狗族

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帰路を急ぐ冬の夕暮れ。


角を曲がると、ひたと暗い土の道。


見やれば道の半ばに、どす黒いシミが。


何の気なしに帰路を急げば、それは血溜まり。


どす黒い大量の血と、嫌なことに、犬の首なし死体。


気持ち悪くなって小走りに、路地を曲がると..



うっ!


何をする!?


やめろ!



俺の顔に押し付けられる生暖かいお面。


お面の目玉はくり貫かれていて、


そこから見える、いつもの帰り道..



だけども、思わず手で覆う顔には、


毛並みの方向が分かるくらいのケモノの感触..



本能的に解ってしまった。


これは、さっきの首なし犬の、頭の部分に違いない。



やめろ!やめろ!!


それでも数人掛かりで、俺は。


ひたりと湿った土の上に転がされた。



も一度おおった僕の顔は、


やっぱりケモノの毛並みが感じられた。



今日から、ここで暮らすのか。


もう張り付いて取れない犬の顔をなでながら、


俺は不思議と、悲しくはなかった。

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