本日のコミティアで行われた、ちばてつや先生の「マンガの授業」から。

<愛されるキャラクターを作るには?>

欠点、弱いところを作って親しみやすくする。
自分には出来ないけど、こうなったらいいなあという言動をキャラにしてもらう。
暗いキャラも魅力的だが、一般的には明るいキャラが好まれる。
(ちば先生は、暗い影のあるキャラが好きだそうです。)
暗いキャラをどうしても出したいのならば、明るいキャラと一緒に出せば良い。
うじうじキャラも頑張れ!というのが、ちば先生の気持ち。

<卒業制作の2作品を講評しながら>

読み切り作品では、主人公と主人公に関係する2~3人だけに光を当てる。
出だしのコマから、どれが主人公か一瞬で分かるように構図を工夫。
主人公以外の他の人を一生懸命に描き込むと、読み手が混乱する。
メインキャラを浮き立たせるために、他の人間はあえて粗く描く。
構図の上でも、主人公を目立たせるように人物の配置などに工夫を。
(ただし、長期連載の時は、たとえモブであっても、その人の歩んできた人生を想像できるように丁寧に描き込むことはある。)

主人公を他のキャラから区別しやすくするために、何かワンポイントを付ける。
髪飾り、着物の柄、小物、髪型などに気を配る。
読み手に分かりやすく見せる工夫を常に考える。
描き手は、自分の気持ちばかり追わずに、読み手の気持ちを想像するのが、すごく重要。
読み手からはどう見えるだろう?という視点をなくさないように。

漫画のコマ割りは自由なのだから、効果的なコマの形(縦長、横長など)を常に工夫する。

20歳くらいだと、人生経験が少ないので、出会った人の数も、たかが知れている。
そのためにキャラクターの造形も膨らまない。いろんなタイプを描くのは難しい。
おススメは小説を読む。映画を見る。漫画を読む。
特に世界文学全集のようなものは必読。
100年200年経っても読める小説は、本物。キャラクターの宝庫。研究しない手はない。
ずるいけど素敵、悪人だけど魅力的など、個性的なキャラがたくさん出て来る。
他人の作品は自分の作品を作る時に必ず役に立つ。
自分の中に作品のタネをたくさん仕込むように。

漫画は、人に読まれてこそ意味がある。
自分が描きたいものだけを描くような、ひとりよがりな作り方をしない。
相手に読んでもらおう、相手を喜ばせようという気持ちを忘れないこと。

漫画を描くというのは、とても大変なこと。
忍耐力、集中力、体力、気力いろいろ必要。

そこで「マンガはガマン」というキャッチフレーズが生まれました。

ちば先生は、非常に基本的なことに言及していました。
やはり基本が重要だということでしょう。

私からも付け加えれば、小説は古典が大事。同感です。
キャラクター、テーマ、アイデア、ストーリー展開、いずれも先人がやりつくしている観があります。
それならば、平成の感性でそれを捉えなおすとどうなるのだろう?で、良いと思います。

映画も今ヒットしているものばかりでなく、古いもの、名前だけは知っていても、面白いのか面白くないのかすら分からないもの。そういうものを騙されたと思って観てみる。
全然関心がなかったのに、人生でベストな映画に出会うこともあり得ます。

「グランドホテル形式」と呼ばれる、作劇法があります。
「グランド・ホテル」という映画の設定を模倣した、映画や演劇のメソッドですね。
映画では、ベルリンにあるグランド・ホテルを舞台にして、そこで日々起きる生々しい人間ドラマを描いているのですが、1932年作で、古いうえにモノクロ。実は昔、あまり気が進まないままに観たのですが、その生々しさ、テンポ、迫力に圧倒されました。事前の古色蒼然としたイメージをあっさり裏切られました。これが古典のチカラなんですね。観て良かったという例。
実は、このグランドホテル形式、原型はバルザックの作品「ゴリオ爺さん」(1835年)に出て来る下宿屋の食堂に見られるそうです。こっちも有名な古典ですね。

他にも、モノクロの名画が数多くあります。
「十二人の怒れる男」「隠し砦の三悪人」「七人の侍」「街の灯」「ローマの休日」「東京物語」「市民ケーン」「第三の男」「サンセット大通り」「イヴの総て」「禁じられた遊び」……。

毎年ものすごい数の映画が公開されているのを考えると、50年も60年も70年も前に作られた映画が、いまだに残っていることの意味が分かると思います。
それだけ凄いんです。内容も、生命力も。それから人気も。


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