知財管理誌2017年6月号の発行から1ヶ月が経過しましたので、弊所のホームページに拙稿を掲載しました。

 

ご興味のある方は、ご覧頂けますと幸いです。

 

http://www.tsunoda-patent.com/doc/2017_06chizaikanri.pdf

非特許文献調査について  角田 朗*


 抄 録 最初に,学術論文など非特許文献調査の目的について解説した。次に,非特許文献を調査できるデータベースを紹介した。最後に,非特許文献により特許が無効と判断された裁判例3件を紹介した。日本や欧米の特許公報調査とは異なり,非特許文献はデータベースが十分には整備されていないため,その調査を行う際には様々な手法を使い分ける必要がある。さらに,非特許文献調査が有効な技術分野と,有効ではない技術分野があり,調査開始前に非特許文献調査が必要か十分に検討すべきである。

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知財分析を経営の中枢に

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昨日の日経朝刊に「知財分析を経営の中枢に」という記事が掲載されていました。

電子版にも同様に記事がありますが、2つに分割されています。

 

欧米企業を中心に、特許の分析をマーケティングにも生かすようになっているというのは、事実だと思います。

一方で、そのようなことは、自社でとうに行っているという声もありました。

 

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO1887109014072017TCJ000/

 企業が抱える知的財産を分析し、経営戦略に生かす「IPランドスケープ」と呼ばれる手法が注目され始めた。これまでも研究開発や製品差別化を支援する「特許調査」は多く使われてきたが、IPランドスケープは生き残りをかけた経営判断やM&A(合併・買収)に貢献する。先進企業の取り組みを追った。

 

 

この記事によれば、ナブテスコは今回の買収を「知財部を含む技術本部が主導して実現した初めてのM&A」と言っているようですが、実施主体は「知財部」ではなく「技術本部」です。

 

知財部だけでM&Aや投資を決めるのは難しいでしょう。一方で、技術企画部のような部署は、知財のことが良くわからず、その分析もできない。

役員と経営・技術企画部門、知財部門が協同して、投資案件について議論する。これが現実的でしょう。

 

なお、キヤノンは以前から、実質的なIPランドスケープを実施してきたとのことですが、キヤノンは元々マーケティングが上手な会社です。カメラにしても複写機にしてもプリンタにしても、ラインナップに隙がない。

伝統的にマーケティングと知財に強い会社が、知財も生かしたマーケティングを行うのは自然の成り行きです。

 

http://www.nikkei.com/article/DGKKZO18871140U7A710C1TCJ000/

 日本企業でも例外的に知財部門の地位が高いキヤノンでは長年、実質的なIPランドスケープを実施してきた。

 

なお、調査をしていて感じるのは、検索よりも、発明の要旨認定、侵害認定、一致点と相違点の認定(新規性の判断)ができていない調査結果が多いことです。

 

知財の基礎ができていません。進歩性や均等論以前の問題です。

キヤノンの知財法務本部は500人程度のスタッフがおり、基礎ができているから、経営陣へ提言できるという面があるのでしょう。

 

なお、東大の渡部俊也先生は以下のように述べていますが、上述の通り、知財部門のみで全社戦略を立案するのは現実的ではありません。役員と経営・技術企画部門、知財部門が協同して行うべきでしょう。

 

http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/170120/cpd1701200500005-n2.htm

「知財部門の本音は、事業戦略対応で目いっぱいということだ。全社戦略は本来、知財部門の仕事ではないレベルにあり、三段跳びのような感じになる。だが企業が新時代に対応してビジネスモデルを変えようとするときに知財的な観点は絶対に要る。知財部門でできないなら、(経営者は)別の人たちにやらせるようになるかもしれない。知財部門の仕事ではなくなるかもしれない。これが現状だ」(知財情報&戦略システム 中岡浩)

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今年の特許・情報フェア&コンファレンスの日程が公表されています。

例年と同じく11月の第2週、11/8(水)~10(金)です。

 

前回までとは異なり、初日と2日目は1時間延長して18時まで開催されるとのことです。

18時まで開催だと、フレックスタイム等のある会社ならば、仕事を早めに切り上げて見学することも可能とは思います。

 

http://www.pifc.jp/

ごあいさつ

 国力や産業力の源泉となるイノベーション。我が国の成長戦略の柱は、やはり知的財産戦略に求められるでしょう。知的財産をめぐり世界中の国、企業、学術機関が大競争を繰り広げる時代に突入。その戦略手法も、政府支援、産学連携、国際連携と多様化、複雑化してきました。しかしながら、この大競争時代を乗り切るのに不可欠で基本となるのは、やはり知財や特許の情報です。
 最新の特許・情報と知的財産関連の新製品・新技術情報を一堂に網羅する、我が国最大の専門見本市を絶好のビジネスチャンスとしてご活用ください。

