2011年02月04日(金)

美術とその周り その1

テーマ:日々
日本の美術はどうなっているのか…。

なんだか今、美術シーンは、にわかに活気づいてきた。というかなにかが変わり始めている。僕も作家の端くれ、聞いたこと、観たことをここで少しまとめてみようと思う。自分のためにも。

ここ最近、というか去年は村上隆、カオスラウンジ、0000の年だったように思う。とにかく、この3人(1人+2グループ)の話を僕が良く耳にした。意識的か無意識的かは別にして。

村上さんには会ったことはないが、欧米のど真ん中でアーティストとしてシノギを削っている、日本が世界に誇る巨人だ。
美術をやる者、知る者としてその名を知らない者はいないだろう。
そんな村上さんを学生時代から知っている人が僕の仕事場にいて、舞台裏での出来事などをちょいちょい聞いていた。
知り合いがカイカイキキに出入りしてしていたこともあり、村上さんには勝手な親近感を持っていた。

しかし美術をやっている僕の周りにはなぜかアンチ村上態勢の人が多い。
多分、それは彼がバリバリのリアリストだからだろう。

日本にはポエティックで感傷的な作家が多い(ように思う)。だから美術についての考え、求めているものがお互いでまるで違う。対立は当たり合えだ。

決定的な部分は「お金」についての考え方のように思うが…。

「美術と金は水と油。金のことを語るなんてアーティスト失格!」
そういった風潮が美大出身者に根強い。なぜか?

これは村上さんも語っている、日本の美術大学の教育システムに問題もあるようだ。
僕自身、美大を出ているし、美術予備校(美大受験の実技を教える予備校。ここに通わないとまず美大には受からない。)で講師をしているので、この辺りはかなり的確に現状を把握できると思う。

$ゲゲゲの藝術

これはあくまで僕の個人的な感想だが、予備校で油絵やファインアートを専攻する若者はなぜかお金で苦労している者が多い。いや、多かれ少なかれお金にはだれでも苦労すると思うが、17、8の若さでお金についての悩みを精神的にかなり背負っていたりする。

お金に苦労しているなら、現実的にはデザイン科を専攻するのが普通のように思う。デザインのほうが大学卒業→就職という社会に直結する道が見えやすい。(ファインアートが必ずしも就職できないと言っているのではないので。誤解のないように。)
なのにどうしてファインアートを選ぶのか?

僕自身、少なからずお金に対する不安を抱えながら、しかし油絵を専攻した者としてその理由を問われれば、

「もう世の中の色々なもんをかなぐり捨てて絵の中に逃げちゃいたい。もうな~んにも考えたくない。お金とかいう社会を動かす根源が、僕を苦しめている。世俗にまみれるのはまっぴらごめん。」

と、そんなことを本当に思ったかどうかはさておき、半分は出家するような気分でこの道に飛び込んだ気がする。

お金に対するルサンチマン。人格形成にそれが深く関与し、そこからのエスケープとして「美術/アート」というユートピアを目指したのではなかっただろうか。

なんだか話がかなり自分の生い立ちに脱線してしまったが、まぁ、「美術/アート」は理想郷であり、それが人の社会で、人によっておこなわれる社会活動であるということが見えない状態で、まずは美大というエルドラドに到着するのだ。

つづく

コメント

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1 ■これは!

非常に私のツボにはまった分析でした。

実は私も、「お芸術」は、
なんらかのリハビリの場であるのだろうと感じていました。
私も若いころは美術雑誌という職場でリハビリしました。今では少しのことでは動じない大人ですが。

2 ■Re:これは!

>絵描きのヨメ yukoさん
予備校とかにいると、本当にそう感じますよ。僕自身が大人になって、彼、彼女等と精神的な距離がとれたことで、それがよく見えるのかもしれないですけど。
最近はなんだかその辺が自分のなかでちょっと整理できそうです。ので、このブログで活字にしてみようと思っております。

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