ポルシェの雑誌

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最近、ポルシェを特集した車雑誌がいくつも発行されています。


911カレラ/カレラSが、3.4/3.8Lノンターボ(NA)水平対向6気筒エンジンから、3Lターボに変わったこと、ミッドシップのボクスター/ケイマンが、2L/2.5Lの水平対向4気筒ターボエンジン(718)に変わったこと、911Rなど特別モデルが発売されたことなどにより、出版が相次いでいるのだと思います。


自分も、最初の3冊を購入してみました。


911カレラの3Lターボ化については、ほとんどの自動車評論家が好意的でした。悪く書く方はいません。


一方、ボクスター/ケイマンが、2L/2.5Lの水平対向4気筒ターボエンジン化については、評論家は言葉を選んでいるものの、必ずしも好意的でないコメントもあります。


通常、ニューモデルについては、評論家が厳しい評価をすることはあまりありません。


しかし、718ボクスター/ケイマンについては、エンジンの音質やスムーズさについて、明言はされていないものの、好意的でないコメントもあります。


スポーツカーは力強く速ければ良いというものではありません。

エンジンやハンドリングの質感も重要です。


自分も現在、直列6気筒の車に載っていますが、水平対向6気筒と直列6気筒は、エンジンの1次振動、2次振動がなく、アイドリング等が非常に静かですが、振動が少ないため高回転まで良く回ります。


自分は6気筒の911/ボクスター/ケイマンに試乗したことがあります。もし、4気筒の718ボクスター/ケイマンに乗ったら、騒々しいと感じる気がします。

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ENGINE 2016年 06 月号 [雑誌]/新潮社
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Motor Magazine (モーターマガジン) 2016年6月号 [雑誌]/モーターマガジン社

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GENROQ(ゲンロク) 2016年 03 月号 [雑誌]/三栄書房
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以前、特許庁が審査に人工知能を使ったシステムを導入するという、毎日新聞記事を紹介しましたが、同様の話が、今日NHKでも報道されました。


http://ameblo.jp/123search/entry-12145108650.html

毎日新聞に、人工知能を特許審査に活用へ 16年度から実証事業という記事が載っています。



NHKの報道では「出願手続き」となっていますが、正確には審査の話です。


審査の効率化のため、便利なツールがあれば導入するのは、当然と思います。


一方、FI/Fタームなどを使って、近い文献を見つけて調査終了、という業務をしている方は、徐々に仕事が減ってゆくことでしょう。


いくらコンピュータシステムが発達しても、審査官のような判断業務は人間にしかできません。


調査業務も、検索して近い文献を見つけることから、内容の判断や分析、鑑定的な方面へシフトして行くでしょう。


コンピュータやロボットの発達により、単純業務が減ってゆくのは間違いないと思います。


http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160430/k10010504711000.html

特許庁は年間50万件を超える特許や商標の出願手続きに、AI=人工知能を使った新しいシステムを導入する方針で、公募したIT企業が参加する実証実験を近く始めることにしています。

特許庁には、年間50万件を超える特許や商標、それに意匠などが出願されます。担当者は過去に同じ発明がないかどうか膨大な文献にあたって手作業で調査を行っていて労力がかかっています。このため特許庁は、人の手による作業の一部をAI=人工知能に任せ、作業を効率化するシステムを導入する方針を固めました。


新しいシステムではAIが出願内容をジャンルごとに分類したり、書類の不備を発見します。また、世界中で発行されている特許の文献を検索して似たような出願がないかどうかチェックし、審査官による特許の判断作業を支援することにしています。国の事務作業にAIを導入するのはこれが初めてのケースとなります。

特許庁では、このシステムを開発するIT企業を近く公募したうえで、早ければことし6月にも実証実験を始めることにしています。

特許庁総務課の中野浩二課長補佐は「AIを活用することで審査の質の向上と出願する利用者の満足度の向上につなげていきたい」と話していました。

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特許など知的財産法に関する入門書として、ロングセラーを続けている「知っておきたい特許法」の改訂番です。今回で21版とのことです。


サブタイトルの通り、特許法だけでなく、著作権法の他、実用新案法、意匠法、商標法、不正競争防止法、条約についても解説があります。


この本は記載が非常に正確なので、青本(逐条解説)の入門版とも言われます。弁理士受験を始める方が、最初に読むと良い書籍です。

知っておきたい特許法―特許法から著作権法まで/朝陽会

¥1,944

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http://www.choyokai.co.jp/publication/data/book/c46.pdf

