$丸次郎「ショートストーリー」
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会社設立 大阪市 プロマイドギャラリー 岡田有希子 $丸次郎「ショートストーリー」

 
🔸現在、連載物は以下8作品になります。

下記タイトルをクリックすると、ご覧になれます。


『時を越え』(全3話)

平成22年6月26日スタート

『愛たい人』(全6話)           📖       

平成22年7月18日スタート     

『探検』(全2話)              🐎

平成22年10月11日スタート

『人と人』(全11話)                  
平成22年12月2日スタート    

『欲日の黄昏』(全19話)       

平成23年4月3日スタート

『マシンと俺と彼女』(全6話)
平成23年8月22日スタート

『恋・・・のような』(全46話)         🌲
平成24年11月8日スタート

『彷徨える未練』(全77話)      🎶 

平成26年3月22日スタート

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February 19, 2017 23:19:41

ショートストーリー904

テーマ:小説
「福沢諭吉さん...もう1枚、足りないんじゃない?」

女はそう言うと、純金のライターで煙草に火を点け、気だるそうにベッドから体を起こした。


「もう会うのは、これっきりにしてくれ。。。。俺にも、いろいろと事情があるんだ。...それじゃ。」


ユタカは黒皮の財布から万札を1枚取り出し、女に手渡すと、そう言って部屋のドアノブに手をかけた。


「それは、私が決めること。。。。あなたが勝手に決めることじゃないわ。」

女は受け取った万札を二つ折りにしながら、煙草の煙を「ふぅ~~」と、吐息のように噴き、そう言った。


女に背を向けたまま聞いていたユタカは、その言葉に何も答えず、ドアを開け出ていった。


「ふふっ(笑)、意気地なし。...そう簡単に、この私から自由になれると思ったら大間違いよ。。。ほんの火遊びのつもりが、随分高くついたわね。ご愁傷さま。」


女は心でそう呟くと、万札を豊かな胸の間に挟み、真っ赤な唇を歪ませ不敵に微笑んだ。



「ただいま。...夕飯は食べてきた。...風呂に入って寝るよ。」

ユタカは自宅マンションに着くと、結婚を約束している同棲中の恋人セリナにそう言い、ネクタイをほどいた。


「なんか、だいぶ疲れているみたいね。。。仕事、忙しいの?」

ユタカが脱いだツイードのジャケットを受け取り、ハンガーにかけながら、セリナが心配そうな目で言った。


「いや、大したことはないよ。...今のプロジェクトが終われば、少しは楽になる。そうしたら、休日に君の好きなディズニーリゾートにでも行こう。」


ユタカが微笑んでそう言うと、セリナは、ようやく安堵の表情を浮かべ、嬉しそうに頷いた。



浴室で熱めのシャワーを浴びながら、ユタカは先程まで会っていた女の言葉を思い出していた。


「あの女、簡単には別れてくれそうにないな。...酒場で偶然出会い、女の誘惑に乗ってしまった俺がバカだった。。。」


ユタカはそう思い、目を瞑ると蛇口を全開にし、頭からシャワーを浴びたのであった。



翌日、早く目覚めたユタカがリビングに行くと、キッチンで朝食の準備をしている、いつもと変わらぬセリナの姿があった。


「この見慣れた光景..当たり前じゃないんだ。...このありふれた日常を誰にも壊されたくはない。」


