初めて当ブログをご覧になった方へ

当ブログではH22(2010)年、H23(2011)年の中小企業診断士の勉強過程をつづっています。
また、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ種のテキストの要約をしています。

現在はブログの更新を休止しております。今後は試験結果のみ記事にする予定です。

診断士のTACストレート生の頃の記事は2009年10月から2010年8月までをご覧ください。
二次本科生1年目(ストレート生と並行受講)の記事は2009年12月から2010年10月までをご覧ください。
H22(2010)年は一次は経済、財務、中小に科目合格(情報は免除)でした。あとハプニングで途中棄権しました。

二次本科生2年目+上級単科生の記事は2010年10月から2011年10月までをご覧ください。
H23(2011)年は残りの経営、運営、法務に合格し一次試験を突破したものの、
二次試験はABBAの総合Bで不合格でした。

現在は受験3年目に入り、二次本科生での勉強も3年目に入りました。
ただ、その時の記事はほとんどありません。

カテゴリーは細かく切っておりますので、科目ごとに記事を読んでいただくことも可能です。
TAC生の方はカリキュラムの日程はほぼ同じだと思われますので、
同じ頃の記事を読んでいただくとその頃の私の感想が書いてありますのでお役にたてるかもしれません。


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2012-04-17 21:11:23 11miyaの投稿

メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ・Ⅲ種合格しました

テーマ:メンタルヘルス・マネジメント(管理者用)
こんばんは、みやです。

更新休止宣言をしてまだあまりたっていないものの、随分久しぶりな気がします。

さて、タイトルの通り、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅱ・Ⅲ種に合格しました。
マンパワーの解答速報通り、両方とも90点で合格です。
傾斜配点も特にないようですね。

資格試験も連敗続きだったので、これが弾みになってくれると嬉しいです。

では、次回更新はふぞろい発売日頃の予定です。
TACの実力チェック模試も近いですから、皆さま頑張りましょう!
2012-04-09 11:11:11 11miyaの投稿

本日でブログはいったん休止します

テーマ:中小企業診断士
こんにちは、みやです。

昨日でメンタルヘルス・マネジメント検定Ⅰ種の記事は書き終わりました。
宣言通り、今日でブログはいったん休止させていただきたいと思います。

思い起こせば、このブログをきっかけに色々なことを経験しました。
たくさんの方と友達になれたり、たくさんの方に私のことを知ってもらえたり。

受験生の身で、「事例80分料理法」、「ふぞろいな合格答案5(仮称、発売前)」の出版にも絡ませていただくこともできました。本当に貴重な経験です。

合格した仲間からは、合格祝賀会で横浜校出身ということを話すと、私の話題が出たと言ってもらえたり、
合格祝賀会の二次会では、わざわざ私に会いにきてくださって、
「みやさんのブログのおかげで合格しました」などと嬉しい言葉をかけていただいたり。

改めて私は果報者だなと思います。


どうしても、ブログを休止しなければならないというわけではありません。
しかし、私から読者の皆様のお役にたつ情報を提供できないと感じています。

一次試験についての勉強の考え方については書きましたし、考えも変わっていません。
二次試験についても、過去問についての所感などは書き尽くしました。
みやメソッドはまだ変化していますけど、ブログではお伝えしきれないというのが本音です。


以上のような理由から、ブログを休止する決断をしました。

今後の更新予定としては以下の通りです。
・ふぞろい5(仮称)発売
・一次試験自己採点結果
・二次試験合否結果


正直なところ、今の私に今年診断士に合格できる自信はありません。
試験はどうしても運の要素が絡むので、昔みたいに「絶対合格」とは言えなくなりました。
ただ、合格できるだけの実力は保ち続けて、あとは神様の許しが出るのをひたすら待ちます。

このブログは私が診断士に合格するまでは、年2回更新かもしれませんけど続きます。
結果発表のときに私のことを思い出していただけると幸いです。

今まで本当にありがとうございました!
2012-04-08 21:48:39 11miyaの投稿

職場環境などの改善

テーマ:メンタルヘルス・マネジメント(企業用)
こんばんは、みやです。

第9章 職場環境などの改善
第1節 職務レベルの改善

ここは毎回2問出ています。というかほとんどの節が2問出ているんですけどね(汗)。どの項もまんべんなく出ている印象です。

第1項 QWL(労働生活の質)の向上

1.QWL(Quality of Work Life)の誕生と普及

ソシオテクニカル・システムは、仕事を行ううえで用いるテクノロジーの特性と、働く個人およびその集団の特徴を統合し、両者の最適な関係性を実現することによって、組織(会社)にとっても労働者にとっても有益な結果を招来させようとするものです。最初に考えられたのは1950年代の英国で、後年ヨーロッパを中心に普及し1960年代のQWL運動などへとつながっていきました。

米国におけるQWLの考え方の発祥は、1960年代中ごろから1970年代初頭です。企業にとって人的資源は負債ではなく財産であるとの考え方が浸透し、働く個人の心理的安寧と、会社にとっての好ましい結果を追求する様々な施策がとられるようになりました。それが後述の職務拡大・職務充実・職務再設計です。1970年にQWLが普及しました。


2.QWLの手法

☆ソシオ・テクニカルシステムの考え方に基づく主要なQWL向上策
・安全作業環境の構築
・能力の向上につながる職務の割り当て
・個人の成長を保証する職の安全
・公平な評価と報酬
・昇進の機会の提供
・個人のプライバシーや権利の保護
・個人の私生活を脅かさない仕事の要求
・企業の社会的責任の追及

このように、QWLは今日にあってはどの企業も目指すべき労働環境・職務環境像を提供するガイドラインとなっているのが分かります。

第2項 職務拡大と職務充実

労働面における分業化と標準化が進む中、従業員一人ひとりが行う仕事は細分化され、1960年代には、単調な同じ仕事を、一部の能力やスキルだけを使って、1日中行うという現象が職場の至る所に広がったのです。こうした仕事環境は従業員のQWLを損ないます。

1.職務拡大とは

職務拡大は、細分化された職務のうち、個人が担当する数と種類を増やすことで仕事の単調性をなくし、仕事に多様性を持たせようとする試みです。しかし、忙しくなるだけでQWLの向上にはつながりませんでした。職務の水平方向への拡大でしたので、仕事の質そのものが変わることはなかったのです。


2.職務充実とは

職務充実は、職務の垂直方向への拡大を指します。自分の仕事についての裁量権を持ち、仕事の仕方を自ら管理することができます。

職務充実の理論的基礎は、Herzbergの提唱した仕事の動機付けに関する二要因理論(動機づけ-衛生要因理論)に多くを依存しています。つまり、従業員を仕事へと動機づけるには、外在的要因(人間関係、給料、福利厚生など)ではなく、内在的要因(達成、責任、承認など)を重視すべきだというのです。しかし、その結果、本当に従業員の動機づけが上昇したとか、職務満足感が上昇したという客観的な証拠は十分に集められませんでした。


第3項 職務特性モデルに基づく職務再設計

職務拡大と職務充実は、ひとくくりにすると職務再設計という概念でまとめることができます。

1.中核的職務特性

職務拡大と職務充実の考え方を受けて、職務再設計をより科学的に行おうとする動きが1960年代から70年代にかけて起こりました。そのさきがけが、無数にある職務に共通する中核となる特性を明らかにするタスク特性の研究でした。その結果、複雑な職務を担当する従業員の満足感は概して高く、欠勤率も低い傾向があるということが明らかになりました。

☆どのような職務にも共通の中核的な職務特性
・スキルの多様性:職務が多様なスキルや能力を必要としているか。
・タスク一体性:職務の全体像が明らかで、初めから終わりまでを見渡すことが可能か。
・タスク重要性:職務が世の中の人にどのくらい重要な影響を及ぼしているか
・自律性:職務を遂行する上でどの程度の自由、独立性、権限があるか
・フィードバック:職務の遂行具合について、直接に明確な評価やフィードバックが与えられているか。


2.職務特性モデル

職務特性モデルとは、上で述べた中核的職務特性とその結果として生じる個人の、また仕事上の結果を示したものです。中核的職務特性は、心理的な状態を経由して、動機づけ・業績・満足感・離転職行動に影響を与えるというのです。ただしの関連性の強さは、個人が持つ成長欲求(自尊心や自己実現を求める欲求)の強さによって強められたり、弱められたりするというわけです。


3.職務特性モデルの評価と展開

職務特性モデルの用いた研究は、1970~80年代にかけて数多くなされ、その多くはこの理論の妥当性を証明する結果となりました。

批判はあるものの、HackmanとOldhamはMPS(Motivation Potential Score)という個人が職務に対して抱く潜在的動機づけを表す指標を作りました。

MPS=(スキル多様性+タスク一体性+タスク重要性)÷3×自律性×フィードバック

MPSの式から、自律性とフィードバックは他の3つの職務特性よりも重要であることが分かります。これら2つのうちいずれかがゼロなら、個人の動機づけ(モチベーション)がゼロになるからです。

さらに、HackmanとOldhamは5つの職務特性の強さや個人の成長欲求の強さを客観的に測定するJDS(Job Diagnostic Survey)という尺度も開発しました。彼らはこのJDSを使って、具体的な方法を提案しました。

その後、職務特性モデルは、メンタルヘルスやストレスマネジメント研究にも応用され、メンタルヘルスの改善やストレスの低減に役立つことが示唆されます。

第2節 職場集団レベルの改善

ここも2問であまり項ごとのバラツキはないようです。

第1項 職場環境とメンタルヘルス

1.職場環境などに関連したメンタルヘルス第一次予防

ストレス対策で、実際にストレスが軽減して働きやすい職場づくりに役立った職場改善は多岐にわたります。

これらのストレス対策に役立った事例は、労働時間や勤務形態、作業方法や職場組織、職場の物理的化学的環境の改善、休息・休憩設備の充実、健康相談の窓口の設置など、労働生活全般にわたっていることに特徴があります。

一般的に「予防医学」は、第一次予防、第二次予防、第三次予防の3段階に分かれます。メンタルヘルス第一次予防と言えば、過重労働がなく、職場で上司・同僚に相談しやすく、本人のやりがいを支援して個人能力を十分に発揮できるような、心身ともに負担の少ない、働きやすい職場づくりを進めることであるといえます。これは個人で進めることは難しく、職場集団として取り組む必要があります。


2.国内外の経験に見る職場環境改善とその効果

職場環境の改善がメンタルヘルスに役立つことは広く国内外で知られています。個人向けのアプローチの効果が一時的、限定的であるのに比べ、職場環境などの改善を通じた改善方法がより効果的であったとされています。また、職場のストレス対策の進め方に関する職場環境などの改善に関するレビュー研究から、専門家の助言を得ながら、上司あるいは労働者が参加することが効果的であるとされています。


3.対策指向の参加型職場改善方法

a)グループチェック方式の普及

対策指向の参加型職場改善手法は、対策指向の自助アプローチの長所をグループワーク手法(職場集団レベルで取り組むグループチェック方式)と結び付けて、参加型の職場改善を進めようとしている点に特徴があります。

☆ワイズ方式(企業家向け労働環境改善トレーニング手法)の6つの基本理念
・地元の慣行の上につくる。
・改善実績に焦点をあてる。
・労働条件と他の経営目標を結びあわせる。
・実行して学ぶ。
・他の職場と経験を交流する。
・労働者の参加を促進する。


b)参加型職場改善に有効なツールの要件

労働者の自主改善を促進するツールの利用によって、現場の労働者自身による効果的な健康リスク対策が行うことができます。多くの労働者は、どうしたらもっと職場が働きやすくなるか、実はすでに考えていることが多いからです。

☆参加型の職場改善に用いられているツールの広く健康リスク対策に役立つ共通点
・自分たちの職場に目を向ける。
・好事例に学ぶスタイルをつくる。
・具体的な働きよさを目指す。
・実行して習うステップを踏む。

管理監督者・産業保健スタッフには、この参加型職場改善プロセス支援を勧める促進者(ファシリテーター)としての役割が期待されています。これらの取り組みを進めるには、各事業場の担当者が、職場環境などの改善を進めるために、心の健康づくり計画策定と役割分担が重要になってきます。


c)参加型職場改善手法のメンタルヘルスへの展開

職場環境改善を効果的に進めるツールが開発され、国内外でその利用が進みはじめています。開発された新しい職場環境改善ツールは「メンタルヘルスアクションチェックリスト」と呼ばれ、「事業場のメンタルヘルスサポートページ」から無料でダウンロードできます。これらのツールを使った職場改善事例が数多く報告されてきています。


第2項 職場環境改善のための新しいツール

1.メンタルヘルスアクションチェックリスト(職場環境改善のためのヒント集)の特徴

a)メンタルヘルスアクションチェックリスト

メンタルヘルスアクションチェックリストは、職場において、労働者の参加の下にストレスを減らし、心の健康を増進するための職場環境などの改善方法を提案するために新しく作成されたツールです。


b)メンタルヘルスアクションチェックリストの特徴

メンタルヘルスアクションチェックリストは、「現場ですぐに、既存の資源を活用しながら低コストで改善できる優先対策をチェックできる」ことに大きな特徴があります。これを使って職場の管理者と労働者がグループ討議を行うことで、以下のことが可能になります。

・自分たちの職場の経験から始めることができる
・職場環境などの改善が必要な点に気付くとともに、改善のためのヒントを得ることができる
・優先して改善すべきポイントを明確にすることができる
・職場ですでに実施されているよい活動事例を見つけ出し、収集することにも役立つ
・職場を多面的にみることにより、ストレスとなる職場環境などに関心を持つ。


c)メンタルヘルスアクションチェックリストの記入方法と合否判定チェックリストとの違い

どのような対策を講じるかをグループで提案するために活用できます。

従来の合否判定に利用するチェックリストは、問題点を指摘するにとどまり、改善のための具体的なフィードバックが十分に行いにくい面もありました。

一方、メンタルヘルスアクションチェックリストは、どんな対策(アクション)を講じれば現状がよくなるか「解決策を洗い出す」チェックリストです。


2.ヒント集でとりあげるメンタルヘルス改善技術領域

「事業場のメンタルヘルスサポートページ」で改善ヒント集、使用マニュアルはダウンロードできます。


第3項 職場集団レベルでの職場環境などの改善の進め方

1.職場環境などの改善のステップ

メンタルヘルス対策に重点を置いた職場集団レベルでの取り組み方には共通のポイントがあります。それは、グループ討議や職場改善の会議など、職場の皆が集まるミーティングの場を設定することです。それらの場面で、自分の職場のストレス調査結果や、職場環境改善のためのヒント集などを利用して、話し合いを促進できます。

a)方針、目的の設定

キーパーソンとなる職場の管理監督者へ、職場環境改善を進めることがストレス対策として大変重要であることを伝えます。ストレス調査結果のフィードバックや、内外のメンタルヘルスに関する指針や先進企業・職場の取り組みの紹介をして、メンタルヘルス対策の社内方針設定など、ストレス対策として職場環境などの改善を進めることへの事業場組織内の合意形成を進めます。


b)役割・責任・権限の明確化と組織づくり

職場環境などの改善のために、関係者による委員会あるいは検討会を組織します。この委員会には、産業医や衛生管理者などの産業保健スタッフだけでなく、人事労務管理スタッフ、管理監督者、労働組合などに参加を呼びかけます。メンバー構成は事業場や職場ごとに、多くの人を巻き込んで取り組みやすい体制にすることが肝要です。

次に、職場環境改善を行う対象職場や、グループ作業で改善提案の討議を進める対象グループを決めます。事業場内の情報も収集しておきます。

また、事前に自分たちの職場で、ストレス対策に役立った事例を集め、具体的な改善のイメージができるようにしておきます。


c)職場集団での討議の実施と対策の検討

ヒント集(メンタルヘルスアクションチェックリスト)を使ったグループ討議の場を設けます。ストレス調査結果や収集した事業場内の好事例を参考にしながら、ストレス低減のための改善点について討議します。手順の説明と簡潔な講義、ストレス調査の説明、メンタルヘルスアクションチェックリストによるグループ討議と結果発表、といった手順で進めます。重要な点は、職場の良いところに着いて先に討議を行うことです。

討議終了後は、改善提案のまとめを行い、対策実施がすぐに可能なもの、中期的な課題、長期的な課題などに注目しながら、総合討議を行います。グループ討議には、産業保健スタッフ、健康管理スタッフなどがグループワークのファシリテーター(助言者、促進者)として参加することが効果的です。

討議結果は文書に記録します。労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)を導入している事業場では、このグループ討議結果は重要なリスクアセスメントの実施結果として活用できます。


d)改善提案の実施と結果の記録

討議された結果(職場改善のアイデア)を、職場の管理監督者や安全衛生担当者が部署ごとに取りまとめ、実行計画とフォローアップ計画を立てます。四半期や1年ごとに職場環境改善の実施状況について、ストレス調査を再度実施するなど、次年度への計画につなげることでPDCAサイクルを回すことができます。評価は持続的な職場ストレス対策を進めるにあたって大切です。


e)監査と見直し

継続的にフォローアップをしてお互いの職場の成果を確かめることが重要といえます。


2.集団による職場環境などの改善をすすめるヒント

ヒント集(メンタルヘルスアクションチェックリスト)の利用にあたっては、職場の管理監督者、従業員全員が参加する方法が勧められます。また、現場ニーズやリスクの評価を対策実施に結び付ける手法(事前の仕掛け)が重要です。無理な場合は、検討結果について必ず、職場の管理監督者や従業員から意見をもらって作成することも必要でしょう。グループ討議の結果による改善提案を、だれが責任者として、その実施に必要な調整・交渉を行うかをあらかじめ決めておくのもポイントです。

