$丸次郎「ショートストーリー」
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会社設立 大阪市 プロマイドギャラリー 岡田有希子 $丸次郎「ショートストーリー」

 
🔸現在、連載物は以下8作品になります。

下記タイトルをクリックすると、ご覧になれます。


『時を越え』(全3話)

平成22年6月26日スタート

『愛たい人』(全6話)           📖       

平成22年7月18日スタート     

『探検』(全2話)              🐎

平成22年10月11日スタート

『人と人』(全11話)                  
平成22年12月2日スタート    

『欲日の黄昏』(全19話)       

平成23年4月3日スタート

『マシンと俺と彼女』(全6話)
平成23年8月22日スタート

『恋・・・のような』(全46話)         🌲
平成24年11月8日スタート

『彷徨える未練』(全77話)      🎶 

平成26年3月22日スタート

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2016年07月24日(日) 23時44分37秒

ショートストーリー876

テーマ:小説
「いい加減にしなよ。...もう子供じゃないんだ。」

いつまでも小言を並べ、愚痴ってばかりの雄介に、友人のアキラが業を煮やし、きつい口調で言った。


雄介は中学時代からの友人だが、最近、やたらと電話をかけてきて、アキラも嫌気がさし始めていた。


話しの内容も、どうでもいいような自慢話から同僚、上司の悪口など聞いていると不快になるようなものばかりであった。


「雄介、悪いけど俺もそんなに暇じゃないんだ。...お前の日常にもいろいろあるように、俺にもいろいろとある。...たまにならいいが、こうも頻繁だと、どんな気のいい奴だって愛想つかして逃げ出すぜ?」

アキラは珍しく怒りを露わにし、そう言った。


雄介は不服そうな声で了承すると、ようやく電話を切ったのであった。



「まったく。...俺は人生相談のボランティアじゃね~っつうの。...俺に訊くぐらいなら、新しく出来た彼女とやらに訊けばいいだろ!...まぁ、見栄っ張りなあいつのことだ。実際、彼女がいるのかどうか、相当怪しいけど。」


