$丸次郎「ショートストーリー」
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会社設立 大阪市 プロマイドギャラリー 岡田有希子 $丸次郎「ショートストーリー」

 
🔸現在、連載物は以下8作品になります。

下記タイトルをクリックすると、ご覧になれます。


『時を越え』(全3話)

平成22年6月26日スタート

『愛たい人』(全6話)           📖       

平成22年7月18日スタート     

『探検』(全2話)              🐎

平成22年10月11日スタート

『人と人』(全11話)                  
平成22年12月2日スタート    

『欲日の黄昏』(全19話)       

平成23年4月3日スタート

『マシンと俺と彼女』(全6話)
平成23年8月22日スタート

『恋・・・のような』(全46話)         🌲
平成24年11月8日スタート

『彷徨える未練』(全77話)      🎶 

平成26年3月22日スタート

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December 04, 2016 23:37:14

ショートストーリー894

テーマ:小説
「私、生まれてくるのが遅すぎたわ。...せめて、あと10年早ければ、良かったのに。。。」


一枚の写真を手にし、ミユキは溜め息交じりにそう呟くと、手入れの行き届いた庭園へ視線を移した。


写真には、ミユキが通っているスポーツジムのインストラクターである忠俊の姿が写っていた。


忠俊は、ミユキより21歳年上で、ミユキのトレーニングを担当することが多く、最近では、だいぶ慣れて、気さくに話せる間柄となっていた。


そんな忠俊に、ほのかな恋心を抱き始めたミユキ。。。


当初、自分の父親であってもおかしくはない年齢の男性に恋をするなど、思ってもみなかったミユキ。


しかしミユキは、ジムで忠俊と逢うごとに何故か心惹かれてゆき、指導中、忠俊に手や肩を触れられる度に胸の奥がキュンとし、熱くなるのを感じていた。


たしかに忠俊は年齢のわりに若々しく、体型もスマートでハンサムな顔立ちをしていた。


会話の中で、初めて歳の差を知った時、一瞬驚いたミユキであったが、不思議と気持ちが引くことはなかった。


むしろ、同世代の異性にはない包容力、懐の深さのようなものを感じ、益々、忠俊を好きになっていった。


忠俊はプライベートに関することは一切語らず、ミユキもあえて探るようなことはしなかった。

それは、もし忠俊に妻や子がいたら、さすがに恋の対象として見ることは出来ず諦めざるを得ない為、知らないままでいたいと思ったのである。


ある日の夕方、ミユキは郊外のディスカウントストアーで買い物を終え、駐車場に停めた自分の車へ乗り込もうとした時、数台先に駐車してある四駆の外車から忠俊が降りてくるのを目撃した。


その日、スポーツジムは月に一度の定休日で、ミユキは翌日の午後1時から忠俊の指導を受けることになっていた。


忠俊は運転席のドアを閉めると、車の中を見ながら、何やら手でジェスチャーをしているようであった。


やがて忠俊が1人で店へ歩いてゆくと、ミユキは忠俊の車に目をやり、助手席に女性らしき人影を見つけた。



「やっぱり。。。彼が独身のはずないよね。...あんなに、カッコいいんだもの。」


ミユキは無意識に深いため息をつくと、助手席のシルエットを見つめ、唇を噛みしめた。


ミユキは虚脱感に覆われながらも、愛車のドアを開け乗り込むと、ハンドルにおでこを付け、目を瞑った。


忠俊と出会って、数か月。。。

淡い想いを胸に秘め続け、徐々に熱を増していた忠俊への恋心が、一瞬にして打ち砕かれたような気がして、ミユキは暫らく車を走らせることが出来なかった。


「なぜか、いつも好きになる人は、すでに誰かの彼だったり、夫だったり。...あ~~ぁ、私って、ほんと見る目がないなぁ~」


ミユキは、ようやく目を開けるとそう呟き、体を起こしてエンジンをスタートさせた。


「私が勝手に彼のこと、好きになったわけだし、彼には、なんの罪もないわ。...でも、明日からジムに通うの、辛くなりそう。。。」



ミユキはバックミラーに映る自分の顔を恨めしそうに見つめ、そう思った。


ミユキは車を走らせる前に、もう一度だけ忠俊の車のほうへ目を向けると、駐車場から国道に出て、誰もいない自宅へと帰っていった。


ハンドルを握るミユキの目は、微かに潤んでいたが、涙を流すまでには至らなかった。



ミユキは自分でも驚くほど冷静に客観的に、消えかけている“片想い”を受け止めていた。



次の日、ミユキは何もなかったようにジムに現れ、普段と変わらぬ笑顔で忠俊に挨拶をした。


「今日も、よろしくお願いします!」


「はい、こちらこそ!...基礎体力は充分ついたようなので、いよいよ今日から次のステップに入りますね。...しなやかな上腕と肩、そして背中のラインをさらに美しくするトレーニングです。」