開催概要

名 称 2017 特許・情報フェア&コンファレンス
会 期 2017年11月8日(水)~10日(金) 3日間 10:00~18:00(10日は17:00まで)
本年は、初日・2日目の開催時間を1時間延長しました。
会 場 科学技術館(東京・北の丸公園)東京都千代田区北の丸公園2-1
主 催 一般社団法人発明推進協会 一般財団法人日本特許情報機構
フジサンケイビジネスアイ 産経新聞社
後 援 経済産業省 特許庁 独立行政法人工業所有権情報・研修館 日本商工会議所
併 催 コンファレンス / 企業プレゼンテーション
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昨日、INFOSTAの「情報の科学と技術」2017年7月号が届きました。

特許情報と人工知能(AI)が特集されています。さっと、特集記事全部に目を通してみました。

 

 

人工知能を過大評価する風潮もあり、記事の中にはそのようなものもありましたが、この特集を読むと、むしろAIの専門家のほうが、AIができること、できないことを慎重に考えているようです。

 

特許文書は請求項が独特で、技術内容の専門性も高く、解析が難しいという専門家のコメントもありました。そして特許文書の解析を行うには、大量の特許文書データと、それに紐づけられた正解データが必要になるが、それをそろえることが難しいとのことです。

 

特集の最後は、企業の知的財産部門で調査のマネージャーをされている方の論文ですが、AIは新規性を否定するX文献を探すことはできても、進歩性を否定する文献の組合せや論理づけは困難というコメントがありました。同感です。

 

この企業さんでは、通常は研究者が調査を行っており、検索の容易さと関係する段落が表示される点を評価して、AIを使った特許検索システムを導入したとのことです。

侵害予防調査の漏れチェックにも活用しているそうです。

 

現状、調査漏れを減らしたい場合や調査精度を重視する場合には、調査担当が特許分類とキーワードを使って調査しているとのこと。

 

インターネットが普及して、郵便や電話の利用は減りましたが、人間の仕事が減った訳ではありません。自動車が普及して馬車は利用されなくなりましたが、むしろ雇用は拡大しました。

 

AIが仕事を手伝ってくれるのならば、人間はそれ以外の別の仕事をすれば良いだけです。

AIが人間の仕事を奪うというのは、幻想でしょう。

「Octimine」という特許の検索・分析データベースがリリースされましたので、IDを登録し、試用してみました。

 

発明技術にまつわる情報が瞬時に検索できる専門データベースとのことですが、検索機能が限られており、必要な情報を的確に取り出すのが難しそうです。

 

検索集合に無関係な情報(ノイズとなる公報)が多数含まれていると、分析を行っても意味のある結果は得られません。

 

今も昔も、発明者にとって使いやすいツールが、登場しては消える、を繰り返しています。

カメラなどでもそうですが、初心者向けの機種が本当に使いやすいかというと、必ずしもそうではありません。

 

分析ツールも、まず必要な情報をしっかり取り出せるように設計して欲しいと思います。何事も基本、基礎が大事でしょう。

 

http://getnews.jp/archives/1781278

特許とは、発明者やその継承者に対して特許権という独占権を与え、その発明の独占的な利用を認めることで、新規性や進歩性のある発明を保護し、奨励する制度。

一般に、新しい発明について特許権を得ようとする場合、先行技術の存在や第三者が保有する特許権等の権利侵害の可能性などを明らかにするべく、特許調査が実施される。

特許調査にあたり、日本の「特許情報プラットフォーム」や米特許商標庁(USPTO)の「PatFT」、欧州特許庁(EPO)の「Espacenet」など、公的な特許情報データベースがオンラインで開放されているものの、個別の調査には相応の時間を要することが多い。

 

「Octimine」は、独ミュンヘンで2015年に創設された「Octimine Technologies」が独自に開発した特許情報データベースである。

特許情報や科学雑誌、製品情報、ニュース、ブログなど、科学や技術にまつわる情報が広く網羅されており、キーワードで検索すると、類似特許の一覧に加え、該当技術のライフサイクル、特許の経済的価値や法的リスクなどが表示される仕組み。

独自の“意味解析手法”により、精度の高い検索結果を瞬時で導きだせるのが特徴だ。なお、「Octimine」の課金モデルには、いわゆる“フリーミアム”を採用。機能は限られるものの、会員登録をすれば無料でも利用できる。

INPIT主催、発明推進協会実施の中小企業等特許情報分析活用支援事業に、弊所子会社も参画することにしました。

 

(株)IPRCになります。

ご依頼、お待ちしております。

 

http://ip-bunseki.go.jp/topNaviColumn_02/list.html

 

