
2003年のアメリカ映画
「ロスト・イン・トランスレーション」
■ストーリー
日本のコマーシャルに出演するために来日した、落ち目のハリウッド俳優ボブ・ハリス。
言葉も通じず、文化もまるで違う東京に、戸惑いを感じながら淡々と仕事をこなしていくものの、孤独感を一人つのらせていた。
ある時、同じホテル(センチュリーハイアット東京)に滞在している、若いアメリカ人女性シャルロットと出会う。
シャルロットは、カメラマンの夫に同行して日本に滞在中。でも夫は仕事に夢中で、妻のことは放りっぱなしだ。
同じ孤独感を感じつつ、交流を深めていく二人。
舞台は、現代の東京。
今までのアメリカ映画にありがちだった、偏った日本の描かれたとはちょっと違う。
ただ仕事のためだけに(お金のためだけに)やってきたアメリカ人が抱く、日本(東京)の印象が
淡々と描かれている。
毎年毎年、ハリウッド俳優が日本に来て、映画の宣伝をしていくけれども、
彼らのうちの、いったい何パーセントの人が、日本に来る事を本当に楽しみにしてくれているんだろうか、と疑問に思ってきた。
もちろん、自分の出演映画を日本で売るために来ているのだから、日本の(日本人の)悪口なんてぜったい言わないし、カメラの前ではいつもニコニコして感じよく、サービス精神も旺盛だ。
だけど、彼ら(アメリカ人/というか外人)から見たら、日本ってたぶん
こんな風に写っていると思うのだよね。
ここに描かれている日本(東京)は、誇張もされていないし、美化もされていない。
そういう舞台設定が、すごく興味深いです。
サントリーのCMに出演させられている、落ち目の俳優:ボブ・ハリス。
日本の銘柄の酒のCMなんて、アメリカ人である彼にとっては、正直どうでもいいもの。
200万ドル(2億円)のギャラのためだけに、わざわざ遠いニッポンへ来てこうやって仕事している。
ボブに、色々な注文を出すCMディレクター。
でも、通訳が不十分で、充分に意思が伝わらない。
(だから、ロスト・イン・トランスレーション、なのである)
「俺たちはこんなの早く撮り終えたいんだよ!」
「さっさと終わらせようぜ」
そんな陰口も叩かれながらのロケ現場。
(もちろん日本語だから、そんな事はボブには伝わっていない。が、陰口叩かれていることは何となく感じている)
クレイジーな司会者が出てくる、面白くない番組。
(エージェントの命令で、イヤイヤながら出演・・・・・)
「もうこんなところは嫌だ。一刻もはやくそっち(アメリカ)へ返りたいよ」
とエージェントに愚痴をこぼすボブ。
ロケ現場での、まったく楽しくなさそうな、ボブの顔が本当にリアルだ。
実際日本にくるハリウッドスターも、同じこと感じる人、いると思うけど、
(いる、っていうか、かなりいるんじゃないか?)
内心こうは思ってても、こんなに露骨に嫌な顔をしたりはしないだろうね。
一方、ホテルに置いてきぼりをくらっている、新婚の妻シャルロット。
イェール大を卒業し、美人で若くて聡明な女性。
結婚してからは、特に職にはついていないらしい。
大学を卒業してすぐに結婚したのかもしれない・・・。
NYを出て、ロサンゼルスにやってきて、そこでも居場所を見つけられなかった。
自分の人生も見つけられず、アイデンティティ喪失に陥っている。
カメラマンの夫の知り合いの女優が来日していて、ホテル内で記者会見を行っている。
キアヌ・リーブスと共演するぐらいの女優だから、
日本でも知名度があって、売れている人(という設定)なんだろう。
常にハイテンションで、明るくて愛想が良い。でも知的な会話は得意じゃなさそうな女性。
記者会見では、適当なことを言って日本人たちを喜ばせている。
カメラマンの夫は、こういったエンターテイメント業界で働いているらしい。
でもシャルロットは、こういう華やかな人たちにも、馴染めずにいる。
ホテルのバーで顔を合わせるうちに、親しくなっていく二人。
「ちっとも眠れないんだ」(時差ぼけのため)
「わたしもよ」
「なぜ日本人はR(アール)とL(エル)の発音を逆にするのかしら」
「我々を困らせようとしてるんだよ、そうでもしないと面白くないから」
とりあえず、(定番の)しゃぶしゃぶ屋に入ったりもしてみるんだけど、
「自分で料理させる店なんて最低だ!!!!!」なんて怒ってる。
仕事で来てる彼らは、別に日本が好きで興味があって、来たわけではないのである。
だから、自分たちにとって使い勝手の悪いものは、不快なだけ。
街へ一人で繰り出すシャルロット。
私(日本人)から見たら、本当に当たり前すぎる光景だったりするけど、
外人から見たら、シャルロットが感じているように奇妙なものに写っているんだろうな。
一番奇妙なのは・・・感情を外に表さない日本人の顔!