忠俊は、いつものように穏やかな表情と語り口でそう言うと、エクササイズの方法を丁寧に教え始めた。


「彼との恋も、次のステップへ入りたかったのに。。。」


目の前で指導する忠俊を見つめ、ミユキは内心そう思った。



2時間ほどのエクササイズを終え、ジム内にあるカフェでレモンサイダーを飲んでいると、肩にタオルをかけた忠俊が、頬の汗を拭きながらやって来た。


そして、ミユキの傍まで来ると、微笑みながら言った。


「昨日、ノンキホーテにいたでしょ?...ちょうど私が車で駐車場に入って来た時、ミユキさんが、お店から出て来たところだったんです。(笑)...プライベートだし、失礼かなと思って、声はかけなかったんですけどね。」


「あっ、そうなんですか?。。。気づかなかったです。(笑)...そんな気を遣わなくてもいいですよ。...今度、見かけたら気軽に声をかけてください。」


ミユキは笑顔で嘘をつき、知らなかったふりをした。


すると忠俊は、顔をタオルで拭った後、紙コップのドリンクを一口飲み、言った。


「でもあの時は、妹を駅まで送る途中に急遽立ち寄ったから、ミユキさんと、ゆっくり話す時間は、なかったかもしれないなぁ。...」



「妹?...あの助手席の人、妹さんだったんだ。。。」


ミユキは心の中で、そう呟いていた。


終わりかけていた恋が、また静かに、前へ向かって動き始めたような、そんな気がした。



テーブルに置いた紙コップの中のレモンサイダーの泡が、拍手のようにパチパチと勢いよく弾けていた。。。。











懐かしのヒットナンバー 
久野かおり                   「理不尽な恋」
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November 27, 2016 22:25:40

ショートストーリー893

テーマ:小説
公園で子供達がキャッチボールをしている光景をベンチに座って見つめながら、友宏は、やめていた煙草を一本取り出し、唇の端に咥えた。


薄茶色のサングラスの奥で、切れ長の一重瞼の眼が、瞬きもせず哀しげに佇む。


時折、木々を揺らし吹きすさぶ北風に、コートの襟をなびかせては、脚を組み直し、煙を吐く。


その姿は、誰を待つでもなく、ただ過ぎゆく時の経過に身を委ねているかのようにも見えた。


「おじさ~ん!..ボール拾って!」


投げたボールが大きく逸れて、友宏の足元まで勢いよく転がってきた。

そのボールを追いかけるように、頬を赤くした元気そうな子供が走って来る。


友宏は煙草を咥えたまま、その黄色い軟球を足で止めると、長い指の大きな手で拾い上げ、子供が来るまで待った。



やがて間もなく、子供は友宏の目前で立ち止まると、真新しいグローブを嵌めた左手を差し出し、黙って友宏の目を見つめていた。



「そのボール、早くちょうだい!」


手に持ったまま、グローブにボールを入れてやらない友宏に、子供は業を煮やし、そう言った。



すると友宏は、煙草の煙を空に向けて細く吐き出し、優しい口調で言った。


「俺は、お前の親父でも兄貴でもないよな?」


変なことを言いだした大人に、子供は首を傾げ、すぐ眉間に皺を寄せた。


「そんなの当たり前じゃん!...早く、ボール返せよ!」

きかん坊そうな子供は、こらえきれず、怒りを露わにそう叫んだ。



「人にものを頼む時、お願いする時、なんて言うのか、親から教えてもらわなかったか?」


友宏はボールをお手玉のように軽く真上に放ってはキャッチし、言った。



「知らない!いいから早く返せよ!...返さないと警察に言いつけるぞ!」


子供は友宏の言葉に聞く耳を持たず、荒々しい口調で言い放った。



「いいか?ぼうず。...まず最初に、すいませんって言うんだ。そして、相手がボールを渡してくれたら、ありがとうございます、と礼を言う。...軽くでもいいから頭を下げてな。..それが礼儀っていうもんだ。...分かったか?」



