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2004-12-27

とんかつ弁当

テーマ:今日の食事
朝、こうりゃん先生が見舞いにやってきた。
今更何だ、と思ったが手土産に
とんかつ弁当とタッパに詰まった漬物を持ってきてくれたので、
複雑な気持ちで迎え入れる。

茶を入れてもらい、久しぶりの食事。
口の中が少し切れていたのか、
とんかつソースが沁みる。

腹が膨れ落ち着いた頃、
今回の件について、先生が説明してくれた。
なんでも親分が贔屓にしてもらっている
定食屋のゴミ箱を勝手にあさり、
片付けもせずに放置していたのが事の発端で、
親分が詰め寄ったら無言で
ブスリといかれたそうだ。

親分のケガは大した事はなかったのだが、
運悪く事が起きたのが交番の目の前で、
あっという間にアクマは御用、
親分も被害者、という事で腹から血を流した状態で
散々取り調べを受け、書類や何かを書かされたらしい。

アクマの供述の中で私の名前が上がったため、
勘違いした連中が私を襲ったとの事だが、
親分はそれについて謝る気はないと言う。
これでお互い痛み分けだ、という事らしい。

帰り際にこうりゃん先生は、
センさんの件も併せて、あまり警察のお世話になって
我々の評判が下がれば、公園にも居られなくなる。
今回もお前さんのせいだとは言わないが、
皆に迷惑がかかるし、くれぐれも慎重に行動してくれと、
慰められるどころか、逆に説教をされてしまった。

ふざけるな。私は被害者だ。何が公園だ。
どうせ俺もお前らも全員乞食じゃないか。
なぜこんな所に落ちてまで
他人の顔色を気にしてビクビクしなけりゃいけないんだ。
下らない。絶対にこんな所から抜け出してやる。
2004-12-26

リンチ

テーマ:今日の食事
昨晩、いつもの自販機を見て公園に戻ろうとした時、
突然5,6人の同業者に囲まれた。
ただならぬ気配だったのでつい身構えると、
その中の一人が、

「おめぇが煽ったんだろが!」

と突然叫んだ。何の事だかさっぱり解らないので、
あっけにとられて無言のままでいると

「おめぇが煽ってやらせたんだろが!おう!」

と、物凄い勢いで詰め寄ってくる。
もしかして、アクマと親分の件だろうか?ハっとする。
しかし、無関係だ!と弁解する前に、また言いがかりか…
とガックリきてしまった。もう、どうにでもしてくれと。

「なんでもテメェが、カンカン入ればモチ食えるって
吹き込んでたらしいじゃねぇか!このクズ野郎が!
アノ野郎、引っ張られる時も笑ってたぜ!」

確かに、センさんの話題になった時、
面白おかしくそんな事を言ったかもしれない。
しかしそれとこれとは話が違うだろう。

「それは…」

と言いかけた時、後ろからドーンという衝撃。
飛び蹴りだろうか。
不意をつかれ、前のめりに地面に倒れた瞬間、
連中が一斉に襲い掛かってきた。袋叩きだ。

こういう時は早いうちに伸びたフリをするに限る。
乞食になりたての頃、酔っ払いに悪態をついて
リンチを受けた事があるが、その時は中途半端に抵抗したせいで、
こっぴどくやられてしまった。

背中を丸め必死に耐えるが脇腹に何回も蹴りが入る。
背中じゃ効かないので、あお向けにしようとしているのだ。
怖い。ひたすら怖い。もう勘弁してくれ。自然と涙が出てきた。

どれくらいの時間が経ったのか解らない。
気が済んだのか、

「おめぇみてぇなクズは乞食以下だ!くたばっちまえ!」

と罵倒の言葉と一緒に、背中に何か硬いものを叩きつけて
走って逃げていった。

リンチから開放された安心感と同時に、
アクマに対する怒り、リンチした連中に対する怒り、
そしてアクマのような人間に心を許しかけた自分が
ただただ情けなく、しばらく立ち上がれなかった。

その場にうずくまり一しきり泣いた後、
フラフラとハウスに戻り毛布に包まったら、また涙が出てきた。
体中が痛み出し、感情が荒れて寝付けない。
ちくしょう。
2004-12-24

クロさん

テーマ:今日の食事
今朝もアクマはこなかった。
もう飽きたのだろうか。
少しホっとしながら顔を洗いに水道へ行くと、
こうりゃん先生と全身黒ずくめの妙な男が何か話していた。

見た目のまま、クロさんと呼ばれる黒ずくめは、
最近公園にきた連中のリーダー的な存在らしく、
こうりゃん先生と新たな公園のルールや、
行政の状況なんかを相談しているようだ。

二人とも真剣な様子で議論しているので、
なんとなく話し掛けづらい雰囲気だ。
久々にこうりゃん先生とも話をしたかったので、
向こうから気付いて話し掛けてくれないかな、と
ベンチに腰掛けて新聞を読むふりや、
咳払いなんかをしてみたが、
どうもそれどころではないようだ。

少しガッカリしてハウスへ戻る。
なんだかなぁ。
2004-12-22

アクマの折鶴

テーマ:今日の食事
「鶴を折って下さ~い」
アクマと二人でブラブラしていると、
こんな声が聞こえた。
駅前でボランティアかなにかだろうか。

前にも見かけた事があるし、
別に珍しい事でもないので
そのまま通り過ぎようとしたら、
アクマがニヤリとわらってズンズンと
そちらへ近づいていくではないか。

内心おいおい、止めてくれよ…と思ったが、
声をかける間もなく、小さな折り紙を受け取って
鶴の折り方を教わっていた。
折り紙を渡した女性の顔は明らかに引きつっている。
我々が乞食だと気付いているのだ。

そんな事はお構いなしに半笑いで鶴を折るアクマ。
鶴を完成させ、腹の部分に息をプっと吹き込む。
さらに引きつる女性。

早く終わらせたいのか
「ありがとうございました」と早々に礼を言って
帰らせようとするのだが、鶴を折り終わった後も
ニヤニヤしてなかなかその場を離れようとしないアクマ。

だんだんと通行人や他のボランティアの連中の目が
自分にも向いてきたので、小声で「じゃ後で」とつぶやき
アクマを置いたまま逃げるように公園に戻る。
なんなんだあいつは。

明日の朝も来るのかなぁ、と思ったら
少し気が重くなった。付き合いにくい男だ。
2004-12-22

アクマと二人きり

テーマ:今日の食事
今朝、またアクマが来た。
昨日と同じまんじゅうを持って、
ニヤニヤしながら近づいてくるのだ。

相変わらず怖い顔だな、と思いつつ
差し出されたまんじゅうを受け取り、
ありがたく頂く。
その後は、特に何をしゃべる訳でもなく、
ニヤニヤしながら隣にいるので、どうも気まずい。

何と無く会話を振ってみても
一言二言で終わってしまい、
何がしたいのかサッパリ解らない。

仕方が無いので街の方でも行ってみるか、
と二人連れ立って公園を出る時、
ちょうどノリさんに見られてしまった。
また変な誤解をされなければいいんだけど。

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