信義【シンイ】-二次創作物-

韓国フュージョン史劇 信義【シンイ】二次創作物の部屋


【 2015年 12月31日 】


本日午後4:44 アメンバー様受付を終了させて頂きました。


本当にありがとうございました。






【 2016年 1月26日 】


現在のお話進行と時系列(TOPのみ更新&修正)

■詳細:時系列 ~ 皆様へ


:公開済み・★:公開中)


1252年吾亦紅


1317年チェ尚宮の憂鬱
1344年百日草(~1351年)

       或日、迂達赤(随時不定期更新)
1346年或日、迂達赤:蛍袋
     槍水仙

1351年 信義(本編)

       信義【三乃巻】(随時不定期更新)

     六花

     絡新婦

     堅香子

     ❤甘い夜 ~ Short pieces(随時不定期更新)

1353年雪割草

1355年
     ❤向日葵

     ❤迷迭香

     曼珠沙華

     都忘れ

     ❤偽嫁御
     一服処(随時不定期更新)



1356年紅蓮・序

     紅蓮・勢

     比翼連理

     威風堂堂

     寿ぎ
     碇草

1358年  南天 雪うさぎ

      貴音



1361年  紅蓮・急

       

1388年  小菊

2012年 占見


SPECIAL:2014 Xmas request

       2015 summer request




ここでまた、皆様とたくさんお話しできますように。



心はいつも、皆様の元へ。

何度も、何度でも。




愛を込めて

さらん




============


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テーマ:

 

 

 

 

 

「お帰りなさい、ヨンさん」

 

酔払いだらけの宴をようやく終え、戻った宅の門の前。

夜中の山道で出喰わす熊のような巨きな黒い影が優しい声で俺を呼ぶ。

 

「何故来なかった」

嬉し気に頭を下げたコムの姿に眉を顰めて呟くと、奴は素直に頷き

「贈り物のお断りで」

「・・・何だそれは」

「タウンがチェ尚宮様から言伝を。ヨンさんに何かしら付け届けが届けば

すべて断るようにと」

「それで残ったか」

「はい」

 

コムは何故か感慨深げに、懐から紙を取り出した。

「チェ尚宮様のおっしゃった通りです。ヨンさんが智慧を絞って宴の

口実を見つけるように、相手も知恵を絞ってどうにか袖の下を渡そうと

必死でした。御来客から伺ったお名前です」

 

紙を開けば様々な手蹟で、品物の送り主と思しき名が連ねてある。

枢密院、愈議府、讞部に判禮部。大夫に尚書から学士承旨まで、

「よく調べたものだ」

「皇宮中に耳があるのは先方も同じと、隊長の御配慮で」

コムが何かを言う前に、俺の横の方に添うタウンが静かに頭を下げた。

 

「こんな下らん奴らの所為で足止めか」

握った紙を逆の手の甲で音高く叩くと、コムとタウンが苦く笑う。

「名を残させるのも叔母上の案か」

「何れ役に立つ事もあるかと」

 

叔母上も其処までか。切り札代わりにこの紙を見せ下人の勝手な行いと

白を切られれば終いだ。

大護軍の名に尾を振る犬は、次に何時この手を噛んでも不思議は無い。

 

「・・・まあ良い。何れ呑み直そう」

「はい、ヨンさん」

「もう良い。ゆっくり休め」

「はい」

 

俺達のくぐった門に閂を掛け、コムとタウンが最後に頭を下げる。

「本日はおめでとうございます」

「苦労掛けたな」

「とんでもない事です」

「おやすみなさいタウンさん。コムさんも本当にいろいろありがとう」

「お寝みなさいませ、ウンスさま」

 

俺の横で小さな手を振り、あの方が此方を見上げる。

「ヨンア、お風呂入って?体中煙だらけでしょ?」

「お先にどうぞ」

「一番風呂よ?気持ちいいわよ?」

「せめてもの礼です」

「いいの?」

 

川風に当たった体が冷えているのだろう。この声に嬉し気に笑うと

「じゃあ、遠慮なく。急ぐから待っててね」

あなたがそう言って沓を鳴らし、宅の玄関へと小走りに駆ける。

「・・・何だ」

 

その背が玄関を入るのを見送って、庭の木闇へ声を掛ける。

流石に河原とは勝手が違う。一切の足音なく其処から出て来たタウンが

申し訳無さげに目を伏せる。

 

「明朝とも思いましたが」

「構わん」

「実はウンスさまは今宵大護軍に、特別なものをお出ししようと準備を

されていらっしゃいました」

「特別」

「何やら鶏の卵と砂糖と、豆の汁を使った甘いものを」

 

それを聞いても形も浮かばん。天界の喰い物かと頭を捻ると

「私がお止めしました」

「そうか」

 

それで良いと息を吐く。あの酔客達が食い散らかしたのでは、あの方の

持て成しの有難みも半減だ。

「それだけは私にもお手伝いさせて下さらなかったので・・・ですから

決して、ウンスさまが何もお作りにならなかったわけでは」

「判ってる」

 