アキラは通話を終えた後も不愉快な気持ちが消えず部屋の窓を開けると、未だ花壇に咲いている白いマーガレットの花々に目をやり、そう思った。


「季節外れの花たち..か。...植物の世界にもいるんだな。うまく時流に乗れない奴が。」


そんなアキラの想いをよそに、花々は初夏の優しい風に吹かれ、囁き合うかのように揺れていた。



夕刻になり、東からの風が一層強くなってくると、アキラはアパートの鍵をかけ、駐輪場に向かった。

錆びついた三輪車が哀しげに置かれたその脇に、アキラのギア付き自転車が佇んでいる。


特別な用が、あるわけではない。


ただ自転車に乗って、この緩やかな丘を下り、海沿いの空き地にポツンと建つ小さな喫茶店で珈琲を一杯、飲んでくることが、アキラの細やかな安らぎであった。



観光も特産もない町にあり、客が来なくても店じまいすることなく30年も続けている喫茶店。


以前は地元の老夫婦が経営していたが昨春引退し、今は東京から移り住んで来た友里子という女性が跡を継いでいる。



30代後半と思しきその女主人が淹れる珈琲は、老夫婦の時よりも数段コクがあるのに後味はスッキリとしており、アキラ好みのテイストに仕上がっていた。


長い坂道を下り、短い橋を渡り終えると、ようやく海を背にした赤いとんがり屋根が目に入ってくる。



すると決まってアキラは懐かしいような安堵感に包まれ、ペダルを漕ぐ足も軽く感じられるのであった。



いつものように空き地の隅に自転車を停め、喫茶店のドアに向かって歩いていくと、いきなり中から柄の悪い二人組の男が出てきた。


この辺では見かけない風貌の男達に対し、臆病なアキラは視線を外すと海のほうを見つめ、男達が通り過ぎるのを待った。



男達は店の裏手に停めた黒塗りの外車に乗り込むと、運転席から鋭い目つきでアキラを一瞥し、急発進させ去っていった。


アキラは男達の車のナンバープレートに「品川」の文字が記されているのを見逃さなかった。


「東京の奴らか。..単なる客じゃなさそうだな。...」

内心そう思いながら、アキラは喫茶店のドアを、いつもよりやや緊張しつつ開けた。


「あら、いらっしゃい!...」

店主の友里子は、いつもと変わらぬ愛想の良い笑顔と声でアキラを迎えた。


そんな友里子を見た途端、アキラの緊張が解け、微笑んで挨拶を返した。


「店が荒らされた様子もないし、友里子さんもいつも通りだ。...さっきの男達、単なるお客だったみたいだな。...人を見た目だけで判断しちゃいかんな。反省、反省...」


アキラは、いつもと同じカウンター奥の丸椅子に座ると、友里子の横顔を見てそう思った。



「今日は随分、遅かったですね。...お疲れで寝てたの?」


珈琲豆を丁寧に挽きながら、友里子は何事もなかったように笑顔で尋ねた。



「ええ、まぁ似たようなもんです。...たまった洗濯物を洗って、狭いべランダに干すだけでも、一苦労ですよ。...週末の朝飯なんて、もう何年も食べてないなぁ...」


人見知りがちで照れ屋なアキラだが、何故か友里子に対してだけは饒舌であった。

といっても、饒舌になってきたのは、ここ最近のことである。


そんなアキラの性格を知ってか知らずか、友里子もリラックスした雰囲気で話しかけ、アキラの話しにじっくりと耳を傾けていた。


それは閑古鳥が鳴く店だからこそ、為せる業でもあった。


「友里子さん...いづれ東京へ戻るってことも、あり得ますか?」


淹れたての熱い珈琲を少し啜り、カップをソーサーに静かに置くと、アキラは突然そう訊いた。


「えっ?......」

思いも寄らぬアキラの問いかけに、友里子は一瞬たじろいだ表情を見せると、すぐ笑みを浮かべ「どうして?」と、訊き返した。


それは女の勘ならぬ、男の勘とでもいうべき物なのか...。


アキラには先ほど店から出ていった男達と友里子との間に、何か好ましくない繋がりがあるように思え、友里子がこの店から去ってゆくような気がしたからであった。


友里子はサイフォンのスタンドを布巾で拭きながら、アキラに「お客さんが、このお店を必要としてくださる限り、私はここで珈琲を淹れ続けますよ。」と答え、優しく微笑んだ。


「そうですか!...安心した。...こんな田舎の喫茶店じゃ、たいして儲からないし、東京へ帰ってしまうんじゃないかと思ったものですから。...」


アキラは男達のことには触れず、そう言って素直に喜んだ。


友里子は、そんなアキラを見ると静かに微笑み、「大丈夫ですよ。...」と答えた。



時が過ぎ、喫茶店の店先にコスモスの花が咲き始めたある日曜日、アキラは店のドアに貼り紙がされていることに気がついた。


「暫らくの間、お休みさせて頂きます。」


そう手書きされた貼り紙が、海風を受け、パタパタと微かな音を立てていた。


その音がアキラには友里子からのSOSのようにも思え、やるせない気持ちになった。


「俺には、大丈夫なんて言ってたけれど、心の内には言えない何かを抱えていたんだろうなぁ...」


アキラは自転車に跨ると、風に揺れるコスモスたちを見つめ、そう思った。



そして......