(株)IPRC 化学構造検索、遺伝子配列検索は除く 75,600円
(※医薬、バイオ系は
別料金 129,600円)
+97,200円 +129,600円 +54,000円
NRIサイバーパテントデスク2、
J-PlatPat
Orbit、
NRIサイバーパテントデスク2
J DreamⅢ
J-STAGE、
Google Scholar、
AgriKnowledge、
J-GLOBAL、
図書館
J-PlatPat、
NRIサイバーパテントデスク2

 

フランスのクエステル(Questel)社が、5/15日本のアルトリサーチ株式会社を買収したそうです。

 

弊所でもクエステルの外国特許データベースOrbit.comを利用しています。

 

アルトリサーチは特許管理ソフトやパテントマップ作成ソフトを販売しています。以下に記載されたように、外国特許データベースとシナジーがあるのでしょうか。

 

http://www.youbuyfrance.com/jp/Posts-13969-

仏クエステル社がアルトリサーチ株式会社を買収

 

特許検索サービスから知財管理へとサービス拡大にあたり日本市場を強化

 

先進的な知的財産データベース“Orbit Intelligence”で知られるフランスのクエステル社(Questel、本社パリ)が、この度、5月15日に知的財産関連ソフトウェアの開発販売会社、アルトリサーチ株式会社(東京都江東区)を買収しました。これによってQuestelアジアパシフィック代表のティエリー・コンシニがアルトリサーチ(株)の代表取締役社長に就任いたしました。

 

日本では、2011年以来、中央光学出版株式会社(CKS)が代理店となりOrbitソリューションの提供を行っています。当時は特許検索を主体としていたサービスも、この数年で特許ポートフォリオの解析や評価といった機能が加わり、現在では、商標や企業情報を対象に扱うデータベースや知的財産のコスト管理を行うツールを開発し、総合的なサービスへと成長しました。

 

今回のアルトリサーチの買収により、これまで大手国際企業を中心とした約300社のOrbitユーザーに加え、中小企業、大学、特許事務所といったアルトリサーチの持つ顧客層へのアプローチが可能となり、新規拡大分野における市場の足固めにつなげます。

先月、特許庁より、IoT関連技術の特許分類を用途別に細分化するというアナウンスがありました。

この度、J-PaltPatで細分化されたIoT関連技術の特許分類が利用可能になったとのことです。

 

ただし、古い公報への遡及付与は、過去6、7年分程度のようです。

 

http://www.jpo.go.jp/shiryou/s_sonota/iot_bunrui_tikuseki.htm

平成29年5月

 

IoT関連技術については、平成29年4月から、広域ファセット分類記号ZIT(※1)を12の用途別に細分化した上で特許分類の付与を行っておりましたが(※2)、この度、細分化された項目の特許分類情報が、特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)(外部サイトへリンク)に蓄積され、IoT関連技術に関する特許情報の収集・分析を行うことが可能となりました。

特許情報プラットフォーム上部の「特許・実用新案」から、「3.特許・実用新案分類検索」を選択し、「検索式(必須)」欄に下記の各広域ファセット分類記号を記入し、検索を行うことで、各分類が付与されている用途別のIoT関連技術を抽出できます。

IoT関連技術の特許分類情報については、今後も出願公開状況や審査状況に応じて、順次特許情報プラットフォームに蓄積されていきます。

 

用途別に細分化された広域ファセット分類記号一覧
ZITInternet of Things[IoT]
ZJA・農業用;漁業用;鉱業用
ZJC・製造業用
ZJE・電気,ガスまたは水道供給用
ZJG・ホームアンドビルディング用;家電用
ZJI・建設業用
ZJK・金融用
ZJM・サービス業用
ZJP・ヘルスケア用,例.病院,医療または診断;社会福祉事業用
ZJR・ロジスティックス用,例.倉庫,積み荷,配達または輸送
ZJT・運輸用
ZJV・情報通信業用
ZJX・アミューズメント用;スポーツ用;ゲーム用

パテント・トロールに示談金を払わずに完勝する方法という記事が載っていました。

 

(米国)特許70件に対して、5万ドルの予算で先行技術調査を行い、権利行使を阻止したという内容です。

記事には明記されていませんが、調査はクラウドファンディングでしょうか。

 

5万ドルは約600万円ですから、特許1件当たり8.5万円程度で無効化できたということになります。日本の審査請求手数料が出願1件につき平均15万円程度ですから、かなり廉価というか効率的ということになります。

 

しかし、10万円以下で無効化できる特許がこれだけあるのは、審査の質が低いという見方もできます。

 

調査会社等で、日本特許、欧米特許、非特許文献の無効資料調査3点セットを行うと、200万円以上かかる場合も少なくありません。

 

