こんにちは、井上です。

心頭滅却しているつもりですが涼しくなりません。

 

花火の色の原理は炎色反応であって、元素ごとに色が決まっていることを利用しています。

が、写真がまた横向き・・・

 

雑誌などで、フォトフェイシャルm22が

「シミが取れる治療器」

として紹介されています。そのためかよくお問合せをいただきますので、m22について少し書きたいと思います。

 

 

まず、当院はフォトフェイシャルm22を”シミ取り器”としては使用していません。

 

患者さんが、

「この(憎い)シミ  を取りたいんです」

と指さすような、くっきりとした目立つシミ(老人性色素斑や脂漏性角化症)の場合は、フォトよりもQスイッチレーザーや炭酸ガスレーザーの方が望ましいからです。

 

Qスイッチレーザーは(理論上は)メラニン顆粒のみを選択的に破壊し、かつ周囲に影響を与えないような、極短時間のパルス幅で照射します。

テープや特殊な保護製剤でのケアの期間が必要で、炎症後色素沈着の時期が長く続くこともあります。また肝斑などを併発していて、レーザーが不向きな場合もあります。

そのかわりシミの根治を目指すことが可能です。

 

フォト(光)治療はメラニン顆粒のみを/そのものを破壊しているのではなく、あくまでも(メラニン顆粒を含む)表皮の細胞を熱変性させ、ターンオーバーによって少しずつシミを薄くしていきます。根治ではありません。

 

ですので、照射後に生じる”かさぶた”といっても、レーザーによるかさぶたとフォトによるかさぶたは異なる性質のものです。(老人性色素斑以外にもシミには種類があり、それぞれ性質も原因も治療方法も経過も異なります)

 

 

ですが、実際によくいらっしゃるのは、

 

「問診票にはシミ、と書きましたけど~~~とにかく全体的にくすんでるし、シミはいっぱいあるし増えてるし、化粧ノリは悪いし、すぐ顔が赤くなるし、毛穴も涙型に開いてるし、小じわもハリのなさもたるみも~~~何もかも気になるんですけど、何したらいいですか?

高い化粧品もエステも効果なかったです。あ、でもテープ貼ったり真っ赤になったり皮むけたり痛かったり出血したりは、家族や職場や近所の目もあるしちょっと・・・」

 

みたいな方です。

そういう方には、(シミ取り治療としてではなく)あくまでも総合的な美肌治療として、フォトフェイシャルはとてもお勧めです。

いわば、一本の木の治療ではなく、森全体の状態改善をするわけです。

 

自分では至近距離で鏡とにらめっこをしているので小さい一つ一つのシミが気になってしまいがちですが、

他人の目はあなたの一つ一つの小さなシミをとらえてはおらず、それよりも圧倒的に肌のキメ、ハリ、艶、色むらの程度によって総合的に、「この人の肌がキレイかそうではないか」を判断しているからです。

ですので、ピンポイントのにっくきシミがあるのでなければ、「総合的な美肌メンテナンス治療」としてのフォトフェイシャルm22は、とても有効です。

繰り返し定期的に受けていただくことで、キメが細かくなりハリが出て、色むらとくすみ、赤ら顔が改善し、透明感と清潔感のある「明るく美しい」肌へ。

お化粧のノリが良くなるのも喜ばれますね。

 

 

フォトフェイシャル(唯一ルミナス社のm22のみがこの商標登録を持っています)、IPLとは、幅広い波長の光の集合体を短い時間(といってもQスイッチレーザーのナノ秒やピコレーザーのピコ秒よりはるかに長い、ミリ秒単位)に高出力で放射する、フラッシュランプによる治療です。

 

可視光~近赤外線領域の波長のうち、不要かつ有害な波長帯をカットしたフィルターを用いて、目的とする波長帯のみを照射します。

 

そしてm22は、波長帯(フィルター)の選択や出力(照射エネルギー密度:フルエンス)の上げ下げ以外の要素も自在に設定することができる機器です。

 