第3節 企業組織レベルの改善

ここも2問出ています。6,7項は出題がないようです。企業レベルの改善は人事労務部門にしかできない重要な役割です。

第1項 経営戦略の明確化

1.経営戦略としてメンタルヘルスケアを位置づける

メンタルヘルスケアに対する経営者の本気度を示し、従業員へのインパクトを大きくするためには、経営戦略もしくは人事戦略の中に、メンタルヘルスケアを位置づけることが必要です。

こうした戦略の中に位置づける際には、メンタルヘルスケアを単独の制度・施策としてとらえるのではなく、他の経営施策や人事制度・施策を含めて総合的に検討することがポイントです。つまり、経営戦略⇒人事制度⇒諸制度・施策の連動性や、諸制度・施策間の整合性が確保されなければなりません。


2.羅針盤としての経営戦略

会社の事業が不振、会社が吸収・合併された、あるいは会社で人員削減が行われているなどの現状を目の当たりにするにつれ、会社の将来性や自分自身の雇用についての不安が募り、ストレス要因となっているものと考えられます。

経営理念や経営目標、経営戦略や方針が従業員にはっきりと示されている組織、あるいは雇用調整や人員削減の心配がなく雇用が安定している組織では、従業員のストレス反応が低いという研究結果が報告されています。

つまり、将来の展望を示すことが、従業員のストレス反応の低減につながります。そこで、自社の行き先を示す「羅針盤」として、経営戦略や人事戦略を従業員に明確な形で表明することが求められます。


第2項 成果主義の再検討

「仕事の成果を賃金に反映させる制度がある」企業の従業員は、「ない」企業の従業員に比べて精神的ストレスを感じる割合がやや高くなっています(62.8%>60.0%)。同様に、「目標管理制度がある」場合も「ない」場合に比べて、精神的ストレスを感じる割合が高くなっています。このような結果には、成果主義の導入が影響しているものと思われます。


1.成果主義の現状と問題点

ここでは成果主義を「戦略目標の達成ん向けて従業員(人的資源)が持つ能力を最大限に活用するために、一定期間における個々人の顕在化した貢献度を評価し、それに見合った処遇を行うことによって、成果達成意欲を引き出そうとする人的資源管理(Human Resource Management:HRM)のあり方」ととらえます。

成果主義がうまく機能すれば、貢献度と処遇の結びつきが強まり、従業員のモチベーション(個人の労働意欲)が高まったり、組織全体が活性化したりという効果が期待できます。しかし、さまざまな問題点があり、それを看過すれば、従業員の不満や不安が募り、ストレス要因となります。


2.成果主義とモチベーション

約1,600人のホワイトカラー非管理職を対象とした研究結果によれば、成果主義的な賃金制度を導入しただけでは従業員のモチベーションは向上しません。成果主義がモチベーションを高めるには、「制度の導入が個々人にとって能力開発機会を拡大しているという実感につながっていることが重要」です。インプット(能力開発)のないところでアウトプット(成果発揮)だけを求めても、効果を発揮しないということです。また、仕事の分担・役割を明確化することや自分の裁量に任されている範囲を増大させることも、モチベーションの向上に強く影響することが明らかになりました。

このことは、技能の活用度の高さ、役割のあいまいさの低さ、仕事のコントロール(裁量権)の高さがストレス反応の低さと関連するという、職業性ストレスに関する研究結果とも符合します。

また、従業員が自分のキャリアについて考える教育研修や制度が充実していたり、従業員の自発的な能力開発に対して時間的、金銭的な支援が行われていたりする組織では、従業員のストレス反応が低いことも報告されています。

つまり、成果主義を導入・展開するにあたっては、能力開発機会の確保、役割の明確化、裁量範囲の増大に留意することが従業員のモチベーションを高め、ストレス反応を低減することにもつながるといえるでしょう。


3.成果主義とモラール、風土

成果主義的な賃金制度は、上司との目標設定面接、人事考課結果に関わるフィードバック、苦情処理制度といった補完的な制度・施策がともなわなければ、職場モラール(協働場面における集団的な労働意欲のこと)にマイナスの影響を及ぼすという研究結果があります。さらに、成果主義を導入した組織では、成員間での協力関係を重視する協働的な職場風土は、従業員の職務満足感の高さや抑うつの低さに関連するものの、目標達成のみが行きすぎて成員同士が競い合うような競争的な職場風土に陥ってしまうと、職務満足感の低さに影響するという研究結果もあります。

つまり、成果主義的な賃金制度だけが先行しすぎると、個人だけではなく、職場や組織全体にもマイナスの影響を及ぼすことになります。


4.成果主義をうまく機能させるには

HRM全体の問題としてとらえ、能力開発や職務設計、人事考課など他の制度・施策との整合性を図りながら運用することが、性カギをうまく機能させるためのポイントであることが分かります。「成果を査定するための制度」でゃなく、「成果を生み出すための制度」にすることが大切です。


第3項 人事考課制度の適切な設計と運用


1.成果を問われる時代の人事考課

管理監督者(考課者)が公平な人事考課を行わなければ部下(被考課者)の納得感は得られず、不満や不信感が高まることでしょう。

「自分の評価について納得できないことがよくある」人の精神状態は、そうではない人に比べて目立って悪くなっています。つまり、人事考課への納得感の低下は、従業員のメンタルヘルスにも影響し、人事考課の重要性がますます高まっています。


2.人事考課における公平性を左右する要因

成果主義の下での人事考課では、情報公開(評価基準及び評価結果の公開)・評価の正確性・評価の一貫性という3要素が、公平性の確保に不可欠です。また、制度が実際にどのようによく場で運用されているかが、従業員の公平性の認知に重要な意味を持ちます。


3.公平性や納得感を高める人事考課制度の設計

評価の正確性を確保する上でも、人事考課制度がシンプルで分かりやすいことは重要です。仕組みが複雑なほど、実際の運用場面でのミスやエラーが起きやすくなるからです。また、評価の一貫性の観点からも望ましくありません。さらに、評価項目や評価基準を従業員に公開することが必要です。


4.人事考課制度運用上の留意点

a)考課者の的確な制度理解と評価能力の向上

公平な評価を行うためには、考課者の人事考課制度の理解と、評価能力の向上の努力が欠かせません。考課者は一般に人間が陥りやすい評価傾向を理解し、日ごろから自分自身の評価の特性を把握しておくことが必要です。


b)評価結果のフィードバックの実施

考課者から非考課者への評価結果のフィードバックの有無は、人事考課に対する非考課者の納得感に大きく影響します。フィードバックを行う目的は、評価結果の伝達だけではなく、被考課者との話し合いによって本人に対する今後の指導方向を定め、能力開発やキャリア発達へつなげることにもあるからです。


第4項 従業員のキャリア発達を考慮した配置・異動

1.配置・異動関連のストレス要因

一般に、昇進・昇給は従業員にとって喜ばしい出来事に思えますが、ストレス要因と感じるケースがあります。また、配置転換なども従業員にとっては環境変化であり、人によってはストレス要因となる側面があります。


2.組織ニーズと個人ニーズのすり合わせ

とは言え、人事異動を皆無にすることは現実的ではありません。人材を適材適所に配置することが不可欠だからです。

従業員個々人の適性やキャリア・ビジョンに合った職務を選択できるような一定の配慮も必要と言えるでしょう。もし、組織の都合だけで配置された職務が自分の適性と合わないような場合には、期待された成果を発揮することは容易ではありません。

そこで、組織ニーズと個人ニーズをすり合わせる仕組みとして、自己申告制度、社内公募制度、社内FA制度、キャリア・カウンセリングなどの導入・展開が検討課題となってきます。


第5項 ワーク・ライフ・バランスを図るための諸制度の検討

長時間労働の抑制や年次有給休暇の取得促進など、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた取り組みは、メンタルヘルスケアの取り組みと共通する部分が多くなっています。したがって、ワーク・ライフ・バランスを図るために導入される、勤務時間や勤務場所に関して柔軟な働き方を可能にする諸制度は、メンタルヘルスケアの観点からも意義があります。今後、ワーク・ライフ・バランスを図るための諸制度の導入がより一層求められます。


第6項 健康管理体制の充実

☆従業員のストレス反応が低い組織に共通する取り組み
・経営者は、メンタルヘルス(心の健康)に関する全社的方針をはっきりと示している。
・ストレスへの気づき方や対処方法などに関する教育研修が行われている。
・健康管理室や外部の専門相談機関など、従業員が心身の健康について相談しやすい窓口が設けられている。
・心の健康問題で休業した従業員に対する職場復帰支援の内容・手順や、復職に関するルールが策定されている。

従業員、管理監督者にとっても、仕事の成果を追求するのは当然のことです。ただし、それが行き過ぎると、ストレスやメンタルヘルスに悪影響を及ぼすことに注意が必要です。

そこで、上記のような健康管理体制を充実させることによって、援助を必要とするときに、誰もが安心して活用できるセーフティネット(安全網)を整備しておくことが不可欠といえるでしょう。


第7項 企業組織レベルの改善のために

メンタルヘルスの悪化をはじめとして、企業組織には様々な問題があり、それらは複雑な現れ方をします。こうした組織レベルの問題(以下、「組織問題」という)を把握し、原因を見極め、改善に向けた的確な解決策を立案するためには、問題へのアプローチ方法などについて理解を深めることが必要です。


1.組織の構成要素

組織は、組織構造、組織過程、組織文化・風土という3つの側面と人間行動からなっています。
組織構造は組織の静態をなします。具体的には、部門化の程度、管理階層数、権限・地位関係など分業の関係様式のほか、仕事の進め方や各種の手続き、評価制度や就業規則などの諸制度・規則・ルールを指します。

組織過程は組織の動態をなします。具体的には、コミュニケーション、意思決定、リーダーシップ、コンフリクト解消など、成員の相互作用の過程をさします。

組織文化とは、成員によって共有された信念・価値観・規範の集合体、ないしは共有されたモノの見方・考え方・パラダイムのことです。また、組織風土とは社風や職場の雰囲気のような、成員に共有化された組織全体に関する主観的な特性のことです。

そして、組織の成員としての人間は、このような3つの側面を持った組織の中で、さまざまなこと思考し、さまざまな行動をとっているのです。


2.個人を見る眼と組織を見る眼

組織問題は、上述した構成要素が互いに影響しあい、複雑な様相を呈して表面に出てきます。個人の行動に問題があるように見えても、組織文化がその個人の行動を規制してしまっている場合もあります。あるいは、減点主義的な評価制度によるかもしれません。

そこで、組織問題を見極めるには、個々人の人間行動を見る眼だけではなく、その背後に見え隠れする組織文化・風土、組織過程、組織構造を見る眼を持つことが大切です。


3.ハードアプローチとソフトアプローチ

また、このような組織問題に対するアプローチ方法は、ハードアプローチとソフトアプローチの2つに大別できます。前者は組織構造の変革を主眼としたアプローチであり、後者は人間行動や組織文化・風土に重点を置いたアプローチです

そして、組織問題の解決を図るためには、ハードとソフトの両面からアプローチすることが不可欠となります。組織を変革するには、組織風土・文化に揺さぶりをかけるような働きかけも必要になります。

職場環境の改善に当たっては、ストレス要因を、職務レベル、職場集団レベル、企業組織レベルに、峻別して特定することが重要です。なぜなら、問題と原因の所在するレベルによって活動主体が異なり、その改善・解決に向けた手の打ちどころや力の入れどころも異なるからです。

今や、メンタルヘルスケアを担当する人事労務管理スタッフにも、さまざまな問題の慶全・解決を推進していく、「組織内コンサルタント」としての役割が求められているといえるでしょう。


この章は、結構中小企業診断士の組織論で出てきたことも出ていますね。職務再設計は知りませんでしたし、職務充実が機能していないことも知りませんでした(汗)。組織過程という言葉も初めて知りましたし。

最後は相当駆け足でしたけど、メンタルヘルス・マネジメント検定Ⅰ種のまとめはこれで終了です。今まで、長文にお付き合いいただきありがとうございました。明日は最後に今後の予定の更新をして、ブログを凍結させていただきます。


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2012-04-07 22:45:29 11miyaの投稿

教育研修

テーマ:メンタルヘルス・マネジメント(企業用)
第1章 教育研修
第1節 社員への教育研修

ここ最近は1問しか出ていないようです。

第1項 教育研修の内容(セルフケア)

1.ストレス及びメンタルヘルスケアに関する基礎知識

心の健康問題はだれでもか変える可能性のある問題ですが、正しい知識や理解を持っている社員は意外と少ないのが現状です。社員に対して教育研修や情報提供を行い、心の健康に正しい知識や理解を促すことで、心の健康問題に対して適切な対応を行うことが可能になります。


2.セルフケアの重要性および心の健康問題に対する正しい態度

誤解や偏見はセルフケアをはじめ事業場全体のメンタルヘルスケアの推進を阻害する大きな要因ですからあらかじめ教育研修を行って語か一や偏見を払拭しておくことが必要不可欠です。


3.ストレスへの気付き方。

ストレスへの気付きがセルフケアの第一歩です。ストレスチェックの活用の仕方についても情報提供します。


4.ストレスの予防、軽減およびストレスへの対処方法

ストレスの気付きの次に大切なのはストレスを軽減するための対処です。さまざまなストレス対処方法が活用できるよう教育します。

5.自発的な相談の有用性

自身では対処しきれないような過剰なストレスには、家族や管理監督者、産業保健スタッフ、専門医などに積極的に相談することが有用です。しかし、相談には心理的な抵抗が付きものです。それを払拭するためには、相談によって必要な情報や助言が得られること、相談したこと、悪影響がないことを従業員に知らせることが必要です。


6.事業場内の相談先および事業場外資源に関する情報

必要に応じて適切な相談先を利用できるよう情報提供しておきます。


第2項 教育研修の実施方法

1.教育研修の計画

教育研修は、心の健康づくり事業の中で最も取り組みやすいですが、単発で終わっては効果が期待できません。事業場の状況や労働者のニーズを把握し、計画的かつ継続的に実施していくことが重要です。

事業場内の安全衛生委員会などでメンタルヘルス事業の年間計画を立てる際に、年度目標や労働者のニーズに照らして教育研修のテーマを決定し、そのうえで具体的に計画を立てます。

また、よりよい教育研修を実施できるようにm教育研修実施後にはアンケートを実施します。具体的な質問項目としては、全体的な満足度、実施時間帯、長さ、理解度、役に立ったかどうか、講師、今後希望するテーマなどです。


2.教育研修の方法

講義形式が一般的ですが、できるだけ参加型にした方が、参加者の満足度や理解度も高く、記憶にも残りやすいようです。講義形式にする場合には、講師には趣旨を十分理解してもらっておく必要があります。

参加型の教育としてはグループワーク方式や実習方式があります。また、視聴覚教材の利用や、パンフレット、リーフレットは情報を広く労働者に伝達する方法として効果的です。


第3項 教育研修の留意点

社員が主体的に学習して実際に使える知識やスキルが身に着くような効果的な教育研修になるよう企画や実施の段階での工夫が必要です。「楽しく役に立つ」企画が重要といえます。

1回の参加人数は、効率が悪いようでも30~50人程度を限度し、広めの会場を準備するとやりやすくなります。また、1回あたりの時間は60~90分が一般的ですが、グループワーク形式やロールプレイングを交えた教育研修の場合は120~180分程度かけないと十分な効果が得られません。

また、講師は事業場内の産業保健スタッフなどをできるだけ選び、社員に顔を覚えてもらうと、その後の相談につながりやすくなります。

開催時期は、業務繁忙期や休暇取得の多い時期を避け、社員の集まりやすい時期や時間帯で設定します。


第2節 管理監督者への教育研修

ここは2問出ています。特筆すべきは第7回でここから記述式が3問出ていることです。予防しやすいという点では一番重要かもしれませんね。

第1項 教育研修の内容(ラインによるケアと自身のセルフケア)

1.ラインに対する教育研修の内容

a)メンタルヘルス活動を行う理由

教育研修の始めに、職場でメンタルヘルス活動を行う意義を述べましょう。少なくとも「健康の保持増進活動」「労働の質の向上と職場の活性化」「企業活動のリスクマネジメント」の3つが考えられます。


b)実施すべき活動内容

次に、職場で行うべきメンタルヘルス活動について、具体的に示しましょう。ここでは、「メンタルヘルス指針」に沿って話を進めると分かりやすいでしょう。4つのケアの概略を述べたあと、「ラインによるケア」について具体的に話します。NIOSHの職業性ストレスモデルを示し、この中の「職場のストレッサー」を減らし、「緩衝要因」を増やすことが、管理監督者の役目であることを最初に述べておくと、その後の研修の具体的な内容が理解されやすいでしょう。なお、「ストレス」の定義についても説明するとよいでしょう。


c)職場環境などの改善

「職場環境などの改善」は、ストレス要因を的確に評価して、問題点を明らかにし、必要にあれば軽減することです。仕事の要求、裁量権、支援、仕事の量・質などです。

職場環境など改善のためのヒント集として、「メンタルヘルスアクションチェックリスト」があります。「ストレス判定図」の結果をもとに、具体的な改善を提案、実行することができます。さらに、経年で「ストレス判定図」を用いることで、ストレス要因を軽減したことが、実際の労働者のストレス軽減に結び付いたかどうかを評価することができます。