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三菱自動車の燃費不正に関して、情報が揃いつつあります。


エコカー減税等の適用を受けやすくするため、燃費を誤魔化したとのことですが、1990年代から不正が続いていたという報道もあります。


自分の実家でも、1980年代から90年代にかけて、三菱自動車製品を所有していました。


不祥事も4回目とのことです。三菱商事も見放したようですから、三菱自動車は解体されて、外資等へ身売りされるのではないでしょうか。i-MiEVなど電気自動車は国内のメーカーが買うかもしれませんね。


http://www.sankei.com/economy/news/160424/ecn1604240009-n1.html

三菱自動車の燃費データ不正問題で、燃費目標の達成に向け、開発部門に強いプレッシャーがかかり、データの不正操作につながった可能性があることが23日、分かった。昨年にも新型車の担当者が開発状況を正確に報告せず、投入が遅れるという事態が発生しており、不正を生む構造的な体質がなかったかどうかが今後の焦点になりそうだ。三菱自は週明けにも第三者委員会を設置し、原因究明を進める方針。

 「部長1人の判断でやるなんてことがあるのか」

 三菱自関係者は、20日の会社側の会見で、不正操作について「当時の性能実験部長が『私が指示した』と言っている」と説明したことに疑問を投げかけた。

 性能実験部は燃費の測定などが主な業務。目標燃費の達成や難しさについては、同じ開発本部の性能に関わる部署なども把握していた可能性がある。


http://www.yomiuri.co.jp/economy/20160427-OYT1T50099.html?from=ytop_main4

三菱自動車は、軽乗用車の生産拠点である水島製作所(岡山県倉敷市)の全従業員の4割弱にあたる約1300人を、自宅待機とすることを決めた。燃費偽装の発覚を受け、軽の生産停止が続いているためだ。生産再開のめどは立っておらず、自宅待機が長期化する恐れもある。

http://www.jiji.com/jc/article?k=2016042600505&g=soc

車は26日、燃費不正問題に関する社内調査の状況を国土交通省に報告し、公表した。国の規定と異なる方法で燃費試験データを収集する法令違反を、25年前の1991年から行っていたことを明らかにした。記者会見した相川哲郎社長は「知らなかった」と釈明したが、2000年に発覚したリコール(回収・無償修理)隠しで社会的な批判を浴びても違反を続け、自浄作用が働かなかった同社の企業体質が厳しく問われることになる。


http://www.itmedia.co.jp/business/articles/1604/26/news053.html

 こういう話を聞けば、誰でも「ミスを上に報告できない空気なんじゃないの」と思う。実際、今回の不正発覚後の21日に開かれた同社の企業倫理委員会でも、同様の指摘があったという。

 「風通しの悪さ」が今回の不正に結びついているか否かは、第三者委員会が明らかにしてくれるはずだが、三菱自動車が自分たちではどうすることもでないほど深刻な「セクショナリズム」に侵されていることだけは間違いないと思っている。


 なぜ「徹底的なセクショナリズム」が蔓延(まんえん)するのかといえば、「個」が腕に覚えがあるからだ。他人の仕事に口出しをしない。その代わり、オレたちのやり方にも口を出すな――。そんな「頑固な技術屋魂」が、「ミスを上に報告しずらい空気」を生み、「報告できないミスを隠蔽してしまえ」という不正につながった可能性はないか。

 「技術」こそが社会の発展を支えてきたという考えが強い日本では、「職人」というだけでなにやら聖人君子のようにあがめたたられることが多い。頑固だが、自分たちの技術に誇りをもっているので、とにかく「不正」などに手を染めるわけがない、と思われている。

 個人的には「果たして、そうなのか」と首をかしげる。「頑固な技術屋」だからこそ、柔軟な対応ができず「自分の欲しい答え」がどうやってもでないときに「不正」に走ってしまうのではないのか。

以下、契約書作成に関する書籍です。


トラブルを防止し適切な内容で契約を締結するための知恵を開示したとのことです。


相談業務や知財コンサル等で、弁理士が契約に関する業務を行う場合もありますが、契約条項が法律の強行規定に反していないかチェックするのは、弁護士さんでないと難しいようにも感じます。


事件性のない知財契約は、弁理士が扱っても良いことにはなっていますが、知財法以外に一般法の勉強が必要になります。


契約業務は法律系弁理士に向く仕事と思います。



http://www.minjiho.com/html/information.html?date=20160419172254&db=minjiho

奥山倫行 著 A5判・228頁・定価 本体2,100円+税

トラブルを防止し適切な内容で契約を締結するための知恵を開示! 全体のフレームから条文の配列と順番、条項の記載表現、各条項の内容と役割、契約交渉の手法を丁寧に解説!


