フリーがマネーフォワードを特許権侵害で訴えていた事件、原告のフリーは控訴せず、マネーフォワードの勝訴で判決が確定しました。

http://www.nikkei.com/article/DGXLZO19929600R10C17A8TJC000/

クラウド会計ソフトのfreee(フリー、東京・品川)が同業のマネーフォワード(東京・港)に起こした特許侵害訴訟でフリーの請求が棄却されたことについて、フリーが控訴しなかったことが11日、分かった。控訴期限は10日までだったが、両社…

 

以下に、東京地裁の判決が載っています。

原告の代理人、被告の代理人とも、自分の知っている方のお名前があります。

http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/011/087011_hanrei.pdf

 

読んでみると、原告のフリーは文言侵害も主張していますが、均等侵害が主たる主張のように読めます。本事件では、第1要件と第5要件が否定されています。

 

しかし、ビジネスモデル特許で均等を主張しても、ほとんどの場合認められないでしょう。

パイオニア発明であれば、発明の本質的部分の割合が高く評価され、その結果、第1要件が認められやすくなります。

しかし、ビジネスモデル特許の場合、ちょっとした工夫が認められて特許になる場合がほとんどです。発明の本質的部分はそのちょっとした部分で、本質的部分が占める割合は小さくなります。

 

本件の場合は、補正で限定された構成13E「前記対応テーブルを参照した自動仕訳は,前記各取引の取引内容の記載に対して,複数のキーワードが含まれる場合にキーワードの優先ルールを適用し,優先順位の最も高いキーワードにより,前記対応テーブルの参照を行う」が、本質的部分であり、均等侵害はあっさりと否定されています。

 

東京地裁の判決後、マネーフォワード側とフリー側のインタビューがネットに掲載されましたが、マネーフォワード側の説明は常識的で、納得感のあるものでした。

 

以下がマネーフォワード側の主張です。

https://japan.cnet.com/article/35104879/

 マネーフォワードを担当する日比谷パーク法律事務所の上山浩弁護士は、今回の訴訟について「ソフトウェアの特許侵害の証拠を見つけるのは非常に困難で、過去の判例を見てもUIに関するものがほとんど。マネーフォワード規模のサービスの場合、リバースエンジニアリングも実質不可能」としたうえで、「訴状と証拠を見せてもらったが、この証拠だけでよく訴えたなというのが正直な感想。freeeが提示した特許侵害の証拠は、内部解析した分析レポートが付いているのかと思ったら、GUIの入力と出力の画面キャプチャだけだった」という。

 

 また、「実務経験からして非常に違和感を持った」という。2016年9月下旬に、出願公開中の特許を含む複数件の特許番号とともに、特許がマネーフォワードに侵害されているという内容証明郵便が届いている。郵便では、どのサービスでどの特許が侵害されているか書かれておらず、詳細に検討できないことから、その部分を提示するようfreee側に求めていた。ただし、その1週間後には訴状が届いたという。「普通なら訴状の準備に1カ月程度かかるが、1週間で届いた。郵便を送付した段階ですでに訴状が作成されていたのでは」と、上山弁護士は語る。

 

以下がフリー側の主張です。若さ故の未熟さなのか、荒唐無稽なのか、主張に合理性がありません。

https://japan.cnet.com/article/35104918/

桑名氏 我々は、自動仕訳そのものと機械学習を使った自動仕訳に関する2つの特許を持っています。ここで我々の主張として言いやすかったのが、機械学習ではなく自動仕訳の方でしたので、初めからそれを主張していました。

――機械学習に関する特許を主張しなかったのはなぜでしょうか。

桑名氏 マネーフォワードの動作を調査し、2つのうちどちらのパターンに近いかを分析したところ、機械学習よりは自動仕訳が近いと判断したこと、またそちらのほうが裁判所にも理解してもらいやすいだろうということで、自動仕訳に関する特許を主張しました。

 

 我々が認識している経緯としては、9月28日付で警告書を送付していましたが、マネーフォワードは、弊社が設定した回答期限を過ぎた10月19日に書面で回答しています。その後、10月21日に裁判所に訴状を提出し、11月1日に送達しています。先方の代理人弁護士の上山先生が指摘するように、訴状の作成準備に1カ月程度要するのが通常だとしても、それは警告書を提出した時点を基準にするのが一般的であり、期限を過ぎて提出された回答のタイミングを基準とするのは適切ではないと考えています。

 

 我々が警告書を作成する段階できちんと情報収集していることなどを踏まえると、警告書の送付から1カ月というのは、我々としては十分な期間を持って、訴状を作成し、訴訟を提起したと認識しています。また、警告書を送付した段階で、次の手段を検討するのが通常です。今回の場合、しっかり期間を設けつつも、期限内にマネーフォワード側から回答がなかった時点で、弊社としては次の対応の検討に移りました。

 

 

フリーは回答が遅れたと主張しますが、相手側の製品のどの部分がフリーの特許の侵害なのか、具体的に警告しなければ、期限内に回答などできません。下手に回答すれば営業秘密を教えることにもなります。そもそも無茶な警告で特許を振り回したのは誰なのか。

 

フリーは裁判で、「本訴提起後に被告が改変を施した結果とも解することができる。」という主張もしていますが、インカメラ手続で一蹴されています。

まるで、路上で肩がぶつかったと因縁をつけてくる人物のようです。

 

サトウの切り餅は、今は一切買っていませんが、フリーの製品も今後使うことはないでしょう。

 

原告フリーの代理人も、このような無茶な主張をする会社に対し、苦労して訴状や準備書面をまとめたのではと推測します。

 

特許訴訟の件数を増やそう、特許権者の勝訴率を上げよう、和解ではなく判決をと、声高に主張する方もいますが、そのような訴訟社会が望ましいのか非常に考えさせられます。

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