I don't care about myself as long as you are happy!

振袖新造メアリーの日常w


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【イブの奇跡・第2幕沖田総司編】

お仕事を終えた私はまっすぐ島原大門へ向かった。

あの日、空を舞った風花はぼたん雪になり通りに

雪化粧を施した

この時代のイルミネーションのように青くひそやかに…

人影を見つけた私は彼のもとに急ぐ

「沖田さん!」

「〇〇さん」彼は笑顔を広げ振り返る

「お待たせしてしまいすみません」そう挨拶をすると

「こちらこそこんな寒い日暮れ後にお呼びしてしまって」

「あぁ、こんなに手が冷たい寒かったでしょう」

沖田さんは私の両手を包み込んで優しくさすってくれる

なんだか気恥かしくて俯いてしまうが、彼の優しさに弾む心音とともに

私は温まっていく

「今夜は寒いから先に贈り物を渡しますね」

「贈り物?クリスマスプレゼントですか?」

「栗と升?いえ、違いますよ」少しだけすました顔をして懐から

何かを取り出す。………それは真新しい足袋だった

「遊女さん達は足袋を履かないでしょう?見ていて心が痛かったんです」

どうしていいかわからなく黙っていると

「わかっています置屋に戻ったら履けないことくらいでも今夜の

〇〇さんは私のものだから…私は私だけの〇〇さんに足袋を履かせたいんです」

まるで子供のように遊びのルールを決める得意気な声自分で言っていて

おかしくなったのかくすくすと笑いながら雪の降った地にも関わらず膝をついて

私に足袋を履かせてくれる。

だけど私は足袋に込められたいくつもの優しさに気づいて胸が熱くなり笑えなくなってしまった。

「…ありがとうございます」やっと言えたお礼の言葉に「やめてくださいよ

こんなもの贈ったって土方さんに知られたら笑われてしまう」立ち上がった彼は照れ臭そうに微笑む

そんな彼に私は何も用意できなかった…そのことを謝ろうと声を出したその時…

「しっ黙って!」急に私の唇に人差し指を当てて言う

いつもと違う大胆さにかあっと顔が熱くなるけど彼は私を見ていなかった

いつも私に見せてくれるあの優しい笑顔ではなく刃のように鋭い眼差しで雪の積もった白い闇をうかがっていた。ぞくりとした…彼の剣士としての顔に。

彼は私を見ることなく低く囁く「今夜はなしにしましょう置屋まで送ります」

呆然とする私に「言うことを聞いてください貴女を血なまぐさいことに巻き込む前に…」と言った直後闇の中から人影が現れた。数は徐々に増え、彼らは刀を抜きながら憎しみと憎悪にあふれた声で沖田さんの名を呼んだ。人影とは新撰組を敵視する不逞浪士だった

辺りは緊張感に包まれ私は青ざめたが沖田さんだけがその場にそぐわない弱り切った顔をしていた。「お相手するには否はありませんが日を改めていただけないでしょうか?」刀の柄に手をかけながら眉を下げていた。「だって何日を前から楽しみにしてたのに…」「な、何を申しておる!?」落ち込む沖田さんに構わず浪士は斬りかかる…「危な…」私の警告よりも早く沖田さんは刀を抜き払った涼しげな目元を細めて容赦ない殺気を放つ。「私の背後には大切な人がいるんですあなた達と刀を打ち合わせる余裕などありません。それでも参られるなら一太刀で終わらせる。」「ぐっ…」「それにお店の時間だって…人気のお店って聞いたから席がなくなってしまうかも」泣きべそみたいな顔をする彼に新たな影が躍り出る。予言通り勝負することなく終わってしまう最後の一人になった時、一人の男が厭らしい目つきで私を見つめ人質に取ってやると言い出し私に近付いてきた。肩に触れた瞬間「うっ」と呻き声がして男は大きく仰け反った。後ろから斬りかかった沖田さんが言う「不浄な手で触れないでください私だって手しか握ったことないのに!」命の危険を感じつつも顔が赤面していく…すごくかっこいいけど発言が…私と出掛けることばっかりで、、、でも嬉しいなそんなに楽しみにしていてくれたのかな?そう思いながら刀をしまう沖田さんの背中を覗き込んだ。ところが背後からまた複数の男たちの声が聞こえてきたのだ

天誅!同志の敵!と叫び沖田さんに襲いかかろうとする「予約が…」とがっくりしているがそういう間にも敵は迫ってくる私はさすがにあんな大人数相手にできるわけがないと思い沖田さんを匿おうとぐいぐい暗がりに押し込もうとした瞬間沖田さんの方から、体を抱き寄せられる…どきっとして彼の顔を見る「せっかく差し上げた足袋を濡らしたくないので」「え!?」驚く私をよそに「失礼します」と言い私を抱き上げた。細身の体のどこにそんな力があるのだろう彼は私を抱き上げたまんま走り出す。雪道にもかかわらず路地裏をすいすいと駆け抜け追手を撒いていった。私はどきどきしながら彼の首にしがみ付く(いつもなら手が触れるだけでどきどきするのに…)普段見せない男らしい横顔に見惚れて私の顔は火照っていた。「あ、いい忘れていたのですが」彼が話しだそうとしたその時…後ろから沖田さんの名を呼ぶ声がした。息を弾ませながら彼は急カーブをして追手の死角へ入る「すみません遠回りしますね。人気のお店だから早く行きたいんですけどね」はぁと溜め息をついて申し訳なさそうに尋ねる「もし入れなかったらどんなとこがいいですか?」

私は答えようとして悲鳴を上げた…なぜなら狭い道の行き手を浪士たちが塞いでいたからおまけにさっきの追手が後ろにいた。彼は表情を変えずに私をおろした。そして私を背後に庇い白銀の刀を抜き払いながら静かに囁く「すぐに済みますから目を瞑っていてください」それでも不安でいっぱいいっぱいの顔をする私に「大丈夫。目を瞑って、耳を塞いで…大声で歌でも歌っていてくださいいぶの祭りの歌がいいです」彼の言葉に何度も頷き目を閉じた言われるがままに歌う準備をして……そして全てを終えたあと彼が私に歌えと

言った理由がわかった気がする。きっと悲鳴を聞かせたくなかったから…

目を閉じたまま私は血なまぐさい現場を後にし、大急ぎで料亭へ向かった。

用意してくれた料亭はとても素敵なところだった「はあ間に合って良かった…いぶ…おめでとうございます。」「沖田さんそこはメリークリスマスって言うんです」「メリークリスマス〇〇さん」個室で二人きりになった沖田さんはいつもの照れ屋な彼に戻っていた手を繋ぐのが精一杯なくらいの…。はしゃぎ疲れて満腹になった私は、うつらうつらと短い夢を見た。沖田さんの温もりをそばに感じながら…夢の中で私たちは現代にいて私は沖田さんの彼女で二人でクリスマスツリーの飾り付けをしていた。もっと左、右とか言いながら二人きりのパーティにわくわくしている

街角にありふれた恋人のように………

終わり

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