当初の計画は全て狂った。今更何を聞いても驚かん。

思い知らされるだけだ。この意思だけで自由に動く事は儘為らんと。

己の名だけが独り歩きし、 何をしても人の耳目を集め、隠しておくにも

限度がある。

皇宮の掟、政の駆け引き。そんなものに俺のあの方を巻き込むなど絶対

御免だ。

 

「出過ぎた事を申しました」

俺の返答に、タウンは深く頭を下げ直す。

「構わん」

「失礼致します。ごゆっくりお休み下さい」

「ああ」

 

あの方の前で俺に伝えぬタウンの忠義。

あの方の前で母上の話をせぬ叔母上の配慮。

俺には報せず遅くまで来客を捌いたコムの分別。

生誕の宴と知っていて無言でいる馬鹿共の心遣い。

 

何もかも捨てあの方だけを護り流れることは赦されん。

年を経る毎に背負うものは増し、否応無くこの肩に圧し掛かる。

それでも選んだ道だ。あの方を欲しいと、そして生涯護る為にと自ら

望んで王様に頭を下げた。

あの方と再び無事に出逢う日の為、目の前の邪魔を全て斬り捨てた。

あの方の戻る日を待つ為に、ありとあらゆる戦に望んで出陣してきた。

それで己の名が上がった事を今更恨みがましく思うのは筋違いだろう。

 

廿の最初の年、愛した女を喪った。

廿の最後の年、あの方とお逢いした。

そして其処から四年を待ち続けた。

 

全てが変わった。変わらぬのは。

 

一人佇む庭、中天へと眸を上げて黒い夜空の月を見る。

 

いや、月の色さえ変わった。

赤月隊の朋と焚火を囲む俺を照らす空の月はもっと小さく赤かった。

 

この子は強い子だ、私には判る。

俺は今も母上にそう誇って頂ける程の強さを持っているのだろうか。

俺を生んで下さった夜、母上の目に映る月は今と同じだったろうか。

透き通る程蒼く、全てを静寂の腕の中に抱くような月だっただろうか。

 

そして天界であの方を待つ御両親も、今宵の同じ月をご覧だろうか。

その月に向うにあの方の今宵の笑顔が届けば、どれ程に嬉しい事か。

御義父上、御義母上にこの心からの感謝が伝わるならば、俺の持つ

あの方以外の何と引換にしても構わない。

 

月を仰いでこの眸を閉じ、心裡で呟く。

 

有難うございます。

 

父上母上に、天界の御両親に、あの方と巡り逢えた大きな何かに。

その時生まれたからこそ、きっと今のあの方が在り俺が在る。

その歯車が一つでもずれていれば、此処に俺達は居なかった。

 

全ては変わっていく。まるで月が毎夜形を変えるように。

同じ月の下にいる筈が、見上げる度に色を変えるように。

但し変わってはならぬものもある。不変のものがある。

どれ程変えようと試みても、どうしようもなく変わらぬものがある。

 

俺は変わりたくない。母上が強い子と誇って下さったままで居たい。

この想いは変えられん。強く深く大きく成ろうと変わる事はあり得ん。

 

「ヨンア?」

その時濡れ髪を拭いながら、居間前の廊下から此方を覗く瞳。

「まだそこにいるの?どうしたの?」

「・・・いえ」

 

この方は変わらない。いつでもこうして俺を気遣い、笑い、泣く方。

意地張りで天衣無縫で、仕来りも知らずいつでも自由に飛び回る方。

月の下、庭で笑う俺にあなたが縁側を降りる。

 

「何かあったの?」

 

その瞳に首を振り、見上げる瞳を見つめ返す。

どれ程時を経ても変わらぬものが此処にある。

 

「愛しております」

 

囁きに深く頷いて、あなたの両腕が俺を抱く。

もう直に日を跨ぐ。新しい日がやって来る。

あなたの声で始まった生誕の日を、俺の声で締めくくる。

 

「私も愛してる」

 

来年からは、こうして囁くだけで過ごそう。

誰の耳目も気にせずに、一晩中言の葉を交わそう。

どれ程に感謝しているか、どれ程に嬉しいか、そして決して離れぬと。

それだけが俺の祝宴に望む最高の贈り物だ。

 

湯上りの襟元から覗く首筋の金の鎖が、控えめな月より輝いている。

その金の光を指先で静かに辿ると、三日月の瞳が閉じられる。

陽の光のような眩しいあなたを腕に抱き締め、今宵最後の告白をする。

 

「愛しております」

 

これ程囁くのは年に一度、今日だけで良い。

囁かぬから変わるわけでは無い。告げぬのは失くしたからでは無い。

変わらぬこの方には伝わる筈だと祈りながら、俺は静かに眸を閉じた。

 

 

 

【 2016 再開祭 | 佳節 ~ Fin ~ 】

 

 

 

 

 

 

 

 

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