月組公演『グランドホテル』観劇感想②。

 

作品自体の感想はに書いたので、

②では個々の役者さんたちについて

つらつらと箇条書きで書きたいと思います。

 

 

宝石紫珠城りょう演ずるフェリックス・フォン・ガイゲルン男爵

 

まずは、たまきち(珠城りょうさん)、お披露目おめでとうございます。

 

正直、最初はたまきちにトップが務まるのか、

少し早すぎはしないかと、失礼ながら心配したものでした。

 

たまきちご自身も、『アーサー王』のお稽古初日に劇団へ向かう時

お稽古場へ向かうだけで緊張したと仰っていました。

真面目なたまきちの事、すごくプレッシャーを感じているようで

インタビュー映像などを見ても、表情からしてぎこちなくて…。

 

でも、プレお披露目の『アーサー王』を経て、

早くもすっかり貫禄が出て、たまきちらしい落ち着きも取り戻され、

『グランドホテル』では回転ドアを通って現れ、スポットライトが当たった瞬間

トップ然としたお姿に感動しました。

 

たまきち演ずる男爵は、金なし貴族で借金を抱え盗みを働く

どうしようもない男です。

 

でも、グランドホテルに入れてもらえずにいるオットーを見かけ

何気なく助け舟を出すような優しさも持っている。

 

オットーに関わっている時の男爵はとてもスマートな男です。

このスマートさをたまきちは極めて自然に演じられていました。

これが、男爵が取り繕っただけではなく、

実はいい奴なのではないか、そう思わせてくるのです。

 

だから、グルーシンスカヤのネックスレスを狙って盗みに入りながらも

いつの間にかグルーシンスカヤに惚れてしまう純粋さも

観客は受け入れられるのだと思いました。

 

結構、ブロードウェイミュージカルって、

ショー要素が強くてキャラクターの心情変化は置いてけぼりな

ストーリー展開なものが多いので

その点、この『グランドホテル』も

「生まれる命、死ぬ命、それでも生きていく様々な人の人生」

そんな大雑把なオチなのですが

たまきちは実にスマートに男爵の心情変化「いい奴感と純粋さ」を

作り上げられていると思いました。

 

この男爵のシーンで一番印象に残ったのは、

やはり、最後の「station」のシーンです。

「真っ赤なバラを持って待つ」。

 

銃声の後、男爵が純粋に愛を歌うシーン。

このシーンの演出は秀逸でした。

通り過ぎていく駅の人々。

男爵の抱えた真っ赤なバラが連想させるもの…。

そして、バラを抱え歌うたまきちの思いつめた表情。

男爵の必死な心情が、グルーシンスカヤへの思いが伝わってきました。

 

かなりダメな男である男爵を愛おしい存在に作り上げた

たまきちの持ち前の誠実さと演技のセンスが素敵でした。

 

 

 

宝石赤愛希れいか演じるグルーシンスカヤ

 

ちゃぴ(愛希れいかさん)は、本当にバレリーナかもしれない。

それも39歳のバレリーナだ。

そう思われせるほどちゃぴはグルーシンスカヤでした。

 

老けた声、芝居掛かった動き。

酷評されて自信を失いごねるという子供っぽさ。

そしてバーレッスンのシーンでの美しいバレエ。

 

ちゃぴはこういった癖のある役をやらせるととても光ります。

『1789』のアントワネットといい、

癖のある女を癖強く、それでいて愛らしく演じられてしまう。

 

そして、持ち前のダンスセンスの高さをうかがわせるバレエ。

これまでもショーでは『アフリカンダンス』など

とんでもないダンスセンスを見せてくれましたが

グルーシンスカヤとしてのちゃぴは、バレエがどうというより

往年のバレリーナ感が背中から漂っていました…。

 

