おはようございます。すでに色々なところで採り上げられていますが、プロダクト・バイ・プロセス大合議第6号事件要旨を知財高裁HPからダウンロードできましたので、備忘録として記載しておきます。(今日の時点で、クリックしてもファイルを読めませんが、pdfファイルをダウンロードすれば大丈夫です。)
http://www.ip.courts.go.jp/documents/g_panel.html
①いわゆるプロダクト・バイ・プロセス・クレームの技術的範囲について,物の構造又は特性により直接的に特定することが出願時において不可能又は困難であるとの事情が存在しない場合は,その技術的範囲は,クレームに記載された製造方法によって製造された物に限定されるとした事例
②特許法104条の3に係る抗弁に関し,いわゆるプロダクト・バイ・プロセス・クレームの要旨の認定について,物の構造又は特性により直接的に特定することが出願時において不可能又は困難であるとの事情が存在しない場合は,その発明の要旨は,クレームに記載された製造方法により製造された物に限定して認定されるとした事例
①については、従来の通説や審査基準とは、原則と例外が逆になりました。
理由は以下の通りで、妥当と思います。
『仮に、特許請求の範囲として記載されている特定の「文言」が発明の技術的範囲を限定する意味を有しないなどと解釈することになると,特許公報に記載された「特許請求の範囲」の記載に従って行動した第三者の信頼を損ねかねないこととなり、法的安定性を害する結果となる。』
②については、侵害訴訟における技術的範囲(クレーム解釈)と、特許要件判断(無効の抗弁や審査)の発明の要旨認定は同じであると判示しています。
侵害訴訟では、明細書や公知技術、出願経過を参酌してクレーム解釈する手法が従来から取られていました。一方、出願段階における発明の要旨認定については、請求の範囲の文言に基づいて判断するリパーゼ判決が生きています。
本件大合議判決では、この整合性を取ったものと考えられます。
なお、和解により、判決が出ることなく終了した大合議第4号事件(原告東芝、被告ハイニックスセミコンダクター)でも、侵害訴訟における技術的範囲と、無効の抗弁時の発明要旨が同じであるのか否かという論点が議論されました。
弁理士会のアミカスブリーフ委員会に参加したおかげで、判例や判旨を理解する能力が少し上がったように思っています。