職場のストレスモデルとしては、努力-報酬不均衡モデルも知られています。心理的な報酬については、ねぎらいの言葉で与えられます。

最近、「公平」が職場環境として重要だということが分かってきています。「公平」は大きく、「相互作用的(対人的)」、「情報的」、「手続的」、「分配的」の4つに分けることができます。「相互作用的(対人的)」、「情報的」は管理監督者が十分行うことができます。部下に開示できるものは、「公平」の視点より開示すべきでしょう。


d)部下に対する相談など

「部下に対する相談など」で重要なのは、管理監督者が、日ごろから、部下とのコミュニケーションを十分に図ることです。これにより部下の精神的な不調に気付き、何よりも、職場にメンタルヘルスについての問題が起こらないように予防することができるのです。

部下の変化のひとつは「集団からのズレ」で、もうひとつは「常態からのズレ」です。

部下の変化に気付いたとき、直接部下の話を聴く機会を作り、その際はプライバシーを守るために個室の場所を設定します。

最初のうちは、聴き役に徹し、共感的な態度で接することが重要です。聞いてもらうだけで、部下のストレスは軽減されるものです。話を聴くスキルとしては、相手の身になって真剣に傾聴し理解しようとする態度や姿勢が重要です。

当事者間で問題の解決が困難な場合は、産業保健スタッフや事業場外資源を利用するよう促します。


e)ラインが知っておくべき心の病気

まずはうつ病とアルコール依存症です。

うつ病は、最悪の場合自殺する危険性があること、職場のストレスが原因となること、職域で患っている人が多いからです。特徴としてはメランコリー型を説明するのが基本ですが、余裕があれば非定型についても触れるとよいでしょう。

アルコール依存症については、わが国で220万人~260万人と多くの人がいること、遅刻・欠勤、業務効率の低下やミスによる生産性の低下、人間関係の悪化の原因となること、運輸業などでは、事故による社会問題に発展することなどが重要です。治療の大きな柱として断酒があります。治療に協力するために、宴席に当事者を誘わないように教育をしておく必要があります。また、断酒の継続をこまめに確認するため、産業保健スタッフと本人の面談の機会が多くなることを管理監督者に理解してもらいましょう。

余裕があれば、不安障害、躁うつ病、統合失調症、心身症、適応障害などを取り上げることになります。

時間があれば、事例検討会を行うことが有効です。

なお、職場によっては、組織心理学の視点から、部下のモチベーションを上げようとする、いわゆるポジティブメンタルヘルスの研修を行っているところもあります。


2.管理監督者自身に対する教育研修の内容

内容は、労働者のセルフケアと変わりません。ただし、職位が高くなればなるほど、自分の上司や同僚に自発的に相談することが難しくなります。したがって、相談先としては、産業保健スタッフや事業場外資源が多くなります。


第2項 教育研修の実施方法

教育研修を実施するには、事前にその内容について、関連部署と十分に検討しておく必要があります。特にメンタルヘルス活動については、事業者の考え方が反映されます。したがって、ラインに対する研修を行う前に、役員会議などの場で、職場におけるメンタルヘルス活動の重要性を説明し、納得してもらったうえで、ライン研修の概要を話し、同意を得ておくことが少なくとも必要です。

研修の内容は、最低限「職場環境の改善」と「部下に対する相談」は行うべきで、少なくとも1時間はかかります。これに事例検討や質疑を含めて、2時間程度で行うのが一般的です。

メンタルヘルスの研修については、適任がいないため、外部の講師にお願いする場合があります。あらかじめ職場の産業保健スタッフが外部講師に対して、職場の概要について説明したうえ、研修内容がその職場のメンタルヘルスに関する方針に沿ったものになるように、産業保健スタッフと外部講師の間でよく検討しておくことが大切です。

管理監督者もいくつかの職位に分かれるため、階層に応じて、数回にわたって研修を行うことが望ましいでしょう。取締役には企業責任、中間管理職には事例やロールプレイングを中心に、新任管理職には管理監督者自身のケアを中心に行うとよいでしょう。

PDCAサイクルを回し、連続的かつ継続的に実施するものです。教育研修を実施した後は、効果があったかどうか評価することが大切です。

第3項 教育研修の留意点

これまでの記述に加え、経年的にレベルアップに計画することも重要です。

事例検討を行う場合は、当該管理監督者が抱えている実際のケースを取り上げることもありますが、一般的でなかったり、収拾がつかない危険性もあります。産業保健スタッフは、研修が参加者全員にとって有意義なものとなるよう、うまく調整する必要があります。


第3節 労働者のキャリア発達支援

ここも2問ですね。個人的には重視したいんですけど。
第1項 キャリア発達とストレス反応

1.キャリア発達とは

キャリア発達とはcareer developmentの訳語です。

心理学メカニズムとしての「キャリア発達」のとらえ方は、個人のキャリア行動を発達するという視点に立って理解する立場です。言い換えれば、キャリア発達は、キャリア行動を心理的要因と状況的要因との相互作用の結果ととらえます。また、その相互作用は個人の生涯にわたって起こることです。キャリア発達は、全人的発達の一部として生涯発達し続ける、という知見です。

キャリア発達を理解する鍵の概念のひとつは「発達」です。発達とは、生涯にわたる変化の過程であり、個人が自分の生きる諸環境に適応する、より高次の能力・資質を獲得していく過程です。

キャリア発達を理解する鍵の概念のもうひとつは「キャリア」の意味です。キャリアは、「個々人が生涯にわたって遂行するさまざまな立場や役割の連鎖及びその過程における『自己と働くこと』との関係付けや価値付けの累積」という定義に立ちます。「働くこと」は職業だけを意味しません。職業は社会との相互作用の表現のひとつです。

したがって、キャリア発達とは、社会の中で多様な役割を自分らしく果たすことの結果、築かれる生き方を展望し、実現していく過程です。


2.キャリア発達支援の意義

メンタルヘルスの促進においてキャリア発達を考える意味は、個人のキャリア行動の発達が全人的発達に重要な一部をなしているからです。キャリア発達は暦年齢と関連はしていますが、人は年齢とともに自然に発達するわけではありません。つまり、ある年齢や地位、立場に期待される課題(発達課題)を達成するためには、それ以前の発達課題を達成することで発達させられる心理社会的成熟と適応能力を獲得しておく必要があります。そのために発達視点に立って心理社会的発達を促す支援は必要となります。

また、キャリアは、職業人にとって職業生活は生き方の中核であることも事実です。変化に適応しながら自分らしく生きるためには、人生の節目ごとに自分のキャリアを考えることが意味を持つ時代となりました。社会環境の激変する中では、組織は、労働者一人ひとりがキャリア発達できるように積極的に支援する教育研修を実践することが重要です。


3.キャリア発達とストレス反応

キャリア発達支援がメンタルヘルス上重要となっているもう一つの理由は、キャリア発達状況がストレス源ともなり得るからです。なかでも役割葛藤は多くの職業人のストレス源となっています。

成人の大多数は少なくとも6つの役割(子供、学ぶもの、余暇人、労働者、市民、家庭人)を同時に果たしています。複数の役割に対する取り組み方、どの役割を重視するかは個々人によって、またその年齢によって異なります。

しかし、どの役割も相互に影響しあっており、特定の役割だけを切り離して人生を考えることはできません。底に葛藤も生じるし、逆に心理的安定や充実感も生じます。

重要なことは、個々人が、社会の中でより効果的に機能しながら自分らしく生きられることを目指して、複数の役割の優先付けをして現実的な行動が取れる能力と態度を発達させることです。多様な役割が心理的負荷となることは事実です。

キャリア発達の遅れがストレス源となり得ることを理解することも重要です。特に職業生活においては、職業的・心理的・対人的・身体的ストレス反応という4つのストレス反応が考えられます。

必ずしもストレス反応がキャリア行動が未成熟であることに起因するとは言い切れませんが、キャリア発達支援が、これらのストレス反応対処に寄与することは確かです。


第2項 キャリア発達プログラム(CDP)の展開

1.キャリア発達プログラム(CDP)の意味と内容

産業界の人事、教育分野ではCDP(Career Development Program)は「キャリア開発プログラム」として知られています。CDPは個々人の人生設計を支援するという意味が強くなり、まさにキャリア発達支援にふさわしくなっています。

「キャリア発達プログラム」という特定のプログラムがあるわけではなく、個々のキャリア形成を支援する目的のさまざまな活動の総称です。

キャリア発達プログラムは、将来キャリア上の課題や問題に直面したときに自分で解決できるような力と態度を発達させることが目的です。

具体的には、職場を一時的に離れて、この課題に集中できるようなワークショップの形式を取ることが多いです。自分では解決できない課題に直面することや新たな課題に気付くこともありますので、カウンセラーと個別に話せる時間帯をプログラムの一部に組み込むことが望まれます。

事実、キャリアカウンセリング自体は、キャリア発達プログラムの中核といわれてもいます。

2.キャリア発達プログラム開発のための注意事項

・メンタルヘルス対策の中で、キャリア発達支援は、労働者個々人を対象とし、労働者の「セルフケア」を促進させることがキャリア発達支援の目的であること。そしてその支援プログラムの第一の目標は、労働者が自覚を持ち、自律的にキャリア発達を促進させるのを支援することである。ストレス対処は二次的な目標、特定の資格取得、職業能力向上ではないことを認識すること。
・キャリアの意味を正確に把握し、組織内の人事管理とは関係ないことを認識しておくこと
・労働者全員が参加できるような体制づくりが必要となること


3.プログラムの責任者に問われること

プログラムは集団で行うことが望ましいのですが、指導者は個々人の違いを尊重できる姿勢を持ち、プログラムの過程の中にそれを実践できる資質を持つことが求められます。

また、既成ではなく、自分の組織の特徴や労働者の状況を理解し、自分のプログラムを開発することが望ましいのです。プログラムの基本構造は、過去の振り返り、現実吟味、そして未来の展望という時間的な流れの中で、職業生活を中心としながら、それぞれの時点でのその他の役割の取り方に焦点を当てることが不可欠です。

そこで、体験学習と知的理解を促す講義との組み合わせがプログラム構造の要ともなります。


第3項 メンタリング・プログラム

1.メンタリングとは

メンタリング(mentoring)とは、メンター(支援者)とプロテジェ(指導を受けるもの)との「関係性」を示す概念です。特別な「技法」を示す概念ではありません。また、メンタリングはカウンセリングやコーチングを含む広い概念です。メンターとプロテジェが出合い、自然に現れてくるその特有の関係性、その関係性の中から生まれるメンターの行動や思いのことをメンタリングというわけです。メンタリングとメンタルヘルスは似た表記ですけどまったく異なる意味です。

☆メンタリングの基本
a)メンターが、
b)プロテジェと、
c)1対1で、
d)継続的・定期的に交流して、
e)信頼関係の構築を通じて、
f)プロテジェのキャリア発達の支援と
g)心理・社会的な発達の支援を行うこと

メンタリングの機能は、「キャリア的機能」と「心理・社会的機能」です。この2つの機能はさらに9つの具体的行動に分類することができます。


2.メンタリング・プログラムの基本スキーム

・対人的支援や教育の専門家ではない「素人」の支援であること
・金銭的報酬のともなわない、ボランタリーな活動であること
・メンターとプロテジェの関係性の生成や進展を事務局や専門家がモニタリングしていること


3.プログラムの実際

第1ステップ:プログラムの計画と実施準備
まず、目的を明確にします。多くのことを目標にすると焦点がぼやけてしまうので注意が必要です。

第2ステップ;プログラムの告示と候補者の公募
できる限り自由意思を尊重する形で、広く組織のメンバーにメンターやプロテジェとなることを働きかけることが重要です。

第3ステップ:メンターとプロテジェの選抜
公募で集まったメンターとプロテジェ候補を、提出書類や個人面談によって選抜します。プログラムの目的に合った人物、個人的な必要に迫られている人物を公平に選びます。特にメンターとなる人の動機や人間性は選抜基準の重要な要素となります。

第4ステップ:オリエンテーションと事前教育
選抜されたメンターとプロテジェに対して、プログラムの目的や仕組みに関する説明、さらにメンタリングに関する基本的な知識と役に立つスキルについての教育を行います。教育はロールプレイングやケース・メソッドを組み合わせると効果的です。

第5ステップ:メンターとプロテジェのマッチング
原則としてひとりのメンターにひとりのプロテジェが着くようにマッチングします。お互いにパートナーを自由に選択できるのが理想ですが、できない場合は事務局が適切なペアを決めます。また、マッチング後数週間後は試行期間を設けたり、万一の場合を考えパートナー解消の手続きをメンターとプロテジェ双方に教えます。

第6ステップ:メンタリングの実施とモニタリング
メンタリングを事務局がモニターし、2人の関係が深化し、信頼関係が形成されるのを見守ります。また、メンターあるいはプロテジェからの求めに応じて、必要なサポートを行います。

第7ステップ:プログラムの評価と改善
メンタリングが行われている期間中、あるいは期間が終了した時点で、プログラム全体の評価を行います。改善点が見つかったらプログラムを修正し、次のプログラムにつなげていきます。


研修はできれば理想的でしょうけど、そこまでやるのは費用面からも困難でしょう。CDPは何とか取り入れたいところですね。メンタリングは初めて聞いたので正直よく分かりません。


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2012-04-06 22:58:30 11miyaの投稿

相談体制の確立

テーマ:メンタルヘルス・マネジメント(企業用)

第7章 相談体制の確立
第1節 専門家との連携

ここは2問出題されています。
第1項 相談できる公共機関

1.行政機関とその役割

各事業場が行政と接するのは、労働行政としては、各都道府県労働局、労働基準監督署や地方社会保険事務局、保健行政では自治体の保健所、保健センターとなります。

各都道府県労働局、労働基準監督署は心の健康づくり、メンタルヘルス対策の基本的な情報発信、指導、相談窓口などです。

一方、保健所は地域住民の精神保健の相談対応、訪問指導を実施しています。労働者も地域住民ですので、こうした保健所のサービスを受けることができます。


2・労働安全衛生分野の公的機関

a)中央労働災害防止協会

事業主などが行う自主的な労働災害防止活動の促進を通じて、安全衛生の向上を図り、労働災害を絶滅することを目的としています。

メンタルヘルスに関わる部分では、THP(トータル・ヘルスプロモーション・プラン)の担当者を育成し、中小企業における健康づくりの普及を図るため中小企業を直接支援する「THPデモンストレーション事業」を行っています。

また、事業場メンタルヘルス対策の入門的支援、現状チェック、心の健康づくり計画の支援、意識向上・方策指定、仕組みづくり、教育・研修、ストレスチェックとセルフケア援助などの様々な支援を行っています。

b)労働者健康福祉機構と産業保健推進センターなど

労働者健康福祉機構は、労働者の健康と福祉の増進を目指し、勤労者医療、産業保健活動、未払賃金立替払事業を行っています。

全国47都道府県に設置されている産業保健推進センターは、産業保健関係者を支援、事業主などに対して職場の健康管理への啓発を行うことを目的としています。

研修事業、情報提供事業、窓口・実地相談、地域産業保健センターへの支援、広報啓発活動を行っています。

メンタルヘルスでは、職場のメンタルヘルスや職場のカウンセリングの進め方の事業場からの相談に対応するほか、定期的な研修会が実施されている箇所もあります。

c) 地域産業保健センター

労働者数50人未満の小規模事業の事業場の産業保健活動や健康管理を担うために、全国の労働基準監督署の単位ごとに設置されています。

健康相談窓口の設置、産業保健指導や産業保健の情報提供などを行い、費用は公費で賄われます。

メンタルヘルスに関しては、セミナーやメンタルヘルス相談を含めた「働き盛り層のメンタルヘルスケア支援事業」を実施しています。


d)その他の機関

産業医額の振興と職場における労働者の健康管理の充実に役立つことを目的として、産業医や産業保健職の研修、産業医学に関する調査研究の助成などを行っている産業医額振興財団、産業医などの養成と産業医額の研究を行っている産業医科大学、労働者の健康の保持増進及び職業性疾病の総合的な調査研究を行う独立行政法人労働安全衛生総合研究所などがあります。


3.メンタルヘルス対策の役割を担った公的機関

a) 精神保健福祉センター

各県、政令指定都市にあり、精神障害をもつ人の指導・援助に加え、心の健康の保持と向上を目的とした精神保健福祉相談、広報普及活動、社会復帰の指導と援助、研修、連携や技術協力・援助などを行っています。

b)勤労者メンタルヘルスセンターと勤労者心の電話相談

勤労者メンタルヘルスセンターは労災病院にあります。メンタルヘルスセンターでは、ストレス関連疾患の診療・相談、メンタルヘルスに関する研究、勤労者・医療従事者などを対象とした講習・研修、ストレスドック・リラクゼーション部門の開設などを行っています。

