テーマ:映画・ドラマ
「ハプニング」という映画を観た。
全然、期待はしていなかった。私の場合は、タイトルを見ただけで、内容がたちどころにわかってしまう。
「ハプニング」というタイトルであれば、これはもう、「おならをしたら、ウンコが出た」という映画に決まっている。それ以外のハプニングなど、あるわけがないのである。
で、観てみると、やっぱりだ。
ベンチに女性が二人座っている。一人が急に動かなくなった。ほらね。彼女は、今、おならをしたのだが、ウンコも出てしまった。「やばいっ」とフリーズしてしまったのだ。
すると、道行く人が同じように立ち止まった。
ほお、と私は少し感心した。「おならをしたら、ウンコが出た」という状況が、個人的なものではなく、社会現象にまで広がる映画らしい。
例えば、世界中の人間が視力を失う「ブラインドネス」という映画があった。一つの出来事を社会現象とすることで、テーマも世界観も広がりを見せる。個人的な現象が世界的な現象となり、ドラマは変容を遂げるのだ。
「おならをしたら、ウンコが出た」という現象の世界的拡散か……。
などと想像をたくましくしていたら、全然、ちがう映画だった。単なる人類滅亡の映画である。
徹底的につまらんっ。ウンコを出せ、と言いたい。
さて、「インデペンデンス・デイ」以降、アホみたいに色んな宇宙人が地球にやってきて人類を滅ぼそうとするのだが、正直、どんな宇宙人であっても驚かなくなってしまった。
たまに由緒正しき宇宙人がやってきても、ウイルスで簡単に死んでしまう。アホですかと問いたい。
「ハプニング」に出てくるのは宇宙人ではない。
こけおどしの造形は出てこない。アクションもない。だが、不気味だ。なんとなく不気味であるだけで、最後まで見入ってしまった。 なにしろ「ハプニング」の敵は、自殺という手法で、人類を滅ぼそうというのだ。
しかも、この自殺は単に生物的なもの(たぶん)であり、絶望や怒りからくる自殺ではない。淡々と手近な方法で死んでいく自殺は、人間臭さや人としての尊厳もなく、ただただ不気味なだけである。
「ハプニング」の敵は、「インデペンデンス・デイ」や「世界侵略ロサンゼルス決戦」の宇宙人よりもはるかに強敵だ。
虫みたいな宇宙人と闘って死ぬのは楽しそうだが、「ハプニング」の世界で死ぬのはごめんだなと私は思った。