クリスマスキャロルが商店街に流れ始めた、小雪降る12月のある夜...。


あの赤い屋根の喫茶店に再び明かりが灯り、アキラと友里子の楽しそうな会話が夜遅くまで続いた。


「何があっても、もう二度と東京には戻らないわ。...約束します。」


友里子はアキラの手に自らの手を重ねると、はにかんだ笑みを浮かべ、そう呟いたのであった。。。。











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2016年07月18日(月) 22時38分10秒

ショートストーリー875

テーマ:小説
「明日の朝、たぶん私は空の上....幸雄、さようなら。」


昼過ぎ、そう記されたメールが香奈子から届き、幸雄は急いで部屋を飛び出した。


「香奈子、なんで電話に出ないんだ?...あのメール、どういう意味なんだ!?」



日曜の街は、買い物や観光の人々で溢れていた。

しかし幸雄の目には、そんな光景さえ映らない程、香奈子のことで頭がいっぱいになっていた。

信号が青に変わるや否や、アクセルを踏みこむ幸雄。


左端の車線は駐車車両に占領され、3車線の幹線道路は実質2車線になっており、渋滞に拍車をかけていた。


「いったい何があったんだ?...香奈子」


香奈子が住んでいるアパートへ行く近道が他にないか、カーナビで探しながら、幸雄は心で何度もそう呟いた。



「こんな緊急事態の時に、ゆるキャラフェスティバルなんて、やるんじゃねーよ!」


幸雄は渋滞の一因だと思われるイベントに八つ当たりしながら、早く会いたくて逸る気持ちを辛うじて抑えていた。


香奈子とは長年、恋人関係にあるが、ここ1年あまりは互いに忙しく、すれ違いの日々が続いていた。


最近は些細なことで喧嘩になることも多く、会えない日々が1日1日積み重なってゆく度に、二人の溝も少しずつ深く広がっていくように思えた。



暫らくし、幹線道路から県道に右折すると、ようやく渋滞の列から解放され、車はスムーズに流れ始めた。


「香奈子のアパートまで、どう見積もっても、あと1時間は軽くかかる。...こんな事になるぐらいなら、あの時、OKしておけば良かった...。」


ハンドルを強く握りながら、幸雄はそう思った。


「あの時...」とは、2年前のクリスマス、幸雄との食事中、香奈子が同棲したい旨をほのめかした時のことである。


当時の幸雄は、そんな香奈子の想いを真剣に受け止めず、香奈子が酔いに任せ言った軽いジョークぐらいにしか捉えていなかった。


走り始めて2時間が経とうかという頃、突然スコールのような雨が降り始めた。



ワイパーを最速で動かしても前が良く見えないほど雨脚は激しくなり、まるで幸雄の行く手を阻むかのように降り続けた。



「俺、今でも何も変わってない。...香奈子への想い...今も全然変わってない。」

香奈子からの意味深なメールに即座に反応し、こうして車を走らせ向かっている自分に、幸雄は素直にそう感じた。



ようやく香奈子の住んでいる街に入ると、幸雄はコンビニの駐車場で停車し、香奈子の携帯に再度、電話をかけ始めた。


あと10分もあれば香奈子のアパートに着く場所にいたが、なぜか嫌な胸騒ぎがし、幸雄は電話をせずにはいられなかった。


呼び出し音が、虚しく鳴り続ける耳元。


「電源は切られていない。...ということは、香奈子はまだ全てを拒絶しているわけじゃないってことだ。」

そんな事を思いながら呼び出し音が1分近く続き、幸雄が溜め息と共に電話を切ろうとしたその時、浮かない女の声が「はい...」と言ったのを幸雄の耳が確かに捉えた。



「香奈子か?...俺だ。..君からのメールを読んでびっくりして、今そっちへ向かっているところだ。...もうすぐ着くから、落ち着いて待ってろよ!」



「はぁ?...幸雄、どうしたの?」


切迫した口調の幸雄とは対照的に、香奈子は悠長な雰囲気でそう答えた。



とりあえず電話を切り、急いで車を走らせアパートに向かう幸雄。



香奈子は幸雄が何故あんな事を言ってるのか不思議に思いながら、テーブルの置き鏡に映る自分の顔を見つめ、寝起きの髪を櫛でとかし始めた。


「幸雄、いつもの早合点だな。..きっと。」


やがて部屋のチャイムが鳴り、香奈子がドアを開けると、いつになく険しい表情の幸雄が香奈子を見るなり、強く抱きしめてきた。


「ちょっと!..突然どうしたの?!...さっきの電話といい、なんか変だよ、幸雄」


幸雄の腕の中で、戸惑いながらそう言う香奈子。



「明日の朝、たぶん私は空の上。...さようなら。..って、なんだよ?!あのメール。...苦しいことや辛いことがあったら、一人で悩まず俺に相談しろって言ったのに!...もっと自分の命を大切にしてくれよ!...お前だけの命じゃないんだぞ!...俺を..この俺を、一人残して先にいくなよ!」