勤労者心の電話相談は、労働者自身、上司など職場の関係者に、仕事上のストレスによる精神的な悩み、職場の対人関係の悩みなどの職場生活を通しての悩みに関する相談に対応しています。無料です。

c)障害者職業センター

各都道府県にあります。ジョブコーチ事業では職場にジョブコーチ(職場適応援助者)を派遣して、障害者の直接支援や、事業主や職場の従業員に対しても、障害者の職場適応に必要な助言を行い、必要に応じて職務や職場の改善を提案しています。職場復帰支援(リワーク支援)事業では、休職者の精神障害者に職場復帰支援の実施などを行います。


第2項 健康保険組合

1.健康保険組合の役割

保険給付だけでなく、健康の保持増進のために予防に関わる事業も行うように努めます。


2.健康保険組合連合会

健康保険組合活動の支援、昨日強化を行います。健康づくり施策を支援する健康開発共同事業などを行うほか、研修会、講演会を実施したり、病院情報を提供したりしています。


3.健康保険組合のサービス

各健康保険組合でサービスは異なります。

第3項 専門医療機関(精神神経科、心療内科)


1.診療科の特徴

心に関わる疾患のうち、症状が主に身体の症状・疾患(心身症)として現れるものを扱うかが心療内科であり、精神の症状・疾患(精神疾患)として現れるものを扱うかが精神神経科(精神科、神経科)です。


2.専門スタッフの種類と役割

a)精神保健指定医・精神科医・心療内科医

精神保健指定医は「措置入院(本人の同意がなくても入院させることができる)」などを行うために必要な資格です。精神科医・心療内科医については上の通りです。


b)精神保健福祉士

精神保健福祉領域のソーシャルワーカーのことです(国家資格)。精神障害者の抱える生活問題や社会問題の解決のための援助や、社会参加・復帰に向けての支援活動を行っています。


c)臨床心理士

臨床心理学の知識や技術(心理療法、サイコセラピー)を用いて心の問題を取り扱う専門家です。


d)カウンセラー

カウンセリングを行います。いくつかの団体がそれぞれカウンセラーの認定を行います。事業場と関連が深いのは産業カウンセラーです。


e)精神科認定看護師

精神科の専門分野において、水準の高い看護を実践できる看護師と認定されます。


3.専門医療施設の特徴と役割

精神疾患の入院に関しては「精神病床」の許可をとらなくてはならないことになっています。精神病院によって力を入れている分野が異なります。


第4項 専門相談機関(外部EAPなど)


1.外部EAP機関

☆特徴

EAPはEmployee Assistance Program(従業員支援プログラム)の略称です。
内部と外部があり、外部EAP機関は企業に対しては、職場組織が生産性に関連する問題を定義することを援助し、社員に対しては、仕事上のパフォーマンスに影響を与えるさまざまな個人的な問題(健康・結婚・家族・経済問題、アルコール・ドラッグ中毒、法的問題、対人関係、ストレスなど)を見つけ、解決する手助けをします。外部EAP機関を利用することで事業場内産業保健スタッフが不十分な場合でもメンタルヘルスに関する体制を整えることができます。


☆機能と役割

対象となるのは、労働者、家族、組織のリーダー、組織全体です。

a)労働者の心の健康問題評価
b)組織に対する職業性ストレスの評価・コンサルテーション
c)労働者の抱える問題に対する適切な医療機関や相談機関への紹介とフォロー
d)管理監督者や人事労務管理スタッフへの問題対処方法やEAPの適切な利用に関するコンサルテーション
e)従業員やその家族、管理監督者、人事労務管理スタッフに対するメンタルヘルス教育、EAP利用方法の教育
f)短期的カウンセリング
h)健康問題を生じる可能性がある危機への介入
i)EAP機関と連携する事業内メンタルヘルス担当者の育成
j)事業場内産業保健スタッフへのメンタルヘルス対策の教育
k)EAPサービスの効果評価


2.いのちの電話などその他の民間相談窓口

民間で個人向けに相談に応じてくれる「いのちの電話」や「ハートナビゲーション」といった相談窓口です。「いのちの電話」は電話・FAX(一部)相談などを無料で実施しています。「ハートナビゲーション」は社団法人日本産業カウンセラー協会が厚生労働者から委託を受けて実施している勤労青少年向けの相談窓口です。
第5項 その他の事業場外資源

1.労働安全衛生機関、健康保持サービス機関

ストレス調査など、事業場のメンタルヘルス対策の支援をしてくれます。


2.さまざまな専門家団体

産業精神保健学会、日本産業ストレス学会、日本EAP協会、日本産業カウンセラー協会、日本産業カウンセラー学会、心理相談会、財団法人社会経済生産性本部メンタル・ヘルス研究所といった団体があります。


3.復職支援のための資源

前述の地域障害者職業センターのほか、EAP機関や労働衛生機関の一部がプログラムを提供しています。


4.患者の会など

様々な疾患に関して、当事者や家族による支援グループがあります。主なものはアルコール依存症における断酒会、AA、統合失調の患者会、家族会などです。

全国組織として全国精神障害者団体連合会、家族に精神障害者がいる家族同士が集まったNPO法人である全国精神保健福祉会連合会があります。

第2節 事業場外資源活用のポイント

ここは2問出ています。第3節の出題が多いようです。

第1項 連携の必要性の判断

1.事業場内のニーズの確認

事業場のメンタルヘルス体制の現状把握と従業員のメンタルヘルス状況によってニーズは異なってきます。体制の現状把握をする際に役立つのが「事業場における心の健康づくりの実施状況チェックリスト」です。「メンタルヘルスの相談先」「心の健康問題を持つ従業員の服飾や職場適応の支援」の2つに分類されています。

その他、心の健康づくり計画の作成や職場環境などの改善、教育研修、緊急時の心のケアなどの面も含めて外部資源との連携の必要性を考えていきます。


a)相談先(場所)・担当者と利用者のプライバシーの保護
b)全ての従業員・管理監督者に対する相談利用のための教育研修の実施
c)管理監督者による相談対応
d)人事労務管理スタッフや産業保健スタッフの相談先(専門家)・紹介先の確保
e)心の健康問題を持つ従業員への継続的な支援のあり方


2.事業場内資源との相補性

事業場内にスタッフがいない場合や、いても人員上十分でない場合は、相談窓口の運営そのものに外部資源を活用したり、教育研修など一部を外部に委託したりすることが考えられます。

外部機関に任せる場合でも、会社としての「心の健康に関する考え方」や「相談体制」などは外部機関に十分理解してもらい、一部は内部スタッフが実施するなど協力しながら進める必要があります。

内部スタッフがいても、メンタルヘルスの専門性に乏しい、あるいは困難な事例に出会うことはよくあることです。こうした場合のスーパーバイザー的な役割や、より専門的な相談窓口(二次的な窓口)の設定を外部資源に求めることも考えられます。事業場に専門家がいない場合には、事業場としての相談先(専門家)を検討する必要があります。非常勤の嘱託精神科医、臨床心理士を確保したり、EAP機関と契約する際に産業保健スタッフに対する支援内容を盛り込んだりして対応できます。

一方、ある一定の資格を満たしていれば就業しながらでも相談担当の技術を習得、資格を得ることも可能です。

中・長期的な心の健康づくり計画の中で相談担当者の育成を考えながら、現在不足している部分を補う形で外部資源との連携を考えます。

第2項 専門機関の選び方

☆メンタルヘルス相談体制の目的
a)疾病者あるいは問題となる従業員への対応
b)復職者の対応
c)早期発見
d)従業員セルフケアなど早期対応
e)環境改善など予防的措置
f)従業員のモチベーション向上やキャリア開発

EAPも医療系、心理系、コンサル系という得意分野があるため、現在の事業場内でどの分野に力を入れるのか検討し、目的は何かを明確にしたうえで事業場内のスタッフで対応が不十分なものを外部に委託するということで、連携をとる機関を選定していく必要があります。


第3項 連携方法の確認とプライバシーの配慮

1.連携方法の確認と従業員への周知

連携に当たっては、連携先との事業場内担当者(連携担当者)を明確にしておきます。EAP機関を利用するのであれば、どのようなサービスを利用するのかを明らかにしたうえで契約を行います。

利用にあたっての必要な情報は従業員に繰り返し周知します。

専門医療機関や精神科医、カウンセラーなどを連携先とする場合、どのような形で連携をとるのか明らかにしておく必要があります。

単発や期間限定の教育研修などの場合にも、外部資源担当者と打ち合わせをし、事業場のメンタルヘルス方針や体制、事業場の特徴などを理解してもらう必要があります。


2.プライバシーへの配慮と従業員への周知

メンタルヘルス対策やその他の健康管理の中でも個人情報の保護は十分に確保される必要があります。また、労働者が相談窓口を利用したことが例え分かったとしても、それを理由に不利益に扱ってはなりません。


労働者にとって事業場外資源を利用した相談体制の運用はプライバシーを保護されているという安心感を与えます。一方で、会社と事業場外資源の規定があいまいだと、必要な環境調整や職場での配慮が行われず、相談者の不信につながる、事業者は安全配慮義務を果たせなくなる可能性があります。

このため事業場と事業場外資源の連携に際して、プライバシーの保護の規定を契約の中に盛り込み、その内容を利用者に周知しておく必要があります。以下のような内容は規定しておく必要があります。

a)個別の相談事例内容を事業場へ知らせる場合は、情報開示の内容、開示する相手を利用者本人との間で合意しておくこと。
b)事業場への利用状況として件数、性別、年代などの基本情報を報告する際には個人が特定できないように匿名性を確保すること
c)相談者自身や第三者の生命・身体・財産などを脅かすような可能性のある危機的状況に関しては、必要最低限の部署などに情報を開示すること


第3節 職場復帰支援プログラム

ここも2問です。2,3節がやや多めに出題されているようです。
第1項 職場復帰支援プログラムの必要性

精神疾患により休業した労働者の職場復帰支援には、身体疾患の場合とは違ったいくつかの難しさがあります。精神症状や業務遂行能力の評価が確立されていない、直接の原因や今後の見通しが分からない、情報交換を行えないまま職場復帰支援を進めざるをえない、などです。

このような問題に対してまず準備すべきは、事業場において職場復帰支援に関するプログラムやルールを策定することです。新たなプログラムやルールを策定することは事業場にとって大変な作業ですが、本来、復職という人事に関わる制度についての社内ルールが明文化されていないこと自体が大きな問題であり、これは企業のリスクマネジメントのためにも決して欠かすことのできない作業です。

第2項 職場復帰支援の基本的な流れ

厚生労働省の職場復帰支援の手引きの目的は、個々の事業場でそれぞれ独自の職場復帰支援プログラムを策定し、それを職場復帰支援に関する規定として整備することにあります。あくまで個々の事業場の人的資源や他の実態に即した形でなければなりません。


第1ステップ:病気休業開始及び休業中のケア
 1.病気休業開始時の労働者からの診断書(病気休業診断書)の提出(人事労務管理スタッフ、産業保健スタッフにも連絡)
 2.管理監督者によるケア及び事業場内産業保健スタッフなどによるケア
 3.病気休業期間中の労働者の安心感の醸成のための対応(病状によって連絡を取る頻度を決める)
 4.その他


第2ステップ:主治医による職場復帰可能の判断
 1.労働者からの職場復帰の意思表示と職場復帰可能の判断が記された診断書の提出(管理監督者が対応)
 2.産業医などによる精査
 3.主治医への情報提供


第3ステップ:職場復帰の可否の判断及び職場復帰支援プランの作成
1.情報の収集と評価
 a)労働者の職場復帰に対する明確な意思の確認
 b)産業医などによる主治医からの意見収集
 c)労働者の状態などの評価(通勤時間帯に一人で安全に通勤できるか、必要な時間、会社で勤務できる程度に精神的・身体的な力が回復しているかを確認する必要がある。試し出勤制度(リハビリ出勤制度)、図書館での一定時間以上の自習なども有効)
 d)職場環境などの評価(職場の作業管理、作業管理、特に仕事の質や量、作業時間の管理方法、配置転換、移動、役割の変化の影響、職場の人間関係などの情報を収集)
 e)その他
2.職場復帰の可否に対する判断(病状の評価、職場環境の評価との組み合わせで判断。労働者、管理監督者、人事労務管理スタッフ、産業保健スタッフなどが共に情報交換を行い、十分連携しながら総合的に判断する)
3.職場復帰支援プランの作成(管理監督者、産業保健スタッフなどが作成)
 a)職場復帰日
 b)管理監督者による就業上の配慮
 c)人事労務管理上の対応
 d)産業医などによる医学的見地からみた意見
 e)フォローアップ
 f)その他

第4ステップ:最終的な職場復帰の決定
1.労働者の状態の最終確認
2.就業上の配慮などに対する意見書の作成
3.事業者による最終的な職場復帰の決定


職場復帰


第5ステップ:職場復帰後のフォローアップ(一番効果的)
1.疾患の再燃・再発、新しい問題の発生などの有無の確認
2.勤務状況及び業務遂行能力の評価
3.職場復帰支援プランの実施状況の確認
4.治療状況の確認
5.職場復帰支援プランの評価と見直し
6.職場環境などの改善など
7.管理監督者、同僚などへの配慮など


第3項 プライバシーの保護

復職に関する情報のほとんどは、労働者のプライバシーに深く関わるものであるため、取り扱う労働者の健康情報などの内容は必要最小限とし、労働者の個人情報については原則として常に本人の同意を得た上で扱うよう配慮しなければなりません。

産業医が選任されている事業場においては、産業医が安全(健康)配慮上必要と判断した情報を集約・整理したうえで他の関係者に伝えられる体制が望ましいでしょう。健康情報などの取り扱いに関して、衛生委員会などの審議を踏まえて一定のルールを策定する必要があり、労働者の健康情報などの漏えいなどの防止措置を厳重に講ずる必要があります。

また、健康情報などを取り扱う者に対して、健康情報などの保護措置のための必要な教育及び研修を行うことが必要です。


第4項 職場復帰支援に関して検討すべき事項

1.職場復帰可否の判断基準

・労働者が職場復帰に対して十分な意欲を示している
・通勤時間帯に一人で安全に通勤できる
・会社が設定している勤務時間の就労が可能である
・業務に必要な作業をこなすことができる
・作業などによる疲労が翌日までに十分回復している
・適切な睡眠覚醒リズムが整っていて昼間の眠気がない
・業務遂行に必要な注意力・集中力が回復している

これに作業管理の状況やきちんとした受け入れ準備が行われているかなど職場側の要因についての評価も加えて十分検討しなければなりません。運転作業や危険作業に従事する可能性がある場合には特に慎重な検討が必要です。


2.試し出勤制度

試し出勤制度を設けている事業場では、より早い段階で職場復帰の試みを開始することができるため、より実際的な職場復帰の可否の判断や早期の職場復帰に結び付けることが可能になります。

試し出勤制度を実施する場合には、ルールを明確にした運用することが不可欠であり、できるだけ正式な復職手続きを経た上で就業上の配慮として実施することが望ましいでしょう。


3.「まずは元の職場への復帰」の原則

一般的に、配置転換や異動といった労働者のキャリアにとって重要な決定は、精神状態がかなり安定してから行うことが望ましいといえます。新しい環境への適応には新たな心理的負担が生じる可能性があるため、特別な問題がない場合には、現職で業務負担を軽減しながら経過を観察し、その上で配置転換や異動の必要性について考慮した方がよいと思われます。

しかし、移動や配置転換が明らかなきっかけになっているケースや、職場不適応が原因の場合には、最初から配置転換などを考慮した方がよいケースもあります。その判断については産業保健スタッフや人事労務管理スタッフも交えながら関係者間で十分に検討したうえで行う必要があります。


4.職場復帰に関する判定委員会(いわゆる復職判定委員会など)の設置

職場復帰支援においては、管理監督者、人事労務管理スタッフ、産業保健スタッフなどが十分な連携をとることが必要であり、そのために関係者が一堂に会して話し合う復職判定委員会の設置は非常に有効な仕組みです。委員会の運用については、委員会決議についての責任の所在の明確化、迅速な委員会開催のための工夫などについて十分に検討しておく必要があります。


5.中小企業規模事業場における事業場外資源の活用

特に50人未満の小規模事業場では、事業場内に十分な人材が確保できない場合が多いことから、地域産業保健センター、労災病院勤労者メンタルヘルスセンターなどの事業場外資源を活用することが有効であり、衛生推進者または安全衛生推進者は、事業場内の窓口としての役割を果たすよう努めることが必要となります。


6.職場復帰支援に関する体制の整備と教育活動

事業者は各事業場の実態に即したかたちで職場復帰支援プログラムを策定し、それが円滑に実施されるよう社内の規定や体制の整備を図らなければいけません。同時に事業者は、社内教育や広報活動を行って、職場復帰支援プログラムの目的や具体的な内容、運用方法やプライバシー保護に関することがすべての労働者や関係者に周知されるよう努めなければなりません。


第4節 緊急事態への対応

ここも2問出ています。そして、注目すべきは記述式の第9回で出ているということです。
第1項 突然の失踪(遁走)の場合

1.基本的な考え方

強いストレスにより、記憶を一部なくして思い出せなかったり(解離性健忘)、その場から姿を消してしまうことがあります(解離性遁走)。発見された時には全ての記憶をなくし、自分が誰か分からないこともあります。その時には、家族や職場への罪悪感から聞死念慮が生じていることも多く、注意が必要です。

