2011年11月06日(日) 14時49分45秒

世界情勢変化のなかで私たちにできること

テーマ:ブログ
かつて権勢を誇ったギリシャやイタリア(ローマ)、無敵艦隊で世界を席巻したスペインなどが苦境にあえいでいるのをみると、ある種の感慨と共に、なにか壮大な時代の移り変わり、それも千年単位の局面変化を感じとります。

世界経済の帰趨を、あたかもギリシャ国民に握られたかのような、危うい状況。EUという壮大な実験は、バブル崩壊後の日本で行われた議論やその後の停滞を雛型として、形を変えて大きさを変えて、シナリオ進行中です。最も適切なのはギリシアを破綻処理させることなのでしょうが、わかっていても合理的な選択ができないのが常です。

アメリカが力を失いつつあることは、建国後数百年の歴史の大きな流れにひとつの終止符が打たれるという意味で、やはり次の場面への移行を想起させます。

中国はバブル崩壊のカウントダウン。中東は革命進行中でアジアは洪水・地震。

我が国はといえば、バブル崩壊後の長期的な経済的停滞。震災や原発対応もままならないまま、TPP問題や消費増税について、ロクな議論もなされずに政府が国際的な公約をしたりと、なにかもうグチャグチャ。どちらも、それそのものだけに焦点をあてて是非を問うのは賢明ではなく、今後の国家の理念やデザインをどのように組み立ていくのかといった、いわばメタ認知を上げた議論が必要な話です。

TPPの話では、1年ほど前に首相がほぼ思いつきではないかと思われる突飛な参加意向を示したあと、具体的な中身の議論が行われずに時間だけが過ぎ、農業と産業との対立構図や、アメリカの策略対抗論的なコンテクストの中で賛成派と反対派が対立。

TPPには産業障壁撤廃の問題やら、農業以外に多数の分野があることやらが最近になってやっと持ち出され、多分もう多くの国民には、何がなんだかよくわからなくなっているでしょう。この話は、規模感こそ違いますが、開国前の尊皇攘夷論的な面持ち。

さあ。政治がだらしない、官僚は何をやっているのだと、自分の鏡を見て評論する「お任せ民主主義」から、私たちはどうやって脱却するのか。一足飛びに「首相を国民投票で」なんてことをやっても、おそらく今はまだ賢い選択ができる状況にはなく、じわりと時間をかけて、粘り強く、より成熟した国を創っていくしかないのでしょう。

各自が自分にできることを淡々とやるしかない。

さて。

不動産・住宅市場に身を置く私が今、取り組んでいるのは、かんたんにいえば「住宅に資産性を持たせること」です。高度成長が終わり、人口・世帯・年齢構成などの動態が変化する中、新たな経済的、社会的枠組みを構築しなければなりません。

これは、高齢者向けの介護サービスや医療で社会問題を解決すると共にそれで経済を回すのが有効であるのと同じ。要するに、お金を載せて動かす財やサービスを創出すると共に、それ自体が社会問題を解決するといった構図をどうするかということです。個人が持つ住宅に資産性を持たせ、つまりそこにお金を載せて市場で動かす、ということです。

現代日本の経済問題は借金総額にあるのではなく、マネーが回転しないことにあります。我が国の中古住宅流通はいまの5杯くらいにまで伸びる余地があります。

こうした市場を創っても、個人が持つ中古住宅の物件価格はGDPに反映されませんので、見かけ上のGDPはあまり伸びません。しかし個人が持つ住宅の価値が落ちないことで、それが醸成する安心感が消費の源泉となる上、国民の幸福度は増すことになります。

これまで我が国は「景気対策としての新築持ち家政策」を推進してきましたが、実は住宅を買ったあとの世帯は消費を落としており、長期的に見れば経済にとって決して好影響はもたらしていないのではないかといったことが言われ始めています。

繰り返しになりますが、お金を何に乗せて回すのか、その媒体として住宅を有効に機能させることが、消費回復とデフレ脱却、経済回復の基盤になります。換言すればそれなしに新しい経済・社会スタイルはできないのです。

そうした問題・課題意識から、住宅の、取引時点での評価基準としての「ホームインスペクション」を推進したり、新築・中古・賃貸を合わせた住宅市場全体の枠組みを捉え直すことが必要だと主張したり、中古住宅流通市場整備について提言したり、賃貸やリノベーションの面白い取り組みを応援したり、大家さんが発言力を持てるべく団体設立を支援したり、不動産投資の新しい概念について勉強会を行なったりと、アンバランスを是正し、次世代型の住宅市場ができるような取り組みをしているつもりです。



※ダイヤモンドオンラインでの連載はお陰様で大変好評でした。ありがとうございました。


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