相続放棄だけじゃない。限定承認があるが…
もし親が亡くなって多額の借金を相続することになったらどうしますか?
「相続放棄をする」という回答が一般的かなと思います。
しかし、「相続放棄」をすると今住んでいる家が亡くなった親名義だった場合、その相続権も放棄することになりますので、一概に「相続放棄したらいい」と言えるわけではありません。
そんな時は「限定承認」という選択肢が有効かもしれません。
相続放棄は、相続によるプラスの財産もマイナスの財産も承継しないことですが、「限定承認」というのは、相続によって得た財産の限度で債務を弁済する、要するに相続人の財産から持ち出してまで責任を負わないため、とても合理的だと言える選択肢です。
その割には、相続放棄の申述受理件数が約15万6千件(H21)に対して、限定承認の申述受理件数は、978件(H21)と圧倒的に限定承認が選択されることが少ないのが現実です(司法統計年報 平成21年)。
「プラスとマイナスの財産のどっちが多いか微妙だ」なんてことは現実にはほとんどないのかもしれませんし、限定承認は相続人全員でしなければならないこと、申述の際に遺産目録を作成しなければならないので、手間がかかるのも利用が少ない要因と思います。
とマイナーなイメージの強い限定承認ですが、先日「限定承認」についての研修会に参加してきました。
講師は弁護士五右衛門先生。五右衛門というのはハンドルネームだそうです。
手続きが複雑で使い勝手の悪い印象がある限定承認でしたが、限定承認ならではのメリットについて再確認ができました。
メリット1
先買権を行使すれば、特定の遺産(愛着のある自宅や事業再生に不可欠な相続財産)を取得できる
メリット2
相続放棄と違い相続順位が変わることを阻止できる
例えば、第2順位の相続人である子供全員が相続放棄をすれば、第3順位の叔父、叔母が相続人となることがありますが、それでは親戚を相続手続きに巻き込むことになります。
そこで、子供のうち一人を残して全員が相続放棄をしておいて、その一人が「限定承認」を選択すれば、叔父や叔母が相続人になることがないため、親戚との軋轢を避けて相続手続きを終了させることが可能になります。
司法書士としては、どうしても先買権の行使による登記手続きに興味がいってしまいますが、先買権が利用される件数はとても少なくて、年間100件程度と相続アドバイザー養成講座で聞いた記憶があります。
なかなか実務でお目にかかれるものではなさそうです。
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