あなたはバターにどれだけのお金を払いますか?
「バターは高いから、同じようなマーガリンでいいよ」なんていう人がいるかもしれません。
そんな気持ちでこの店に入り、売場を見ると自分の目を疑います。
2580円!
しかもPOPには「グラスフェッド」なる、一般には意味不明な言葉か書かれています(ちなみにグラスフェッドとは自然放牧により牧草のみで肥育する飼育方法)。
しかし、この商品が売場に並べる端から売れていくといいます。
質問を代えます。
あなたは牛乳にいくら払えますか?
1リットルで198円というのが一般的な相場ですね。
しかし、この店でいちばん人気は720ミリリットルで1620円!
しかも商品名には、聞きなれない「生乳」なる言葉が書かれています。
この日もすでに売り切れでした。
この店を初めて訪れたお客さんは、みごとに二つの行動をとるそうです。
一つは、小さな店ながら長時間にわたって売場を回り、両手の買物かごに持ち切れないほどの商品を詰め込む人。
もう一つは、何も買うものを見つけられなくて空の買物かごのまま、短時間で店を出ていく人。
なぜならこの店には、テレビコマーシャルでよく見るナショナルブランド商品は一切ありません。
だから、そういう買物をしてきた人には何を買っていいかわからないのです。
「“教える”と言ってはおこがましいのですが、お客さまにほんとうに良いものを伝えることが商人の使命です。そして、そんな良いものを情熱を込めてつくる生産者の想いと価値をお客様に伝えること、それが商人の喜びです」と、店主は品揃えの理由を語ります。
「とりわけ食においては、売れるものが良いものではありません。コマーシャルに洗脳されたお客様が望む売るのではなく、お客様のためになるものを伝え、共感いただき、購入いただく。商人の喜びはそこにあります」
隣接地にある某大手チェーンのパートさんが仕事帰りに、この店で買物をしていくという事実。
駅前某百貨店の空のショッピングバッグを下げてお客さんがやって来る魅力。
遠く軽井沢からやって来て、買物カゴをいっぱいにするお客さんの笑顔。
その店は、群馬・高崎にある「スーパーまるおか」といいます。
粗利は業界平均より8ポイントも高く、客単価も2倍近くあるのはなぜか?
その詳細は12月28日発売の商業界2月号でリポートします。
追記
お待たせしました。
まるおか店主、丸岡守さんの著書『おいしいものだけを売る 奇跡のスーパー「まるおか」の流儀』が7月1日刊行となりました。
ぜひ、お読みいただきたい一冊です。