友宏は子供の目をじっと見つめ、諭すようにそう話した。



「分かったよ!...だから早くボールよこしてよ!」


「だめだ。今、俺が言ったとおりにやってごらん。...お前の親が教えないのなら、俺が礼儀を教えてやる。」


「面倒くさいなぁ~!..はぁ~あ。...すいません。」


子供は仕方なく、ふて腐れた態度と口調でそう言うと、頭を少し下げた。


その姿を見た友宏は、ボールを子供のグローブに入れた。しかし子供は黙ったまま、友宏を睨んでいた。


「ボールを返してもらったら、なんて言うんだ?...ありがとうございます、だろ?ありがとう、でもいいよ。」


友宏が優しい口調でそう言うと、子供は頭をチョコンと下げ、「ありがとう。」と、礼を言った。



「いい子だ。...これからも、人に何かしてもらった時、そう言うんだぞ?...学校のテストでいい点数をとったり、いい学校に行くことよりも、ず~~っと大切なことだ。...たとえ、お前の親が礼儀知らずでも、お前は礼の言える謙虚な人間になれ。」



友宏は、穏やかにそう言うと、反発されるのを覚悟し、子供の頭を優しく撫で始めた。


すると意外にも、あれほど気が立っていた子供が、撫でられたまま、友宏を見つめていた。


その眼差しは、子供らしく純粋で、子を持った経験のない友宏でさえも愛おしさを覚えた。


友宏が撫でるのをやめると、子供は急に照れた顔をし、仲間たちのほうへ、一目散に走っていった。


友宏は、短くなった咥え煙草を最後に深く喫うと、携帯用の灰皿に入れ、立ち上がった。


「警察に言いつけるぞ、か。(笑)...あんな幼い子供が大人さながらに言うなんて、世も末だな。...相手を思いやる心さえ育まず、最低限の礼儀さえも教えられず、自分にとって損か、得かというお粗末な思考しか出来ない子供。...そんな子供を作り上げているのは、紛れもなく身近な大人たちや社会であり、困り苦しんでいる人や尊い命までも軽視し、己の保身と目先の金を得ようとする、この国の歪みきった倫理観なんだよな。...長い物に巻かれ、金さえ入ればその役割を放棄し、まやかしの薄っぺらな言葉に踊らされるお寒い社会。...善良な庶民は、まるで毛を剥ぎ取られ続ける牧羊の群れみたいだ。...」


友宏は、そう思いながら公園をあとにし、駐車場に停めておいた愛車の古いスクーターに跨った。


「あいつ...まだ、元気かな?」

遠い過去に置き去りにしたままの愛しい面影が、ふと脳裏に浮かび、友宏は心でそう呟いた。



今にも止まりそうなエンジンのアイドリング音が「虚しくても、苦しくても、とにかく生き続けろ」と、友宏に語りかけているような気がした。











懐かしのヒットナンバー 
国分友里恵                  「Your Angel」 
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November 20, 2016 23:04:39

ショートストーリー892

テーマ:小説
朝から降り続けていた冷たい雨が上がり、厚い雲間からレースのカーテンのような陽が射し始めた頃、秋穂は街のCDショップで懐かしい顔を見かけた。


細面の端正な顔立ち、長い睫毛に優しい瞳。。。

18才当時の面影を今も残したその甘いマスクは秋穂の胸に、忘れかけていたときめきを甦らせた。


通りに面した大窓からの逆光で表情はよく分からないが、時折垂れ下がる前髪をかき上げる仕草は、憧れていたあの頃を彷彿とさせた。



「今さら、なんて声をかけたらいいの?..気楽に久しぶり!って言えるほど、あの頃、親しくなれなかったし。...」


秋穂が、そんな自問自答を心の中でしているうちに、孝幸は、お目当てのCDを見つけ手にし、レジへと歩いていった。


「まごまごしているうちに、大切な機会を逃していく。...私、あの頃と何も変わってない。」


ドラマや映画のワンシーンのようには上手くいかない恋の現実を、今まで幾度となく味わってきた秋穂にとって、もはや異性と付き合うこと自体が、遠い夢物語のように思えていた。



