俺の声3(歌う主夫は不動産屋)

日常 非日常 徒然るままの《俺の声》です


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巣鴨地蔵通りの朝は早い

どちらかと言えば門前町の観光立地だが

他の都心部観光地とは随分と異なる

おばあちゃんの町


俺の声3(歌う主夫は不動産屋)

立地的には山の手だが雰囲気は完全な下町

山手線沿線でありすこぶる便利な町であるが

住みたい街にはあまりランクインしない

個人的には狙い目の場所である


そんな巣鴨に朝イチで降り立った

「おはようさん」「おはよう」10時前だが

常連客同士が挨拶を交わし街は目覚め

とげぬき地蔵は雨に濡れ 人を待つ


俺の声3(歌う主夫は不動産屋)

仕事を終えて帰り道 気になる店を発見した

《赤パンツの店》婦人物肌着の店のようだが

店内赤一色で目が痛くなりそうだご利益はあるのか?

私は良く履いている赤パンツ 流行るのか・・・


俺の声3(歌う主夫は不動産屋)

 雨の火曜日営業開始だ


《私も履きたい赤パンツ~》
俺の声3(歌う主夫は不動産屋)

やめとけ

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弁護士先生の指示は的確で会社を作りライブのない日は
barとして日銭を稼ぐようになり 全部用意してくれて
当座の運転資金として少なからぬ金を口座に入れてくれた
そうやって俺は社長兼マスターとなってしまった訳だ


「ある時払いの催促なしだ これは君にではなく
西條への投資だから とにかく潰さないでくれ」
「わかりました頑張ります」俺はなんとなく有頂天になり
かといって何が出来る訳でもなく でも将来を見据えた

 
(そうかこの小屋からメジャーを育てればそれでまた
少しは食える様になるのでは・・・)日々手放すのが怖くなり
若いバンドを見つけてはやれ魂が足りないの歌詞が単純だの
口を挟んでは嫌われたもんだ そうこの店では俺が王様だ




その内デジタルサウンドが主流になりうちの小屋は
時代遅れのレッテルを貼られ かと云って新しい機材など
買えるはずもなく 数年もすると活きのいいライブなどない
居酒屋擬きになっていった それでも意地を張っていた


他人の褌で取ってきた相撲も特俵に足がかかった頃
「おぃメニューにアロエ飯がねぇじゃねぇか」「はぁ?」
ぶくぶくに太って髪の薄いその男の姿に一瞬ムッとしたのだが
笑顔だけは間違いなく認識できた「・・・工藤さんっすか」


「まさかお前が居るとはな マスターはどうした」「工藤さん!」
長い話をかいつまんで話してるうち続々と懐かしい面々が
「祐介さん 望さん ジョニーさん・・・」この小屋で一世を風靡した
幻のバンド《リュード》「なんだ今日はライブ無いんかい」


「学部の同窓会でな 来たはいいけど殆ど知った顔がいなくてな
まさかあるとは思わなかったがあの頃のまま此処はありやがった」
「懐かしいなコバ まだ見切りつけてねぇのかよ」祐介さんは
農協のお偉いさんになっていた 工藤さんもあの工藤さんに


「ギターねぇのかよ」「アコならあります」「じゃ出してこいよ」
錆びた弦が輝いたように鳴り響き 急造オヤジデュオが歌い出す
何人かの若い常連が呆気にとられた顔をした (これだよこれ)
暗く霞んだステージがひと昔前に戻ったのは錯覚だろうか


なにか忘れてたものを取り戻したような憑き物が落ちたような
嬉しさとは別の感情が俺の心を融かしていくように心地好い夜
明け方まで酒を呑み歌い笑い 泪が枯れたように眠った
この時を境に またボツボツといいライブを載せる事が出来たんだ


続く

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金冠日食の本日 天体ショーは薄曇りの中に
神秘的な感動と歓声を残して終わった
観測キッドを用意しなかった私には眩しいだけ
ショーは報道に任せて 土日の話に戻ろう




「天気がいいからさ午後休みにするから出てこないか」
退屈なまどろみに慣れ切った妻を呼び出したのは
いつになく順調な仕事と投稿小説懸賞受賞の賞金が
入る事がわかったからで かと言って大した余裕はない


「昼飯でも食って井の頭公園でも行こうか」
そういってランチを食べたのが午後一時過ぎ
「せっかくだから温泉に行きたいね」「何処に行く?」
話が膨らんだのが2時前だった「たまには行っちゃうか」

$俺の声3(歌う主夫は不動産屋)
と高速道路をすっ飛ばして熱海までやってきた
晴れた日は海である そして本格的な温泉につかろう

$俺の声3(歌う主夫は不動産屋)
4時前には共同浴場 大湯にやってきた 空いている
塩分の高いアルカリナトリウム泉は身体に浸透して心まで揉みほぐす

$俺の声3(歌う主夫は不動産屋)
リラックスして棘の抜けた二人は勝手知ったる熱海の街を
久しぶりにそぞろ歩く 寂れてしまった商店街を懐かしみながら
夕市や洋品店や魚屋を冷やかす 昔はよくこうして歩いたもんだ
さて夕飯でも食って・・・「泊まってこうよ」「俺明日午後仕事が・・・」


こうなったら止らない妻はサッサと海辺のリゾートホテルを
すこぶる安価に調達してきた こいつがなかなか眺めが良い

$俺の声3(歌う主夫は不動産屋)
旅行会社のパンフ調に云うと《熱海港一望の大ハパノラマ
36㎡のスペーリオタイプのエグゼクティブツイン 朝食バイキング付き》
こんな文句に騙されて出かけると実は結構古さを感じたり
するのだが 部屋と眺望は現実逃避するには充分であった


こうなりゃ存分に呑めると云う事で また旧市街へ戻り
地元住民用居酒屋で地魚等を肴に酒を呑んだりする訳で
これがまた美味くてさ 日常を離れるって事がどれだけ
リラックスできるか たまにはこんな休みもいいもんだ

$俺の声3(歌う主夫は不動産屋)
またしても温泉にのんびり浸かりゆっくりと寝て
朝食バイキングをたらふく食べて 日曜日の10時過ぎ
車の窓を開けて晴天の潮風を浴びながら東京へ向かった
午後の仕事の後はスピンオフユニット《KY》歌会 充実の土日である


《ずるいぞ~私も海に行きたいぞ》
$俺の声3(歌う主夫は不動産屋)
トンビに狙われるからダメなのだ

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