Another やまっつぁん小説

 このブログでは高1の描く小説をメインに載せています(主にファンタジー)。キャラ紹介などイラストも載せていきます。感想、アドバイスなどコメント気軽にどうぞ!


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(部活で”のっぺらぼう”、”ドラム缶”、”俺は普通を愛しているんだ(アイ ラブ 普通 でも可)”というお題の元書いた小説の前編。長くなったので前後編に分けます。そしてそれでも完結しなかったのでこの話はまだ続きます)


「俺は普通を愛しているんだ!!話が違うぞ!こんな事になるくらいなら実家にすごすご帰った方がマシだぁあぁあぁぁ!!」
 という俺の叫びは地平線に覗くありがたいご来光に吸い込まれてぽつんと消えた。

「こらこら、そんなに叫ぶと喉を痛めるよ」
「そうだよ?普通よりちょっと刺激的な方が人生は楽しいって姉さんが言ってたし」
 今の俺の状況は常軌を逸するものだ。
 聞いて驚け。
 今俺は今時珍しいドラム缶風呂に浸かっている。

 そして俺の左右にもドラム缶が並んでいる。
 俺の右隣のドラム缶風呂に浸かっているのは、しわくちゃな顔に異様に長い頭を持っている気色の悪いじいさん。
 もしかしたらぴんとくる人もいるかもしれないが、このじいさんは今時あり得ない生き物。
 そうだ、そのじいさんはいわゆる妖怪”ぬらりひょん”。
 そして左隣にいる少年には顔がない。
 いわゆるのっぺらぼう。
 俺は大学一回世の夏休み、何故かぬらりひょんとのっぺらぼうの二人と並んでドラム缶風呂に浸かっていた。

   :

 俺は平凡だ。
 平凡と書かれたレールの上をただひた走っているだけだ。
 しかしそうはいっても俺は普通が好きである。
 I LOVE 普通ってなもんだ。
 しかし。
 大学一回生にもなれば、このままでいいのかと悩みたくもなる。
 今まで通ってきたどの学校の通信簿の評価もほとんど3で希に4。
 テストの点だって平均点の少し上辺りをふわふわ。
 テレビもみんなが見ているようなものばかり見て、俺が読んだマンガはみんな知っていた。
 雑誌だってみんなが読むゲーム雑誌くらいしか読まないし、服装だってぱっとしない。
 顔だって、中の中、イケメンでも不細工でもない、地味な顔。
 持ち物もみんなと似たり寄ったり、よくどこかで見たような顔だと言われ、名前も田中。
 体つきだって平均的、気管支が少し弱い以外は身体能力も平均的。
 食べ物の好みだって平均的だった。

「やっぱ、肉だよな」
 俺は一人窓に向かって言ってみた。
 もちろん窓は何も返してくれない。
 帰ってきたのは空しく響く俺の声。
 明日には電気もガスも水道も全部止められる。
 家賃だって今月分払ってない。
 この隅っこの方にはカビが生えかけているけれど、住み心地のいい六畳間を出て行かなくてはならないかもしれない。
 俺は目の前の特大手作りハンバーグを頬張った。

 さっきも言ったように俺は大学一回生である。
 大学に行く事になり俺は一人立ちをした。
 勉学に励む一方バイトに勤しみ、それなりに順調な日々を送っていたのだ。
 その頃の俺は今のような生活、暮らすのに必要なものが全てなくなる生活になってしまうとは思いもしなかっただろう。
 何故、このような事になってしまったのか。
 それは己が心と、彼女の心のせいである。

