NOAH 12/24/16 後楽園

中嶋勝彦×マサ北宮;GHC王座戦

驚愕だったのは、北宮のホーガンを模したパフォーマンスの張り付いたヴィジュアル。監獄固めへの流れはセルフプロデュースの失敗が大きく出てしまい中嶋の間を空けたヘビーでの闘い方も相まって、長いだけの情報密度が小さい試合に。☆2.5

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現在ブレイク中のマサ北宮ですが、風貌の野生性も踏まえると昭和チックなプロレスラーとしてのロマンスを感じます。さらに必殺技はサイトースープレックスに監獄固めとこの時代だからこその渋さのテイストが期待を募らせますが、実際そこにあったのはセルフプロデュースの失敗例。ホーガンのハルクアップのような気合いの入れ方は嫌いではないですが、いちいち試合のテンポに間を空けてしまい、エルボー合戦をする必要のない場面で相手を待ってしまうシーンもあり、結果的にクライマックスまで鈍重な印象を残したまま、中嶋も打撃ラッシュが光らないまま30分近く試合を続けてしまうメインイベントとしては失敗作へ。そもそもサイトースープレックスを繰り出さずに試合を30分近く続けさせてしまったり、むしろ変にパフォーマンスの間をとってしまっているため情報密度の小さいことがどうにも聖夜に後楽園へと足を運んでくれた観客に対してどう感じたのだろうか?☆2.5

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DDT 8/23/16 両国国技館

飯伏幸太&佐々木大輔×関本大介&岡林裕二;KO-Dタッグ王座戦

ファンタスティックの上を行く、インパクティブなシーンの連続に心躍りますし、物理的に筋肉が躍動してます。関本&岡林という人間エヴェレストの登頂を人間凶器の飯伏と凡人ながら色気のある佐々木が目指す。絶景。☆4.25

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関本と岡林の天然由来の人間筋肉祭りって何ですか!?何なんですか!?人間山脈など何なのと言いますが、この山動きますよ!それに対して登頂目指す2人は人間凶器にして狂気人間の飯伏とプロレス的美学に満ちた色気ある凡人(この4人の中では…)佐々木。これが飯伏とケニー・オメガのタッグだったらイデア界のプロレスになってしまいますが、佐々木大輔というエッセンスがローンバトル要因であり、絶望の中の予測外を演出できるキーパーソンになってます。その中で個々が得意とするパワーなりハイフライなり、捨て身なりとインパクティブなムーヴを外すことなく提供できることが嬉しくて仕方ないですね。飯伏が関本にラリアットで打ち勝つとか、スワンダイブ式ジャーマンをタッグワークの中で放つとか、これが幸せなひとときに分類される光景なのですね。好勝負。☆4.25

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全日本 9/4/16 王道トーナメント1回戦

諏訪魔×宮原健斗

空白を埋めるように獣を宿す諏訪魔。対するは、プロレス的空白飛び込み栄光とチャンスを手に入れた宮原。諏訪魔の覆いかぶさるスリーパーを皮切りに取り戻す情熱と、諏訪魔を狩ることにエゴを尖らす宮原の表情は忘れがたい。決着はドラマチック。好勝負。☆4

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正直、諏訪魔の離脱により全日本は1つの重力から解放されたように感じてしまいました。宮原はこの好機を逃さずにそのスタミナとタフネスの美学を武器にプロレス的空白を埋める救世主となりました。互いにプライドを貪欲性に感情を乗せた試合となりました。諏訪魔は空白を埋めるように密度の高い、圧迫するようなレスリング。上を取り、ボディシザースとスリーパーで削りとりにきます。諏訪魔はクマのようなレスリングです。宮原は防戦一方なのですが、やはりタフネスの美学を色気としてたっぷり纏って宮原の躍動、舌をペロッと出す表情の演技力にはしてやられました。最後は諏訪魔のレボリューションボムというドラマティックなフィニッシュ。これはやられました。好勝負。☆4

 

 

全日本 11/27/16 両国国技館

宮原健斗×諏訪魔;三冠王座戦

諏訪魔の嫉妬×宮原のエゴ。くううううっ!ドラマチック!!諏訪魔はフィジカル面で宮原を圧倒できる才を持ち、宮原は大きな相手に対して、タフネスを生かして、粘って活力を見せるというシンプルなエモーション構図が巧い。激しく楽しい好勝負。☆4

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両国国技館での三冠戦という伝統に対して、クマのような体格の諏訪魔が王者でなく挑戦者として、若きエース格となった宮原に向かうのは、嫉妬でありエゴであり、付与されたドラマチックさがロマンチック。単純に大きな奴とタフな奴が凌ぎを削るというエモーショナル的に激しく、楽しさをもった試合として熱量を伝えられるのは良い構図です。諏訪魔が反則ギリギリまで勝利への渇望を出してくるのは堪らないですね。覆いかぶさってチョーク攻撃なんて絶望的です。投げて、投げて、投げての中盤から、打って打って打ってのクライマックスでテンションは上がること間違いなしの構図でした。両国という地だからこその想いも熱量に変換された、全日本プロレスの現在進行形を見せた好勝負。☆4

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WWE NO MERCY 2016

ドルフ・ジグラー×ザ・ミズ;IC王座戦

ブランド分けをしてバイプレイヤーにもその価値の濃密性、存在価値の濃密性が増したことの成功例が生まれました。キャリア×タイトルというシリアスなテーマからハードでもがく様なワンシーンまで密度の濃い“楽しさ”を2人が魅せた名勝負。☆4.75

