DVD Live At Donington/WHITESNAKE | 不動産とハードロックと猫とダーツ

DVD Live At Donington/WHITESNAKE


不動産とハードロックと猫とダーツ


1. Slip Of The Tongue 2. Slide It In 3. Judgement Day 4. Slow & Easy 5. Kittens Got Claws
6. Adagio For Strato 7. Flying Dutchman Boogie 8. Is This Love 9. Cheap & Nasty

10. Crying In The Rain 11. Fool For Your Loving 12. For The Love Of God

13. The Audience Is Listening 14. Here I Go Again 15. Bad Boys

16. Ain't No Love In The Heart Of The City 17. Still Of The Night

自分自身個人的には最も思い入れのあるバンドWHITESNAKEの“Slip Of The Tongue”発表後の1990年MONSTERS OF ROCKでの公演をカヴァデール御大自らが製作総指揮を執ってDVD画像(Live音源CDつき)を完成させた。

個人的には大きく分けてWHITESNAKEには3つの時代があると思っている。
トミーボーリンのDEEPPURPLEが空中分解したあとに御大のルーツである
RBを軸に置き、バーニー・マースデンや名手ニール・マーレイ、
パープル時代の同僚、ジョン・ロード、イアン・ペイスも加わった
黎明期から、紆余曲折を経て如何にもHM然とした当時THINLIZZY解散後
新鋭のジョン・サイクスをメインギタリストに据え、Drには不朽のドラム
ヒーロー、コージー・パウエルを迎え“Slide It In”のUSリミックス
バージョンで全米市場に殴り込みをかけ、SURPENSALBUSレコーディング
後(一部中)にフライングダッチマンことエイドリアン・ヴァンデンバーグを中心にメンバーを一新し、全世界を席巻した後にニューアルバムの
レコーディング直前に腕を負傷したエイドリアンの替わりに当時の
世代№1ギタリストの呼び声も高い元フランクザッパ~ALCATRAZZ~
DLRBANDのスティーヴ・ヴァイを迎え全世界をツアーした、
所謂コアなファンからはそっぽを向かれる
アメリカンスネイクゴージャス時代(笑)

PAGEのソロ的な要素の強いCOVERDALE/PAGEを経てエイドリアンと
友好関係を保ちつつカヴァデールのソロ名義~“RestlessHeart”~
大人しくてルックスも良いカヴァにとってはベストパートナー、
ダグ・アルドリッチをメインに“Good To Be Bad”“ForeverMore”と
判りやすい現代風解釈をも踏まえてルーツ回帰している
“チョイ悪オヤジ”時代。

要はプロ野球球団みたいなモンで戦略や監督が替わる度にメンバーは
ガラッと替わってしまい、同じ名前のチームなんだけども戦い方も
替わっていく的なね。(WHITESNAKEの場合、フロントと監督は永久だけど)

前置きが長くなってしまったがファンなのでリアルタイムで聴いていた
20数年前とは異なり、どの時代のスネイクも愛おしい。

今回発売になった“WHITESNAKE Live At Donington-1990”は上記の
“アメリカンスネイク”の最終章の脂の乗っている部分が堪能できる。
色々なレヴューでも書かれている通り、画像は確かに荒いのだが
若干22歳で世界的に知名度のあるDEEPPURPLEに加入し、何も力の
無かったデヴィッドがドラッグや人間関係でボロボロになりながら
ソロアルバムを経てWHITESNAKEを立ち上げて自身がリーダーとして
音楽ビジネスやメンバーとの葛藤の中で解雇や再結成を繰り返し
た後に名盤“SURPENSALBUS”を発表し時流の波に上手くのり、
今のようにネット配信は無かったが全米だけで800万枚という
枚数のアルバムを売り、まさに成功の絶頂期のあとに出した
新作のツアーの画像だけに“WHITESNAKE”の看板をどれだけ大切に
していたかが如実に伝わってくる。