解離性遁走は、真面目、几帳面、内向的な人に、仕事の多忙、心理的拘束、対人葛藤などのストレスが加わり生じる例が多くみられます。対応としても個人へのアプローチ、ストレス因子への介入、その両者を行う場合などを考える必要があります。


2.対応や予防

解離性遁走は表面上、無断欠勤となります。無断欠勤については可能な限り速やかにその事情を把握することが早期対応策として重要となります。

解離性遁走が疑われた場合、家族と協力して本人の発見と安全確保が優先されます。その上で、人事、労務上の問題として配慮するのか、疾病として治療に導入するのか、その両者の連携をとるのかを決めます。

事情聴取は、本人が耐えられる内容を探りながら慎重に行う必要があります。

解離性遁走を呈するほどの状態では、内面激しい葛藤が存在すると考えられます。似た病態もあるので、それらも考慮する必要があります。

解離性遁走は病気の状態ですから、できるだけ専門医と連携し時間をかけて対応してください。そして、性格が主要因なら医学的治療と、労務軽減など職場環境の改善を含めた対応が必要となります。

職場において特定の個人に仕事量、責任などが集中していないかについて普段から配慮し、それが個人にとって負担が強く、特に不眠などの症状を認める場合については積極的に介入してください。


第2項 希死念慮(自殺したい気持ち)を上司に打ち明けた場合

1.基本的な考え方

突然「死にたい」と打ち明けられることはあまり多くはないかもしれません。しかし、対応を誤ると自殺等の事故につながり、丁寧な対応が必要となります。「死にたい」という気持ちの多くは過度の気分的落ち込みをともなっています。知らず下図のうちにうつ病にかかっている人もいると思われます。


2.対応や予防

「死にたい」と言われたら気が動転するかもしれませんが、相手としては心を許し、助けて欲しい気持ちがあると考えてください。信頼されているのですからその訴えを真剣に受け取り、ともかく話を聴き、「死にたいほどつらい思いがある」ことに共感を示してください。自殺を考える人の多くは「うつ状態」にあることが多く、他人の考えを受け入れられません。そのため、相手の話を否定せずに傾聴することが大切です。

うつ病は精神疾患であり、治療が必要で、改善します。しかし、具体的な問題がその根底にあり、その結果うつ状態を呈していることも多く、この場合はこれらの問題への介入が必要となります。あなたが心配していることを伝え、できれば家族に連絡を取り、専門医受診などの対応を相談するよう誘導してください。もし、その解決にさまざまな部署との連携が必要なら、そのことを丁寧に説明し、本人の同意を得た上で必要最小限の部署と連携を取ります。本人の同意を得られない場合は、安全配慮義務の観点から家族など本人の権利擁護者に連絡を取り、事情を説明の上、協力して対応してください。

☆自殺の危険がある場合
・うつ病の症状
・原因不明の身体の不調が長引く
・酒量が増す
・安全や健康が保てない
・仕事の負担が急に増える、大きな失敗をする、職を失う
・職場や家庭でサポートが得られない
・本人にとって価値あるものを失う
・重症の身体の病気にかかる
・自殺を口にする
・自殺未遂に及ぶ


第3項 独身寮の自室に閉じこもってしまった場合

1.基本的な考え方

a)ステューデント・アパシー

これは自分の本業(勉学)に対する無関心が特徴で、自分が何をしたいのか、何になりたいのか分からないのです。それ以外にも統合失調症、うつ病、パニック障害、アルコール関連障害などの疾患が原因となります。


b)急に閉じこもり、昼夜逆転し、人との接触を極端に避ける

統合失調症などの精神障害の疑いがあります。周りに人がいないのに悪口が聞こえてきて怖くて外に出られない、さまざまな命令が聞こえて自分のしたい行動ができない、などの症状が認められ、これらの異常体験により、話しかけても答えない、意味不明の答えをする、などと対人交流が障害されます。被害妄想が強いと暴力事件に発展することもあります。具体的な実際のトラブルが原因のこともあります。


3.対応や予防

a)ステューデント・アパシー

ある程度の経過を経て生じた場合は、事情を聴くことができることもあります。事情に応じた対応を行います。若者独特の心性を踏まえて十分に話を聴いてください。心理的介入が必要であれば専門医と、職場の環境調整が必要であれば該当部署と、本人の同意を取った上で連携してください。立場の同じ同世代間での交流を促すことが望まれます。

b)急に閉じこもり、昼夜逆転し、人との接触を極端に避ける

突然に閉じこもり連絡も取れない場合には人権を配慮した対応が必要になります。寮の自室は本人のプライベート空間とも言えます。そのため、仕事の遂行に対し障害を与えている事実を念頭に入れた対応を行います。具体的な問題点を可能な限り証拠を含めて収集し、電話、FAX、内容証明付きの手紙などで連絡を取り、事情説明を求めます。これらを拒否(無視)する場合や(著名な問題行動などにより)時間的余裕のない場合は本人の権利擁護者である家族などに連絡を取り、事例性を中心に説明し、家族からの働き掛けや協力を依頼します。本人がそれでも閉じこもりを続け、精神障害が強く疑われる場合には保健所からの往診を依頼したり、精神障害に起因すると思われる衝動行為が顕著な場合には警察を呼び、強制的に医療に結び付ける場合もあります。このようなときには、客観的で十分な証拠を保全しておきましょう。


第4項 常軌を逸した言動が見られた場合(躁状態)

1. 基本的な考え方

気分は連続性を持っていますが、極端な落ち込みや紅葉館が長く続くことは通常ありません。気分が高揚する躁状態は、生きるエネルギーに満ちあふれ万能感があり、自分にできないことは感じます。自分にとっては気分の良い状態ですから、病気であるという自覚はありません。その結果、社会的に大きなトラブルが生じます。躁状態とうつ状態を繰り返す場合(双極性障害、いわゆる躁うつ病)が多いのですが、躁状態だけの場合はあります。躁あるいはうつ病相は周期的に生じますが、各病相間は正常な状態に回復することが多いようです。気分高揚にともないアルコールの摂取量も増え、アルコール依存症も同時に認めることがあります。双極性障害は主に気分安定薬などの薬物療法によって治療できるので、速やかに医療機関と連携を取りましょう。


2.対応や予防

気分は連続性を持っており、量的異常(元気すぎるなど)です。そのため躁状態にあっても、病気としての理解がありません。注意をした人は悪者にされます。本人になぜそのようなことを行うのかを確認し、仕事上の問題が生じる場合にはその事実を伝えます。そして、自分の気分が正しく制御できずに仕事に影響を与えていると理解が得られれば、専門医を受診するように説得します。逆に全く理解が得られず、仕事上の問題が増加する場合には、具体的な問題点を可能な限り証拠を集めて収集し、本人の権利擁護者である家族などに連絡を取り、事例性を中心に説明し、働きかけや協力を依頼します。病気理解が全くなく、本人にとっての不利益が生じる場合には、保護者の同意の下、入院治療に至ることもあります。躁状態では副y区の自己中断に至ることが多く、注意が必要です。

第5項 客先で不穏な言動を起こしたと連絡が入った場合

1. 基本的な考え方

幻覚などの不思議な体験を認める代表的な疾患に統合失調症があります。生涯有病率0.1%~1.7%ともいわれ、決してまれな病気ではなく、幅広い年代で見られます。統合失調症の症状は服薬を中心とした治療で改善するので、医療への結び付けが必要です。また器質性精神障害、症候性精神障害、物質関連障害など、多くの原因でも同じような症状は起こります。問題行動はその理由を確認し、病的体験など精神症状がその原因である可能性があれば、識別と治療のために速やかに専門医と連携してください。


2.対応や予防

客先で不穏な言動を起こした場合、まずは本人と相手の安全確保が第一になります。連絡を受けた時にある程度の事情を把握し、精神障害による可能性が強いと思われた場合は、相手への断りとともに速やかに本人を連れ帰り、面談と事情の確認を行います。客先で話し合うと危険です。本人には「病気であるという認識(病識)」がありあません。精神障害と扱うと問題が生じます。怒った事態を冷静に考え、分析し、慎重に対応を進める必要があります。まずは、できるだけ多くの客観的事実を集めて積み重ね、本人の困っていることを明らかにし、改善するための対策(医療の受診など)をともに考えていくようにします。担当者は利害関係がある上司よりも、産業保健スタッフが望まれます。また、病識が不十分な事例については家族にキーパーソンを作っておくことが大切です。家族の協力も得られない場合は、就業の適否判断の困難性を理由に専門医の診断を求める業務命令を出し、受診させることも考えられます。

精神症状は表面化しにくいため、些細な事例性を上司が把握し、そこから産業保健スタッフに結び付ける体制が必要です。そのためにも管理監督者や人事労務管理スタッフに対する精神疾患の正しい情報提供が必要となります。また、回復した統合失調症の場合、周囲が本人に対し批判的であったり、過度に巻き込まれている場合に再発しやすいため、職場の理解と支援は第一次予防から第三次予防まで深く関連します。


最後の節は私も初めて知るようなことばかりでした。自殺は考えましたけど、口には出したことはなかったですし。統合失調症の方と会ったことはないですけど、大変そうですね…。


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2012-04-05 22:35:12 11miyaの投稿

産業保健スタッフなどの活用による心の健康管理の推進

テーマ:メンタルヘルス・マネジメント(企業用)
こんばんは、みやです。

第6章 産業保健スタッフなどの活用による心の健康管理の推進
 第1節 産業保健スタッフなどの役割

ここは毎回2問出ているようです。

労働安全衛生管理体制のもと、事業場全体で心の健康づくり計画を立て推進していくことが肝要です。なかでも産業医、保健師、衛生管理者などの産業保健スタッフの役割が重要となります。

  第1項 産業医などの役割

1.産業医の職務と立場

常時50人以上の労働者を使用する事業場には、事業者は産業医を選任しなければなりません。また、常時1,000人以上の労働者を使用する場合、(一部の有害業務がある場合は500人以上)には専属産業医を選任する必要があります。

産業医の職務の内容は、労働者の健康の維持管理を目的としたものが中心となっています。産業医を活用してメンタルヘルス対策をしていくことが重要となります。治療については外部の医療機関で行ってもらう方がよいでしょう。

産業医は労働者の職務内容や社内制度を理解できる立場にいるので、労働者の疾病状況と業務内容に応じた復職の判断や就業上の配慮に関する意見をすることが可能となります。


2.メンタルヘルス対策

a)病態のアセスメント(査定)と就業上の配慮についての提案
b)医療機関との情報交換・連携
c)人事労務管理スタッフ・管理監督者との連携
d)職場環境の改善提案
e)メンタルヘルス対策の企画や教育
f)マネジメント、産業保健スタッフの統括
g)メンタルヘルスに関する個人情報の保護


3.産業医に求めること・必要なこと

多くの中小規模事業場では産業医の来社頻度が少ないのが現状です。メンタルヘルス対策に積極的に関与することを条件の一つとして産業医の選択をするとよいでしょう。
第2項 保健師などの役割

1.保健師の職務と立場

保健師は、疾病の診断はできませんが保健指導や健康相談、健康教育、疾病予防活動をすることが一般的な役割とされています。法的には産業医のように選任義務はありません。しかしながら、産業医の代わりに、常勤の保健師が産業保健活動の中心となっている事業場も少なくなく、メンタルヘルス対策の重要な役割を果たします。


2.メンタルヘルス対策における保健師などの役割

1.メンタルヘルス不調者の早期発見、フォローアップ、相談窓口
a)主な役割と産業医との連携
産業医と連携しながらメンタルヘルス不調者の早期発見、フォローアップを行い、また労働者や管理監督者、人事労務管理スタッフの相談窓口になることが期待されます。

b)人事労務管理スタッフ、管理監督者との連携
c)メンタルヘルス対策の企画・教育


3.保健師などに求めること・必要なこと

メンタルヘルスに関する知識や技術に加えて、企業組織を理解するスタンスをもつこと、社内制度や職場状況を理解できること、人事労務管理スタッフや管理監督者との連携ができることが必要となります。

第3項 衛生管理理者などの役割

1.衛生管理者の職務と立場

衛生管理者は、衛星にかかる技術的事項を管理しなければならないとされています。常時50人以上の労働者を使用する事業場において選任しなければなりません。また、事業場の規模により選任すべき衛生管理者数が定められています。


2.メンタルヘルス対策における衛生管理者の具体的な役割

a)メンタルヘルス対策の実施
b)早期の気付き
c)関係各所との連携


3.衛生管理者などを活用するにあたっての注意点

衛生管理者は医療職ではないために、具体的な事例の相談活動を実施したり、プライバシーにかかわる情報を必要以上に詮索しないよう注意する必要があります。


第2節 ストレスの把握と指導

ここも2問出るようです。

事業者は、産業保健スタッフが、個人情報の保護に十分留意しつつ、労働者、管理監督者のストレスを把握して適切に対応できる体制を整備し、必要に応じては事業場外の医療機関などにつなぐことができるネットワークを整備するよう努める必要があります。

第1項 面談によるストレスの把握

1.面接によるストレスを把握する機会

一定時間を超える長時間労働となった労働者に対する面談や、ストレス調査後のフォローアップとして行うストレス得点の高い労働者に対する面談は、うつ病などのハイリスク者との面談であるという認識のもと、注意深く面談を行っています。

さらに、日常で、労働者、管理監督者自身のストレス、職場の状況やその部署の労働者のストレス状況を把握しています。


2.面談によるストレスを把握する情報

産業保健スタッフが面談によりストレスを把握する上で最も重要なことは、メンタルヘルスの知識を習得していることです。ストレス反応として、どのような症状が出るかを知っておくことで、客観的な判断ができます。

また、健康診断の限られた時間に、うつ病のスクリーニングを行う場合は「うつ病評価のための簡易な構造化面接法」があります。比較的短時間の訓練で評価が行えます。

産業保健スタッフを信頼してもらい、リラックスした状態で、自己を客観視してもらえるよう支援します。


3.面談を行ううえでの注意点

a)個人情報の保護
b)事業場内外での連携
c)面接以外の相談方法の提供


第2項 質問紙調査によるストレスの把握

1.質問紙調査の特徴

質問紙法は簡易で調査費用が安くてすみ、一度に大勢の人に画一的な調査が可能であるため導入しやすい方法です。面接法と違い、解答者が平成のくつろいだ状態で質問に解答することができるという利点もあります。

しかし、欠点としては、質問票の回収率の低さや、せっかく回収しても誤った解答や無回答の項目があるなど、調査者が意図した形で回収できないこともあります。

a)ストレスの反応だけではなく、仕事上のストレス要因、ストレス反応、および修飾要因が同時に測定できる、多軸的な調査票である。
b)ストレス反応では、心理的反応ばかりでなく身体的反応(身体愁訴)も測定できる。
c)心理的ストレス反応では、ネガティブな反応ばかりでなく、ポジティブな反応も評価できる。
d)あらゆる業種の職場で使用できる。
e)項目数が57項目と少なく、約10分で回答できるため、職場で簡便に使用できる。


2.質問紙の調査の方法

質問紙調査を行う際には、質問紙の選択、調査の試行、調査実施前の説明、結果の回収、結果の評価とフィードバックを検討します。

a)質問紙の選択は労働者に負担がかからない、改修後の評価方法・フィードバックができることを考慮。
b)調査の前には、プレテストを行い、実際の調査時に失敗のないように準備する方がよいでしょう。
c)初めて調査を行う際には、対象者を納得させてから実施する。
d)結果の回収はプライバシーが守られる方法を設定する。
e)調査前から結果の評価とフィードバックの方法を設定しておく。


3.質問紙調査を行ううえでの注意点

a)プライバシーへの配慮
b)適切な調査票の作成
c)質問紙調査の限界

第3項 結果のフィードバックと指導のポイント

1.結果のフィードバックと指導の目的

調査結果のフィードバックと指導の目的は、労働者のセルフケアと管理監督者によるラインによるケアを行うことです。


2.結果のフィードバックと指導の方法

調査結果のフィードバックは、労働者と管理監督者の2つに分けて行います。また、ストレスが高い人や、セルフケアに関してアドバイスを希望する労働者に対して、産業保健スタッフが個別の相談や指導を行います。

労働者への結果の返却は、職業性ストレス簡易調査を実施した場合、図表を用いて分かりやすく示した「ストレスプロフィール」が開発されており、自由に利用できます。

結果を返却する際にはストレスの状態だけではなく、ストレスをうまくコントロールする方法についても指導します。そして可能であれば、ストレスに関連が高い生活習慣や健康状態も合わせてフィードバックできることが望ましいといえます。さらに、結果には事業場内外での相談窓口の情報を加えておくことで、労働者全員へ確実にサポートシステムを伝えることができます。

管理監督者へのフィードバックに関しては、職業性ストレス簡易調査を実施した場合は、職場ごとの仕事のストレス判定図を作成し、産業保健スタッフと職場環境について話し合うとよいでしょう。

返却の際には、産業保健スタッフが管理監督者と面談する形で報告し、その際、職場の業務の状況や職場環境に関して意見交換がっできれば、管理監督者にとっては適切なラインによるケアを行うためのアドバイスを得ることができ、産業保健スタッフにとっても職場や労働者の様子を詳細に把握できます。