具体的には、

フィルター(波長帯)はその方のスキンタイプ、ターゲットの種類(色むらやくすみ、赤ら顔、肌のキメやハリ、毛穴とその黒ずみ)と、光を到達させたい深さによって選びます。

皮膚の状態によりますが、お一人の方に対し通常2~4種類のフィルターを使用しています。

 

次にm22の真骨頂!パルス数(シングル、ダブル、トリプル)を決めます。

同じエネルギー総量を分割して照射することができるのです。

エネルギー総量が一緒なら他の光治療器と何が違うの?と思われるかもしれませんが、

一発で入れるとヤケドの可能性や痛みでとても照射できないような高いエネルギー量でも、m22なら2分割、3分割、とすることで安全に照射することができます。

これが、m22がより高い効果を安全に引き出すことができる大きな理由の一つです。

 

そしてパルス照射時間幅は、ダブル、トリプルの照射それぞれの一発ごとにも変えることができます。ターゲットによって長くしたり短くしたりしますが、ミリ秒単位の照射時間であり、ダウンタイムなく様々な有効な熱作用を生じさせることができます。

 

ディレイ時間(パルスとパルスの間に皮膚を冷却する時間)もそれぞれ変えることができます。深くに高エネルギー量を照射する場合、皮膚表面の色素が濃い場合、血管の場合などで、必要かつ十分なディレイ時間は異なります。

 

そして冷却ジェルを塗りコンタクトクーリングで照射を行うのですが、これも目的と条件によって、皮膚に軽く接触させて滑らすように短時間で照射していったり、ほんの少しだけ軽~く圧迫し、かつ照射後も少しコンタクトクーリングの時間をおいたり、、、など、接触のし方も手加減を変えます。

 

 

ババッと速く、パパパ・・・とマイルドに、、と光り方も音もキレッキレ☆

サファイヤガラスを通して見える、フィルターごとに異なる光の色が美しくてうっとり♡

ですが、今度は写真が上下逆さま。なんでだろう・・・

 

 

一方で、光治療に否定的な意見もあります。

長い年数にわたり光を当て続けることで、俗にいう

 

「IPL肌(蝋のように白くテカった、まるで顔全体がヤケド痕の古い肥厚性瘢痕のような脆弱で不健康そうな肌質になってしまうこと)」

 

と呼ばれる状態となることがあるためです。(ご本人だけでなく医療従事者の方も感性がマヒしてしまって(?)、その状態をシミしわがなく美しい肌、と思い込んでしまっている事が多い)

 

 

これはやみくもに長期間にわたって短い波長帯の光を当て続けることでおきてしまいます。

短い波長帯の光の方がシミやくすみが薄くなりやすいので、そればかりバンバン当ててしまい、回数が進んで反応が鈍くなってくると焦って(患者さんの要望もあり)フルエンスを上げて,

さらに短い波長帯を当て続ける・・・という。

短い波長帯は皮膚の浅い層への熱作用が強いため、長期間にわたって当て続けることで、正に「微小な熱傷瘢痕」を作り続けてしまうわけです。

 

ですのでIPL治療では、色むら改善目的の場合であっても、短い波長帯の光は当てるとしても最初の数回だけ、その後は年に1~2回程度にとどめておくことが重要だと思います。

患者さんのスキンタイプや状態によっては、最初から短い波長帯の光は一切当てないこともあります。

 

保険診療と違い美容医療にはいろいろな機械や治療手段があり、クリニックによって信念や解釈、目的が異なり、使われ方も多種多様です。

あくまで当院の場合ですが、フォトフェイシャルm22は奥ゆかしい(?)日本人女性にぴったりな、ダウンタイムのない条件で使うことにこそ意義のある「総合的な美肌メンテナンス治療」機器です。

分かりやすく書こうと思ったらかえって長々と分かりづらくなってしまいました。一部不適切な説明になっているところもあります。ご容赦ください。

 

浄水皮ふ科クリニックHP http://josui-hifuka-clinic.com/