弁護士に学ぶ!契約書作成のゴールデンルール/民事法研究会
¥2,268
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今月末発行のINFOSTA 情報の科学と技術 Vol66 No.5に、自分が書いた書評が掲載されました。


東氏と尼崎氏による「できるサーチャーになるための特許調査の知識と活用ノウハウ 」について、書評を書きました。

ちなみに、来月号には自分の記事(論文)が載る予定です。


この本は、Amazonの書評ではそれほど評価が高くありませんが、特許調査に経験者向けに、検索技術、法制度、特許分類など様々な調査のノウハウ等が記されています。


知財人ではない「研究人」には、価値が伝わらないのかもしれません。読むべき人が読めば、内容を理解できると思います。








できるサーチャーになるための 特許調査の知識と活用ノウハウ/オーム社
¥2,592
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特許調査のノウハウを学び、実務にも役立てる一冊! 本書は2011年11月発行の『特許調査とパテントマップ作成の実務』をもとに、新たに内容をまとめ直したものです。

2014年の特許法改定と併せて,これまで特許調査に使われているデータベースのシステムが,2015年4月から開始する新システムに移行しました。それを受け、また前書の発行以降、その間の特許調査を取り巻く環境も大きく変化したこと、前書の読者から得た様々な反応があったこと,それらを踏まえて内容の見直しをして新たに出版するものです。

本書を参照しながら実務に対応できる構成になっており、前書では電気・IT系の分野の特許のみだったのが、今回から新たに化学・医薬系の分野の特許の取扱いも加わったことで、幅広く活用できるようになっています。

INPITが提供するIP・eラーニングに新規科目が追加されました。

条約や外国法、特許法改正と改定審査基準、営業秘密など、盛りだくさんです。


無料で利用できます。

http://www.inpit.go.jp/jinzai/ipe_learning/index.html

【IP・eラーニング新規科目追加のお知らせ】

─平成27年度、以下の科目を追加しました─

科目名
「ハーグ協定のジュネーブ改正協定(概要編)」
提供開始:2016年3月22日(火)

「中国専利法第4次改正案の紹介(平成27年度日中連携セミナー)」
提供開始:2016年3月18日(金)

「中国職務発明条例案の紹介(平成27年度日中連携セミナー)」
提供開始:2016年3月18日(金)

「営業秘密・知財戦略セミナー」
提供開始:2016年3月18日(金)

「平成27年度特許法等改正講義」
提供開始:2016年1月29日(金)

「日米英独仏の知財裁判官・弁護士による模擬裁判『標準必須特許の差止と損害賠償について』」
提供開始:2016年1月19日(火)

「改訂『特許・実用新案審査基準』及び『特許・実用新案審査ハンドブック』の概要」
提供開始:2015年11月27日(金)

「産業財産権の現状と課題(平成27年度版)」
提供開始:2015年11月16日(月)


パテントサロンの弊所求人

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一昨日より、パテントサロンの求人広告掲載を再開しました。


特許異議の申立て施行から1年経ち、異議申立てを前提とした調査も増えてきました。


また昨日、発明推進協会の中小向け特許分析事業を紹介しましたが、特許分析のニーズも増加しています。


そこで今回は、どちらかといえば若手の方(40歳以下)の方を募集することにしました。


6月の賞与をもらって退職する方には、5月に採用内定を出す必要がありますので、この時期の掲載としました。


http://www.patentsalon.com/jobs/offer/tsunoda-patent/index.html

昨日より、「平成28年度中小企業等特許情報分析活用支援事業」の受付が開始されました。


今期は予算が増え、受付件数が昨年度の50件から100件に倍増しています。

http://ameblo.jp/123search/entry-12149772613.html


特許庁の事業ですが、発明推進協会が実施しています。


http://ip-bunseki.go.jp/topNaviColumn_01/needs_mainstudysubject.html

種別 ①研究開発段階 ②出願段階
内容

1.研究開発の方向性決定
:中小企業等が研究開発の方向性を決めるため、過去の存在技術から、自社の技術レベルを把握するとともに、技術変化を予測し、今後開発すべき技術を探るための特許情報分析の提供。