ユタカは、その時、初めて強くそう思った。



その日の夜。。。



勤務を終え、オフィスビルから出てきたユタカを、見知らぬ数人の男達が取り囲んだ。


「よう!..あんた、マリーって女、知ってるよな?」

ユタカの行く手を阻むように正面に立った男が、金縁のサングラスを光らせ言った。

マリー...それは、ユタカが酒場で出会い、関係をもったあの女の愛称であった。


ユタカは以前から女の背後に何者かがいることを、何となく感じていた。


「マリーはな、俺の女なんだよ。...人の女に、よくも手を出してくれたな?」


男は、そう言って凄むと、ユタカのネクタイを掴み、引き寄せ睨みつけた。


「ここじゃ、あんたも都合が悪いだろうから、場所を変えて話そうか?」


男がそう言うと、他の男達がユタカの背中を押し、路肩に停めてある黒いワンボックス車に連れ込もうとした。


その時、リーダー格の男の携帯が鳴り始め、電話に出ると、男は思わず「本当ですか!?」と、声をあげた。


「あっ、はい。分かりました!....すぐに撤収します。」

男は焦ったような口調でそう言うと携帯を皮ジャンの内ポケットに仕舞い、ユタカに向かって言った。


「あんた、帰っていいよ。。。いきなり手荒な真似して悪かったな。俺が言ったことも、この出来事も、一切忘れてくれ。..いいな?」


男達の態度がなぜ急変したのか、ユタカには、さっぱり理解出来なかった。

しかし、とりあえず男達から解放される安堵感から「分かった。」とだけ答えたのであった。


男達は、ワンボックス車に乗り込むと急発進し、去っていった。


「さっき、男が電話で話していた相手が、急遽、男に計画の中止を命じたのだろう。いったい誰からの電話だったのか?」


ユタカは腑に落ちないまま、帰宅の途に就いた。


その頃、ユタカの自宅には、セリナの他に、もう一人、女がいた...。


マリーがユタカの住居を突き止め、情事を理由にユタカの彼女から金を揺する為、脅しにやって来たのであった。

しかし、そんなマリーの目論見は呆気なく崩れた。。。


「ユタカと完全に手を切りなさい!ユタカは私のものよ!。。。。今後、二度と会わないし、近寄らないと誓えるのなら、許してあげてもいいわ。」


セリナは、マリーを背後から羽交い絞めにしつつ、鋭い刃物をマリーの頬に当て、気迫を込めてそう言った。


「分かったわ。...もう私の手下たちにも手出しはさせないし、私もあなたの男とは、一切関わらない。..約束するわ。」


マリーは額に冷や汗を浮かべ、そう言うと目を瞑った



その後、マリーはユタカのマンションから立ち去り、二度とユタカやセリナの前に姿を現すことは無かった。。。



マリーが立ち去って、およそ1時間後、ユタカはセリナに心配させまいとして何もなかったかのように帰宅した。


そしてセリナもまた、いつもと変わらぬ穏やかな表情で、ユタカを迎えたのであった。


お互いに、何があったのか、一切語ることは無かった。。。



「もし、ユタカの身に何かあったら、私は、あなたを絶対に許さない。。。」


その鬼気迫るセリナの言葉を受け、マリーが急遽、電話で手下の男達に犯行中止の指示を出したことなど、この時のユタカには知る由もなかった。。。。











懐かしのヒットナンバー 
川越美和                      「ココロの鍵」
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February 13, 2017 23:07:50

