$丸次郎「ショートストーリー」
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会社設立 大阪市 プロマイドギャラリー 岡田有希子 $丸次郎「ショートストーリー」

 
🔸現在、連載物は以下8作品になります。

下記タイトルをクリックすると、ご覧になれます。


『時を越え』(全3話)

平成22年6月26日スタート

『愛たい人』(全6話)           📖       

平成22年7月18日スタート     

『探検』(全2話)              🐎

平成22年10月11日スタート

『人と人』(全11話)                  
平成22年12月2日スタート    

『欲日の黄昏』(全19話)       

平成23年4月3日スタート

『マシンと俺と彼女』(全6話)
平成23年8月22日スタート

『恋・・・のような』(全46話)         🌲
平成24年11月8日スタート

『彷徨える未練』(全77話)      🎶 

平成26年3月22日スタート

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2016年06月26日(日) 23時46分47秒

ショートストーリー872

テーマ:小説
昔、本気で愛した女との、予期せぬ再会...。

それは今思えば、お互いが置かれていた「味気ない日常」から抜け出す為の、きっかけとなる出来事でもあった。...


よく晴れた、7月のある土曜日.....

彼女は突然降りだした季節外れの雹のように、伸二の視界にその姿を現した。


正午を少しだけ過ぎた頃、以前から観たかった映画を観終えた伸二は、弁当とドリンクを買いに映画館に程近いスーパーマーケットへ立ち寄った。


伸二はレジで支払いをしている時、斜め前方に見覚えのある女の姿を見つけた。

すでに精算を済ませ、品物を手提げ袋に詰めているノースリーブのブラウスを着た女。。。


「お客様?...お釣りです。」


その女に見とれていた伸二は、店員の声にようやく気づくと、慌ててつり銭を受け取った。



伸二は買い物カゴを台に置き、5mほど先の真横にいる女に、さり気なく目を向けた。


「間違いない...。」


右の頬にある、二つ並んだホクロ。そして、口元。。。伸二が、かつて交際していた咲智子であった。


「なぜ、こんな所に?...俺と別れた後、間もなく新しい男と入籍し、ニューヨークに移住したはずじゃなかったのか?」


紙オムツの箱をバッグに入れる咲智子を、時折横目で見ながら、その光景に違和感を覚える伸二であった。


伸二は弁当とドリンクをレジ袋に入れて買い物カゴを片付けると、そのまま黙って立ち去るか、それとも咲智子に声をかけるか迷った。


しかし伸二は、話しかけたい気持ちをこらえ、一足先にスーパーから出ていった。


それは元恋人に対する思いやりなのか、それとも、彼女の今を知りたくない。。。という恐れなのか、それとも...。

結局、なぜ彼女に声をかけなかったのか、その明確な理由は伸二にも分からなかった。


「なんてことはない。...ただ、夫のニューヨーク勤務が終り、日本へ戻って来たのだろう。...紙オムツか。..あの咲智子も母親になったんだな。」


伸二は内心そう呟くと、車のドアを開けた。


車の中で弁当を食べようと思ったが、そんな姿を咲智子に見られるのが嫌で、伸二はパーキングブレーキを外し、ギアをドライブに入れた。