2.無駄な研究、重複研究回避
:中小企業等の研究開発への投資を無駄にしないため、他者の技術開発の動向を把握することで、重複研究の回避、他社からの技術導入及び共同研究の可能性検討を実現する特許情報分析の実施。

3.発明の手がかり発見を通じた新事業展開の可能性判断
:他者未参入の技術分野、他社技術の代替となる技術の検討等、中小企業等が発明の手がかりを発見するために、従来の特許技術の分析。

1.権利化可能性の把握
:研究開発した技術を特許出願する前に、無駄な経費の抑制を図るため、権利化可能性を判断する特許情報分析の実施。

2.オープン・クローズ戦略策定
:他社の出願動向を把握すること等を通じて、特許出願するだけではなく、ノウハウとして保持すべき技術を明確にし、オープン・クローズ戦略の策定の支援。

3.強い権利の取得
:権利化可能性を保ったまま、広くて強い権利を取得するための明細書作成の参考とすべく、出願時における他社の特許技術の分析。

4.他社権利抵触関係の把握
:中小企業等が開発した技術に基づき、設計・製造を行う前に、他社権利との抵触関係有無の観点から特許情報分析の実施。

対象者
(①②共通)
中小企業の方、個人事業者の方
中小企業者で構成されるグループの方
(※構成員のうち中小企業者が3分の2以上を占め、中小企業者の利益となる事業を営む者)
地方公共団体
公設試験研究機関
都道府県等中小企業支援センター
商工会議所や商工会等の経済産業団体
ものづくり組合等の生産者事業協同組合
大学、高等専門学校、高等学校等の教育機関 等
※中小企業において、単独の大企業が1/2以上出資、複数の大企業が2/3以上出資の場合は対象外となる。
※特許情報分析を業として実施している者は対象外となる。
特許情報分析
報告書
特許マップ」等による特許情報の分析 アイデアシートや発明提案書を基にした「先行技術調査」等による分析
公募・採択
(①②共通)
利用申請書類の事務局への提出(郵送・FAX・メール等)により申請。申請案件の中から事務局等での選定を経て「採択」となった案件について支援を実施。
利用料金
(①②共通)
無料(ただし100万円以内の特許情報分析の提供となります)
その他
(①②共通)
採択された案件の申請者は、特許情報分析実施に当たってのヒアリング等への協力や、報告書受領後のアンケート等への協力が必要



同時に、提携調査会社も募集されています。

http://ip-bunseki.go.jp/kyuubo.html

 一般社団法人発明推進協会では、特許庁委託「平成28年度中小企業等特許情報分析活用支援事業」を実施するための提携先分析会社を募集いたします。
(応募資格は、下記「提携特許情報分析会社等の応募資格」をご覧ください。)

 提携をご希望・ご検討される企業様におかれましては、下記<お問合せ・お申込み先>までご連絡をお願い致します。また、必要に応じて、本事業内容等、詳細な情報をご提供致します。

  • ○募集期間:平成28年4月27日(水)~5月27日(金) (事業説明会:平成28年5月16日(月)(10:00~11:00) 於 発明会館7F研修室)
  • ○提携期間:平成28年6月16日(木)頃 ~ 平成29年3月31日(金)

※本事業の提携先分析会社の募集は、年度中に1回を予定しておりますが、年度中に必要に応じて追加応募することもあります。

金沢大学の大友教授が、Westlawに、「第69号 ユートピアは裁判官の頭の中だけにしてください!」という論文を書かれています。


裁判所は具体的な取引の実情に関心を示す必要があり、この部分を慎重に考慮することこそが裁判所の役割であるとのことですが、原審の東京地裁は、この点が十分ではなかったとのことです。


