知的財産と調査

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Westlaw Japanに、販売開始前の商品の形態の模倣行為に対して、不正競争防止法2条1項3号の保護を肯定した知財高裁裁判例の解説が載っています。

解説は、北大の田村教授です。

 

この控訴審裁判例では、 不正競争防止法2条1項3号の保護の始期と、スティック状加湿器の著作物性が争点となっています。

裁判体は知財高裁2部(清水裁判長)でした。

 

保護の始期を実際に販売された日ではなく、展示会へ出展した日としたのは適切な判断と思います。

しかし、スティック状加湿器の著作物性について、個別具体的な創作性判断をなしているのは行き過ぎと思います。

 

田村教授が主張するように、このような工業製品については、一律に著作物性を否定して良いでしょう。

田村教授は、「定型的に著作物を否定するための道具として、美術の範囲の要件を活用すべきである」と主張されています。

 

1/27で知財高裁の設楽所長が定年になります。後任は清水判事が有力視されています。今後、過度に創作性重視の傾向が強まると、かえって企業活動を萎縮させることになり、好ましくありません。

http://www.westlawjapan.com/column-law/

Ⅰ はじめに
 本コラムがとりあげるのは、展示会や見本市に出展したが、販売開始前の商品の形態の模倣行為に対して、不正競争防止法2条1項3号の保護を肯定した知財高判平成28.11.30平成28(ネ)10018[スティック状加湿器]である。

  不正競争防止法2条1項3号は、商品形態のいわゆるデッド・コピーを不正競争行為であると定義しているが、同法19条1項5号イは、「日本国内において最初に販売された日から起算して3年を経過した商品」については2条1項3号の保護を否定している。したがって、「最初に販売された日」から起算して3年を経過した場合には、同号の保護が及ばないことは規定上、明らかであり、それが保護の終期となるが、いつから同号の保護が開始されるのか、すなわち、保護の始期に関しては、はっきりとした明文が置かれているわけではなく、解釈に委ねられている。

 そのようななか、本判決は、販売開始前の商品が、デッド・コピー規制による保護を享受しうる要件を明らかにしたという意義がある。あわせて、保護の終期の起算点である「最初に販売された日」についても判示した点も重要である。

 

Ⅴ 結びに代えて

 不正競争防止法2条1項3号に基づく差止請求を保護期間満了を理由に棄却したために、本判決は、原告から選択的に請求されていた著作権侵害の成否の論点にも立ち入り、結局、原告の商品(スティック状加湿器)につき著作物該当性を否定している。その結論自体は目新しいものではないが、工業製品である椅子の形状について、従来の裁判例と趣を異にし、著作物性を肯定した、知財高判平成27.4.14平成26(ネ)10063[TRIPP TRAPP]※29を担当した清水節裁判長が下した判決ということでも注目を集めている。

 前掲知財高判[TRIPP TRAPP]に比すると、抽象論として、美術の著作物の外延を画するのに、美的観賞性をもって当てるべきである旨が説かれるとともに※30、かりに本件で創作性が肯定されたとしても、別途、「美的特性」を備えているか否かの吟味は行われ得ることが示唆されているところ※31に反対説に対する配慮を伺うことができなくはない。しかし、具体的な手法としては、工業製品に関して、定型的に美術の範囲に属さないとして著作物性を否定するのではなく、個別具体的な創作性判断をなしていることに変わりはない(清水裁判長の下での同様の判決として、知財高判平成28.12.21平成28(ネ)10054[ゴルフシャフト]※32も参照)。

 詳細は、前掲知財高判[TRIPP TRAPP]に関する別稿※33に譲るが、デッド・コピー規制や意匠権侵害と異なり、業として行われることを要さず、無体的に利用する場合を含めて侵害とする著作権の保護を、一般の工業製品のデザインにまで押し及ぼす場合には、私人のものを含めて様々な行為が権利侵害のリスクを背負うことになりかねない。そのような事態を防ぐためには、個別の創作性を逐一吟味することなく、定型的に著作物を否定するための道具として、美術の範囲の要件を活用すべきである。本判決は、個別具体の創作性を吟味することにより原告加湿器の創作性を否定してはいるものの、美術の範囲の要件により定型的に著作物性を否定する方策を抽象論としては否定していない。今後の動向が着目される。

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