2007-10-28 22:43:20 テーマ:

百器徒然袋-風/京極夏彦

百器徒然袋-風 (講談社文庫 (き39-12))/京極 夏彦
¥1,140
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割と久々の京極作品。

この百器徒然袋、はてどんなシリーズだったか。

帯に“榎木津礼二郎だ!”とあるので、榎さんの話なんだろう。

(そう、記憶力がとんでもなく無いのです)


はじめの「五徳猫 薔薇十字探偵の慨然」に第四番とついている。

あれれれ、話が続いているの?き、記憶が…。

気にせず読み始める。


今回の“僕”は、図面引きの本島。

※京極堂シリーズでは、たいてい誰かひとりが主人公になって話が進む。


本島ったダレダ?と思いつつも、とにかく読んでいくと、

場所は世田谷区の豪徳寺のようだ。なるほど、あの招き猫の寺ね。

それで今回はにゃんこ先生の表紙で可愛げがあるのか。

※京極作品の表紙はいつも怖い。一人暮らしの時は、正直夜見たくなかったもん。


美津子という娼窟に売られた女からの依頼。

主に嘘をついてまで向かった郷里の母親に、娘ではないと追い返される。

どういうことなのか?と。


いつものように京極堂も巻き込まれ、五徳猫と美津子の半生がシンクロ、

さらには過去の殺人・失踪事件も複雑に絡み合っていて、

もはや本島の手の届かない、想像を越える大きな事件に発展。



次は「雲外鏡 薔薇十字探偵の然疑」

語り手は、もちろん電気配線工事会社の図面引き、本島。

しかも彼が拉致監禁されている場面から始まる。


その現場で見知らぬ紳士から意味のわからない猿芝居を強要され、

ようよう逃げ帰ったと思ったら、その猿芝居は現実の殺人事件に発展。

しかも、既に捕まっているという犯人は、本島と同じ記憶を有しているという。



最後は「面霊気 薔薇十字探偵の疑惑」

最後まで語り尽くす本島。そっか、まるまる1冊そうなのね。

今回は幼馴染で隣人の近藤の家に泥棒が入った場面から始まる。

(ほんとは本島の一人問答というかぼやきから始まるのだが)


それは連続して起こっている空き巣被害で、

なんと容疑者は薔薇十字探偵社のマスカマこと益田。

もちろん彼は無罪なので、完全なるスケープゴート。

同情しつつも他人事と安心していた本島も、

最終的にはとんでもない役を担わされ、散々な目に遭う。



まぁ、ざっとこんな話で800P強。

3つの別々の事件(結局根っこで繋がっているのだが)が起こるわけだが、

結局はずっと同じことをしているにすぎない。


胡乱な本島が右往左往し、マスカマやら和寅やらの下僕が奉仕し、

京極堂が例の死神のような顔で助け、榎木津がひっかきまわして、はい終了。


もっと言えば、本島がひたすら自分を貶め、

榎木津が罵詈雑言を撒き散らして暴れまわる、

というだけの800Pなのだ。この正反対のふたりがすごい。


榎さんの傍若無人ぶりは、京極好きにはつとに有名だが、

なんせこのシリーズは登場回数が多い。

それだけ犠牲(生贄?)になる人間も多くなる。でも痛快。


そして本島の自分に対する悲しいくらい正鵠を得ている評価。


浅学、下僕その一、普通、無知蒙昧な幼子、しがない図面引き、

凡夫、平平凡凡たる無辜の民、人畜無害な民草、無能、愚鈍、

どうでもいい人間、臆病、小心者、大いなる凡人、間抜け、

透明人間、道化者、刺身のツマ、魚を釣るための餌(イソメ)、

犬以下、凡庸、愚かで劣っていて駄目で馬鹿な自分…。


凡の字が異様に多い。卑下するにも程がある。おまけに、

「(○○していれば)僕は凡人だけが住む凡人の天国で平平凡凡とした凡人の暮らしが…云々」

こんなギャグにもならない言葉も発している。尋常ではない。


巻き込まれ型でいえば関口もそうだけど、本島の場合は少し違った雰囲気。

ウェットな関口に比べて、本島はとても乾いているかんじ。

じたばたする関口も面白いけど、本能的に何でも従ってしまう本島も、かなり面白い。

(ふたりともこうでなければストーリーは進まないのだ)


京極堂シリーズではお馴染みの、前の事件の話は今回も少しだけ出てくる。

本作のキーになる羽田家はもちろん、なんと織作家までも。

織作家って1番最初のだっけ?うーん…。


頭の中は、もはや霞がかっていてほとんど見えやしない。

読み返して、今度こそ記憶に留めたいところだが、いかんせん長過ぎる。

1ヶ月くらいバカンスでも取らないと無理だ。

(一度だけ試みたことがあるけど、尋常じゃない長さに断念した)


まぁ、京極好きなら何はなくとも絶対読むでしょう。

そんなアナタに。今回は待古庵が出てきますよ。


マチコさん、私の想像ではビリケンさんみたいな風体。

今まで勝手にそう思っていたけど、本作で「あごはないが目鼻のパーツがでかい」とある。

どんな顔やねん。あーあ、キャラ顔じゃなかったのか…残念。


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