ショートストーリー903

テーマ:小説
霧に覆われ、頭だけ覗かせている高層ビルが無造作に建ち並ぶ都会の朝。

その霧の奥に埋もれ、姿さえ見ることの出来ない多くの小型ビルたち。


その数えきれないビルの一室で、今日も博史は目を覚ました。



テーブルの上には、夕べ、百合子が忘れていったゴールドのアンクレット。

白いレースのカーテン越しに見える巨大な灰色の壁が、いつも博史の気持ちを憂鬱にさせた。


寝ぐせのついた髪を手で撫でつけながら、あくびをすると、博史は己の首筋を数回擦り、昨夜のことを思い出した。


明らかに自分の手とは違う、百合子の柔らかで艶めかしい素肌の感触が瞬く間に甦り、博史の体を再び熱くさせた。


博史はベッドから起き上がると、カーテンを開け、壁に向かって大きく溜め息をついた。そして浴室へと向かい、温めのシャワーを全身に浴びせた。



「百合子、なぜ急いで帰ってしまったんだ?...まるで何かに怯え、追われているかのように。。。」


情事のあと、余韻に浸る間もなく服を着て出ていった百合子に、博史は微かな疑念を抱かずには、いられなかった。。。


ふたりは、互いの立場や素性を明かさぬまま、愛し合っていた。


「地位や素性なんて、どうでもいい。...相手の立場や、しがらみを知れば知るほど、冷めてゆく恋もあるわ。。。」

食事の席で何気なく尋ねた博史を、そんな言葉でかわした百合子。


その時、博史も百合子の言葉に納得し、己の素性を語らなかった。そして百合子もまた、訊こうともしなかった。。。



4月とは思えないほど強い陽射しが、アスファルトを照らす午後2時...。


博史は缶酎ハイを呑みながら、歩道にある地下鉄の入口付近で百合子に携帯をかけ始めた。


「もしもし、俺だけど。。。今から逢えないかな?...無理にとは言わないけど。...なぜって?...君に逢いたくて仕方がないからさ。。。」



「まだ半日も経っていないのに、もう私に逢いたくなった?。。。うふふふっ(笑)」


携帯の向こう側で、百合子が意味深に笑い、博史のハートは尚更熱くなった。


それは、まるで男心を熟知しているかのような巧みさを感じさせた。


「今日、忙しいのか?...駄目なら、今日は諦めるよ。君のやるべき事を優先してくれ。」


博史は本音を隠し、百合子の意思に従うことにした。



「そう、ありがとう。...忙しくすることも出来るし、暇にすることも出来る。...私の立場って、そんな感じなの。うふふっ(笑)...私が言ってる意味、分からないでしょ?詳しくは言えないけれど、そういう事。...あなたが、それ程までに私に逢いたいというのなら、今日は暇な日にするわ。」


百合子の話しを聞いているうちに、博史の脳裏に彼女の置かれている境遇が、おぼろげながら浮かんできた。


「それは嬉しいなぁ。...それじゃ、いつ、どこで落ち合おうか?」


博史はそう言うと、残りの缶酎ハイを一息に飲み干し、アルミ缶を握り潰した。


「そうね。。。昨年秋に出来たばかりのアミューズメント・パークビル、分かるかしら?...あそこの58階にある会員制のバー、エッセンズで、午後8時に。...どう?」



「会員制?...今まで、そんな高級店、行ったことないけど俺でも大丈夫かな?」

百合子が指定したバーに、自分のような一般人が入れるのか不安になり、博史は思わずそう言った。



「安心して。。。バーに着いたら、あなたの名前と私の名前を店員に告げれば、予約席に案内してくれるわ。...あとね、正装なんてしなくても大丈夫。カジュアルな服装でOKよ!...それじゃ、また、のちほど。。。」



「ありがとう。...楽しみにしているよ。...それじゃ、また」


博史はそう言って通話を終えると、「やっぱり百合子、ただ者じゃないな。。」と心の中で呟き、ちょうど客待ちで停車していたタクシーに乗り込んだ。



「アミューズメント・パークビルまで...」


博史は運転手に行く先を伝えると、幹線道路を行き交う車の流れを、後部席からぼんやりと見つめた。


「会員制の高級バーに名前だけで入れるなんて、会社の女社長か、令嬢か。..それとも......」


博史は百合子がどんな立場にいる人物なのか、無性に知りたくなっていた。

しかし、その反面、知れば互いの間に越えがたい障壁が生じることも予期していた。


「俺の部屋の窓を塞ぐように高くそびえている、あの灰色の壁のように。。。」


博史はそう思い、彼女のことを詮索するのはやめようと決心した。



20分ほどで、アミューズメント・パークビルに到着すると、博史は近未来的な摩天楼を見上げ、溜め息をついた。


「百合子。。。君は、まるで蜃気楼のようだね。...欲望が、いつか本物の愛へと変わった時、きっと君は何かを感じ取り、俺の前から忽然と姿を消すのだろう。」



百合子と初めて出逢った、あの日。。。

熱い肌を重ねあった、あの夜。。。


百合子と逢った後、いつも博史は、そんなことを予感していた。


午後8時少し前に現れた百合子は、事前に博史の服装を知っていたかのように、違和感のないラフな格好であった。


慣れない店でぎこちない雰囲気の博史を、粋なジョークで和ませる百合子。


やがて夜も更けてゆき、バーから出ると、二人きりのエレベーターの中で、百合子が博史に腕を絡め、囁いた。


「今夜は、私の部屋に行きましょ?。。。あなたさえ良ろしければ...」


「百合子さんの今後に、悪い影響がなければ、私はよろしいですよ。」


「悪い影響?..うふふっ(笑)..私も生身の女よ。聖人君子じゃないわ。」


百合子は、そう答えると、博史の腕を強く引き寄せた。。。




1階へと急降下してゆくアミューズメント・パークビルのエレベーター...。


それは博史と百合子が、二度とは戻れぬ愛欲の淵へと堕ちてゆくかの如く、ノンストップで加速していった。。。。











懐かしのヒットナンバー 
亜蘭知子                    「Sunshine Blue」
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February 05, 2017 23:42:24

