テーマ:ゲーム
私は、驚かない人間である。
例えば、ウンコだと思って食べたら、実はババロアだったということがよくある。普通の人間なら、「えっ、ウンコのはずだぞ。なんだこの美味しさは」と驚くところだ。
だが、そんな時でも、私は驚かない。ウンコの味ではないことを瞬時に察知して、いわゆる勘違いであることに気がつく。
あとは「ウンコじゃないなら、ババなんてつけるな」と不愉快に思うだけだ。
そんな私が一度だけ驚いたことがある。
「バイオハザード」というゲームをしている時だ。ゾンビと闘いながら、不気味な洋館から脱出するゲームである。
最初のゾンビが現れた時、私は鼻で笑った。
うずくまる男に声をかけると紙芝居的に画面が切り替わり、ゾンビが現れるのだ。子供だましだな、と私は思った。
プレイステーションとやらの実力も、この程度か。
完全になめきって、洋館を探索し続けた。
そして、薄暗い廊下を歩いている時のことだ。正面にドアがある。ふん、あのドアを開けたら、ゾンビがいるという展開だな。馬鹿馬鹿しい。
と、突然窓が割れて、ゾンビになった犬が飛び込んできた。
まさか、そんな演出があるとは思わなかった私は、「うわっ」と叫んでコントローラーを放りだしたのである。
私の分身が犬に襲われ、血が飛び散る。すぐにGame Overの文字が画面に浮かんだ。
我に返ってから、「卑怯だろうがあっ」と私は叫んだ。
「私は、由緒正しき薩摩藩士の足軽の血筋であるぞっ。驚かすなら、正々堂々とこんかいっ。卑怯はこの私が決して許さんっ。じっちゃんの名にかけて~っ」
姑息なゲームではあったが、今となってはいい思い出である。
あれから15年あまり。あれ以来、私は一度も驚いてはいない。
日本で一番驚かない男、と言っても過言ではないのである。