3.結果のフィードバックを行ううえでの注意点

最も重要な点は、プライバシーを保護することです。

第2に、ストレスという主観的な調査結果は、常に正しい者ではなく、個人の価値観など様々な影響を受けます。また、調査結果は調査時点の状況ですので、業務の繁忙や閑散期により異なります。したがって、調査結果ですべてを判断できないので、労働者へのインタビューや職場の状況などを確認したうえで評価することが望ましいでしょう。

第3に、職業性ストレス簡易票は、仕事以外のストレス要因が考慮されていません。

経営者や人事労務管理スタッフにも、事業場全体のメンタルヘルスの状況をフィードバックし、適切なメンタルヘルス施策が推進できるよう支援することも産業保健スタッフの役割です。
第3節 職場不適応のアセスメント
第1項 アセスメントの方法

この節は毎回2問出ています。ただ、過去問題集にはこの項しか載っていません。こちらの方が大事なようです。

1.定期健康診断における心理テスト

心の一般的な健康状態の検査:GHQ精神健康調査票、CMI健康調査票、THI(the Total Health Index)
うつ状態の検査:SDS、CES-D、べック抑うつ質問票
不安状態の検査:CAS、STAI、MAS
アルコール依存症:KAST(久里浜式アルコールスクリーニングテスト)

まず重要な点は、診断結果の使用用途を、あらかじめ被験者である従業員に明確に伝えておくことです。情報はだれが扱うのか、だれが知り得るのかを伝えなければなりません。


a)心理テストの限界

メンタルヘルスの状態を、アンケート方式で検査することの限界を認識しなければなりません。これらのテストはすべて主観的に答えるものであり、本人の精神状態を的確に表せているか疑問です。また、意識的に回答を操作し、思い通りの結果を出すことも可能です。


b)心理テストの効用

ただし、何かを訴えたい、話を聴いて欲しいと思っている人は、この質問紙に自覚症を多くつけます。したがって、悩んでいる人を見つけ、相談にのることができます。また、自分の最近の不調が心の問題だと、テストで初めて気付くこともあります。


2.アンケート調査


1にあげたテストのほかに、Webによる職業性ストレス間に調査票や、個人と組織の両方のメンタルヘルスの状態を調査するテストとして、JMI(社会経済生産性本部メンタル・ヘルス研究所)などがあります。

この場合、記名式か否かで解答も違ってくる、ということは心しておくべきです。無記名であれば、会社は個人のメンタルヘルスの状態を把握することができません。

しかし、本人が自分のメンタルヘルスのチェックを行い、その結果を自分だけで見て、自己判断で精神科や心療内科を受診する動機づけにはなります。

一方、このような調査は組織のメンタルヘルスの状態の把握には適しており、組織のどこにゆがみがあるのかが会社に分かります。しかし、無記名であっても正確にその組織の状態を反映しているとは限りません。


3.健康診断

血液検査で問題が見つかるのは、主に「アルコール依存症」の場合です。しかし、大好きなお酒を止めろ、と言われるのが嫌だから病院に行こうとしません。

個人情報の保護の観点からも、業務命令で治療を受けさせるのは慎重にしなければなりません。この場合、治療を受けさせるには、職場で本人の行動を問題視することが必要です。


4.本人との面接

面接の際は、産業保健スタッフはもう一度自分自身の方法でチェックし直します。
☆聞くべき一般的な背景
・住居
・通勤時間
・勤務形態
・残業時間
・環境変化
・運動習慣

産業保健スタッフが素早く判断しなければならないことは、緊急に対応するべきかどうかです。基本的には統合失調症や気分障害(うつ病、躁うつ病)であるかどうかを判別します。

すぐに精神科に紹介する必要があるかを判断し、必要とあれば病院に紹介したり同行します。その場合、受け入れてくれる病院を前もって確保しておくことも必要です。


5.上司や同僚からの情報

a)素早く判断しなければならない場合

☆統合失調症が疑われる表面に現れる言動
・頻繁な離席、その理由を聴いてもよく分からない説明
・服装の乱れ
・奇行
・被害妄想

☆うつ病が疑われる表面に現れる言動
・元気がなくなってきた
・仕事に行き詰っているようで、残業が増えてきた
・「この仕事を降ろさせてください」と急に言う
・「会社を辞めたい」という


b)上司からの情報だけが頼りの場合(頻回欠勤)

何度も診断書を出して休む場合は、職場が欠勤を許してしまえば産業保健スタッフは手を出せません。本人が、産業保健スタッフに相談してこなければ始まらないのです。

☆職場不適応が疑われる表面に現れる言動
・勤怠が悪化する
・遅刻、早退、欠勤(診断書あり、なし)が多発する
・離席が多くなる
・あいさつしなくなる
・仕事のミスが多くなる
・対人トラブルが多くなる
・仕事上、私生活で事故(労災・交通事故)が多発する


第2項 留意点

a)職業性の不適応の原因

個人だけの問題として扱わず、組織全体の問題として対応すべきでしょう。

・仕事の要求するスキルが従業員の能力より高い場合
・責任が重大すぎる
・上司の指示が不明確
・上司からの評価が低い
・上司に怒られる
・仕事の拘束時間が長い
・仕事が面白くない
・上司、同僚の支援がない


b)個人的な不適応の原因
・借金
・病気
・恋愛問題
・家族の問題
・精神疾病にかかっている


c)他の関係者との情報共有

個人が危険な状態だと知った場合、産業保健スタッフが本人の上司、人事労務部門、家族にどう連絡するかは、とても難しい判断を伴います。

産業保健スタッフは、こういう場合はどうするのかと方針を前もって決めておきます。自分や他人を傷つける恐れがある場合には、関係者に話をすると断ってから相談を受けるようにすると決めておくのが普通です。

つい、断りを伝え忘れた後で重大な話を聴いた場合には、自分の専門家としての倫理に基づいて、なすべきことを行います。これから自分がとる行動をはっきりと本人に告げて、正々堂々と行います。


d)関係者間の協力・連携

産業保健スタッフは、先入観から、思いこんで行動して、最後には孤立するスタッフもいます。このようなことを避けるために日ごろから他のスタッフと連携をよくしておくような配慮が必要です。


e)職場不適応に対する通常の反応

1)本人が困っていることを解決するよう働きかけます
2)周りが困っていることを解決させるように働きかけます


f)まとめ

産業保健スタッフが十分力を発揮できるためには、人事労務管理スタッフと産業保健スタッフが、各々の役割について明確にしておくことが重要です。


第4節 心理相談・対応

ここも2問出ていますね。頻度はあまり偏りはない感じです。

第1項 面談前の情報収集

面談が労働者本人の自発的なものであれば、事前の情報収集により、適切な資料、アドバイス、紹介機関を提供できます。

面談が管理監督者や人事労務管理スタッフの紹介による場合は、紹介者からの情報収集として、本人の抱えている問題、面談の進め方や対応方法、守秘の範囲などについての情報も紹介者に確認することが必要です。

また、複数の関係者が関わる場合は、複数の関係者の意見を聴き、情報を整理し、要点をまとめておくと、本人への適切な対応、関係者へのフィードバックを行うためにも役立ちます。


2.面接前の情報収集の方法

a)産業保健活動を通じての情報収集
・健康診断結果から、健康情報
・健康診断の問診票から、自覚症状、睡眠時間、飲酒量などの生活習慣の情報
・ストレス調査票から、ストレスや職場のサポートの情報
・過去の面談記録から、面談の有無とその内容の情報、など

b)事業場の全体や当該部署を通じての情報収集
・職務記述所から、所属する部署の業務内容と労働者の担当業務の情報
・経営状況や職場巡視から、所属する部署の繁忙さや収益状況、また労働者の業務負荷の情報
・労働者や管理監督者とのコミュニケーションから、ラインによるケアの状況や職場の人間関係の情報、など

c)問題対処のために利用できる事業場内外からの情報
・事業場内の関係者から、面談の理由と、理由を本人に伝えていること
・家族から、家庭での様子や休日の過ごし方
・事業場外資源から、機関の特徴や利用方法など


3.面談前の情報収集を行ううえでの注意点

産業保健スタッフは、面談前の情報により偏見をもった状態で面談することを避け、面接場面では本人の話の内容や考え方を尊重した「共感的理解」をするよう努めます。産業保健スタッフは、プライパシーに関わる情報が多いため、関係者も含めた情報の管理を徹底します。

電子メールの誤送信などにより情報漏えいがないように、注意する必要があります。


第2項 本人からの情報収集

1.本人からの情報収集についての基本的な考え方

メンタルヘルスの教育が定着し、労働者個々人がセルフケアの一貫として、産業保健スタッフに気軽に相談を行うことが理想的なかたちです。そうできれば、問題の早期発見や早期対処ができます。

事業場として準備しておくことは、多様な相談に対応できる産業保健スタッフを確保、多様な相談方法の提供、産業保健スタッフの立場の明確化、などです。このような体制が労働者に周知されれば安心して相談できます。


2.本人からの情報収集(面談)の方法

a)ラポール形成
面接導入時の会話などにより、本人とのラポール(相互信頼の関係)形成を行い、話しやすい雰囲気を作ります。その際に産業保健スタッフの守秘義務について説明し、安心して相談できるように配慮します。

b)相談内容の確認
労働者によっては何を相談したいか不明確であることも少なくないため、労働者の話を聴きながら相談内容を明確にしていきます。

c)相談者の問題点の整理
問題の重要性や緊急性、その問題に関わる多面的な要因などについて、労働者が気付いていない側面からもうまく質問しながら確認していきます。

d)受容・共感的理解
受容とは、「労働者の言葉に対して評価や判断を加えずに、そのままで受け取ろうとすること」であり、共感的理解とは「労働者の私的な世界を、あたかも自分自身のものであるかのように感じ取ること」です。面談する産業保健スタッフなどが受容・共感的理解の態度がとれるならば、労働者は安心して感情や行動における課題を考えることができます。


3.本人からの情報収集を行ううえでの注意点

本人からの情報収集を行ううえで最も重要なことは、産業保健スタッフの守秘義務です。事業主は産業保健スタッフの中立性や独立性は尊重し、産業保健スタッフから情報が漏えいしないようシステムづくり基本となります。そして、産業保健スタッフの守秘義務については、労働者に相談窓口をPRする際に必ず追記しておく必要があります。

第2の注意点として、労働者が気軽に利用できるような相談窓口を設置することや、職場巡視や日常の活動の中で、産業保健スタッフから労働者に積極的に声をかけることです。それにより幅広く多様な情報が収集できますので、仮に問題が生じても、産業保健スタッフが早く対処できます。

第3には、産業保健スタッフが、企業や職場の状況について把握しておくことです。

第4に記録をとることです。通常継続して面談を行うため、情報収集した内容や、産業保健スタッフが本人に伝えた内容などを記録として残しておきます。産業保健スタッフは多くの労働者に関わるので、面談ごとに情報を記録しておき、忘れたり勘違いすることを避けます。

第3項 面談に基づく対応の決定

本人や関係者と面談した後、産業保健スタッフは問題に応じて今後の対応について決定します。対応は、「事業場内で対応するか、事業場外資源を利用するか」を大別し、同時に、「本人だけの対応で対処可能か、管理監督者や人事労務部門、場合によっては家族の協力を得て対応すべきか」を考えます。判断が難しい場合は、事業場外の専門家のアドバイスを受けたり、事業場内関係者で話し合うこともあり、ケースバイケースの対応が必要となります。

1.面談に基づく対処についての基本的考え方

☆面談に基づき対応を決定するカテゴリー分け

a)「問題が業務に起因しているかどうか」
b)「問題への対応の緊急性」
c)「問題に対する本人の認識」
d)「問題は医療的対応を要するかどうか」
e)「問題は人事・労務問題であるかどうか」

2.面談に基づく対処についての方法

産業保健スタッフが面談を行った場合、あらゆる情報から、1の面談に基づく対処についての基本的考え方を前提に、本人の希望や専門家のアドバイスのもとに4つの方法を組み合わせて対応します。

ストレスの原因が個人の気持ちに限定される場合には、産業保健スタッフなどが心理カウンセリングを行い、労働者の話を聴き気持ちを整理してもらい、問題を解決する方法を一緒に考えることなど、狭義のカウンセリングを行い経過観察します。

精神疾患や身体疾患など治療が必要な場合や、法律が関係する問題などの場合には、産業保健スタッフの守備範囲を超えるため、相談内容に応じた専門家にリファー(依頼)します。リファーした後も本人や専門家と連絡をとり経過を確認していきます。

ストレスの要因が、職場環境に起因する場合には、本人の同意をとり、管理監督者と協力して業務負荷を調整したり、職場環境の問題を解決します。

ストレスの要因が個人や職場だけでは対応できない場合、特に業務の職場環境が本人に合わず人事異動などが必要な場合や、欠員補充が必要になるなど職場だけでの対応が難しい場合は、人事労務部門と連携しながら対応します。また、セクハラのように人権や事業場の倫理問題などに関わる場合などは、人事労務部門が中心になり対応してもらえるよう連携をとります。

どのような対処方法をとる場合であっても、産業保健スタッフはメンタルヘルスの専門家でない場合が多いので、専門家のアドバイスを参考に対応していくことが望ましいでしょう。


3.面談に基づく対処についての注意点

最も重要なことは適切な判断をすることです。正しい知識と、多面的な情報を考慮して判断することが必要です。役に立つのは、社内外の専門家との連携です。

第二の注意点は、プライバシーの保護です。問題解決のために管理監督者や人事労務部門の協力が必要な場合は、本人にその必要性を説明し、承諾を得る必要があります。

第三の注意点は対処方法を明確にしておくことです。人事労務管理スタッフは、メンタルヘルス不調が認められるときに産業保健スタッフや関係者がとるべき対処法について、あらかじめ明確にしておく必要があります。


わりと同じことを書いている気もしますけど、全部大切ですよね。専門家との連携はやっぱり欠かせないということでしょうか。


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2012-04-04 20:24:23 11miyaの投稿

メンタルヘルスケアに関する方針と計画

テーマ:メンタルヘルス・マネジメント(企業用)
第5章 メンタルヘルスケアに関する方針と計画
 第1節 事業者による方針の立案と表明
  第1項 メンタルヘルスケアに関する方針の重要性

ここは毎回1問だけ出題のようです。

メンタルヘルスケアに関する方針を事業者が表明することで、活動の推進に結び付くことが期待されます。

1.事業者の健康配慮義務

事業者の健康配慮義務は、企業においてメンタルヘルスケアを推進すべき最も一般的な説明で使われる理由です。健康配慮義務とは、「使用者は、労働契約に基づいて労働者に指揮命令をしている以上、労働者が安全な環境で健康に就業できるように可能な対策を講じなければならないという信義則上の義務」である安全配慮義務の一部を構成すると考えられます。

事業者はメンタルヘルスケアに事業への貢献を期待することもできます。労働者の労働損失を防ぎ、ストレス対策は、職場の活性化対策とも表裏の関係にあり、積極的なメンタルヘルスケアへの動機につながります。

いずれにしても、メンタルヘルスケアは、事業活動として積極的に取り組むべき活動と位置付けるべきです。


2.事業者としての意思表明のプログラムへの影響

企業は、人と資産で構成された事業体であり、人には意思と感情が存在します。そして、事業者から見れば限られた人的資源と資本をいかに配分するかが仕事であり、管理監督者を含む従業員にとっては自分の時間と労力をいかに配分して求められる成果を上げるによって、高い評価を受けようと考えます。

・企業の事業活動にとっての重要性
・自分の評価との関連性
は、組織や個人にとってその仕事を積極的に行おうとするモチベーションにつながり、仕事の優先順位に影響します。

組織のトップが明確な意思を表明することで、管理者や従業員がその活動に一定の時間を割く正当性が存在することになるため、安心して取り組むことができます。

しかし、「方針」という形で事業者に表示が行われても、それが成果に結び付かない場合があります。方針が形だけのものに終わり、実際に事業者が実行の支援を行わない場合です。

方針とプログラムの整合性、実行におけるリーダーシップ、さらに貢献したスタッフを評価する仕組みの存在が不可欠となります。


第2項 メンタルヘルスケアに関する方針の表明と職場への周知

メンタルヘルスケアに関する方針が活動の推進に役立つためには、その内容が適切であり、さらに職場に周知される必要があります。


1.メンタルヘルスケアに関する方針に盛り込むべき内容

メンタルヘルスケアを積極的に展開する企業では、その目的を明確にして企画立案を行っていますが、必ずしもメンタルヘルスケアに関する方針を独立して明確にしているわけではありません。メンタルヘルスケア以外にも、様々な産業保健活動がある中で、すべての対策に明確な基本方針を表明することは現実的ではないためです。しかし、産業保健活動全体、または労働安全衛生法活動全体の基本方針を表明することは必要です。

☆適切な事業者の方針に盛り込むべき事項
・メンタルヘルスケアの重要性の認識

推進の目的として健康配慮義務を果たすことや職場の活性化等、事業者として推進の目的を明確化することが望ましい。

・職場全体を巻き込んでの対策
職場全体を巻き込み、さらに外部資源を活用する総合的な対応が必要となる。少なくとも、事業場内で対応可能なセルフケアの重要性とラインの役割を明確にすることが望ましい。