そして車を走らせ始めた時、ちょうどスーパーから出てきた咲智子と正対し、視線が重なった。


「もし気づかないなら、それでいい。...たとえ、それが気づかないふりだったとしても、それでいい。」


伸二はそう思いながら、素知らぬふりをし咲智子から視線を外そうとした。


するとその時、咲智子は手にしていた手提げ袋を左手に持ち替え、右手を上げて微笑んだ。


それは伸二にとって、思いがけないリアクションであった。


伸二はブレーキを踏むと、パワーウィンドーを下ろし、たった今気づいたような驚きの目をし笑みを浮かべた。


「久しぶり!...こんなところで咲智子に会うなんて、驚いたな~!」


「ほんと!..あの頃と全然変わらないわね。...元気そうじゃない。」


咲智子は伸二の言葉に歩み寄ってそう答えると、まだ話をしたいような雰囲気を漂わせ首を傾げた。


「咲智子、車?」


「うん。...」


「もし時間があるなら、せっかく会えたことだし、どこかで食事でもしようか?」


伸二の誘いに咲智子は一瞬、表情を素に戻すと、すぐ微笑んで「そうね!」と明るい声で答え頷いた。



それから二人は、かつて二人で行ったことのある店を素通りし、最近オープンした洋食店に入った。


そして食事をしつつ、互いの近況を話すものの、具体的なことについては互いに訊くことも触れることもなく、楽しかった昔の思い出話に明け暮れたのであった。



ただ、咲智子の指にマリッジリングが見当たらなかったことが、伸二にとって気掛かりなことであった。



「ごめんね。...もう帰らなきゃ。」


食事をし、ひとしきり話した後、咲智子は腕時計を見るなり穏やかな表情で言った。


そんな咲智子を引き留めるだけの確たる決意と強引さは、今の伸二にはなかった。



「君が結婚してニューヨークに行って以来、もう会うことはないって思っていたから、今日は偶然に再会できて嬉しかったよ。」


店の駐車場で伸二がそう言うと、咲智子は目を丸くし不思議そうな顔をした。


「偶然?...この世には、何一つ偶然ってないらしいよ。...偶然のように思える出来事も、実は起こるべくして起きた出来事なんだってさ。」


咲智子は、そんな意味深なことを言うと、無邪気な笑みを浮かべ右手を差し出した。


伸二は自然に右手を出し、握手すると、「また、逢いたいな。。。」と、その日初めて本音を口にした。


そんな伸二に咲智子は黙って微笑むと、どちらともなく手を外し、それぞれの車に向かって歩いていった。


伸二は小さく溜め息をつき、愛車のドアを開けると、何気なく咲智子のほうへ目を向けた。


咲智子は車をスタートさせ、歩道の手前で一時停止すると、窓の開いた運転席から伸二に手を振り、大きな声で言った。


「来週の土曜日も、お昼ごはん、ここで一緒に食べましょうね!」


伸二は、またもや思いも寄らぬ咲智子の言葉に驚きながらも、嬉しくなって手を挙げ、「おう、分かった!..待ってるよ!」と、あの頃と同じ笑顔で答えたのであった。


咲智子が嫁いでから4年の歳月が経ち、一旦は完全にほどけた運命の糸が、再び緩やかに繋り始めたような、そんな気がする伸二であった。。。。













懐かしのヒットナンバー 
障子久美              「あの頃のように」
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2016年06月19日(日) 23時45分59秒

