B級読書家

虹だって15分続いたら、人はもう見ようとしない。


テーマ:

私は、驚かない人間である。

例えば、ウンコだと思って食べたら、実はババロアだったということがよくある。普通の人間なら、「えっ、ウンコのはずだぞ。なんだこの美味しさは」と驚くところだ。

だが、そんな時でも、私は驚かない。ウンコの味ではないことを瞬時に察知して、いわゆる勘違いであることに気がつく。

あとは「ウンコじゃないなら、ババなんてつけるな」と不愉快に思うだけだ。

そんな私が一度だけ驚いたことがある。

「バイオハザード」というゲームをしている時だ。ゾンビと闘いながら、不気味な洋館から脱出するゲームである。

最初のゾンビが現れた時、私は鼻で笑った。

うずくまる男に声をかけると紙芝居的に画面が切り替わり、ゾンビが現れるのだ。子供だましだな、と私は思った。

プレイステーションとやらの実力も、この程度か。

完全になめきって、洋館を探索し続けた。

そして、薄暗い廊下を歩いている時のことだ。正面にドアがある。ふん、あのドアを開けたら、ゾンビがいるという展開だな。馬鹿馬鹿しい。

と、突然窓が割れて、ゾンビになった犬が飛び込んできた。

まさか、そんな演出があるとは思わなかった私は、「うわっ」と叫んでコントローラーを放りだしたのである。

私の分身が犬に襲われ、血が飛び散る。すぐにGame Overの文字が画面に浮かんだ。

我に返ってから、「卑怯だろうがあっ」と私は叫んだ。

「私は、由緒正しき薩摩藩士の足軽の血筋であるぞっ。驚かすなら、正々堂々とこんかいっ。卑怯はこの私が決して許さんっ。じっちゃんの名にかけて~っ」

姑息なゲームではあったが、今となってはいい思い出である。

あれから15年あまり。あれ以来、私は一度も驚いてはいない。

日本で一番驚かない男、と言っても過言ではないのである。


テーマ:

「てっちゃん」というのを聞いて、最初私は、「カネテッチャン」だと思った。

全国的にはどうか知らないが、♪てっちゃんてっちゃんかねてっちゃん~という歌は関西ではなじみである。♪ちくわとかまぼこちょうだいな~と続くことから、これがちくわとかまぼこを買わせようとする陰謀であることは明らかだ。

最近の「てっちゃん」は鉄道マニアのことだそうで、中には「てつこ」という女性の鉄道ファンもいるらしい。

確かに「鉄道オタク」と言われるよりは親しみがあって良い。

もし、私が「てっちゃん」になれば、「てっちゃん」かつ「おっちゃん」であり、さらには由緒正しき「坊ちゃん」ということにもなり、非常にややこしい。

だが、安心してくれたまえ。私は、「てっちゃん」ではない。ただの「坊ちゃん」の「おっちゃん」である。

ところがふと見れば、なぜか仕事場のサイドボードには、「新快速221系」などという鉄道系のDVDが数本あり、そう言えば「電車でGO!」や「A列車で行こう」などのゲームも持ってたな。おっ、「鉄橋コレクション」という写真集まであるじゃないかっ!?

申し訳ない。私はやっぱり「てっちゃん」かつ「おっちゃん」の「坊ちゃん」だった。これからは、そう呼んでくれたまえ。

ちなみに「A列車」シリーズは、パソコンのPC8801時代から続く古いシリーズで、ファミコンやプレステなど私も6本所持している。私のゲーム歴はPS2で終わっているので最近のA列車シリーズは知らなかったのだが、YouTubeでチェックしてみるとものすごいことになっていた。

簡単に説明すると、何もない土地に鉄道を敷いて、そこに街を発展させていくシミュレーションゲームである。

ゲームの面白さはハードの性能の差ではないのだが、これを見ていると、性能の差があるゲームも存在することがよくわかる。もちろん、ゲーマーの能力の差も大きいのだが……。

二つのYouTubeをご紹介しよう。PC用「A列車で行こう9」の動画だ。どちらも見事な構築力である。



こちらは、雪など降ってロマンチックである。列車からの視点だ。



こちらは、スケールが大きい。列車を追う視点である。いずれは、街を歩く人々や列車内のラッシュ、その中でチカンする奴まで描き込まれたゲームになるに違いない。いや、おそろしい。

テーマ:

「尻」と書いてあっても、それが男の尻なのか女の尻なのはかわからない。

漢字の限界である。

「尻」だと思って興奮したら、オッサンの尻でガックリという危険も十分にあるわけだ。気が付かずに挿入したら男の尻だったというのは悪夢である。漢字の不確実性は、日常生活にも悪影響を与えるのだ。

それを防止する画期的な文字を発案した。

男の尻は、こう書けばいい。
B級読書家-男尻
女の尻は、こうである。
B級読書家-女尻
これで間違えてオッサンの尻に欲情する危険は皆無となる。安心して女の尻に向かって突き進めばいいのだ。