当時のインタヴューなんかも懐かしい気持ちで読み返していたのだが
カヴァデールや若干27歳のスティーヴ・ヴァイのプロ意識の凄さには
驚かされる。リアルタイムではこの編成のライヴは未体験で
スタジオ盤の“Slip Of The Tongue”しか聴いていなかったので
当初の予定通りエイドリアンがレコーディングもしていたらよかった
のにという思いが強かったがこのDVDを観て考えが変わった。

“おしゃべりギター”とも呼ばれたヴァイのハーモ二クスや
スウィープを駆使した奏法は確かにRBを基調とした初期WSには
合わないと思うし、アルバム発表当時はFool For Your Lovingにせよ、
Slip Of The Tongueにせよこの音はWSには合わないという意見が
大多数を占めていたと記憶している。当時は実際に筆者もそう思っていた。
しかし思い返してみれば、時代背景やメンバー間のケミストリーと
いったものまで(想像のうえだが)加味して考えてみたらワールドワイドで
確実に好成績を残せるだけのポテンシャルを持ったギタリストなんて
当時他に誰がいただろう?



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未だにしこりの残ってそうなジョン・サイクス?
パーソナリティに問題のありすぎるマイケル・シェンカー?
ペイジやリッチーは意地でもWS加入はしないだろうし、
その後DPをヘルプした職人ジョー・サトリアーニ?
ゲイリー・ムーアやエディならそれこそスーパーな
メンツだけどカヴァがVANHALLENやMSGに加入しなかったのと同じで
自分のバンドを止めてまで他のバンドに入るキャラじゃないよねぇ…
ジョージ・リンチやジェイクならHRファンにはウケたかもしれないけど
同じアメリカ人ギタリストなら衝撃度はヴァイのほうが上だろうし…
まさかのイングウェイ?(笑)

リズム&ブルースを主体としたソリッドで湿った感のある
所謂ブリティッシュブルーズロックを捨てた代わりにファンクや
スカやパンクやレゲエ、ニューウェイヴまで飲み込んだ
ミクスチャーロックの先駆的な存在のフランクザッパに
師事したスティーヴ・ヴァイを飲み込んで
ロックという範疇の中でエンターティナーに徹したのではないか・・・
そんなことを音楽的に一切の妥協無く体現出来たのは
ある意味WHITESNAKE史上この編成が突出していたのではないか・・・



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つまりはデヴィッドは当時の状況の中で考えられる最良のものを
提供していたのだ!スティーヴ・ヴァイは歴代のギタリストの中で
ベストなのかと聴かれれば筆者的には別のギタリストの名前も頭に
浮かんでくる。・・・が今更ながらこの空前のヒットを記録した
“SURPENSALBUS”後に出さねばならない想像を超えたプレッシャーの
中で製作されたであろう“Slip Of The Tongue”の共作者である
エイドリアンがレコーディング直前に楽器が弾けなくなるという
突発的なアクシデントも踏まえて出来上がっていた音源の上に
ギターを被せ、全世界中が待ち望んでいたツアーにフューチュア
されるべきギタリストを“スティーヴ・ヴァイ”に抜擢したのは
デヴィッドの当時の世相も踏まえたビジネス的判断も多分にある
と思うし、そのスティーヴの加入によってツアーでは
エイドリアンもルディもトミーもデヴィッド御大も当時ならでは
の輝きを増しているのがよく判る。


ファンだからというのもあるけどこのDVDの中のWHITESNAKEは
ロックバンドが最も時代と共に輝いていたその恩恵を受け、
当世代きっての凄腕ミュージシャンの本気の演奏を聴くことが出来る。

デヴィッドの声が荒れ気味だとか映像が酷いとか欠点はあるにせよ
この本気でROCKしている5人の男達の姿は美しい。



俺も少しは真面目に(本気で)仕事しなきゃ。(ё_ё)キャハ

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