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私がWWEを見始めたとき、ミズがタフイナフからデビューして、WWEに飽き飽きしたときにジグラーが現れた。正直、思い入れの強い2人の試合であり、それがキャリア×タイトルというジョーカー級のシリアスなカードになっているので、片方が消える可能性も含めてドキドキを強いられるわけである。ミズはこういう場面でかつてのダニエル・ブライアンとの遺恨をポージングで魅せてくれる流石の演出力とロープを利用してのパワーボムのようなダイナミズムから、四字固め、膝立DDTのような細かい部分まで熱が入っています。そしてジグラーは自身の進退問題が未来に賭けられているため、ミズのサブミッションに耐える悲痛な演技力と、土壇場でのロープブレイクという綱渡り的な自身のプロレス感覚を見事に出し切っています。最後はマリースとスピリット応援団(まだいたのか?懐かしい)のカオス状態というトンネルを抜けきったジグラーのフィニッシャーが素晴らしい。タイトル奪取後のジグラーの歓喜と観客の歓喜の交差する場面で、この試合がメインでなかったことが多いに惜しまれるのである。名勝負。☆4.75

 

 

WWE SMACKDOWN 10/16/16

ザ・ミズ×ドルフ・ジグラー;IC王座戦

2人の積み上げがあっての楽しい演武が見られる序盤部分は極上ですね。PPVでないためシリアス性からくるドラマチックな躍動感は弱いですが、TVマッチだからこそのラストの呆気なさや小狡さも含めパッケージングは巧みでした。好試合。☆3.75

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中々WWEでのベビーフェイスの王座継続期間は流石に短いですね。その部分はイライラする、不快に感じる部分なのですが、ミズ×ジグラーに内在されるライバリティやバイプレイヤーとしての揺るぎなさが感じられる冒頭3分の攻防は最高です。そしてラストのマリースの物理的でないアシストの仕方も好きです。好試合。☆3.75

 

 

WWE TLC 2016

ザ・ミズ×ドルフ・ジグラー;IC王座ラダー戦

遺恨の終着点としてのラダーマッチは伝統芸能であり、その中での近年のラダーマッチ=過激な試合という短絡思考に陥らなかったのは非常に良かったです。ギミックの生かし方は終始センスがあり型の中で躍動していました。好勝負。☆4.25

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2人のラダー戦かつ遺恨マッチならば、過激化する人体破壊ショーのカードを切ってしまう恐れがありましたが、そこはラダーに対して何をするか、何ができるかという枠内での工夫や絵の提供、積み上げが丁寧だったので安心しました。ただドラマ性に関しては「NO MERCY 2016」が最高峰に位置してしまったため序盤はあっさりした印象。ミズのラダーを使っての脚殺しとジグラーの素晴らしいダメージ演技からグイグイとテンションを上げていき、ミズの脚へのダメージからラストは気力勝負。ダブルラダーを使いながらも過激ばエンディングでなく、ミズが流石のヒールキャラであると同時に大きく自身のキャリアの積み上げを証明するフィニッシュだと感じました。好勝負。☆4.25

新日本 1/4/17 東京ドーム Wrestle Kingdom 2017

髙橋ヒロム×KUSHIDAIWGPJrヘビー級王座戦

正直、髙橋が自分のペースで勝負しに行って、KUSHIDAも自身のプロレスをしているがゆえのチューニング性が欠如した前半がノイズ。インパクティブなムーヴで後半盛り返しますが、時限爆弾を煽ったわりにはセンセーショナル性が弱い。☆3

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髙橋はセンスはたしかにあるのですが、ミスティコが初来日したときのようにあくまでルチャの世界で育ったという間が気になります。それに対してKUSHIDAが対してエスコートしないのはいただけません。冒頭の奇襲攻撃の価値を作らないような前半構成なので、滑り出しの時点でノイズが入ってしまったのが惜しまれます。後半はKUSHIDAの断崖式パワーボム回避芸から場外でのキャッチ式のクロスアームブリーカーとワクワクする感覚が戻ってきたのですが、最後まで腑に落ちない攻防でした。☆3

 

 

後藤洋央紀×柴田勝頼;NEVER無差別級王座戦

ストロングスタイルとどつき漫才には似ているところがあるかもしれない。互いに互いの存在を信じ、そこに内在する勢いと熱量が観客に伝達されていく。かつて島田紳介が漫才はラスト30秒と言ったように、ラストにすべて注がれた。☆3.75

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柴田と後藤は互いに友情という絆とプロレスという腐れ縁でつながっている。正直何度目のシングルだよ?という言葉も掛けたくなるレベルではあるが、今回はボロボロ、いやズタボロの柴田の意思を受け継がんとするドラマを背後に忍ばせているようにも見える。序盤からシュッ、シュッと緊張感ある打撃と英国から持ち帰った柴田の腕攻めを交えて、このカードも進化しているところを提示しつつやり取りを行っている。正直大きく変わった部分こそないわけだが、頑固な柴田のプロレスと不器用な後藤のプロレスが交わるのは見ていて嫌な気はおきない。そしてラスト30秒~1分に注がれる全身全霊の熱量の迸り方のは恐れ入ったと言うしかない。後藤の裏GTOという斜め上の暴虐に加え、友を解釈するべく繰り出すGTOは格好良かった。好試合。☆3.75