さて、今日の本題は「尻」ではない。上品かつ性欲の希薄な私が、そんな下卑たテーマで論じるはずがないではないか。

「ローグ(ROGUE)」という1980年に発表されたパソコンゲームが本日の主題である。これほどプレーヤーの想像力が求められるゲームはない。

B級読書家-ローグ

主人公は「@」だ。

こいつを動かしていると、ヘコヘコと「B」やら「D」がやってくる。このアルファベットの大文字がモンスターたちで、AからZまでいる。ちなみに「B」はコウモリの化け物で動きが素早い。「D」はドラゴンで火を吹く。

上の写真は、たまたまモンスターが密集する部屋に入ってしまった場面だ。

時々武器やら防具、水薬、魔法の書が落ちていて、すべて文字で表される。一番重要なのは食料で、「:」だ。これが落ちていると「ヤッホー」と飛び上がるほど嬉しい。

これ以上素っ気ないグラフィックはないわけで、さらに誰も話しかけてこないし、音楽もない。それどころか効果音もないのである。

だが、私は断言する。

これこそ最強のロールプレイングゲームであると。自分のイマジネーション次第で、ドラクエやらファイナルファンタジーを超えるドラマが繰り広げられるのだ。

私が脳内に繰り広げるローグは、おそらくどんな映画よりもリアルであり、どんな小説よりもドラマチックだ。私が想像する「M(メデューサ)」をあなたが目にすれば、その恐ろしさに確実に失禁するだろう。

ちなみにゲームの目的は、地下深くにあるお守りを見つけることだ。それを使った時だけ、階段を登ることができるのである。非常にシビアで、私が地上に生還できたのは一度だけだ。

「尻」や「乳」という文字に興奮できる人なら、おすすめである。

B級読書家-ローグゾンビ
死ぬとこうなる。墓もシンプルだ。
これは、ネットで見つけたMacのフリーソフト版の画面。
9801版と比べると、色が変わっているがシステムは同じ。
もちろんWindows版もある。

B級読書家-ローグ
これは、PC9801用の「ROGUE」のパッケージ。
バインダー形式で立派な箱入りである。
「ローグハンドブック」という本も過去に出版されていて、
ローグファンが探しているらしく、
古本でも4,980円である。
もちろん私は持っている。ふふふ。



テーマ:
父親は将棋が強かったらしい。

私も小学生の時に習ったのだが、何が面白いのかさっぱりわからなかった。親戚が集まったときに必死になって相手の王将を取ろうとする態度に「大人げない連中だな」と思ったものだ。

そう言えば、トランプもあまり好きではなかった。

ババが相手に行ったところで、何が楽しいのだ?

7を持っていると、何か偉いのか?

神経を衰弱させて、何を喜んでいる?

勝つことに意味が見いだせなかった。正月に親戚が集まってトランプをするとき、私は対人関係の煩わしさと憂鬱を感じていたのである。

インベーダーゲームが流行ったときは、少し興味を示した。このゲームには、人間関係は不要だ。だが、やってみるとまったく面白くなかった。カニみたいなのが列を作って迫ってくるだけである。

「意味がわからんな」と私は呟いた。

B級読書家-アート・オブ・ウォー画面

さて、成人してからのことだ。電気店の店頭に、テレビみたいなものが置いてあった。画面には、緑の中に道が描かれ、そこを白と黒の人のカタチをしたものがヘコヘコ動いていた。

その白と黒がふれあった瞬間、画面が切り替わった。

剣や弓矢を持った戦士たちが現れ、画面の中で闘いはじめた。画面の中で戦士たちは倒れていき、片方が勝ち残った。インベーダーゲームとは、まるで次元が違うことは一目でわかった。

人類は、ここまで進化していたかっ!

私は、ビックリ仰天して店員に声をかけた。

「PC9801というパソコンです。今、流れているデモは、『アート・オブ・ウォー』というシミュレーションゲームですね」

「一式くれ」

私は、PC9801UV2というパソコンとその店にあった「アート・オブ・ウォー」「ローグ」「現代大戦略」「信長の野望全国版」「エリュシオン」「ウィザードリー」というゲームを一緒に購入した。

珍しくワクワクしながら、私はパソコンの大きな箱を店員と一緒に車まで運んだ。「88じゃなくて、いきなり16ビットとは、すごいですね」と訳のわからないことを言う店員に礼を言ってから、私は車を自宅まで走らせた。

私の頭は、16ビットのパソコンとやらが実現してくれるであろう、ものすごく知的で刺激的な体験に対する期待でいっぱいだった。

バックミラーに映るパソコンの箱を見て、私は「ふふふ」と笑い、笑った自分に少し驚いた。

私がゲームというものにはじめて興味を持った日のことである。

B級読書家-アート・オブ・ウォー

Amebaおすすめキーワード