三宝院
テーマ:中部・近畿
およそ千二百年前、弘法大師空海上人によって開かれ、昨年「紀伊山地の霊場と参詣道」として世界遺産登録された「高野山」(和歌山県・高野町)。ケーブルカーで登る山上には数々のお堂が立ち並び、「山上伽藍」と称される町並みが広がる。
そのなかに「花の寺」と呼ばれる三宝院(さんぼういん)が建つ。
四国八十八個所巡りの御礼参りの参拝者のほか、夏は合宿、秋は紅葉、冬は雪見酒と、宗旨宗派を問わず、季節を通して誰もが宿泊できる「宿坊」である。
凛とした空気のなか、仲居さんではなく修行僧が迎えてくれる小さな旅館と思えばよい。院内は浴衣で滞在でき、中国麦飯石のお風呂も快適だ。食事は、心を込めて調理された精進料理。季節の野菜や胡麻豆腐が美味しい。客室は、テレビもなく質素であるが、たまには世塵を離れて、静かに心を洗う体験もよいものである。
本堂で行われる毎朝六時の勤行にも参加したい。重要文化財に指定される本尊「北面大師」を拝むことができる。希望者は、この機会に様々な祈願を依頼することも可能だ。
かつて、弘法大師と同じく、お経を百日に渡り百万遍唱える修行を授かった飛鷹住職は、現在、世界平和を祈願し、地雷除去や恵まれない子供たちのための活動に余念がない。浄財募金を趣旨とし、九月に境内で実施される中秋の名月コンサートは、仏教音楽の「声明」を聴くことができ、リピーターに人気が高い。
弘法大師ご母公ゆかりの古刹であることから、母子の情にならい、前庭には小さな水子地蔵がいくつも佇んでいる。五月、その周りには「姫しゃが」が一面に咲く。
(2005年5月)
▼三宝院
和歌山県伊都郡高野町高野山580
南海高野線極楽橋駅で南海高野ケーブルに乗り換え、終点高野山駅下車。奥の院行きバスで約10分、蓮花谷下車徒歩1分。
0736(56)2004