確かにそうなのかもしれません。


ただ、両商標を比べると、そもそも似ていないように思えます。




控訴審は、知財高裁4部(高部裁判長)でしたが、逆転非類似の判決でした。

特許庁の商標審査官は、日々、商標審査を行っていますので、取引の実情を考慮しなくても、非類似と判断したのかもしれません。


また、造語だから識別力があるとは限りません。


http://www.westlawjapan.com/column-law/2016/160328/

文献番号 2016WLJCC007

金沢大学 教授 大友 信秀



1.はじめに
2つ以上の文字や図形等が結合した商標を結合商標と呼ぶが、そのような商標と他の商標の類似性が問題となる場合には、結合商標の識別力がどこにあるのかが問題となる。たとえば、結合要素の一つに強い識別力が認められれば、他の要素は類否判断では考慮されないことになるし、個別の構成要素に強い識別力が認められない場合には、結合した状態である結合商標全体に識別力があるものとして類否を判断することになる。
本事件は、「ラドン健康パレス湯~とぴあ※1(指定役務:入浴施設の提供)」の商標権者である株式会社湯ーとぴあ(以下、原告という。)が「湯~トピアかんなみ」を運営する函南町(以下、被告という。)に対して原告商標の侵害に基づく損害賠償ならびに差止めを求めたものである。
原審である東京地方裁判所判決※2は、原告の訴えを認めたのに対して、控訴審である知的財産高等裁判所判決※3は、これを認めず一審判決を取り消した。被告は、「温泉施設の提供」を指定役務とする「湯~トピアかんなみ」を含む図形商標に対して商標権を有しており(したがって、特許庁は原告と被告の商標を非類似と判断したことになる。)※4、この点から、特許庁の審査と裁判所の侵害判断の関係も問題となる。
本稿は、これまでの結合商標の類否判断も参考にしつつ、本件における具体的判断を紹介・分析するものである。
と、ここまでは、いつも通りに筆を進めたが、本稿の目的は別にある。本件原審の判断に釈然としないものを感じたことが、本件を選択し、読者の皆様に紹介する本当の理由である。民事訴訟が当事者の訴訟能力に結果が大きく作用される面があるということは否定できない。しかしながら、本件原審における被告主張に対する裁判所の反応は、平均的な論理性を満たしているとは言えず、このような訴訟に耐えうる能力を一般人である訴訟当事者ならびに地方で一般法務を扱う代理人に期待することは極めて重い負担となると考えられる。被告は、このような原審を受け、控訴審における攻撃・防御方法を進化させている。とりわけ原告が自ら「『ラドン健康パレス』部分からは、(略)ラドン温泉を提供する入浴施設とまでは理解できない。」と主張せざるを得なくなった被告側の攻撃は訴訟戦略として注目されるべき部分であろう。本件は、単なる結合商標の判例としてだけでなく、訴訟への対応例としても参考になる部分が多い事例と言えよう。



7.おわりに(原審と控訴審を分けたもの)
被告は、原審を受け、控訴審で提出した証拠において、「ユートピア」の称呼を含む名称を使用する入浴施設の数を34に増やしたり(このうちユの部分に湯を使用するものが16カ所で使用しないものが18カ所。原審では、インターネット検索サイトにおける「湯ーとぴあ」の語の検索でヒットした上位100件に12件のヒットがあったと主張している。)、称呼を「ユートピア」とする7件の登録商標についても、原告商標との類否関係に関する詳細な分析を加えている。
この点が原審と控訴審の判断を分けることとなったのだろうか。上述したように、原審の論拠は、「全国の入浴施設については、同一の経営主体が各地において同様の名称を用いて複数の施設を運営することがあること」にあり、この点については、控訴審においても新たな証拠が提出されているわけではない。したがって、原審と控訴審を分けた理由を被告の証拠の増加やそのことによる主張の強化に求めることは論理的ではない。
結局は、原審の裁判官と控訴審の裁判官の具体的事情に対する姿勢の差が結論を分けたというしかない。この点からは、上述のように、特許庁と裁判所の違い(特許庁は商標の登録審査時に裁判所が侵害事件を扱う段階ほど具体的な取引の実情についての情報を得ているわけではないこと)から、裁判所は具体的な取引の実情に関心を示す必要があり、この部分を慎重に考慮することこそが裁判所の役割であるとも言える。今後の裁判において、このような裁判所の役割を認識した本件控訴審判決の姿勢が踏襲されることに期待したい。