「元々、彼に遭遇していないと思えばいいんだわ。...今日、私は孝幸君なんて見かけてません。」


秋穂は目を瞑り、心でそう繰り返すと、あえて孝幸のほうへは目を向けず、目の前の商品棚から聴きもしないCDを探し始めた。



「あははっ(笑)..そうなんだ。...人違いかと思ったけど、やっぱり当たってた!」


レジのほうから、楽しそうな孝幸のそんな声が聞こえてきて、秋穂は自分の事かと思い、ハッとして顔を上げた。


孝幸はレジの女性店員と面識があったらしく、満面の笑みを浮かべ、談笑していた。


「なんだ。...私のことじゃなかったのか。...ふぅ~」


秋穂は心でそう呟くと、安心しつつも寂しい気持ちに包まれた。


「また来るよ!...暇な時、連絡して。...それじゃ、またね。」


孝幸は女性店員に笑顔で明るくそう言うと、右手を軽く挙げ、店から出ていった。


孝幸に対し、何も喋りかけることが出来なかった自分が情けなく思えると共に、気楽に語り合っていた女性店員が羨ましく感じられた。



学生時代、ほとんど話した事のない孝幸が秋穂を見て思い出すわけもなく、いい年をして独りよがりの恋を勝手にシミュレーションしている自分が嫌になる秋穂であった。



秋穂は暫らく物色し、ようやく洋楽ポップスのCDを手に取ると、レジへ向かった。



孝幸と親しげに話していた女性店員は、秋穂より10近くは若そうな可愛らしい人であった。


「孝幸君、あの頃も学年一の美女と付き合ってたもんなぁ。...男の人って幾つになっても好みのタイプが変わらないのね。...」


店員にCDを差し出しながら、秋穂は、ふとそう思った。


「お客様、当店のポイントカードは、お持ちですか?」


女性店員は、孝幸に見せた自然な笑顔とは明らかに違う業務用のスマイルで、秋穂にそう尋ねた。


「えっ?...いいえ、持ってません。」


「それでは、お作り致しますね。次回からお買い上げの際、このカードをご提示頂きますと、お買い上げ金額100円ごとに1ポイントが貯まり、1ポイントにつき1円のお値引きをさせて頂きます!」



女性店員は丁寧な言葉使いながらもコンピューターのような無感情さで淡々とそう話し、秋穂が意思表示をしていないのに、カードを作り始めた。



「ちょっと!...私、ポイントカードいらないんですけど。」


秋穂は、一方的なサービスの押しつけにムッとし、はっきりとした口調でそう言った。



すると女性店員は、加工されたような明るい声と、判で押したような定番の作り笑顔で更に説明を続けた。


「こちらのポイントカード、大変便利な特典が付いておりまして...」


店員がそこまで言った時、秋穂は話しを断ち切るかのように口を挟んだ。



「だから私、ポイントカードは、いりません!...作らなくて結構です。...今日は、たまたま寄っただけで、もうこのお店に来ることはありませんから、カードは不要なんです。」


店員は急に素の顔を見せ、ややムッとした表情でCDを袋に入れ始めた。


「税込み、1620円になります。」

先ほどまでの口調と打って変わり、素っ気ない言い方で店員がそう言うと、秋穂は、つり銭が出ないよう支払い、店員とは対照的に愛想よく「どうも、ありがとう!」と優しげに言い、商品を手にし店をあとにした。



「はぁ~あ、感じ悪い。...マニュアル化された一律の流れに沿って、こっちが的確に順応することを強要されてる感じだわ。...そんなのは親切でもサービスでも無い。人の数だけ様々な意思や反応があるのに、たった数種類の都合のいい模範解答を求める社会。..人間らしい多様性や情が欠けてるのよ。..今の社会は。」



秋穂は、そう思うと同時に、仕事上の対応とはいえ、そんな女性店員と仲睦まじく話していた孝幸のことを思い出した。


「あんな態度、私には無理!...臨機応変に色を変えるカメレオンみたいな女が好みなら、こっちから願い下げよ。...孝幸君に声をかけなくて良かったわ。..」



秋穂は多少負け惜しみ的な感情もありながら、自分に言い聞かせるようにそう思った。



いつまでも不器用な自分を、ほんの少しだけ誇らしく思えた秋穂。


商店街のイチョウ並木の歩道に、多くの銀杏が転がり始めた初冬の昼下がり...。


すっかり晴れた青空には、薄く描かれた水彩画のような月が、天高く浮かんでいた。。。。











懐かしのヒットナンバー 
久野かおり                  「わかって」
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