 俺は中1の頃とある女の子に一目惚れした。
 彼女は美しいショートの黒髪、くりくりとした可愛らしい黒目がちの瞳、色白でほんのりピンクの頬、少しふっくらした丸顔に、平均より少し、いやだいぶ小さな背丈。
 彼女は俺の心を鷲掴みにした。
 心を鷲掴みにされるとは一体どんな事か、そんな事あるのか、と思っていた俺はバカ野郎だった。
 苦しかった。
 それから俺は彼女を見かければふらふらと追いかけそうになり、いかんいかんと首を振り。
 彼女に話しかけられるような事があれば、頭の中が煮えたぎり、さながら完熟トマトの如く。
 俺は彼女に話しかける事さえままならぬまま、中学を卒業した。

 俺はその後悔いに悔いた。
 何故もっと話しかけなかったのか、何故彼女に近づいていかなかったのか、何故告白しなかったのか!!
 ま、いきなり告白しても引かれるだけだ。
 やはり、お近づきにならなければ。
 しかし、今や学校を卒業し、彼女と会う事はまずないだろう。
 本当に運命の赤い糸かなんかで結ばれてでもいない限り俺は彼女と再び会う事なぞない。
 
  何故そんなにはっきりと彼女との再会がないと言い切れるのか。
 それは俺が選んだ高校がかなり変わった場所であったからだ。
 彼女のような清楚で、将来輝かしい未来が約束されているような人が行くべき学校ではなかった。
 いや、その学校自体は悪くないのだ。
 自由度が高く、とんでもなく賢い人から、あら、今まで学校通ったことなかったの?なんて人まで幅広く通える学校なのだ、そこは。
 レベルの高い超難関の大学に行く人もいたし、そんな名前聞いた事ねぇよ、っていうかなり胡散臭い学校に行くものもいる。
 そして何故俺がその学校に行くことを決めたのか、それは俺の夢をよりはっきりしたものにするためだ。
 
 そしてその高校、名を出勝(デイショウ)高校というかなり変わった名前だ。
 勝者が出る、という意味合いを込めて名づけられたらしい。
 確かに名付け親の思惑通り、人生の勝者と呼べる学生たちを多数この学校は輩出している。
 しかし、人生の負け犬と呼べる輩も同じくらい排出していた。
 誰が呼んだかその高校、別名・泥沼校とも呼ばれている。
 泥沼を無理矢理音読みするとデイショウとなるからだ。
 よくそんなもん考えたもんである。
 その出勝高に通えばどちらか一つしかなかった。
 勝者になるか、泥沼に沈むかのどちらかだ。
 沼に片足だけ突っ込んで前に進むという中途半端な道はなかった。
 どちらか一つ。
 その学校に通うからには相当な努力をしなければ、そしてそれ相応の才能がなければ、泥沼行き。
 しかし、がんばれば確実に勝者になれる。
 
 入学当初は皆、やればできる、きっと私も勝者になれると思っていた。
 俺だってそうだ。
 俺は妖怪関係の仕事、という限りなく漠然とした仕事をはっきりさせるため、その場へ乗り込んだのである。
 ここで、おや、と思う人も多い事だろう。
 おや、どころか、えぇ?!といったところだろう。
 何だ、妖怪関係の仕事とは、と思う人がきっとほとんどだ。
 俺だって妖怪関係の仕事とは何か聞きたい。
 しかし俺が唯一平凡でない場所、非凡な場所がそこであった。
 俺は唯一の非凡ポイントを決してなくしたくはなかったのだ。
 一つくらい普通じゃないところがあってしかるべき。
 俺はその非凡極まりない場所をどうにか保護すべく、人生を非凡ポイントに集中させたのである。
 俺の小さい頃の夢は妖怪とお友達になる事だった。
 
