(不肖)大河ドラマ批評家「一大河」の批評レポート

海外ドラマより、韓流ドラマより、もっと面白いドラマがある。
日本でもっとも歴史あるドラマ、それが「大河ドラマ」である!
不肖・大河ドラマ批評家「一大河」が、古今の大河ドラマのレビューを
つづっていきます。


テーマ:
平清盛 第15回「嵐の中の一門」レビュー



◎『平清盛』登場人物/キャスト



「父上がどうお考えになろうと、わたしは家盛の…兄にござります!」
(平清盛)




【あらすじ】

家盛が死んだ。



現実を受け止められない宗子は、取り乱して何度も家盛の名を呼び、
亡骸に抱き、泣き崩れた。



清盛と時子がその場に駆けつける。



がくんと膝を折り、家盛の亡骸に寄り付く清盛。



「触るでないっ!」
清盛を制したのは、宗子であった。



ある日、忠盛は清盛を連れて鳥羽院の御所を訪れる。



鳥羽院はしばらく休むようにと声をかけるが、忠盛は一刻も早く
つとめに戻り、忠義を尽くすことこそが家盛の本望であると言う。



そこで鳥羽院は、先の落雷で炎上した高野山の宝塔の再建を、
忠盛に言い渡す。



忠盛は、清盛を名代として、この大仕事を引き受ける。



清盛は、忠盛の振る舞いに納得がいかないまま、宝塔再建の
事始めに高野山へ向かう。



そこで清盛が出会ったのは、名を西行と改めた佐藤義清であった。



【レビュー】

平清盛 第15回「嵐の中の一門」はいかがでしたか?



一大河にとって今回の記事は、前回にも増して苦労しました。



なぜなら

「今回の放送を見て、涙腺が崩壊した人と、ポカーンとしてしまった人の
ふたつに別れたであろうことが想像できるから」



見終わった後のわたしの心境は、後者でした。



清盛を認めた宗子、そして今回の「ポイント」に気づいた方は、
感動して涙することができたのかもしれません。



ですが、わたしは如何せん「ポイント」を探すことに意識を集中して
しまったがために、あっという間の45分。



終わってみれば「うわー難しい!」となってしまい、感動する気持ちも
どこへやら置いてきてしまいました。



そのような心境になった人は、わたし以外にもいるんじゃないでしょうか?