・プライバシーへの配慮
メンタルヘルスに関する情報の性質上、他の健康情報以上の配慮が必要となる。
プライバシーの配慮についても方針の中で表明することが望ましい。

・継続的実施
メンタルヘルスケアの重要性を理解すれば、その対策は継続的な実施、または継続的な改善をするべく、表明することが望ましい。


2.方針の職場への周知の方法

方針は、多くの場合にそれぞれの活動を担う担当者が草稿し、事業者のレビューを経て承認され、表明されることが多いです。方針の作成過程そのものが、周知の第一歩としてみなすことができます。方針は「目に触れる」ようにすることが重要です。


第2節 心の健康づくり計画の作成と実施

この節も1問しか出ていませんね。

メンタルヘルスケアが、職場内で継続的に展開されるためには、その体制・仕組みがシステムとして構築され、その実施が具体的な計画に盛り込まれ、計画に沿って活動が実施され、さらに評価される必要があります。「計画」といっても、マネジメントシステムの構築を求めていると解釈できます。

「心の健康づくり計画」で定める事項
・事業者がメンタルヘルスケアを積極的に推進する旨の表明に関すること
・事業場における心の健康づくり計画の体制の整備に関すること
・事業場における問題点の把握及びメンタルヘルスケアの実施に関すること
・メンタルヘルスケアを行うために必要な人材の確保及び事業場外資源の活用に関すること
・労働者の健康情報の保護に関すること
・心の健康づくり計画の実施状況の評価および計画の見直しに関すること
・その他労働者の心の健康づくり計画に必要な措置に関すること。


第1項 事業者の方針表明に基づく体制づくり

マネジメントシステムは、教育を受けた人材と文書で構成されています。メンタルヘルスケアを推進するシステムが有効に機能するためには、システムを運用するために必要な組織体制づくりを行い、またシステムそのものをルールとして文書化して実行していく必要があります。


1.メンタルヘルスの対策づくり

メンタルヘルスケアの実施は、他の安全衛生活動同様、それぞれの事業場に存在する組織を利用して展開することが有効です。ここでは、安全衛生対策の位置づけと4つのケアの位置づけの二面から体制づくりを考えます。

a)安全衛生体制の活用

安全衛生活動は、事業者のリーダーシップのもと、職場ラインが中心となって機能し、さらに労働者の安全衛生への参加意識を高めます。それを安全衛生の担当部門などのスタッフ部門が展開されます。また、安全衛生に関する事項を審議する場として(安全)衛生委員会が存在し通常委員会の事務局を担当部門が担うことになります。さらに、担当部門は外部専門家や健診期間などのサービス機関との窓口機能を果たします。メンタルヘルスケアも同様です。安全衛生体制のそれぞれの立場に対して、メンタルヘルスケアの役割を明確に与えていくことが必要になります。この内容が次の4つのケアと関連するのです。

「労働者の心の健康の保持増進のための計画」では、メンタルヘルスケアの進め方として、「セルフケア」「ラインによるケア」「事業場内産業保健スタッフなどによるケア」「事業場外資源によるケア」の4つのメンタルヘルスケアの継続的実施を求めています。

☆それぞれのケアを実施するための体制づくりにおいての課題
・「セルフケア」「ラインによるケア」
方針に基づくメンタルヘルスケアにおける役割が明確になり、それぞれに実行できるだけの知識と技術を付与することによって体制を構築することができます。

・「事業場内産業保健スタッフなどによるケア」
事業場によって存在する機能は大きく異なります。事務局的な役割ではなく、メンタルヘルスケアにおける事業場内専門家としての役割を求めています。規模が小さな企業・事業場では、外部の資源を利用することになりますが、内部の体制、あるいは外部の機能として位置づける場合が存在します。

・「事業場外資源によるケア」
事業場が存在する地域にどのような利用可能な資源があるか確認することが重要となります。公的資源、登録機関、医療機関、EAP機関が候補となりますが、医療機関やEAP機関については質の評価が十分に行われていない状況においては、適切な連携機関を確保することに大きな課題が存在します。


c)メンタルヘルスケアを進めるために必要な体制の整備

メンタルヘルスケアを推進するためには、以下の組織体制を整備する必要があります。

・事業者の機能
自らリーダーシップを発揮するとともに推進に必要な人的・金銭的資源の提供を行うこと。

・安全衛生委員会の機能
労働者の代表が参加し、事業場内で実施する心の健康づくり計画を審議するとともに、計画の実施状況を確認すること。

・従業員自身の機能
セルフケアについての技術や知識を得て、セルフケアに努めるとともに、メンタルヘルスケアのプログラムを理解して必要な手続きを行うこと。

・管理監督者の機能
働きやすい職場の形成、部下の健康状態の把握を行い、必要に応じて事業場内外の産業保健スタッフへの紹介を行うこと。また、休業者の職場復帰支援手順を理解して、休業者に対する適切なサポートを行うこと。

・メンタルヘルスケア推進部門の機能
産業保健スタッフと連携して、心の健康づくり計画の企画立案を行い安全衛生委員会や事業者に諮るとともに、計画の進捗管理を行うこと。

・産業保健スタッフの機能
事業場内の専門家として、心の健康づくり計画の立案に対して助言指導を行うとともに、従業員教育、管理監督者・事業者への必要な教育を行うこと。

・事業場外専門機関の機能
事業場内の産業保健スタッフが、メンタルヘルスケアを進めるにあたって必要な技術に関する相談や個別のケースについての相談を受けることと、主治医として事業場からの紹介を受け、また職場復帰においての情報を提供すること。


d)機能発揮に必要な教育

教育は、事例検討を含めた参加型の教育を行うことによって、高い成果が期待できます。社内のルールとして担当者が実施することが普通です。

メンタルヘルスケアがひとつのシステムとして機能するためには、これらの教育は継続的かつ計画的に実施される必要があります。


2.メンタルヘルスケアに必要な文書化

メンタルヘルスケアに関する体制の要素として、活動のルールを定めた体系化された文書を作成させることが必要です。

a)文書体系
心の健康づくり計画をひとつのシステムとして組み立てる場合には、方針を最高位の文書とした文書体系をつくる必要があります。
通常、方針をもとに、上位文書であるシステム文書と、下位文書である実施容量(手順書)、様式から構成する文書体制を構築します。上位文書であるシステム文書には、組織、計画、実施、評価などのシステム構成を規定します。


b)実施要領(手順書)

メンタルヘルスケアが組織の中で安定的に機能するためには、具体的な手順をルールとして定め、それに基づき実施する必要があります。このようなルールを文書として定めたものを実施要領と呼びます。実施用慮に、その要領の目的、対象と実施手順が含まれます。さらにこれらには、記録様式が添付されていて、活動を記録する仕組みを付加することが多いようです。


第2項 心の健康づくり計画の展開

心の健康づくり計画の展開に当たっては、一定期間(多くの場合は1年間)に達成する目標と具体的計画を策定し、実施後それらに基づいて計画を評価することが重要です。

1.心の健康づくり計画の目標

すべての企画やマネジメントシステムは、その目的がどの程度達成されたかどうか、常に検証する必要があります。その検証は、あらかじめたてた目標の達成度で評価します。そのため、目標は評価項目と具体的な達成目標からなります。また方針は、目的を具体的に表明できる形式で表したものですから、目標は方針との関連が明確である必要があります。また、達成目標は具体的な数値として、活動の成否が明らかになるように設定することが望ましいといえます。


2.年間計画の策定と実施

方針を現実化し、後述の目標を達成するためには、システムを利用して手順に従って計画的にメンタルヘルスケアの活動が実施されなければなりません。そのため、通常は年間計画を策定し、その進捗状況を毎月開催される安全衛生委員会で確認していくことが望ましといえます。

年間計画には、通常、教育やリスク評価実施などの具体的な実施事項に関する項目が盛り込まれます。同時に、計画立案、目標の設定、評価の実施、文書類の改定など、システムを維持改善するための内容についても、計画に盛り込むことが望ましいといえます。また、新たな課題に取り組んだり、仕組みを導入する場合にも年間計画に盛り込むことになります。

また、臨時的に発生する活動がスムーズに実施されることが重要です。これらもあらかじめ決められた実施要領に基づき展開される活動ですが、確実に実施するためには、手順の中で役割を果たすそれぞれの人が、ルールにはっきりと理解しておくことが不可欠です。そのため、導入時にしっかりと教育を行うとともに、人員の異動においても適切に引き継ぎが行われることが条件となります。


3.心の健康づくり計画の評価と改善

目標の達成状況は、一定期間ごとに評価される必要があります。心の健康づくり計画は継続的な実施が必要であり、評価は改善に結びつけることを優先することが望ましいといえます。そのためには目標を達成できなかった場合はその原因を分析して、改善を行わなければなりません。また、目標が達成された場合でも、その過程で改善すべき事項があれば、さらなる改善や高い目標設定を行うことが望ましいといえます。


第3項 心の健康づくりの労働安全衛生マネジメントシステムへの統合

職場で扱う労働者の健康に関連した課題には様々なものがあります。課題は個別に存在するのではなく、安全衛生活動の一部を構成します。昨今、事業者の責務として、法令遵守を超えた自律的労働安全衛生活動の必要性が叫ばれ、労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS=Occupational Safety and Health Management System)の導入が推奨されています。

1.労働安全衛生マネジメントシステムとメンタルヘルスケア

OSHMSは、労働者の安全と健康上のリスクを継続的に低減するために、目標を設定し、その目標を達成するためにリスク評価の結果をもとに計画的にリスク低減を行い、その活動結果を記録にとどめ、目標の達成状況を評価し、さらにシステムの導入状況と有効性を監査するという流れでの取り組みを行います。


2.心の健康づくりのOSHMSへの統合

OSHMSは、OHSAS18001(Occupational Safety and Health Assessment Series)などに沿って構築されます。そこで扱うリスクは安全衛生全般であり、システムで取り扱う健康障害要因のひとつとしてストレス要因を位置づけます。


診断士試験でもよく「継続的」という言葉を使いますけど、そのためにはシステム化しないとダメというのは納得です。あとはやっぱり会社全体で一丸となって取り組まないとダメでしょうね。特に管理監督者の理解がないのは一番達が悪いと思います…。


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↑ 継続的は二次試験でも使えるようになりたいですね。
2012-04-03 22:00:47 11miyaの投稿

診断士受験生としての記事は今後書きません

テーマ:中小企業診断士
こんばんは、みやです。

今までずっとメンタルヘルス・マネジメントの記事ばかり書いていたので今更ですけど、
診断士受験生としての記事は今後書かないつもりです。

とは言え、診断士の受験を辞めるわけではありません。
ただ、成績も書かずに、TACの演習の解答プロセスだけを書いても、
読者の皆様の役に立たないと思ったからです。

今後、診断士関連で更新するとしたら、一次試験自己採点結果、二次試験結果ぐらいでしょうか?
もしかしたら不定期で何か書くかもしれませんけど、それもほぼないと思われます。

しばらくはメンタルヘルス・マネジメント検定Ⅰ種の記事を書き続けます。
それが終わったらこのブログは凍結しようと思います。


受験生の皆様、診断士関連の記事は書きませんけど、
今後も一緒に頑張って勉強しましょう!


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↑ しばらくはメンタルヘルス・マネジメント検定Ⅰ種の記事におつきあい頂けると幸いです
2012-04-03 21:29:01 11miyaの投稿

職場環境などに関する問題解決能力

テーマ:メンタルヘルス・マネジメント(企業用)
こんばんは、みやです。

第2節 職場環境などに関する問題解決能力
 第1項 現状の分析・評価と問題点の把握

ここも第1節と同じで2問出るようですね。

人事労務管理スタッフに求められるものは、的確な分析能力です。勤務管理を分析し評価して、また問題点を把握する過程で、組織、あるいは個人に依存する問題なのかという点についても併せて明らかにすることにより、解決すべき方法が見つかりやすくなります。


1.勤務管理の把握

メンタルヘルスの関連で取り上げられ、また勤務管理の中でも最も定量的な指標に時間管理があります。時間管理の方法は色々あります。まず大切なことは、この勤務時間が人事労務部門にすべて正しく伝わる仕組みになっているか、現場の実態とあっているか確認をしておくことが必要です。

勤務時間は労働基準法で定められ、これを受けて企業、事業所の労使の間で結ばれた契約があります。この勤務時間の分析からは、組織全体像、組織単位ごとの勤務の実態をうかがうことができます。

☆メンタルヘルスとの関係で具体的にみるポイント
a)組織の問題
・組織全体の時間外勤務労働者数の割合が高くなっていないか
・部門ごとや担当管理職単位の時間外勤務労働者数の割合が高くなっていないか

b)個人の問題
・ある組織の中で、特定の個人の時間外勤務労働が多くなっていないか
・有給休暇を取っている人が偏っていないか
・休職者はいないか

これらを分析することで早め早めに問題が見えた担当組織の管理監督者とコミュニケーションをとれ、職場内の対策が必要なら人事労務部門も参画した対策(人員投入など適正な人の配置)や、個人への仕事の与え方などについて検討できます。近年、サービス残業について企業への責任を問われる訴訟が起きており、さらに正確な勤務時間管理が重要といえるでしょう。


2.コミュニケーションの重要性

管理監督者とコミュニケーションをすることにより得られる情報は、現場の生の情報であり大変貴重です。特に、勤務管理実態に問題がある組織部門においては、問題を長期化させないように早朝にコミュニケーションをとり、管理監督者と解決の方法を探さなくてはありません。管理監督者とよいコミュニケーションを維持するためには、何か問題があった時だけとるのではなく、日ごろからとっておくことが大切です。管理監督者の信頼を得ることができれば、問題把握も可能になり対応が早くなるはずです。メンタルヘルスの問題は、長期化させないことが望ましいのです。

次に、個人に問題があった場合の解決法です。基本的には管理監督者を経由して個人と対応することになりますが、ときには管理監督者を超えて個人とコミュニケーションをとる必要も生じることがあります。まずは、本人の想いに耳を傾け、本人が思う問題点を理解します。組織と個人を総合的に判断した対応となるので、必ずしも個人の希望や期待に添う解決を図ることはできないと言わなくてはなりません。

現実問題として人事労務管理の立場だけですぐに解決できる問題ではないことも十分心得ておくべきことです。

健康管理部門とのコミュニケーションも重要です。特にメンタルヘルス不調に関する情報は、誤解や偏見を生じやすく、それが職場において不当に扱われる場合も散見されます。しかし、人事労務管理で対応の困る事例であっても、健康管理の観点から対処方法について経験、事例に基づいて専門のスタッフから支援をもらうことは非常に有効で、早期解決につながることもあります。

管理監督者、健康管理部門だけでなく、さまざまなネットワークを活かして情報収集をすることも重要です。多少、ゆがみがあると思われる情報であったとしてもメンタルヘルスの問題は、本人の受け取り方(認知)で問題となるかどうかが大きく変わってきますので、軽率に見逃すことをせず対応していくことが重要です。


3.メンタルヘルス調査の実施

メンタルヘルスを含む健康問題は、本来個人の問題で、健康管理情報は個人の情報として保護されなければなりません。組織集団のメンタルヘルス傾向を調査把握しようとする場合は、十分な配慮と目的や使用を明確にしたうえで、健康管理部門主導で実施する方が望ましいでしょう。メンタルヘルスに関する部分が人事労務部門にもれると、自分の将来などに影響するのではないかと考え、個人が本心で答えにくいという懸念は残されているからです。

調査の結果は、組織の問題としてとらえます。目的は集団の傾向をつかむといっても個人の情報の累積、集積です。個人の情報が漏れると、信頼を損なうばかりでなく、人事労務部門を含めてその後のメンタルヘルスの取組を困難にします。健康管理部門が主体となって行うメンタルヘルスの調査には、必要な情報の提供をし十分なコミュニケーションをとりながら、人事労務部門に偏らないように、分析・評価に偏らないようにしなくてはいけません。


第2項 原因の究明方法

1.個人の問題へのアプローチ

人の心と体が健康状態から病気に至る状態は連続線上にあります。個人がメンタルヘルス不調で悩んでいるときには、まず度の状態にあるかを早期に確認することが必要となります。それには、健康管理部門(産業医)との連携が必須です。本人に健康管理スタッフへ相談に行かせる場合は、まずは身体の問題として入ると対応しやすい場合が多く、最初は管理監督者が本人と対話することが望ましいでしょう。

本人の性格の問題や職場環境と本人の不具合が要因で、必ずしも病気ではない場合があることも考えられます。いずれにしても人事労務部門は、職場管理者がコミュニケーションスキルを身に付け、日ごろから本人との間で十分なコミュニケーションをとれる環境を形成しておくことが何より大切です。

人事労務部門は、本人のキャリアを踏まえた仕事の仕方の特徴の把握、仕事の適合性、また管理監督者の仕事の与え方など、管理監督者とコミュニケーションをとりながら解決策の糸口をつかんでいきます。

人間関係の問題の場合は、より上位者の理解を得ておくなどの工夫も必要です。人事労務部門が介入することでスムーズに解決することが多くあります。

また、本人が今の仕事や将来に悩み始めた時には、本人にキャリアカウンセラーに相談に行くことを勧めるのも解決方法のひとつです。人事労務管理スタッフが、相談先を指示してあげることも必須です。


2.組織の問題へのアプローチ

人事労務管理スタッフが個別の職場のメンタルヘルスを考えるときには、組織の問題としてとらえ、まずは人員配置の問題から考えることになります。個々人の業務能力による適正配置と人員数の適正配置の両面からの検討が必要で、職位バランスなども含まれます。中長期的な人員配置の計画が考えられていることが重要です。