ショートストーリー871

テーマ:小説
「もう、潮時なのかな。...私たち」

亜紀子はそう呟くと、カップの中の溶けたジェラートをスプーンですくい、口に運んだ。


波間に浮かび漂う一羽のカモメが、徐々に沖へと流されてゆく。


羽を休めているのか、それとも飛び立つ気力も体力もないのか。。。。。


彼女と向かい合い座っている博史は、海を見つめそんなことを思っていた。


「お前の好きなようにしろよ。...無理して付き合われるほど、迷惑なことはないからな」


博史が心にもなくそう言った瞬間、カモメが海面で羽ばたき始め、助走をしながら空へと飛び立っていった。


博史の思いも寄らぬ言葉に亜紀子は目を見開くと、彼の横顔を睨むように見つめた。


「ふふっ(笑)...優柔不断なあなたから、そんなにハッキリ言われるとは思ってもみなかったわ。少しは成長したみたいね。」


亜紀子は感情を抑えこむように苦笑いをし、そう言うと、タイトスカートの足を組み直した。


「もし成長していたら、こんなに早くお前に飽きられることもなかっただろう。...ごめんな、相変わらず子供で。...」


博史は海を見つめたまま、笑みを浮かべそう答えた。しかしその瞳は、どことなく曇っていた。



「いいの?...このまま別れても」


亜紀子は博史の心を確かめるかのようにそう訊くと、唇に力を込めた。


博史は即答せず、黙ったまま亜紀子のほうへ顔を向けると、彼女の鋭くも潤んだ目を見つめた。


博史の顔から笑みは消え、その視線は亜紀子の心の奥を探っているかのように見えた。


「俺を見くびるなよ。...お前が思うほど、寂しい男じゃないさ」


博史はそう言って席を立つと、亜紀子を見下ろし「送ってくよ。」とだけ言い、レジへと歩いていった。


そんな博史の姿を目で追ううちに亜紀子は何故か可笑しさが込み上げ、手で口を押え笑った。


2、3分後、亜紀子が遅れてカフェを出ると、博史は車のトランクに腰を下ろし、人差し指でキーを回しながら亜紀子を待っていた。


「どうする?...乗っていくか?」

博史は淡々とした口調で言うと、亜紀子の目を優しげな眼差しで見つめた。


「当然でしょ。...こんな不便な場所から、どうやって帰れっていうの?」


亜紀子はムッとした表情でそう言うと、早足で博史の車に歩み寄り、今まで幾度となく開けた助手席のドアではなく、後部席のドアを開け乗車した。


午後になり強くなった海風は更にその強さを増し、カフェの白い屋根に備え付けられている風見鶏を小刻みに揺らしていた。


「なぁ...あの灯台に、二人で登った日のこと、覚えてるか?」

走り始めて5分ほど経った頃、ふいに博史が亜紀子に尋ねた。


シーサイドラインから見える細長い岬の先端に、真っ白な灯台が陽に照らされ眩しく建っていた。


それは4年前、二人が出会って間もない頃に訪れた場所であった。。。


亜紀子は車窓から灯台を見つめ、あの日の光景を断片的に思い出しながら懐かしさに浸っていた。


思い出の中に現れる博史は、いつも亜紀子の手を握り、亜紀子の歩調に合わせ寄り添い、優しく微笑んでいた。


「覚えてる。..だから何?...あの日のあなたにも、あの日の私にも、もう戻れないわ。」

亜紀子の沈んだ声を聞き、博史はバックミラーに目を向けた。


亜紀子は悔しさをこらえるような目で、流れる景色を見つめていた...。


博史は敢えて何も言わず、アクセルを踏みこみ、海沿いの長く大きなカーブを走り抜けていった。


沿岸から島へと続く長い橋。。。


博史は、亜紀子の家とは逆方向の島へ向けてハンドルをきると、口を開いた。


「海の潮時は季節と場所で変わるもんだろ。...潮時なんて、そう易々と決めないほうがいい。」


亜紀子は反論もせず、博史の車に黙って乗り続けた。


やがて島に辿り着くと、高台にあるアイランドホテルの駐車場に停車した。

そして車から降りると、後部席のドアを開け、亜紀子に降りるよう促した。


駐車場の手すりにもたれ、夕陽に染まる静かな海を見つめる二人。。。。


「どんな事でも、亜紀子ならば許せてしまう自分がいる。...俺がそんな気持ちになれる女は、きっとこの先も亜紀子しかいないだろう。...だから、これからも傍にいてほしい。」


博史は亜紀子の横顔を見つめ、そう言うと茜色の空を見上げた。

亜紀子は暫らく沈黙し続けた後、小さな声で呟いた。


「めんどくさい人。...いいわ。これからもいてあげる。」


二人の瞳には、哀しいまでに青く美しい海が映っていた。。。。。













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天野歩美           「遠い空からI Love You」
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2016年06月12日(日) 22時16分55秒

