グループ会社の範囲は、100%株式保有による「完全支配関係」のある法人です。100%グループの頂点には、内国法人だけでなく、外国法人や個人株主も含まれます。なお、適用を受ける法人については、会社規模は無関係ですので、中小企業にも適用があります。

1.完全支配関係
 「完全支配関係」とは、次の関係のことです(法人税法第2条第12号の7の6、法人税法施行令第4条の2第2項)。
・一の者が法人の発行済株式等の全部を直接若しくは間接に保有する関係(当事者間の完全支配の関係)
・一の者との間に当事者間の完全支配の関係がある法人相互の関係
 グループ会社の範囲は、基本的に資本関係で判別され、100%株式を保有する「一の者」には、内国法人だけでなく、外国法人や個人も含まれます。それゆえ、いわゆるオーナー会社や外国会社の日本子会社についても、どの会社がグループ会社に該当するかを毎期継続的に認識していく必要があります。
 完全支配関係のあるグループ法人の範囲の例は、次の通りです。
・親会社であるA社が100%出資してB法人を設立すれば、A社とB社は完全支配関係のあるグループ法人となります。
・A社が100%出資してB社及びC社を設立すれば、A社、B社、C社は完全支配関係のあるグループ法人となります。
・A社が100%出資してB法人を設立し、その後A社とB社が例えば50%ずつ出資してC社を設立すれば、A社、B社、C社は完全支配関係のあるグループ法人となります。
・個人甲(又は外国法人)がそれぞれ100%出資してA社とB社を設立すれば、A社とB社は完全支配関係のあるグループ法人となります。
・一定の同族関係者である個人甲と個人乙がそれぞれ出資して(例えば個人甲がA社に60%、B社に70%出資し、個人乙がA社に40%、B社に30%出資して)A社、B社を設立すれば、個人甲、個人乙がA社、B社に合計100%の出資をしているため、A社とB社は完全支配関係のあるグループ法人となります。

2.「一の者」が個人である場合
 「一の者」による「完全支配関係」の場合で、「一の者」が個人のときには、その範囲にはその者及びその者と特殊の関係のある個人が含まれます(法人税法施行令第4条の2第2項)。特殊の関係のある個人は、同族会社(法人税法第2条第10号)に規定のある同族関係者の範囲と同様となっています。したがって、その対象が広範囲に及ぶ可能性もありますので、留意すべきです。特殊の関係のある個人とは、具体的には次のような者をいいます。
(1)株主の親族(6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族)
(2)株主との事実上婚姻関係と同様の事情にある者
(3)個人である株主の使用人
(4)個人株主から受ける金銭等により生計を維持している者
(5)(1)〰(4)の者と生計を一にするこれらの親族
<解答>
 本来相続や、遺贈などにより取得した財産、および相続や遺贈などにより取得したとみなされる財産に相続税は課されることになる。

<解説>
(1) 本来の相続財産
 相続税がかかる財産は、本来の相続や遺贈という形で取得した財産で、金銭に見積もることが出来る経済的価値のあるすべてのものをいうことになる(相2)。
 具体的には、被相続人が死亡のとき現在において所有していた土地(借地権含む)・家屋等の不動産、預貯金、有価証券(自社株式も含む)、その他経済的価値を有するすべてのものとなる。

(2) みなし相続財産
 みなし相続財産とは、民法上の相続財産ではありませんが、実質的には相続や遺贈によって財産を取得したことと同様な経済的効果があると認められる場合においては、課税の公平を図るために、その受けた利益などを相続や遺贈によって取得したものとみなして、相続税法の定めにより相続税がかかるものとなる(相3)。
 具体的には、生命保険契約に関する権利、定期金の受給に関する権利、生命保険金(ただし、一定の金額は非課税)、退職金、功労金(ただし、一定の金額は非課税)、保障期間付定期金に関する権利、契約に基づかない定期金に関する権利、その他の利益の享受があげられる。

(3) 相続開始前3年以内に被相続人から贈与を受けた財産
 被相続人から相続開始前3年以内に贈与を受けた財産は相続の対象となる(相19)。この場合の財産の価額は、贈与時の評価額となり、相続時の評価額ではない。また、相続税と贈与税の二重課税を避けるために、課税された贈与税は「贈与税額控除」として相続税額から控除されることになる。ただし、贈与税額控除が算出された相続税額より多い場合であっても、贈与税が還付されることはないといえる。
 なお、相続の開始前3年以内とは、相続開始の日からさかのぼって3年目の応答日からその相続開始の日までの期間をいう。例えば、相続開始の日が2011年5月8日の場合は、2008年5月8日から2011年5月8日までの間をいう。
 また、相続開始前3年以内に被相続人からその配偶者(贈与時点で被相続人との婚姻機関が20年以上である者に限ります)が贈与により取得した居住用不動産あるいは金銭で、特定贈与財産に該当するものについては、その価額を相続税の課税価格に加算しないこととされている。
 特定贈与財産とは、次のいずれかに該当するものをいう。
(一) その配偶者が被相続人からの贈与について贈与税の配偶者控除の適用を受けたことがない者である場合において、相続開始の年に贈与により取得した財産のうち、その財産について贈与税の配偶者控除の適用があるものとした場合に、その控除額として控除されることとなる金額に相当する部分。
(二) 相続開始の都市の前年以前に贈与により取得した財産で、贈与税の配偶者控除の適用を受けたもののうち、その控除額に相当する部分。

(4) 相続時精算課税制度の贈与財産
 相続時精算課税制度を選択適用した場合の贈与財産については、相続税の対象となる。
 つまり、子は、親からの相続時に、それまでの贈与財産と相続財産とを合算して計算した相続税額から、既に支払った相続時精算課税制度に係る贈与税相当額を控除することになります。その際、相続税額から控除しきれない場合には、その控除しきれない贈与税相当額の還付を受けることが可能となる。

 なお、相続財産と合算する贈与財産の価額は、贈与時の時価となる。