意味でも順調に、
充実した練習をしていることをうかがわせた。



 



羽生は、すでにアイスショーで披露していた
新シーズンのショートプログラム(SP)を、
ソチ五輪後の2シーズン使った
ショパンの『バラード第一番 ト短調』
だと明らかにしている。


それに続き、今回の公開練習で、フリープログラムは
2シーズン前に使って歴代世界最高得点を出した
『SEIMEI』であることを正式に発表した。







『ショートのバラードに関しては、
少し迷いがあっかもしれないですけど、
『SEIMEI』に関しては2015-16年シーズンにやって
いい演技ができた時から、
このプログラムを五輪シーズンに
使おうと決めていたので、迷いはなかったです。




だからこそ、昨シーズンは曲を何にしようか迷いました。
和風でいきたいなと思っていましたが、
和風にし過ぎると前のシーズンに
かぶってしまうかなと思ったりもしました。



その意味では、『SEIMEI』を、今シーズンへ向けて
温めておいたという感じです。』




 前にやったプログラムということで、
周囲からは『またか』と思われるかもしれないしし、
完璧にやることができた以前の演技に
とらわれてしまうというリスクはもちろんある。




だが羽生は、その点も
『技術構成が違うから問題ない』と考えている。







『今のイメージは、最初、4回転ループと
4回転サルコウを跳んで、
そのあとに3回転フリップとスピン、ステップ、
後半の1発目に4回転サルコウ+3回転トーループ。

そのあとに4回転トーループ+1回転ループ
+3回転サルコウをやって、4回転トーループ。

その後はトリプルアクセルの連続ジャンプをやり、
最後は普通の構成であれば3回転ルッツです。

でも、リカバリーを考えて練習では
トリプルアクセルを2本やっています。



どんな状況でも対応できるように、
後半の構成は常に高いレベルで
やるようにしています。』







 こう話す羽生は、今回の練習でトリプルアクセルのセカンドに
2回転トーループではなく2回転ループをつけることもあった。



またジャンプだけではなく、止まった状態から
動き出す後半の入りの部分は、
トレイシー・ウィルソンコーチの滑りを参考にして
何度も細かな動きを繰り返すなど、
細部まで気をつかった練習を続けていた。





『4回転ルッツも跳べますし、練習でもそこそこ
やってますけど、今はそれを入れようとは
考えていないですね。

今のこの構成でしっかりきれいにまとめること。

とはいっても後半に4回転を3本入れているから
去年より確実に構成は上がっています。

その意味でも、まずはひとつの
『SEIMEI』をしっかり完成させたいなと思っています。』





 SPのバラードもSEIMEIも、
それを選ぶ大きな要因になったのは
『やっぱり自分に合っているな』
と思ったことが一番だという。

自分が滑っていて無理をすることなく
その曲に溶け込めているような感覚があるので、
それが最大の決め手だと話す。





『新しい曲を選んでも『ああやって、こうやって』となると、
毎年毎年結構難しいものがあるんです。
でもこのシーズンはそういうことを
やっている時間はないと思って・・・。




新しいものをやって、最初のうちは
『初々しいね。これから滑り込んでいけば良くなるね』
というものではなく、五輪シーズンだからこそ
最初から『このプログラムは素晴らしい』と思わせる
ものにしなくてはいけないと思うんです。



 その意味では、自分がこの曲をどう演じられるか、
どういう風に感じているのかというのを
より深められるようになっていると思います。



何回も何回も聴き込んでいるからこそ、
どういう風にこの曲を演じようとか、
どういう風にジャンプを跳ぼうとかいうことまでを含めて、
練習ができています。



このふたつは自分自身、呼吸のしかたなどを含めて
何よりも自分でいられるプログラムなので、
すごく滑っていて心地よいです。



ジャンプやスピン、ステップなどのすべての
要素も自分として演じられるプログラムなので、
余計なことを考えずにすむと思っています。』






 羽生自身、バラードもSEIMEIも、
『表現のことをすごく考えるキッカケになったプログラム』
と話していた。




そんなプログラムをもう一度やると決めたことで、
彼の平昌五輪へ向かう気持ちの高さもわかる。


ジャンプもスピンもステップも、
すべて一体化したフィギュアスケートとしての演技。
自分が目指している”ザ・フィギュアスケート”と
いえる演技そのもので、再び頂点へ挑戦したいという決意だ。





『ソチ五輪の前はあれもやらなきゃいけない、
これもやらなきゃいけないという感じで
いっぱいだったのかなと感じます。

でも、今はこうやればいい、
ああやればいいという自分の道みたいなものが、
すごくハッキリしてきたんじゃないかなとも思います。

もちろん、4年前も金メダルを獲りたいと思っていましたけど、
今はもっといろんなものを求められるようになっている。


今は、4回転は種類も数もめられているし、
そのうえでスピンやステップもいいものを
やらなければいけない。



そういったいろんなものがあるからこそ、
自分のスケートの理想的なものが
見えてきているのかなという気がします』





 連覇がかかる平昌五輪へ向かう羽生の視界は、
これまでになくクリアで鮮明だ。

それはソチ後の苦しい時期があったからこそ、
得られたものなのかもしれない。


sportivaより。












結弦くんのインタビューの中で
何度も出てきた質』






妥協せず、本当に好きなことを
極めて欲しいと思います。







上質なものは五感を満たしていきます。




感覚を大切にしている結弦くんが
毎日、心地よくスケートが出来ますように。






結弦くんが自分で選んだことだから・・・
結弦くんが自分で選んだプログラムだから・・・

精一杯、全力で応援します。


















読んでいただいてありがとうございました。









  

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応援のクリックをありがとうございます。

読んで下さる方がいることに
感謝いたします。


※画像は、感謝してお借りしました。














































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