RAINBOW STORY - 36 Report - | Another やまっつぁん小説

Another やまっつぁん小説

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「どうぞ。」
 部屋のドアをノックすると中からフラウの小さな声が聞こえた。


 部屋に入るとリリスの寝ている横のベッドへ心配そうに腰かけるフラウの姿がある。
「調子はどうだ?」
 ブラストは部屋に入ると静かに聞いた。
 俺もドアをそっと閉めながらリリスの様子を見る。


 リリスは眠っているようで、フラウも首を振った。
「そうか・・・まだ眠ったままか。」
 ブラストは短く息をつき近くにあった椅子に腰掛ける。
 俺はリリスが寝ている横のベッドに座り込んだ。


「それで、何か聞けた?」
「あぁ、リリスの魔法のこと、それから村の人を探すのに手がかりになりそうなこと。」
「本当?早く聞かせて!」
 フラウは少し大きな声を出した後、しまったという顔で少し苦笑いをした。
 まぁ、リリスには起きてもらったほうがいいような気もするが、あまり騒ぐのもこたえるだろうから静かにしておくか。


 ブラストがフラウへさっき聞いた話を説明し始めたのを上の空で聞きながら、俺もその話について考えていた。


 宿の主人の話では2日ほど前に怪しい馬車がここを通ったって話だ。
 今から歩いて首都に行ったとして、追いつけるのか?
 しかももしその馬車が何の関係もないものだとしたら?
 ・・・そんなことは何かあってから考えるか・・・。


「・・・というわけだ。」
「そっか・・・。確かに私たちの追っている人に特徴に似ているけど、確かなことはいえないね・・・。とにかくここから首都に向かう途中にも宿がいくつかあるからそこでも聞いてみようよ。とりあえず、今日はここに泊まって明日リリスが目を覚まし次第、先に進もう。」
「そうだな・・・。フレア、それでいいか?」
「あぁ。」
 俺はそう返事をすると、壁にかかっていた時計を見た。


 さっき昼ごはんを食べたばかりなのに、もう夕方だ。
「それじゃ、フェザー君とレイさんにもこのことを伝えにいくか・・・。フレアも来るか?」
 俺は黙ってうなずく。


「それじゃ私はここでリリス見てるから。」
 そう言ったフラウを部屋に残し俺たち二人はフェザー君たちのいる部屋へと向かった。


                                    :


「そう・・・ですか。」
 レイさんとフェザー君に割り振られた部屋へと入ると、二人ともそれぞれ好きなことをして過ごしていた。
 それで今、簡単にさっき聞いた話やこれからのことを説明し終えたところだ。


「あの・・・こんなときに悪いんだけど、僕おなかすいてきちゃったな・・・。」
 少し沈黙が続いた後フェザー君が言った。


 確かに運動したからか腹が減ってきている。
 昼ごはんが遅かったから今から晩御飯は少し早い気もするが、日も暮れたし、そろそろ食べてもいいころかもしれない。


「そうだな・・・もう飯にするか?」
 ブラストがそう言い俺とフェザー君は大いにうなずいた。


「それじゃ・・・私は・・・ここで・・・待って・・・ます。」
 するとレイさんがぽつりとつぶやいた。


「え?みんなで行こうよ。」
 それを聞いてもう部屋から出ようとしていたフェザー君が振り返った。


「フラウさんと・・・一緒に・・・食べます・・・。」
「そうか、リリス一人部屋においていくわけには行かないし、かといってフラウに一人で食事させるってのも悪いしな・・・。それじゃぁレイさん悪いんだけど、この事をフラウに伝えておいてくれないか。俺たちは先に晩飯を食べておくから、俺たちが食べた後に晩飯食べに行ってくれって。」
 ブラストはレイさんがうなずいたのを確認すると、フェザー君に腕を引っ張られ外に出た。


「じゃぁよろしく頼みまっす。」
 俺も礼を言うと二人の後に続いた。