二宮敦人著「最後の秘境・東京芸大」新潮社。

サブタイトルにあるように天才たちのカオスな日常をおもしろく、かつ感心しながらたのしめる。美大、音大のみの単科大学と違って両方がある芸大の両者の違いとそのコラボの可能性も面白い。
美術も音楽もなくてもよいのに、なくてはならない、そんな世界に夢を求める芸大生をますます応援したくなるし、社会ももっと活躍の場を提供すべきだろうと思う。

※筆者は1985年生れ、一橋大出身のライターでその奥さんが現役の芸大彫刻科の学生というのも話題になるだろう。

※そんな芸大生だが平成27年度の学部卒業生の進路状況は
卒業生486名。うち半数の225名が「進路未定・他」という分類の行方不明。大学院への進学168名を合わせて8割になる。ちなみに明らかに就職した人は48名と1割に過ぎない。
大学院に進学してもいずれ修了になれば社会にでるか行方不明になるかで、やはり芸術の世界は前途多難。

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今日の新書は平田オリザ著「わかりあえないことから」講談社現代新書。
今企業などでも要求されるコミュニケーション能力についつ演劇の立場から論じた本。ロボット演劇とか現代口語演劇などの考え方も新鮮でおもしろい。

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今日の新書は村上由美子著「武器としての人口減社会」光文社新書。
少子高齢化で日本の衰退が叫ばれる中で、少子高齢化でも日本の強みを発揮できるチャンスであるという常識とはやや違うタイトルの本なので買ってみた。
著者は日本の大学を卒業した後、アメリカの大学でMBAをとり、ゴールドマンサックスなどのグローバル企業に長年勤め、現在資OECDの東京センター長という立場から国際比較統計を駆使して持論を展開している。
議論の前提が日本には国際比較でみても高度な知識・技能を持った高齢者・若者・女性がいて、その力を活用できる支援施策やサービス体制を整備すればよいという。
確かに、その通りと思う点もあるが、読んでいて著者がグローバル金融の世界にいて勝ち組の人で、総論としては安倍政権の方針に近いものを感じるなど、なんとなく違和感がある。一番力説している女性の活用についても彼女のようなグローバル企業のキャリアウーマンのような人を想定しているし、子供が3人もいても大丈夫と言いながら住み込みのナニーで育児をしてきたということを読むと特別な人や勝ち組の考えとしか思えない(能力のある勝ち組が主役でナニーをやる人はどうするのか?負け組だから仕方ないのか?)。ニートや高齢者の活用についても非正規労働者や定年制などをクリアすればということが前提のようだ。
女性・若者・高齢者がみんな彼女のように自由に活躍できる社会になればその通りだが、これまでの政府の政策は掛け声だけで遅々として進まず、現実はその逆の政策を推し進めますます格差拡大が進展する感がある。


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