ショートストーリー870

テーマ:小説
雷鳴と共に始まった夕立が、傘を持たず海に来た二人に容赦なく降りつけていた。


「怖い!...」

青白い閃光が辺りを覆い、灰色の雲に稲光が走ると、絵里子はそう叫び、肩をすくめ砂浜にうずくまってしまった。


そんな彼女を見て、拓朗は右手を差し伸べると、「さぁ、あの小屋まで走ろう!」と、大きな声で言った。


「いい大人が、雷ぐらいで何を怖がってるんだ?」

拓朗は内心そう呟いていたが、やっと掴んだこの恋を些細なことで壊したくはないと思い、言葉を呑みこんだ。


絵里子は拓朗を見上げ、その手に細い指を絡ませると、優しく引っ張られるがままに立ち上がった。



50mほど先にある小屋は、10年前から放置されており、所々朽ちていて今も所有者はいないようであった。

鍵のないドアを開け、薄暗い室内に入ると、遠い過去で時が止まってしまったかのような不思議な雰囲気が漂っていた。


板を打ち付けた壁の隙間から差し込んでくる鈍い光と、雨の匂い。


天井から落ちてくる雫が、錆びついたビールの空き缶に当たり、微かな音を奏でていた。


二人は肩を寄せ合い、片隅の比較的明るい場所で夕立がやむのを待ちながら、これからの事を考えていた。


これからの事といっても、それは将来の事ではなく、「今日、この後をどう過ごすか?」についてであった。


「とりあえず、この雨が小降りになったら、ここから出て、タクシーでも捕まえよう。それで街に行って、夕飯でも食べようか?」


「こんな田舎の海沿いの道、そんなに都合よくタクシーが通るとは思えないんだけど。...それより、携帯でタクシーを呼んだほうが早くて確実じゃない?」


学生時代の体育の授業のように膝を抱え座っている絵里子が、肩で拓朗の腕を押し、やや呆れ気味にそう答えた。


すると拓朗は小さな溜め息をつき、絵里子の横顔を見て言った。


「それもそうだな。..でも俺さぁ..今日、携帯忘れちゃって。...絵里子の貸してくれる?」


絵里子は驚いたような顔をし、小さな声で「信じられない...」とだけ呟くと、脇に置いたトートバッグからスマホを取り出した。


「何から何まで、ほんと世話の焼ける人...」

スマホの画面を指で操りながら、絵里子はそう思った。


外は徐々に暗くなり、鉛色の空は夜へ向かって、その姿を刻々と変えていた。


灯りのない室内は、壁や天井の隙間から入る僅かな外光だけが頼りで、その外光もかなり暗くなっていた。


しかし、夕立は一向に治まる気配がなく、むしろ雨脚は強まるばかりであった。


「これ、夕立っていうより台風みたいね。...進路を急に変えて、この辺りに接近中だって。」


スマホで天気情報を見ながら、絵里子が他人事のように言った。


拓朗は、そんな絵里子を見つめたあと天井の隙間に目をやると、意を決したように口を開いた。


「もし、このまま豪雨が続くようなら、今夜はここに泊まるか...。」


継ぎ接ぎのトタンを叩く激しい雨音が、絵里子の脳裏に忘れがたい過去の忌まわしい記憶を蘇らせていた。


「私は嫌。...こんな朽ち果てた小屋で泊まるなんて、冗談じゃない。...私、タクシーを呼んで帰る。」


絵里子は厳しい口調でそう言うと、スマホでタクシー会社の電話番号を調べ始めた。


「たしかに...こんな雨風の吹きつける海辺の小屋で眠れる訳ないもんな。」

拓朗は半ば自棄気味に言うと、ドアを少し開け、荒れる海を見つめた。



最寄りのタクシー営業所へ電話し、話していた絵里子が突如絶望したような声で言った。

「全車出払っていて、こっちへ向かわせることが出来ないんですか!?」


拓朗は振り向いて絵里子を見ると、ドアを閉めて目を瞑った。


「ここにタクシーが迎えに来るまで、あと3、4時間は、かかるって。...たった2台しかないタクシーが、どっちも遠距離のお客さんを乗せて、今さっき出ちゃったらしいの。」


通話を終えた絵里子が、残念そうにスマホを見つめながら言った。


「絵里子、一緒に行こう!...今なら雨が少し小降りになってる。..さぁ!」

拓朗は頬笑んでそう言うと、先ほどと同じように絵里子に手を差し伸べた。


「うん。......」

絵里子は少し躊躇した後、そう返事をすると手を伸ばして握り、再び拓朗に引き上げられるようにして立ち上がった。


そしてドアを開けると拓朗は、「とりあえず、絵里子が走れる所まで走ろう!」と言い、彼女の肩を優しく擦った。


二人は互いの手をしっかり握ると顔を見合わせ、絵里子が頷くと同時に、小屋から走り出していった。


拓朗は絵里子のペースに合わせ、走り続けた。


そして絵里子が疲れて立ち止まると、拓朗も立ち止まり、絵里子の体を覆うようにして彼女を風雨から守った。


「今日はデートのはずなのに。...なんか、罰ゲームみたい。(笑)」


絵里子は肩で息をしながら、はにかんだ笑みを見せて言った。


「ほんとだね。...でも絵里子と一緒なら、どんな状況でも幸せだよ」


拓朗は、そう言うと絵里子の濡れた髪をハンカチで拭った。


絵里子は、その言葉を聞いて、過去の忌まわしい記憶と、ようやく決別できるような、そんな気がした。


「裏切らないよね?...あなたを、信じていいのね?..」


雨に濡れながらそう訊く絵里子に、拓朗は静かに大きく頷くと、彼女の細い体を抱き締めたのであった。


「もう、何にも怖がらなくていいよ。...君は独りじゃない。...俺が守るから。」


拓朗は絵里子の耳元でそう言うと、その頬に口づけをした。


雨降りやまぬ、夏の夕刻......


二人は、繋いだ手を決して離すことなく歩き続け、やがて彼方へと消えていった。。。。













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