幸雄は涙交じりの声でそう言うと、更に強く香奈子を抱き締めた。


「あのさぁ、幸雄...勘違いしてない?...私、明日の朝、羽田から航空機で札幌へ出張なの。3泊4日でね。...だから『明日の朝、私は空の上』で間違いないでしょ?...あっ、そうか!その後『さようなら』って書いたから勘違いしちゃったのね!?」


香奈子はそう言うと、思わず微笑んだ。

幸雄も香奈子の説明に拍子抜けし、自分が滑稽に感じられ苦笑いをした。


「でも、勘違いするようなメール、送って良かったかも。...」

香奈子は小さな声でそう呟くと、上目遣いで幸雄を見つめた。


「えっ?...」

幸雄は香奈子の髪から頬を少し離し、その顔を見つめた。



「だって幸雄の気持ち、久しぶりにこうして確かめることが出来たんだもん。」


香奈子はそう言うと幸雄の背中に両手を回し、しっかりと抱き締めたのであった。


「俺、相変わらず、せっかちでごめんな。...でも、今回は勘違いして良かった。」

幸雄がそう言うと、二人は笑顔で互いの目を見つめ合い、そして熱い口づけを交わした。



香奈子が幸雄に送った、日常の何気ない一通のメール...。


そこに書かれた意味を、勘違いした幸雄...。


二人の間に出来ていた溝を埋めたのは、そんな思いがけない些細な出来事であった。。。。













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2016年07月10日(日) 23時40分29秒

ショートストーリー874

テーマ:小説
「お待たせ~~!...首都高、渋滞すごいんだもん」


恵美はピンクの軽ワゴンから降りると、白いバルコニーから顔を出して退屈そうに煙草を喫っている英次に向かい言った。


「よう!...遠路遥々お疲れさま!...まぁ、こっちに来て、ひと休みしなよ。」


英次は煙草を挟んだ二本の指をピースサインのようにして振り、笑みを浮かべそう答えた。


「車、ここに停めていいの?...邪魔にならない?」


「あぁ、全然OK!...ここら辺一帯、俺んちの敷地だから。」


英次の言葉に恵美は肩をすくめ、大袈裟なジェスチャーで驚いてみせた。


時々、冗談なのか、本当なのか分からないことを言う英次。でも、そんな英次のいい加減さが恵美には、なぜかいつも心地よく感じられた。


玄関のドアを開けると英次は「いらっしゃい!」と微笑み、恵美を招き入れた。


らせん階段を上がり、2階へ行くと、広いバルコニーには、小さな円形テーブルと椅子が二脚だけ置かれていた。


テーブルの上では、すでに恵美の好きなレモンスカッシュが冷えたグラスの中で静かに弾けていた。


「用意がいいのね。...なんとなくファースト・レディーになった気分!」


白いノースリーブに、ペパーミントのカーディガンを羽織った恵美が、おどけた顔でそう言うと英次は、「どこがだよ?...」と、独り言のように呟いた。


夏の海が程近い丘陵地帯に、英次の家は建っている。


2階からは、穏やかな太平洋が8月の陽射しに煌めきながら、その雄大な姿を見せていた。


「大学の時以来だね。...ここに来たの」

灰皿の煙草を揉み消した英次が、椅子の背もたれに体を預け、空を見上げながら言った。



「そうだねぇ。..あれから何回、夏が過ぎていったのかなぁ。...でも、ついこの間のような気がする。」


そう答えた恵美の愁いを帯びた瞳は、あの頃より少し痩せた英次の横顔を見つめていた。



「和也や聡美たち、今頃どうしてるのかなぁ?...」


学生時代、いつも一緒だった仲間たちを思い出し、英次が懐かしむように言った。



海風に体を預けるように青空を舞う、数羽のカモメたち...。