あと、意味のない笑顔。これ、話には聞いてたけど、やっぱ、かなり・・・・不気味だよね(笑
ほんと、日本を客観的に見れる面白い映画だ。
この映画が本当に描きたいものは、
倦怠期を迎えた初老(中年?)の男と、
アイデンティティを失った若い女性とに芽生える、プラトニックな関係なので
奇妙な日本のことはまぁ、そんなに重要ではないんだけど
このプラトニックな関係の描き方も、日本の描き方も
映画の雰囲気も映像も音楽も
ほんとうに良い。
ハリウッド映画とは思えない・・・・。
こんな素晴らしくて珍しい映画はもう、ハリウッドから生まれることは無いのではなかろうか。
やっと、自分が見たいジャンルの映画を探し出せた感じ。
ここ数年、とある理由で(笑)、面白くないB級映画ばかり見るはめに陥っていたんだけど、
もともと、ああいうジャンルって、まっったく、ちっとも好きじゃない。
誰かさんが出てるってだけで、メチャメチャ価値出してる場合もあるけどさ。
監督のソフィア・コッポラは、ゴットファーザー3でヒロイン役をやっていたのが
遠~~い記憶にある。
私はそれほどブスいと思わなかったし、演技だってヘタクソだとは思わなかったけども
彼女は当時、ものすごく叩かれていた。
今あらためて写真を見ても、やっぱり美人だと思えないし(レニー・セルヴィカーとかに似てる)、
何かにつけて、親の七光りというレッテルを貼られたり、お嬢さん芸だと言われて、
いろいろと苦労してきたことだろう。
でも、こんなに繊細で知的で素敵な感性を持ったアメリカ人とは思わなかった。
これからも是非、このように良い映画を撮り続けていってもらいたいものだ。
この邦題のせいで、日の目を見られずにいる可哀想な映画
「バス男」
あまりに面白い(私的にスマッシュヒット)だっため、紹介したいと思います。
この映画の原題は「Napoleon Dynamite」(ナポレオン・ダイナマイト)という。
アリゾナの田舎にある、とある高校に通うナポレオン(↓)はオタク高校生。
いつも口が半開きで、常に目を閉じてないと喋れない。似合ってないアフロヘア、冴えないファッション。
趣味は、気持ち悪い絵を描くことや、フィギュアにヒモをつけて、通学中のバスの窓から垂らして遊ぶ事。
普通の学園ドラマだったら、こういう冴えない男の子が、クラス一の美女との恋愛などに成功する、みたいな
(つまり、電車男っぽい)サクセスストーリーがありがちなのだと思うが、
これは違う。もちろんダイナマイトだって、女の子にモテたいと思っているし、そのための努力は惜しまないけど、
その努力の方向が、一般とかなり、異なっている。
だから最後まで女の子にモテないし、自分をいじめる男たちに反撃することもないし、
まったくカッコよくもならない。
でも、この主人公の良いところは、そんな自分に対して、けっして卑屈になることなく、
どんなときもマイペースに自分のスタイルを貫き通すところなのだ。
「しあわせ手話クラブ」に入会し、地味目の女の子たちに混じって、パフォーマンスを披露するダイナマイト。
もちろん、バカにされてる。
でも、ダイナマイトは気にしない。
そんな冴えない毎日を送るナポレオン(主人公)の学校に、
メキシカンの転校生:ペドロがやってくる。
この転校生・ペドロ
喋り方も抑揚がなく、目がすわってて(というより目が死んでる)
ナポレオンに負けず劣らず、強烈な個性を放つキャラである。
やがて、(似たもの同士な)この二人に、ゆるい友人関係が育ってゆく。
だが、彼は勇猛果敢な男だった。
ペドロ:「ダンスパーティに誘おうと思ってるんだ」
ダイナマイト:「え??誰を??」
ペドロ:「あの子」
ペドロは学校で一番美人で、セクシーで、人気の女の子:サマーをダンスパーティに誘う計画を立てる。
手作りのケーキを渡す作戦を立てるペドロ。
↑サマーの自宅前の草むらから、タイミングを計る二人。
手には手作りのケーキが(ケーキはむきだし)
そして、数日後、サマーからダンスパーティへの返事をもらうダイナマイト。
サマー:「これ、ペドロに渡しといて」
「ペドロへ」
でも、ぺドロは勇猛果敢な男である。
挑戦はこれだけにとどまらなかった。
なんと、生徒会長の立候補を決めるのだ。
さて、ペドロは無事生徒会長への当選を果たすことができるのか・・・・・・????
というストーリーなんですけど、いやーほんっと、最高でしたよ。
雰囲気的には北野武が作る映画に似てる感じ。
BGMも殆ど無し。
ちなみに、ナポレオンの兄(引きこもり)とかもイイ味出してます。
邦題が本当に可哀想なんですけど、
バスの中で出会った女の子に思いを寄せるオタク男の話、なんかじゃ絶対無いので、
(それに、オタクを笑いものにしてるような映画ではない)
ここは無視して、ぜひぜひみなさん見てみてくださいね!!
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