特許庁が特許にしたということは、本来はかなりの確率(80%以上)で特許が有効ということです。それが10万円以下で覆ってしまう。

米国はパテントトロールの跋扈や三倍賠償など法制度だけでなく、特許庁にも問題が潜んでいるように感じます。

 

http://jp.techcrunch.com/2017/05/12/20170511trolling-the-patent-trolls/

しかし先月Blackbird Technologiesと名乗るトロール企業がCloudflare(そしてクラウドプラットホームのFastly)を、プロキシシステムのエラーメッセージに関する1998年の特許で訴えたとき、Cloudflareは反撃を決意した。このCDN企業はProject Jengoと名付けた懸賞プロジェクトを立ち上げて、Blackbirdが保有する70あまりの特許のすべてを無効にすることをねらった。

 

Project Jengoは、特許が“先行技術”(prior art)である証拠を見つけるために、総額5万ドルの資金を用意した。その特許が謳っている技術が、特許が申請される前に広く使われていたことを示す証拠だ。先行技術の証拠は、特許侵犯の主張を‘根拠なし’にする。そして5万ドルの資金のうち2万ドルは、CloudflareとFastlyの訴訟に関わっていた特許を無効化するために使われ、残る3万ドルは、Blackbirdのそのほかの特許の無効化に投じられる。

 

CloudflareのCEO Matthew Princeがブログに書いている: “Blackbirdは2014年の9月以来107件の訴訟を起し、今後も同社の特許を使ってそのほかの企業を訴訟していくだろう、と思われた。そこで、Blackbirdの特許に先行技術の有無を調べることが重要であり、それによって今後彼らが弊社やそのほかの企業を訴訟できないようにする必要があった”。

 

その調査の結果、Project Jengoの訴訟ではCloudflareの勝訴が確定し、一般的なパテントトロールの事案と違って同社は、示談(〜和解金支払い)を回避できた。

特許庁がと国際電気通信連合(ITU)と提携し、標準関連文書を特許庁に包括的に提供し、特許庁が特許審査に利用する旨の協力を行うとのことです。

 

通信などで、標準化文書が先行技術になる場合もありますが、今までは審査に十分利用できていなかったようです。

そのため、標準化文書を対象に、無効調査を行うことを売りにしている方もいます。

 

今後は、標準化関係で適切な審査が行われることが期待されます。

 

http://www.meti.go.jp/press/2017/05/20170509001/20170509001.html

本件の概要

特許庁と国際電気通信連合(ITU)は、ITUが管理する標準関連文書を特許庁に包括的に提供し、特許庁が特許審査に利用する旨の協力を行うことに合意しました。

今般の取組みにより、標準規格が策定される過程も含め、民間企業や団体がITUに提出する文書を効率的に特許審査に活用することができるようになるため、企業等は標準関連発明についてより的確な特許権を取得できるようになります。

1.背景

IoTやAI、ビッグデータ等の新技術がもたらす第四次産業革命と呼ばれる動きが加速しており、その基盤となる情報通信技術、及びその発展に不可欠な標準規格の重要性が高まっています。この高まりを背景に、企業等は標準規格を利用する発明(以下「標準関連発明」)を数多く生み出しています。
特許庁は、標準関連発明の特許審査のために、世界中の標準関連文書を含む非特許文献を対象として、先行技術文献調査を行っています。

2.特許庁とITUの協力

今般、非特許文献のより効率的な先行技術文献調査を通じた一層適切な権利付与を実現するために、特許庁は、電気通信の世界的な標準化を促進する標準機関であるITUと、ITUが管理する標準関連文書を特許庁に包括的に提供し、特許庁が特許審査に利用する旨の協力を行うことに合意しました。
今回の合意により、特許庁は、審査官が用いる専用データベースに、ITUから提供された標準関連文書を蓄積し、先行技術文献調査に利用します。これにより、審査官は、ITUの標準関連文書を専用データベースから容易に取得でき、より効率的に先行技術文献調査を行うことが可能となります。また、発行された標準に加え、従前から効率的な取得が特に困難であった標準規格策定プロセスで提出された文書も特許審査に利用できます。

ユーザーは標準関連文書を含む非特許文献の先行技術文献調査の一層の注力を求めているところ※1、この協力によりユーザーの要請に応え、非特許文献のより効率的な先行技術文献調査を通じた一層適切な権利付与を実現します。

3.今後の取組

特許庁はすでに国際標準化機構(ISO)と同様の協力を行うことを合意しております※2。特許庁は、今後もITU及びISOとの協力関係を深めるとともに、他の標準化機関についても同様の取り組みの可能性を検討し、審査の充実を図っていきます。