 俺が小さい頃。
 小学1年生の頃だったか。
 両親は共働き、小さいながらも意外としっかりしていた俺は夏休み中は一人で留守番をしていた。
 もちろん大抵どこか遊びに行ってはいたのだが、朝は暇だった。
 小さな頃から俺は朝にはあまり強くなかったのである。
 夏休みに入ったばかりの頃はラジオ体操のために早起きしていた俺だが、8月に入るとラジオ体操はなくなり、俺は毎日あまり早くない時間に目覚めた。
 しかしまだ時間は午前中、小さな子供が見るような番組はあまりなく、俺は毎日教育番組のお世話になった。
 そして俺が一番好きだった番組が、”幽霊ゆうすけ君”という番組だった。
 ドラマ仕立てで、主人公のゆうすけ君 ――― タイトルにある通り彼は幽霊である ――― と彼を取り巻く妖怪達のお話。
 彼はとても小さなビルのような形の建物に暮らしており、ビルの2階では、漫画家であるろくろっ首のむむ姉さんが事務所を設けており、1階では化け狸と化け狐がリサイクルショップ兼骨董屋を営み、地下ではぬらりひょん先生とゆうすけ君、そしてゆうすけ君の友達、のっぺらぼうののっぺ君が住んでいた。
 その話はゆうすけ君がそのビルに迷い込んでくるところから始まり、ビルの住人達と絆を深め、ゆうすけ君が様々なことを学ぶ、という内容。
 学ぶ内容は子供向けで、交通ルールの話についてとか、万引きについてだとか、道徳的な内容であった。
 
 小さかった俺は食い入るようにそれを見、是非とも妖怪達とお友達になりたかった。
 しかし俺はゆうすけ君が住んでいるような片田舎ではなく、バリバリの都会に住んでいるため、彼らのような妖怪と出会う機会などなかった。
 俺はいつか妖怪に会うんだ、という夢を抱いたまま、成長したのだが、いつしか現実を知った。
 妖怪など存在しない。
 それが現実だった。
 幽霊はいるかもしれない、俺はまだそう思ってはいる。
 しかし、妖怪はいない。
 もしかしたら昔はいたかもしれないが、今はきっと絶滅してしまったのだ。
 都会はどこに行っても明るかった。
 妖怪が出てきそうな暗い場所などない。
 
 しかし俺はせめて妖怪に関する仕事に就きたかった。
 妖怪は忘れ去られた存在ではない。
 今でも妖怪を題材にした小説やらマンガは沢山あるし、映画だってある。
 なので、俺は妖怪を使って作品を作る、またはそんな人の手助けをする仕事に就きたいと思った。
 なので、泥沼覚悟で出勝高校に入ったのだ。

 そして奇跡は起きた。
 といっても俺が晴れて勝者になった!というわけではない、別の意味での奇跡だ。
 そう、なんと来るはずがないと思っていた彼女が、俺の心を鷲掴みにしたまま離さなかった彼女が、同じクラスにいたのだ!!
 俺は心躍った。
 高校生にもなって廊下をスキップし、気味悪がられた。
 しかし、有頂天な俺はそんな周囲の目など毛ほども気にならなかった。
 俺は運命の赤い糸を信じた。
 赤い糸?はっ、そんなものあるわけがなかろう、と思っていた俺は完全なる阿呆だったのだ。
 
 そして俺は今度こそ後悔しまい、と彼女にできるだけ近づいた。
 好きな事何?どんな芸能人が好き?どんな音楽聴くの?といった風にいろんな事を聞き、彼女が好きだと言ったものはどれも好きになった。
 そしてついにメルアドも交換した。
 彼女の好きなものに続々手を出していた俺は彼女とばっちり息が合い、彼女の親友に近い座についたのだ。
 それが高校2年生になった時だった。
 そして、俺はそのまま絆を深め、春、彼女に告白した。
 俺は後悔しないと決めたから思い切って行動に出たのだ。
 当たって砕けろ!
 俺は本当に砕けてもいい心づもりで彼女にぶつかった。
 そして、俺は彼女に受け止めてもらったのだ。
 俺は幸せだった。
 しかし、俺はその時幸せに目が眩み彼女の変化に気づいてはいなかった。

