昨日の生かせ!知財ビジネスに、特許庁が新設したIoTの広域ファセットに関する話が載っています。

http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/161125/cpd1611250500004-n1.htm

特許庁は世界で初めて、IoT(モノのインターネット化)関連技術の特許分類記号「ZIT」を設け、新規の特許出願や特許登録の分類作業の際に付与する。過去の特許への付与は検討中だが、新規分は早ければ来年1月中旬以降、全技術分野で使われるIoT関連技術の特許公報を特許情報検索サイト「J-platpat」などで、横断的に一括検索できるようになる。

 

 

特許庁は世界に先駆けIoTに関する特許分類を新設しました。この分類を外国特許庁も付与するよう、働きかけを行うとのことです。

http://www.meti.go.jp/press/2016/11/20161114001/20161114001.html

1.背景

特許出願には、その出願の技術内容を仕分けするために特許分類が付与されています。特許分類は、先行文献の調査を効率的に行うためのツールとして、また、技術開発の動向を把握するためツールとして非常に重要なものであり、特許庁では、技術の進展にあわせて、継続的に整備を行っています。
一方、近年のIoT関連技術の急速な発展に伴い、同技術に関する特許出願動向及びどのような事例が特許となるのかを把握したいというニーズが高まっていますが、これまで、IoT関連技術に関する特許情報を網羅的に収集することが可能な特許分類は存在していませんでした。

3.今後の取組

特許庁では、今回新設したIoT関連技術についての特許分類が、日本の特許だけでなく、各国の特許にも付与されることを目指して、日米欧中韓の五大特許庁による会合や世界知的所有権機関(WIPO)による国際会合等の場を通じて、外国特許庁への働きかけを行っていきます。

 

 

しかしながら、今週の生かせ!知財ビジネス記事では、国内企業がIoT分類を歓迎しているコメントを載せた後、IoTの特許情報を得るのには、日本だけでは十分ではなく外国の情報が必要というコメントを、わざわざ引用しています。

 

GoogleやQualcommなどを例に出すまでもなく、IT関連の情報を得る際に、日本のみでは十分ではなく、欧米や韓国等の情報が必要になることは常識です。このことは、生かせ!知財ビジネスでインタビューを受けた会社も、重々承知のはずです。

なぜ、インタビューした会社を貶めるような構成の記事にするのでしょうか。

 

問題は、外国の特許情報が必要になることではなく、IoTの広域ファセットが過去の公報に付与されない可能性があること、IoTという技術の外縁が不明確なため、分類付与精度に疑問が残る点でしょう。

 

http://www.sankeibiz.jp/compliance/news/161125/cpd1611250500004-n2.htm

一方、国際的に特許などの調査分析を行うランドンIP合同会社(東京都港区)の野崎篤志・日本事業統括部長は「ICTを駆使して製造業の革新を目指すインダストリー4.0や、IoTの産業向け国際規格団体IIC(インダストリアル・インターネット・コンソーシアム)などの国際連携をベースに、日本に先行してIoTに取り組む欧米企業の動向を網羅的に補足することは、ZITだけではできない」とした上で「IoTでは海外動向を注視していく必要があり、特許に加え、報道、市場などの海外情報も重要」とZIT以外の活用を促す。

 すでに特許庁は五大特許庁(日米欧中韓、IP5)にZIT同様の統一分類導入を提案しており、世界知的所有権機関(WIPO)を通じて国際特許分類での正式導入を図っていく考えだ。順調にいけば2018年度の採用が見込まれる。