また、組織にはそれぞれの特徴があり、その特徴を捉えた組織の問題へのアプローチも重要です。メンタルヘルスをよい状態で保つためには、管理監督者に対してサポートの重要性と組織に合った仕事の指示の方法について理解してもらう必要があります。

早期退職が目立つ今では、会社の歴史や現状を理解させ、社員にとって魅力的な組織づくりをすることも人事労務管理スタッフの重要な仕事です。若年層社員のキャリア開発も視野に入れた組織作りを専門家のアドバイスを受けながら施策を検討していくと一層の効果を狙うことができます。

個人と組織の原因究明方法を明確に分けて考える必要はありません。問題がスムーズに早く解決でき、予防ができればよいのです。

人事労務部門が、組織としてメンタルヘルスに取り組むという会社の姿勢を示し、それが組織全体に理解されていると個人の問題も大きな問題とならずにすむことはよくあります。


第3項 効果的な継続性のある計画、実施、評価、改善

近年、労働安全衛生マネジメントシステム(OSHMS)が、事業場の安全衛生の一層の向上を狙える仕組みとして導入されるケースが増えています。

メンタルヘルス施策を継続性のある取り組みにしていくには、このシステムの考え方を導入して、PDCAサイクルを回すことによってスパイラル状に工場をねらえば効果があります。メンタルヘルス施策は、実施してすぐに結果が出るものではありませんが、同じ施策を続けると効果が出にくくなります。職場の動きに合わせた効果的で継続性のある施策にしていかなくてはなりません。

a)立案Plan

計画を立てるときは3部門(人事労務管理部門、管理監督者、健康管理部門)が集まって目標を共通のものとします。そして、「いつ」「だれが(3部門)」「何を」するかを明確に決めます。メンタルヘルス対応では、3つの部門の役割は大きく違うので、最初にしっかり計画を立て、役割分担を明確にすることが大切です。

b)実施Do

計画に合った活動を実行し、取り組んだ結果は丁寧に記録します。3部門が情報を共有しながら進めることが大切です。

c)評価Check

目標と結果を照らし合わせます。結果については、さまざまな視点で評価します。そのためには管理監督者や健康管理部門の視点からみたけっかについて、人事労務部門も相互いに確認して評価する必要があります。

d)改善Action

施策全体を改めて確認し、実施した結果をもとに、今後の目標や手段を見直します。管理監督者や健康管理スタッフの視点も忘れず、人事労務管理スタッフと共有しなければ次のスパイラル状の向上を狙った効果のある施策の見直しになりません。

上手に機能しないケースの一つとして、人事労務管理スタッフの中だけで抱え込んでしまうことがあります。必要な時に、必要な人とコミュニケーションをとって連携し、いろいろなアプローチができるような環境づくりを普段からすることが重要です。


メンタルヘルスの問題は色々な原因があるので、協力体制は必要かと思います。ただ、やっぱり中小企業ではそこまでの人的資源がないでしょう。ここをどう解決するかが今後の課題でしょう。


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↑ 他のアプローチを考えた方がいいかもしれません。
2012-04-02 20:44:58 11miyaの投稿

労働者個人に対する相談対応能力

テーマ:メンタルヘルス・マネジメント(企業用)
こんばんは、みやです。

第4章 人事労務管理スタッフに求められる能力
 第1節 労働者個人に対する相談対応能力
  第1項 相談対応の基盤

ここは節で2問出ています。人事労務管理スタッフ向けということもあるのでしょうね。

項としても他の項と混ぜながら出題されているようです。


1.人事労務管理スタッフが相談対応能力を身につける意義

通常、職場においてメンタルヘルス不調者への最初の草案対応を行うのは管理監督者でしょう。人事労務管理スタッフは管理監督者が行う対応を支援・指導する立場にあり、メンタルヘルス不調者に直接対応することは少ないと思われます。

☆人事労務管理スタッフが直接相談対応を行うと予想される状況

a)産業保健スタッフがいない中小規模事業場などで、当該管理監督者だけでは対応が困難な場合です。すなわち、産業保健スタッフとしての機能を人事労務管理スタッフがある程度担わざるを得ない状況です。

b)管理監督者や産業保健スタッフ、あるいは心の健康づくり専門スタッフだけでは手に負えないケースが発生した場合です。例えば、人事異動、退職、解雇などに関する法令や就業規則などの解釈・適用が絡む場合などです。また、上司と本人との感情的対立の仲裁に入るといった役割を担う場合もあるでしょう。

したがって、メンタルヘルス不調者への相談対応能力は、管理監督者よりも高度なものを要求されています。


2.相談対応を行う意義

相談の意義は、相談者が抱える悩みの解決を援助することにあります。悩みを抱えるということは、ある問題に直面し、その解決策が見いだせない状態です。

☆解決策が見いだせない理由
a)問題を正確にあるいは詳しく把握・整理できていない
b)問題解決の手段や利用できる資源を知らないあるいは気付かない
c)自らの気持ちの整理ができない

☆相談が有効である理由

a)問題点の正しい把握・整理

1)相談者は、相手に分かるように問題を説明しようとすることで、
2)相談を受ける側がよく分からない点を相談者に質問することによって
3)相談を受けた側が問題を整理して相談者にフィードバックすることで、相談者による問題の理解・整理が促されます。

なお、相談を受ける側は、分からない点を質問するとき、非難するようないい方は避けるべきです。相談者が相談する意欲を失います。


b)問題解決の手段資源への気付き

相談者が問題解決のための手段や、利用できる資源・人材を知らないのであれば情報を提供すれば問題は解決に向かいます。最初に相談を受けた側は、問題解決のために自分よりほかに適任者がいるのであれば、その人に相談するよう相談者を促すべきです。


c)気持ちの整理をつける

第三者の客観的意見や説得が、気持ちを整理し決心をつける上で有効でしょう。

第2項 話の聴き方

1.期待される役割

悩みあるいはメンタルヘルス不調の相談にのる上で重要なことは、最も安全で効果的・効率的な解決策を選択せねばならないということです。一種の交通整理、橋渡しの役割を期待されているのです。
そのためには、
a)相談内容を正確に把握すること(相談者が表に出さない本音や、相談に至った経緯を含め)
b)問題解決のために利用可能な資源・人材を有効に活用すること
が必要です。

特に、メンタルヘルス不調の相談に対して、精神医学の素人である人事労務管理スタッフや管理監督者だけで対応することは危険です。


2.相談内容が分かるということ

事例を理解するためには、勘を働かせなければなりません。勘を働かすとは、換言すれば、ある事柄や出来事の裏に隠されたストーリーを見つけ出すことだといえるでしょう。

メンタルヘルス不調にある従業員を理解するためには、精神医学的素養と心理学的素養に加えて、当該従業員が勤務する職場の事情に詳しいことが必要とされます。

一般に産業保健スタッフなどは職場の事情に疎く、人事労務管理スタッフや管理監督者は精神医学の知識に乏しいでしょう。したがって、両者が連携して事例を理解し対応していくことが重要です。


3.相談にのる上での留意点―相談者を分かるために―

a)相談者が身近なものであること

人事労務管理スタッフは相談者やその周囲の人たちに何らかの先入観をもっていることが多いです。相談の内容を正確に把握するためには、相談を受ける側の先入観で判断せず、できるだけ当の上司からも話を聴くべきですが、さらに可能なら周囲の話も聞いて客観的な情報を収集すべきでしょう。


b)相談を受ける側の固有の価値観で反応すること

相談を受ける人事労務管理スタッフが自身の固有の価値観や人生観を相談者に押し付けるべきではありません。当たり前ですが、実行は大変難しいといえます。また、相談者に共感しすぎてもいけません。


第3項 早期発見のポイント

1.医学的知識と「おかしい」と感じる勘―「分からない」ことを自覚する―

メンタルヘルス不調は言動や態度の変化に注目していれば、専門家でなくとも異常に気付く場合が多いのです。人事労務管理スタッフや管理監督者は、診断をする必要はなく、従業員が何らかのメンタルヘルス不調に陥っている疑いのあることに気づけばよいのです。


2.だれが何を困っているのか―事例性について―

メンタルヘルス不調では、病気であるか否かの医学的判断(疾病性)と、本人や周囲が困って治療を求めること(事例性)とは、必ずしも一致しません。

病気であっても、本人も周囲も何ら困っていない、したがって治療を求めていないケースでは、人事労務管理スタッフや管理監督者が本人に対して強く受診を勧めることはできません。

逆に、職場管理上問題となる行動が認められたら、それを解決する為にしかるべき専門医の診断や治療を受けるよう命じることができます。

メンタルヘルス不調の場合に本人が治療を拒否する場合には、家族に事情を説明し、家族の理解を得て受診につなげるのが基本です。

第4項 専門家への紹介

1.病人扱いすること

メンタルヘルス不調者への相談対応における人事労務管理スタッフや管理監督者の役割は、早期に病気であることを見抜き治療につなげることです。

☆専門家の診断や治療につなげることに抵抗を感じる3つの理由
a)メンタルヘルス不調であると疑うことに、一種の罪悪感あるいは後ろめたさを感じること
b)相談者から頼りないとか冷たいと思われたくないために、よそに相談に行くよう勧めることに抵抗を感じるということ
c)本人が精神科への受診に強く反発したり抵抗することがあるため

メンタルヘルス不調の兆候が認められる従業員を精神科に受診させないでいると、手当てが遅れて本人や周囲の者が苦しむだけでなく、自己の危険性が高まり、企業や管理監督者の安全配慮義務違反や注意義務違反ともされかねません。


2.受診を勧める理由の明示

メンタルヘルス不調者の相談には、自らは相談する意思のない者の相談にのらなければならない場合が、少なくないことです。
問題解決の意欲に欠ける者を治療につなげるためには、なぜ治療を受ける必要があるのかを、明確に本人に伝えねばなりません。本人が受診理由を理解しないままでは、治療はうまく行かないでしょう。ただ、本人を非難するようないい方にならないように配慮すべきです。


3.産業保健スタッフとの連携

管理監督者や人事労務管理スタッフがメンタルヘルス不調と思われる従業員から相談を受け、自らの手に余ると感じたなら、頼るべきは産業保健スタッフなどです。

本人を相談に行かせることが困難であれば、まず困っている管理監督者と人事労務管理スタッフが相談に行き、対応についての助言を得るべきです。

まず、産業保健スタッフは、事業場外の専門医療機関や相談機関を紹介してくれるでしょう。さらに、メンタルヘルス不調者の職場環境や担当業務の調整、あるいは職場での扱いについて、助言・指導をしてくれるでしょう。


4.家族との連携

本人が受診を拒否している場合には、家族と連携して対応しなければなりません。問題の深刻さにもよりますが、できる限り本人の了解を得て家族に連絡をとり、家族に受診の必要性を理解してもらい、家族から本人に受診を説得してもらうべきです。

なお、本人も家族も受信させることに同意しない場合は、原則として強引に受診させることはできません。その結果、事故が発生した場合、職場側に責任が全くないというわけにはいかないかもしれませんが、かなり責任は軽減されると思われます。ただ、意を尽くして本人や家族を何度も説得したという事実を、記録に残しておくべきです。


5.事業場外資源との連携

主治医に、治療の見通しや職場での扱いについて助言を得ようとする場合は、
それらの情報を得ることについて本人の同意が得られていることが、主治医に分かるようにしておくべきです。さもないと、守秘義務を理由に全く情報を与えてくれないこともあります。本人同伴で話を聴きに行くのがいいでしょう。


第5項 危機対応

1.自殺を防ぐ

緊急の対応を要するメンタルヘルス不調は、自殺の恐れがある事例です。自殺のサインが見られる場合の対処の基本は、1日でも1時間でも早く専門医に受診させ、それまでの間、本人をひとりにしないことが重要です。

職場に自殺をサインを示す従業員がいるなら、本人をひとりで帰宅させてはなりません。上司などが自宅まで送り届けるか、家族に職場まで来てもらい、家族に事情を説明したうえで、本人から目を離さないように頼んで、専門医に受診させるよう計らうべきです。そして、本人の目の前でかまいませんから、診察に当たる医師に、自殺の危険を感じたので受診させたことを伝えた方がよいでしょう。

なお、自殺のサインが認められる場合は自殺を防止するために、本人の了解が得られなくても必要な関係者にはしかるべき情報を伝えてよいでしょう。


2.自殺発生後の対応

a)周囲の反応

万が一自殺が発生した場合は、その上司や同僚はショックを受けるとともに、自責の念を抱くことが少なくありません。憶測であらぬうわさを流すものが出る可能性もあります。また、死体の発見者や自殺者と親密だった者、自殺に責任を感じているものなどの中から、新たな自殺(群発自殺)の発生する危険が高まります。

自殺が発生した場合に、周囲の人々に起こるこれらの反応に対する手当て(ポストベンション)も重要です。

なお、場合によっては自殺した従業員の遺族から、自殺について労災申請がなされる可能性や、自殺を防止できなかった職場の責任を追及される可能性も考慮しておかねばなりません。


b)上司・同僚への反応

自殺が発生したらなるべく早い時期に、その上司や同僚に対して以下の情報を伝えることが重要です。
・支障のない範囲での、自殺に関する正確な事実と、分かっていないこと
・身近な人が自殺した場合の心身の変化についてと、それは異常ではないこと
・希望すれば専門家の相談が受けられるように計らうこと

なお、自殺が発生した後当分の間は、職場のレクリエーションや社員旅行などの行事は控えた方がよいと思われます。


c)遺族への対応

遺族に対しては、可能な限りの情報を伝え、疑問や要望にも誠実に対応することが望まれます。また、遺族対応の窓口となる人を決めておいたほうがよいでしょう。

なお、労災申請は遺族が決めることであり、遺族が労災申請する場合、会社はそれに協力する義務があることに留意してください。


d)自殺防止対策の策定

可能であれば、自殺発生の経緯について、関係者から情報を収集し、自殺防止対策を検討すべきでしょう。ただ、関係者に事情を聴く場合には、自殺防止のためであり、犯人探しをしているのではないことを十分理解してもらう必要があります。


3.幻覚妄想状態

幻覚妄想状態では、正常な判断力を失い事故を起こす危険もありますので、
できる限り早く精神科を受診させねばなりません。本人は多くの場合、自ら病気と思わないばかりか、病気とみなされることにも抵抗を感じるので、受診させるのは容易ではありません。

この場合の対応は、まず本人に、健康状態を心配していること、職場が困っていることを伝え受診を説得すべきです。

本人が受診を拒否したら、家族に受診の必要性を理解してもらうよう働きかけるべきです。幻覚妄想状態では、本人の了解が得られなくても家族と連絡をとることに問題はないと思われます。また、遠方に住んで、本人は単身で生活している場合も、原則として家族と連絡をとるべきです。

家族といえども受診するよう本人を説得しきれず、なかば強引に受診させざるを得ないことも少なくありませんが、あくまでも受診させる主体は家族であり、家族だけでは手に負えない場合に、家族の要請を受けて職場の者が力を貸したという形をとるべきです。

職場のものだけで強引に受診させると、後で本人や家族と職場との間に感情的しこりが残る恐れがありますので、家族の責任で受診させるべきです。また、このようなケースでは、服薬をきちんとさせるためと事故を防止するため、病気や治療に対する家族の理解・協力が必要なのです。

さらに、家族が本人の行動や服薬を管理しきれない場合などには、入院の必要が生じますが、本人が治療(入院)を拒否しているケースを入院させるには、家族の同意が必要であることが法律で規定されています。

受診させることについて家族の理解・協力が得られない場合、例えば両親に協力を要請しても了解が得られない場合は、身近な親族や、両親に影響力のある人から両親を説得してもらうのもひとつの方法です。

どうしても家族の理解・協力が得られないか、または家族がいないケースでは、
本人の居住する地域の保健所に相談するのもよいでしょう。


第6項 業務に耐えられないケース

メンタルヘルス不調者の中には、勤務に耐えられないと思われるケースもあります。このような場合は、人事労務管理スタッフが介入せざるを得ませんが、介入する場合の基本姿勢は、毅然とした態度と親身のお世話であるといえるでしょう。

a)規則に従い毅然とした対応をとること

連絡なく仕事を休んだ場合は、有給休暇で処理してはいけません。本人の甘えが進む上に、いざ厳しく対処しようとしてもできなくなります。


b)本人のためを考えあらゆる配慮をすること

解雇は最後の手段です。可能な限り配慮をしなければ、解雇権の乱用とみなされます。


c)家族などの関係者と十分相談すること

家族や主治医に、職場がどのように困っているか、またどれほど誠意ある対応をとっているかを理解してもらうことによって、問題解決への協力を得るべきです。


d)退職後の生活にも可能な限り配慮すること

万策尽きて本人が退職する場合には、退職後の生活が成り立つよう、再就職先の面倒や、社会福祉制度の活用など、可能な限りの配慮を行うべきです。


やっぱりここまで見て大きいのは、何が何でも自殺を避けるということでしょうか。私もうつ病発症直後や平成22年の一次試験敗退直後はかなり自殺願望が強くなりました。何とかそこには至らずにすみましたけど、本当に危険な状態だったと思います。自殺者が増えている現状も考えると何かなければいけませんね…。


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