羽ばたくことをやめ、風に逆らうことなく漂う姿は、どこか今の自分に似ている、と英次は思った。


「和也君は画家を目指してウィーンに留学したけれど、一年後に帰国して大阪に行っちゃったみたい。...聡美は暫らく雑誌のモデルをしていたけど、今はネイルサロンにいるらしいわ。」


「そうか。...どんな状況であれ、みんな元気だといいね。」

英次のその言葉が、なぜか恵美の心に切なく響いた。



「ここにいても退屈だろ?...せっかく久しぶりに会えたことだし、俺の車でドライブしようぜ。」


恵美のグラスがカラになった頃、英次がやけに明るい声で言った。


恵美は少し沈黙した後、「私は別にこのまま、ここに居てもいいんだけど...。」と、海を見つめたまま小さな声で答えた。



「あなた以外、誰もいない家。...ひとりで寂しいって思う時、ない?」


恵美は視線を英次に移すと、瞬き一つせず、その瞳を見つめた。


英次は立ち上がり、バルコニーの手すりに背を向け恵美に正対すると、右の眉毛を少し上げ、微笑んだ。


英次が右の眉毛を上げる時は、決まって照れている。...学生時代から変わらぬ英次の癖を、恵美はしっかり覚えていた。



英次は恵美に背を向け、水平線に目をやると、「そりゃ、あるさ。...寂しい時のほうが、圧倒的に多いかもな。...」と言い、小さく溜め息をついた。


そんな英次の背中が、恵美に何かを語りかけているような気がした。


「ねぇ?...この家、一人じゃ広すぎて、もてあましちゃうんじゃない?」


恵美がそう言うと英次は振り向き、ふざけたような顔をし、「そうだね!...だから、いつでもおいでよ。」と言って笑った。


「なぜ笑って、はぐらかすの?...英次って、そういうところが駄目なのよ。...真面目に答えて欲しかったのに。。。」

恵美は内心そう思いながらも、優しく微笑み返した。



30分後...。

恵美は英次が運転するランドクルーザーの助手席にいた。



「この道を曲がれば、すぐ海に着くけれど、それじゃつまらないから、真っ直ぐ行くよ。」



「うん..そうして。...もっと、この助手席に座っていたいから...。」

そう答えた恵美を、英次は横目で見ると、カーステレオのスイッチを押し、CDを再生した。


それは大学3年の頃、仲間たちには内緒にし、二人だけで行ったコンサートの歌手のアルバムであった。



延々と続く渚を左手に見ながら思い出の曲を聴いていると、英次と離れていた長い年月が、あっという間に縮まってゆくのを感じた。



やがて辿り着いた、二人にとって初めての渚......


英次は背筋を伸ばし、海に向かって深呼吸をすると、隣りに立つ恵美に顔を向け、微笑んだ。


「ほら!..また右の眉毛、上がってる。...いつまで私に照れてるつもり?...私だって、いつまでも若くないんだからね!(笑)」


おどけた雰囲気でそう言いながらも、その言葉には恵美の本心が込められていた。


すると英次は、さり気なく恵美の細い指に触れ、その手を優しく握った。


恵美は一瞬驚いたものの、すぐに握り返し、英次を見つめた。

英次は、すでに視線を水平線の彼方へ向けていたが、繋いだその手から、言葉以上のメッセージを感じ取っていた。


「ここまで、長かったね。...」

ふと、英次が呟くように言った。


「ほんと。..でも、来て良かった。......やっと、辿り着けたから...。」



どこまでも澄みきった夏の空に、航空機が一筋のラインを残しながら、東の彼方へと消えていく光景を、二人は、いつまでも見つめていた。。。。













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