ちゃぴは真咲さん(龍真咲さん)の輝きすぎた個性に対応出来る

センスと個性を持った、可憐なThe娘役というのとは一風違った娘役さん、

そう思っていましたが

たまきちと組むと、ちゃぴの万能感が伝わってきました。

 

 

 

宝石紫美弥るりかのオットー・クリンゲライン

 

もう冒頭で登場しスポットライトが当たった瞬間、

美弥ちゃん(美弥るりかさん)が帽子を取ったその瞬間

客席から大きな拍手が上がりました。

 

美弥ちゃんの人気もさることながら、

あの帽子を取った時の間の取り方が、やはり上級生。

観客の息を読んでいて、帽子を取った瞬間に引き込まれます。

 

いつも麗しい美弥ちゃんが

ヨレヨレのスーツを着て、身をかがめて歩く姿は

あんなに無理な姿勢なのに実に自然でした。

病を抱えた男の歩き方でした。

 

オットーの一番の見せ場は、やっぱりチャールストン!!

弱々しかったオットーが酔った勢いも借りてどんどん踊りだす。

果てにはバーをくるりと乗り越えてセンターで足上げです。

 

この時の美弥ちゃんの表現力に脱帽です。

 

踊っているのは決して美弥るりかではありませんでした。

オットーなのです。

病を抱えたオットーが人生を楽しみ始めた瞬間です。

 

美弥ちゃんのダンスに拍手を送った人もいるでしょうが

私は、突然前を向いて無我夢中で踊り出したオットーの人生に

拍手を送りました。

 

 

 

長くなってしまったので、あとは短く。

 

 

宝石緑宇月颯の「持ってちゃいなさいよ」

 

スカイステージカレッジ月組トークライブを見て以来、

どこで出てくるのか気になって仕方がなかったセリフ。

 

としさん(宇月颯さん)が出てくるたびにそわそわしたのは

私だけじゃないはず…。

 

男爵をそそのかす、実にネチコイ男を見事に演じらえていました。

 

 

 

宝石白海乃美月のフラムシェン

 

私が見た日は、くらげちゃん(海乃美月さん)がフラムシェンでした。

 

それにしてもフラムシェンは踊りっぱなしで大変そうですあせる

 

フラムシェンは随分と頭もお尻も軽そうな女の子なのですが

オットーに優しく、優しいだけでなく心から一緒に楽しんで踊ることのできる

愛嬌のある女の子でもありました。

 

男爵に振られた際の「残念賞?」という言い方が可愛げがあり

くらげちゃんが素敵に演じられていました。

 

 

 

宝石ブルー朝美絢のエリック

 

エリックは冒頭と終盤と出番は限られていますが

エリックが子供が生まれた時に歌う歌がこんなにも

物語の結末に結びつくとは思ってもみませんでした。

 

男爵の死に、フラムシェンのお腹の新たな命、

先が短いながらももう一度歩みだしたオットーの人生に

まだ希望の光である愛する人を失ったことを知らないグルーシンスカヤの人生。

 

あーさ(朝美絢さん)もこの作風に合わせて

かなりボリュームのある発声で歌われていて

終盤の大きな見せ場、素敵でした。

 

 

 

大変長くなってしまいましたがあせる

『グランドホテル』を観劇して月組生について思ったのは

とても安定感があるということ。

 

ブロードウェイミュージカルで、現地の演出家が監修に入っているという

自分たちのオリジナリティばかりを追求しても良い宝塚歌劇とは

真逆の演出作品の中、

トップさんも、トップ娘役さんも、2番手さんも

完全に役として舞台に存在する姿が宝塚の作品では新鮮でした。

 

言ってしまうと、役者さん個人のキャラクターや人気だよりのところのある宝塚。

その中で、作品演出の駒として役を生きることのできる役者が

こんなにもいるのだということがとても素晴らしいと思いました。

 

重厚な古典的なブロードウェイミュージカルで

新生月組の魅力をたっぷり味わえて幸せでした。

 

 

 

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