 高校3年の卒業式。
 彼女も俺と同じ大学に行く事になっており、俺はまだふわふわしていた。
 そう、結構いい感じの大学に行け、好きな子と付き合っている、俺は勝者だ、努力は報われたのだ。
 しかし勝者だと満足する一方、何か引っかかるところがあった。
 彼女は最近なかなかメールを返してくれないし、態度が素っ気ない。
 昔と比べて、口調も変わってきたし、色白だった肌もいつの間にか少し焼けた気がする。
 最近メイクもするようになってきたし、髪も茶色がかってきたような。
 ついでに最近彼女の友達も様子が変わってきている。

 俺はその時点で彼女にストップをかけておくべきだった、と気づいた頃にはもう遅かった。
 大学一回生になった俺は親の元を出て、一人暮らしを始めた。
 大学に入学する日、彼女の姿はなく、俺は少し心配した。
 心配するメールを送ったが返信はない。
 彼女は相当体調が悪いのかと、俺はいくつかねぎらいの言葉を綴ったメールを送り、その後はバイトと勉学で多忙だったため、彼女からずっとメールが来ていない事に気がつかなかった。
 
 そしてそのまま、夏休みを迎えようとしている。
 夏休みに入る一週間ほど前、俺はコンビニでバイトしていた。
 夜遅くうつらうつらする頭を降り降り、客が一人もいない店内で陳列棚の整理をなんとなくしていた。
 そこへ客の入店を知らせる音が聞こえた。
 レジにいる同僚が眠たげにいらっしゃいませぇ、と声を上げる。
 そして俺は棚の陰から見た。
 それは、見た事もない金髪で色黒の男性と、べたつく彼女の姿だった。
 そう、俺の彼女が見知らぬチャラ男といちゃついている。
 そして彼女の姿は豹変していた。
 短くさっぱりしていた髪は長くぐるぐると渦を巻き、美しい艶のある黒だったその色は、パサパサと痛んだ金髪へと変わり果てていた。
 彼女のふっくらした白い肌はおでんのつゆが染みた卵のように茶色く変わり、顔にはゴテゴテとした思わず目を逸らしたくなるような濃い化粧がしてある。
 そして彼女は今まで俺と付きあっていた時に聞いた事もないような高くて甘ったるい声を上げ、隣のギャル男にべたべたする。
 
 俺はもう見ていられなかった。
 彼女らに見つからないように俺は店内のトイレへと駆け込んだ。
 肺が苦しい。
 息がしにくい。
 嘘だ、こんなの嘘だ。
 しかしどんなに嘘だと言いたくても、あのつぶらな黒目がちの目と、丸顔、そしてどんなに高くなろうともあの声は彼女のものだった。
 そして何よりあの身長は彼女だとしか考えられなかった。
 
 こうして俺はバイトを全て辞めた。
 俺は荒れた。
 一人カラオケに籠もったり、暴飲暴食の限りを尽くしたり、ゲーセンで遊び惚けた。
 あっと言う間に貯金はなくなり、払うべき金は払えなくなり、今の状況に至る。
 
 俺は最後の晩餐ともいえるハンバーグを平らげ、畳の上へと転がった。
 もう何も思い残す事はない。
 死んじまったら幽霊にでもなってゆうすけ君2世としてでも生きて・・・や、もうゆうすけ君になったという事はつまり死んでるって事か。
 まぁ、死んだ上でゆうすけ君として暮らすのもいい。
 
 そういえばゆうすけ君の最終話だけ記憶が曖昧だ。
 夏休みになる度にゆうすけ君は再放送され、土、日を除き毎日放送された。
 そしてその最終話はゆうすけ君がなんだかんだで成仏する話だ。
 俺は小1の頃その最終話を見て、嘆き悲しんだ。
 もうゆうすけ君とその仲間達には会えないのか。
 そんなのはイヤだと泣きじゃくった。
 それ以来俺は最終話だけ見なくなった。
 そして、ゆうすけ君と過ごす夏は小学6年まで続いたのだ。

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