Another やまっつぁん小説

 このブログでは高1の描く小説をメインに載せています(主にファンタジー)。キャラ紹介などイラストも載せていきます。感想、アドバイスなどコメント気軽にどうぞ!


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 目の前の広い食卓には大量の料理があった。
 私のすぐ目の前には引きちぎられ、こねられ、その上焼かれた肉らしきもの。
 どうしてこのような非道な調理ができるのか!
 しかし、出されたものは仕方がない。


「へぇ!うまそうだな!ピザとハンバーグか!」
 イラという奇妙な青年は無邪気に喜んでいる。
 どうも、彼にとってこの衝撃的な料理は慣れたものらしい。
 確かにおいしそうなにおいではあるが・・・・・・。


 ほかにも私の前には青年がピザと呼んだ薄いパン生地にいろんな具の乗ったもの、そして、ガラスでできた大きめの入れ物にはたくさんの野菜が入っている。
 私の住んでいた場所ではガラスの食器と言えば限られた場所でしか使われていなかったがイラや、メックの様子を見るに、これは普通のことのようだ。


「レーヌさんはお茶でいいですか?」
 ぼんやりとしていると、メックの母 ―― 名前をムムという ―― が、なにやら見慣れない形をした大きめの入れ物を手に持っていた。
 どうもその中に飲み物を入れているようだ。


 なにやら冷気のこもった大きな箱のようなものから取り出したそれはひんやりと冷たい空気を放っている。
 お茶でいいか?ということは、お茶以外にも何か選択肢があるのだろうか、とぼんやり考えながら私はうなずいた。
 どうも私はこの猫のような見た目の人々を目にするとうまく話せない。


「レーヌさんって、無口ですねぇ。旅人さんって、なんだか社交的な印象がありますけど」 
 ムムはほかの面々にも茶をくみながら言った。
 私は肯定も否定もできず黙る。
 するとムムはそれ以上何も質問してこなかった。


「にしてもこれ変わってるな!」
 不意に隣のイラがしゃべり始めた。
 見ると彼は手に小さなスコップのようなものを持っている。
 ただスコップといっても何かをすくう部分はほぼ平らで、持ち手のところは何かゼリー状の柔らかそうなもので覆われていた。


 どうもスプーンやフォークとにたようなものらしい。
 私の前にもそのスコップのような物が置かれ、その隣にはフォークが置いてある。
 ちなみにフォークの柄にもゼリー状のものがついていた。


「これは僕らみたいな手の人用の食器だよ」
 メックは何ともないように説明したが、私たちの向かいに座っている、彼の姉妹は怪訝そうな顔をした。
「そんなの説明しなくても当たり前でしょ?そんなことも知らないの?」
 幼げな声で、トトという子が聞いた。
 イラは思わず苦笑いを浮かべる。


「あぁ、俺はこんな手の人しかいない場所からきたから」と顔の前で手をひらひらと振る。
「そんなとこあるの?」
「あるんだな、それが」
 興味津々といった目で聞く子猫たちに、イラは笑顔で返した。


 普通なら、このような顔をかわいいというのだろう。  ただ私はどうも普通じゃないようだ。
 時たま覗く彼女らの牙にどこか恐れのようなものを覚える。 


「しかしまぁ、確かにいろんなものにとっ手がついてんな」
 確かにイラの言うとおり、先ほど飲み物をくんだ入れ物には二つ持ち手がついており、近くに見える棚やタンスも大きめのとってがついている。
 指がなくても物を持ったり、戸を開けられるように、という工夫だろう。


 しかしこうしてみると猫のような手はとても不便だ。
 紙を持つこともできない、ペンを握ることもできない。
 といってもこの世界はなにやら私の知らない便利な道具がたくさんあるようだし、そんなにも不便ではないのかもしれないな。


「それじゃぁ、食べましょう」
 さっきまで飲み物をくんだりといそいそと動き回っていたムムが席に着き、私たちは食にありついた。
 少し、肉を食べることは気が引けたが、こうなってしまった以上、もう元には戻らない。
 私は香ばしく焼けた肉の塊をいただくことにした。


 肉は皿にこぼれんばかりに積まれており、食べやすい一口サイズになっている。
「僕らは食器を使うのが苦手だから、こういう小さな物じゃないと食べづらいんだ」
 メックは器用に指の間にフォークの柄を挟み、それで肉を口に運んでいた。
 どうも手に負担のかからないよう、ゼリーのようなもので柄を覆っているらしい。 
 人間が使う分にも特に問題なく食器は使える。


「あ、お二人さん、ピザもどうぞ」
 ムムはスコップのような食器を片手に具のたくさん乗ったパンのような物をすくい、あいていた皿に載せた。
 そのピザという名前らしい料理も小さめのサイズ。


 ただ量があり、小さな丸いパンが大皿の上にいくつも乗っている。
 どうも彼女らはとてもよく食べるようだ。
 私はあまりたくさん食べる方ではないので、すぐに腹が膨れそうだが、イラは目を輝かせがつがつと食べていた。


「そういえば、レーヌさんはどこからきたんですか?」
 食べるのに夢中な子供たちを後目に不意にムムが聞いてきた。
 彼女はゆったりとしたペースで物を口に運んでいる。
 どうも彼女は私の旅についてとても興味があるようだ。
 今話をはぐらかしても、しつこく後から聞いてきそうな気がする。
 イラがちらりとこちらに視線を投げた。


「ここからずっと遠い、名もない森から」
 私は野菜を口に運びながら答えた。
 嘘は言っていない。

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