今回のレビューは、

「なんかわからないけど涙腺が崩壊した」

「結局なんかわからなかった」

という方のために書きました。




帰ってきた西行が清盛に語った、

「風雪を耐え忍んだ者だけが見られる美しきもの」

それは一体何だったのか、これをテーマにレビューを書いていきます。



今回、平氏にとっての一大イベントであった高野山の宝塔再建。



鳥羽院に参内した際の忠盛の台詞では、

「一刻も早く務めに戻り、忠義を尽くすが家盛にとっても本望にござりましょう」

と語られていますね。



その後にも、

「この宝塔再建、我が積年の志を遂げる機会と心得よ」

と、側近の家貞に語るシーンがあります。



忠盛にとっては、この大仕事を成し遂げ、積年の願いである
「政の中枢に入って世を変えること」こそ、死んだ家盛の弔いになると
信じて疑わなかったんですね。




一方、名代として再建にあたった清盛は、この仕事を成し遂げることが
本当に家盛の弔いになるのか、思い悩んでしまう。



その、思い悩む清盛を助ける人物として現れるのが、義清あらため
西行なんですね。


「このつとめを一心に果たされよ。」

「さすれば、きっと見られましょう。」

「風雪を耐え忍んだ者だけが見られる美しきものを。」



この言葉に覚醒した清盛は、一心不乱に再建に打ち込み、寄進した
曼荼羅に自らの思いを込めるように、一筆入魂、筆を入れる。



ところが、いよいよ作業も佳境というところでしゃしゃり出てきたのが、
本作の極悪キャラとして定着してきた悪左府・藤原頼長。



ぎりぎりで平静を保っていた忠盛の心を逆なでするような、頼長の言葉。
忠盛は「張り詰めてきたものがぷつりと切れ」てしまうんですね。



病に倒れるまで朝廷に忠義を尽くし、道半ばで倒れた家盛。
忠盛は、家盛の分まで朝廷に尽くすことが、供養になると信じてきた。



しかし、忠盛の父として唯一、息子にしてやれる弔いが、
頼長の言葉によって踏みにじられます。



どれだけ尽くしても、家盛が報われることはないと思い知らされたとき、
とうとう忠盛の「心のタガ」が外れてしまうんですね。



高野山で曼荼羅に筆を入れている清盛に対して放った
「わしが家盛を殺したのじゃ」という言葉。



忠盛にとって、この言葉は、重い。



財をなげうっても、家族を犠牲にしても、志を遂げるためには心を鬼にして、
ただただ武士の務めを果たしてきた。



志を遂げれば、すべてが報われ、家盛の忍耐も報われると思ってきたが、
武士という身分では、それはかなわぬ夢。



忠盛は現実を思い知ったんですね。



しかし、清盛は「お話はそれだけにござりますか」とだけ
言い放ち、曼荼羅を描くことを止めません。



清盛は、西行の言葉によって、兄として弟のために成すべきことを悟っている。
彼にとっては、忠盛の苦悩など「それだけ」のことに過ぎないんですね。



忠盛は清盛の心ない言葉に怒り心頭、力任せに清盛を投げ飛ばしてしまいます。



が、投げ飛ばされ、頭から血を流しながら、それでもなお這いつくばって
必死に血の曼荼羅を描く清盛。



忠盛は悟ったんでしょうね。
「この無頼者は、とうとう父を超えてしまった」ということを。



そして、家盛の死にもっとも心を乱していた宗子が、あらわれます。



ここで注目してほしいのは、「宗子の視線」です。



部屋に入ってきたときから、忠盛でも清盛でもなく、
「曼荼羅」を見つめているんですね。




なぜなら

「曼荼羅に描かれた御仏に、帰ってきた家盛の姿が重なったから」



清盛が曼荼羅に筆を入れ始める前、曼荼羅を見つめてぼそっと
「家盛……」とつぶやくシーンがありました。



何気ない、一瞬のシーンに見えますが、実はすごく重要な場面で、
清盛と宗子には、曼荼羅の中心に座す大日如来が、家盛に重なって
見えたのです。



血曼荼羅を見た宗子の言葉が、

「家盛が、兄上によろしゅうと言うておるな。」

「かけがえなき、たったひとりの兄上に。」


でしたね。



家盛の、宗子に伝えた桜の下での言葉が、一年の時を経てようやく、
宗子自身の口から、母の口から、兄の清盛に伝えられた瞬間なのです。



「せめて帰ってきた時には一度でも、当たり前の母として笑いかけてくださりませ」



家盛の遺言は己のことよりも、清盛と宗子が、「当たり前の母子」と
なることを望んでいましたね。



その望みが叶った今、家盛はようやく報われたのです。



西行が語った美しきもの、それは生まれを超えた親子の絆。




家盛の死は平氏一門に嵐を巻き起こしたけれど、親子が心をひとつに
することで、さらに美しく、強い絆となった。



ふたりはようやく、ホンモノの母と子の絆で結ばれたんですね。



わが子に向ける宗子の慈愛の微笑みと、清盛のほっとした表情に、
わたしの涙腺も崩壊しました。



家盛の最後のシーンに引き続き、和久井映見さんの演技に感動です。




『胎蔵曼荼羅』があらわす
「大日如来を中心に、その慈悲と徳が放射される様子」を、
母の慈愛の心に重ねた脚本も素晴らしい!



今週も、本当にいいお話が見られました。



そして、今回のレビューを読んだ方の疑問が解消されれば、
この一大河、批評家冥利に尽きるのであります。



さて、今回のタイトルは「嵐の中の『一門』」でしたね。



それは、源氏にも、藤原摂関家にも、そして崇徳帝と雅仁親王にも、
嵐の前の静けさが訪れているということ。



「保元の乱」という嵐が、徐々に徐々に、その風音を強くしています。
次回「さらば父上」にご期待ください。



関連記事:
頼長と家盛のシーンに惑わされるな/平清盛 第14回「家盛決起」



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