ショートストーリー902

テーマ:小説
いつもより、海が荒れていた。

北西の風が、強く吹いていた。


カモメたちが、やたら騒がしく鳴いていた。


そんな日のことだった...。


カズオは、いつものように目覚め、いつもの時刻に家を出ると、いつもの電車に乗りこんだ。


車窓から見える景色とは対照的に、車内は、どんよりと曇っていた。


少なくともカズオには、そういうイメージとして感じられた。


間もなくすると電車は急停車し、その振動で乗客たちは体をのけ反らせた。



「何があったのだろう?」

誰もが無言のまま、同じようなことを思っていた。


すると程なくして、車内アナウンスが流れ始めた。


「お急ぎのところ、大変申し訳ありません。...ただ今、危険を察知しまして安全装置が作動し、緊急停車を致しました。現在、車掌が車体および線路に異常がないか確認しております。...ご迷惑をおかけ致しますが、発車まで、今暫らくお待ちください。」


澱みなく淡々と話すその声に、乗客たちは皆一様に耳を傾けていた。


「困ったなぁ。。会議に間に合わないよ!」

沈黙を破って、スーツ姿のサラリーマン風の男が、そう言った。


すると堰を切ったように、他の乗客たちも口々に文句を言い始めた。


「マジかよ。。これじゃ講義に間に合わないぜ。...休んだら留年だよ。」


「あら、どうしましょ!...待ち合わせの時刻に間に合わないわ。」


「腹痛くてトイレに行きたいのに、、、もう勘弁してくれよ!」

次々に飛び交う愚痴や嘆きは、やがて時が経つと共に怒りへと変化していった。


「おい、その後の説明は、まだないのか!?」

「いつまで確認作業してるんだ?!...もたもたしやがって!」


そんな罵声とも怒声とも受け取れる声を耳にしているうちに、カズオまでもが怒りに駆られてきた。


「あんたら、大人だろ?...少しは我慢しなよ!抑えの効かないガキみたいに、好き放題に文句ばかり言いやがって。」

カズオの怒りは、電車の急停車や遅れに対してではなく、己の不満や怒りを口にし乱れる乗客達に対してであった。


車内は一瞬、シーンと静まり返り、彼らの視線は、つり革に掴まって立っているカズオへと向けられた。


カズオは、そんな中で、速まる鼓動を感じながら、遥か彼方の水平線を見つめていた。


そんなカズオの肩を、ひとりの男がポンポンと軽く叩いた。


「おい、兄ちゃん。...あんた、ええ度胸してるな。」

低く通る声が、熱い息と共にカズオの横顔を貫いたような気がした。

カズオは、つり革を握ったまま上半身だけ捻り振り向くと、髭面で強面の男と視線を合わせた。


男は初対面には相応しくないほど接近し、苦み走った顔をカズオに近づけていた。


カズオは何も答えず、無表情のまま、男を見ると、「どうも。。。」とだけ言い、再び顔を車窓に向けた。


すると、ようやく車内アナウンスが流れ、電車は再び次の駅に向けて、ゆっくりと走り始めた。


「兄ちゃん、タイミングよく電車が動いてくれて良かったな。。。」

男は意味深なセリフを吐くと鼻で笑い、車両の後方へと去っていった。


「もし、ずっと停車したままだったら、あの男、怒りの矛先を、この俺に向けるつもりだったのだろう。。。」


カズオは、そう思った。

やがて目的の駅で下車すると、改札口を出たカズオに、また先ほどの男が声をかけてきた。

「おい、兄ちゃん」


「しつこい奴。。。今度は何の用だ」

カズオは声には出さず、心でそう呟いた。


「あんた、よく言った。...これから、たとえ群衆の中で100対1の1側になったとしても、自分が正しいと思うことは主張し続けることだ。群衆に負けて自分の主張を曲げ、101人目には絶対になるなよ。。。」


男は、そう言い残すと、雑踏の中へと紛れ、消えていった。。。


カズオは肩透かしを食らったように暫し立ち尽くしていたが、やがて、はにかむと彼女が待つ駅ビル5階のフレンチカフェへと足早に向かった。


カフェの窓から見えるコバルトブルーのオーシャンは、夏がすぐ近くまで来ていることを微かに感じさせていた。。。。











懐かしのヒットナンバー 
菊池桃子                      「ガラスの草原」
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